【2025年度版】家賃を抑えたい保育士さん必見の「借り上げ社宅制度」とは?制度改正点、対象者や時期について紹介!

保育士さんの家賃負担を軽減する「借り上げ社宅制度」。2025年度の制度改正により、対象条件が大きく見直されました。この記事では、制度の概要から最新の改正内容、自治体による違いや、利用するメリット・デメリットを紹介します。また、結婚や同棲相手がいる場合など、ケースごとの取得条件まで解説します。

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保育士が利用できる「借り上げ社宅制度」とは?

「借り上げ社宅制度」とは、事業者が物件を借り上げ、従業員に対して価格を抑えて貸し出す制度です。

一般的な企業では福利厚生の一環として導入される場合が多い制度ですが、保育業界では国が定めた「保育士宿舎借り上げ支援事業」に基づいて、自治体ごとに行われています。

保育士さんに向けた住まいに対する補助制度として、この借り上げ社宅制度のほかに「住宅手当」があります。

違いとしては、住宅手当は園ごとに定められた福利厚生制度であるのに対して、借り上げ社宅制度は国が策定して各自治体が実施している国主導の保育士支援事業であるという点でしょう。

では、事業の実施目的や概要を見ていきましょう。

目的

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育士さんにとって働きやすい環境を整備することを目的として実施されています。地方から上京したり一人暮らしをしたりする保育士さんを支援し、定着させるための対策として進められている事業です。

概要

対象者

「保育士宿舎借り上げ支援事業」の対象者は、制度開始当初から段階的な見直しが行われていますが、2025年度からは対象期間が「採用から5年以内」に見直されています。

また、対象となる保育士さんが同棲や結婚をしている場合でも、世帯の収入状況や居住実態により対象になるようです。たとえば以下のようなケースは可能性があるかもしれません。

  • パートナーと住民票が同一ではない
  • 結婚していても生計が分かれている

このような支援の適用基準は自治体によって異なるため、利用する場合は自治体のサイトなどで事前に確認しておく必要があるでしょう。

補助基準額

補助金額は、「基準額」として全国一律の上限額が設定されています。 しかし、地域の実勢に合わせ、自治体ごとに一人当たりの支給金額を設定できる仕組みです。

具体的には、地域ごとの地価や家賃水準を踏まえたものが想定されているため、これにより、柔軟な補助金額の設定が可能になっています。

実施主体

保育士宿舎借り上げ支援事業を実施しているのは、国が策定した「新子育て安心プラン」に参加している自治体です。

そのため、全国すべての自治体で行われているわけではないことが注意点といえるでしょう。転職する場合は、勤務先の園の自治体で制度が実施されているかを確認しておけるとよいでしょう。

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2025年度の借り上げ社宅制度における改正のポイント

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2025年度からの改正により、対象期間や利用制限が見直されました。これから利用を検討している方は確認が必要です。

まずは2025年度からの変更点について一覧で見ていきましょう。表1以下からは、上記の表にある変更点について解説していきます。

対象保育士の勤務年数が「採用後5年以内」に短縮

これまでも段階的に縮小されてきた対象保育士の勤務年数が、2025年度から大幅に縮小されています。

具体的には、2024年度は「採用された日から起算して8年以内の常勤の保育士」だったものが、2025年度からは年数が見直され「5年以内」に短縮されました。

ただし経過措置として、2025年度に限りこの「5年以内」の期間を超えている場合でも、すでに継続して制度を利用している場合は、引き続き補助の対象とするとされています。

2025年度における補助対象開始年度ごとの経過措置については、以下の表で確認してみましょう。該当する場合は、2025年度に限り経過措置を受けることができそうです。表2

同一人物の継続利用期間も「5年度まで」に変更

上記の該当年数の短縮によって、制度を利用できる期間もこれまでの最大6年から「5年度まで」に制限されました。

ただし、すでに利用を開始している保育士については、段階的な経過措置が適用され、いきなり打ち切られることはないようです。詳細は自治体ごとの対応方針を確認しましょう。

この措置により、急な打ち切りによる影響は緩和されていますが、翌年度以降は対象外となる可能性があるため、該当する方は早めに勤務園や自治体に確認しておきましょう。

自治体により「利用は1人1回まで」に変更

一部自治体では、制度の利用を「1人1回限り」とする運用に変更しています。たとえば、同一の勤務先で5年が経過したのちに別法人や別園へ転職した場合は、この制度を再利用することができなくなります。

この措置は2025年度からの運用であるため、まだ実施自治体は少ないのが現状です。次年度以降に導入する自治体が増加することも予想されるため、再利用を希望する場合は、あらかじめ自治体に確認するようにしましょう。

