「子どもが好き」「保育士になるのは難しいけれど子どもと関わる仕事に就きたい」などという方は子育て支援員研修への参加を考えてみましょう。研修の修了後、子育て支援員の資格を取得すれば、保育園や放課後児童クラブなど、さまざまな保育施設で勤務しやすくなるでしょう。今回は子育て支援員の研修内容や費用、資格取得の流れを解説します。
polkadot/stock.adobe.com
子育て支援員研修とは
子育て支援員研修とは、保育園や放課後児童クラブなどの子育て支援事業を行なう施設で働く「子育て支援員」の資格を取得するための研修です。
子育て支援員は保育人材不足の解消を目的に、2015年に子ども・子育て支援新制度によって設置された資格です。
研修は年1回以上行われているようですが、各自治体で開催日程や回数が異なります。
研修を修了し子育て支援員の資格を取得すれば、さまざまな保育施設で働くことができ、仕事の幅も広がるでしょう。
子どもと関わる仕事に就きたい方や子育て経験者などが子育て支援員として活躍しています。研修内容を把握して資格取得について考えてみましょう。
子育て支援員研修の費用
子育て支援員の研修費用は基本的に無料です。
ただ、以下の費用は実費負担となります。
- 会場までの交通費
- テキスト代
- 昼食代
- オンライン講習のための物品費用や通信費用
費用の詳細は各自治体に確認するとよいでしょう。
子育て支援員研修の流れ
子育て支援員研修の流れは以下の通りです。
1.受講申込書の提出
2.選考
3.受講決定
4.基本研修の受講(8科目『8時間』)
5.専門研修の受講(コースによって受講時間が異なる『9時間~24時間』※+1日の実技研修、+2日以上の見学実習が必要な場合があり)
6.修了証書の交付、子育て支援員の資格取得
各地域で定員数が異なり、倍率が高い場合は落選することもあるようです。
選考期間に1カ月ほどかかることがあるようなので、まずは各自治体の申請期間を確認するとよいでしょう。
また、研修は自治体によってオンライン講習の受講が可能な場合があります。ある自治体ではオンラインクラスと集合クラス(会場で講義を受講)のどちらかを選択できるようです。
各自治体で研修の受講期間や日程が異なるから、都道府県のホームページなどで確認してみるとよさそうです。
子育て支援員研修の内容
MIAStudio/stock.adobe.com
続いて子育て支援員研修の内容を見ていきましょう。子育て支援員研修には、「基本研修」と「専門研修」があります。
基本研修
基本研修では、子育て支援員としての役割や目的を把握するために、基本的な子どもとの関わり方や支援の基礎的な知識や技術、原理などを習得します。
基本研修では、以下の8科目を合計8時間で学んでいきます。
1.子ども・子育て家庭の現状
2.子ども家庭福祉
3.子どもの発達
4.保育の原理
5.対人援助の価値と倫理
6.子ども虐待と社会的養護
7.子どもの障害
8.総合演習
(各科目 60分)
なお、すでに保育士や社会福祉士、看護師などの資格を取得している方は、基本研修の受講は免除されます。
専門研修
基本研修終了後、専門研修を受講します。
子育て支援員が働く施設は、保育園や小規模保育園、放課後児童クラブ(学童保育)などさまざまな施設があります。
各施設で子どもの対象年齢や事業規模などが異なることから、専門研修では4つのコースに分かれて各施設の特徴や知識、技