横浜市の例

横浜市では、国の補助制度見直しにともない、2025年度以降は同一の保育士について本事業の利用は原則1回限りに変更されました​。

これにより、借り上げ社宅制度を一度利用した経歴のある保育士が横浜市の施設などに転職した場合は、再度この制度を利用することができなくなります。

2025年度から新規に申請する人および前年から継続利用する方の双方が対象となり、2025年度以降に一度でも利用が途切れた場合は、再申請が不可となるため注意しましょう。ただし、産休・育休、介護休業を理由に利用が途切れた場合は、同一法人に復職する場合に限り、再申請が可能になるようです。

千葉市の例

千葉市では2025年度から、過去に他園などで一度でも保育士宿舎借り上げ支援事業の利用対象になった経歴がある保育士は、原則として再び本制度を利用することができなくなりました。

これは千葉市内に限らずほか自治体での利用経歴がある場合も含まれます。この新要件は2025年度から新たに補助対象となる場合に対して適用されます。そのため、前年度から継続して同一勤務先で利用対象となっている場合は、この限りではないようです。

補助上限額が7万5,000円に変更

2025年度から補助基準額の上限が月額7万5,000円に引き下げられ、前年度の8万2,000円から7,000円の削減となるようです。これにより自治体ごとの上限額も見直されることになるでしょう。

ただし、2024年度以前から対象となっている保育士には経過措置が設けられ、引き続き2024年度までの上限額が適用される場合があります。

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保育士が借り上げ社宅制度を利用するメリット

保育士さんが借り上げ社宅制度を利用するメリットについてみていきましょう。

引っ越しの負担を軽減できる

借り上げ社宅制度を利用する場合、あらかじめ決められた物件のなかから住居を選ぶことができます。そのため、部屋探しのために不動産屋さんに行ったり内見をしたりする手間が省けることになります。

特に地方など遠方から転居する場合や、引っ越し準備でなにかと忙しい時期は、部屋探しをせずに済むのは負担軽減になるでしょう。

初期費用や更新料がかからない

個人契約した物件の場合、家賃のほかに敷金・礼金などの初期費用、契約した物件の更新料などの諸費用を支払う必要があるでしょう。

しかし借り上げ社宅制度では勤務先である保育所が物件の契約者となるため、保育士さんは初期費用や更新料を支払う必要がありません。

家賃負担が軽い

自身で直接物件を契約するより家賃負担を大幅にカットできるのも、借り上げ社宅制度を利用するメリットと言えるでしょう。

補助金額は自治体によって異なるものの、借り上げ社宅制度を利用すれば、自己負担が家賃の1割~2割程度で済む場合もあるようです。

また、自治体ごとの借り上げ社宅制度を採用しつつ、園独自の住宅補助も行っている勤務先もあるようです。そういった園で制度を上手に利用することで、ほぼ家賃を負担せずに生活できるケースもありそうですね。社宅や住宅補助がある法人を探す

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    保育士が借り上げ社宅制度を利用するデメリット

    保育士さんが借り上げ社宅制度を利用するうえで知っておきたいデメリットをまとめました。

    選べる物件が限られている

    借り上げ社宅制度を利用するデメリットとして、選べる物件が限られていることが挙げられます。

    社員寮と比べれば自由度は高いようですが、希望するエリアとは異なる地域の物件しかない可能性もあるでしょう。そのため、こだわって部屋探しをしたい方にとってはマイナスポイントになるかもしれません。

    また、園から近く通勤しやすい場所にある物件が多いため、同僚の部屋が近かったり、街中で園に通う子どもや保護者と会ったりする可能性もあるようです。

    仕事とプライベートをきっちり分けたい方にとって、オンオフがつきにくいこともデメリットのひとつかもしれません。

    退職により住めなくなるケースがある

    借り上げ社宅制度は、借り上げている保育所に勤める保育士さんのみ利用できる場合がほとんどでしょう。そのため、退職とともに物件を退去しなければならないケースが多いようです。

    退職後に個人契約に切り替えれば住み続けられる場合もあるようですが、すべて自己負担となるため、家賃の額によっては支払いが難しくなることも考えられます。

    借り上げ社宅制度を利用するときは、退職後の住居についても考えたうえで検討するとよいでしょう。

    園によって対象者が限られる

    物件を契約しているのは勤務先の園であるため、園が独自に入居条件を設けているケースもあるようです。

    たとえば、「すでに自宅から園まで〇km以内に居住している場合は利用不可」「週に〇日・〇時間以上勤務する保育士のみ」などの条件が課されるケースがありそうです。また、産休・育休や休職中の扱いについても園によって異なるかもしれません。

    多くの場合求人には「規定あり」などの文言しか書かれていないため、転職などの場合、借り上げ制度の対象者に該当するか気になる場合は、入職前に確認しておきたいですね。

    このような内容を、転職時に直接聞きづらいことがある場合は、転職エージェントに仲介してもらうことで代わりに確認してもらうことも可能です。会員登録・相談無料保育士バンク!で転職相談

    制度廃止になる可能性がある

    借り上げ社宅制度は、状況によっては自治体や園の予算・方針により廃止される可能性があります。

    現に制度を縮小・終了した自治体もあることから、長期的な利用を前提にしていると、突然の変更に戸惑うこともあるかもしれません。

    利用前には、自治体ごとに制度の継続性や過去の運用実績なども確認しておくと安心です。特に更新のタイミングや補助内容が毎年変わる場合もあるため、最新情報をこまめにチェックしておきたいですね。

    読んでおきたいおすすめ記事

    保育士の借り上げ社宅制度は住宅手当とどう違う?

    保育士さんが受けられる住宅補助の一つとして「住宅手当」というものもあります。

    借り上げ社宅制度と同様に、住宅にかかる費用の一部を勤務先が負担する福利厚生制度ですが、借り上げ社宅制度との違いはどこにあるのでしょうか。

    以下の表に、二つの制度の違いをまとめました。表3

    以下からは、上記における最も大きなポイントともいえる、所得税の「課税・非課税」について説明します。

    課税とは

    勤務先から支給された給与額に税金がかかることです。給与のうち一定の金額に対して所得税がかかります。

    【例】園の福利厚生による住宅手当を受給する場合

    基本給:20万円
    住宅手当:2万円
    → 合計22万円に対して課税される(所得税がかかる)

    各種手当は給与の一部として上乗せ支給されるため、住宅手当がある場合は、その金額に応じて税金がかかることになります。

    非課税とは

    税金がかからないことを「非課税」と言います。給与とは別に勤務先が代わりに支払う費用などには、税金がかからないケースがあります。

    【例】借り上げ社宅制度を利用した場合

    家賃8万円のうち8万円を自治体と園が負担
    上記負担額の不足金額は、自分の給与から天引きで支払う
    → 自分の給与受給額とは別に、自治体と園から家賃として支払われた7万円は非課税(税金がかからない)

    このように、同じ住宅費用に対する補助であっても課税・非課税の違いがあることによって、手取りの給与額が異なってくる場合があります。

    保育士が借り上げ社宅制度を利用する際の注意点

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    保育士さんが借り上げ社宅制度を利用するときの注意点をまとめました。

    制度改正に合わせて自分が対象になるかを確認

    勤務先がある自治体で、借り上げ社宅制度がいつまで実施されるのか調べておきましょう。

    この制度は保育士人材の確保や定着を図る目的で開始されたため、人材が充足している地域では制度自体が廃止される可能性も考えられます。

    国としては2025年時点では実施が決まっていますが、いつまで継続するのかは発表されていません。しかし制度の適用期間が段階的に短縮されていることから、将来的には制度の対象者がゼロになる年が到来するでしょう。

    現状から変更がないまま進行した場合、2030年度には対象者がいなくなるため、制度自体が終了することは想定しておく必要があるかもしれません。

    結婚や同棲の場合についての規定を確認

    結婚、あるいは同棲している場合の規定を確認しましょう。

    単身者に限定せず、結婚や同棲・同居相手がいる場合も対象者に含んでいる自治体が多いようですが、園が独自に規定を設けているケースもあるかもしれません。

    求人票には、借り上げ社宅制度の利用条件について詳細に記載されていない場合がほとんどです。見学や面接の際に直接尋ねたり、聞きづらい場合は転職エージェントを介して質問したりするとよいですね。

    転職エージェントでは、求人票だけでは分からない園の情報を聞くことができるので活用してみましょう。

    出典:令和7年度保育関係予算案の概要・参考資料/こども家庭庁出典:令和6年度保育関係予算案の概要・参考資料/こども家庭庁出典:令和7年度保育士宿舎借り上げ支援事業 概要/さいたま市出典:保育士宿舎借り上げ支援事業【令和7年度申請分】/横浜市出典:千葉市保育士等宿舎借り上げ支援事業補助金についてのご案内/千葉市

    保育士の借り上げ社宅制度について知り、転職先選びに活かそう

    今回は、保育士さんが利用できる借り上げ社宅制度について、2025年度からの制度改正について、また利用するときの注意点やメリット・デメリットなどを紹介しました。

    借り上げ社宅制度とは、保育人材の確保を目的として自治体ごとに実施される「保育士宿舎借り上げ支援事業」に基づいた制度です。

    保育士さんにとってさまざまなメリットがありますが、いつまで制度が続くのか、結婚や同棲、産休中なども対象になるのかなど、利用に際して細かく確認しておくことが大切になります。

    今回紹介した借り上げ社宅制度のメリットやデメリットなどをふまえ、転職する際の園選びに役立ててみてください。

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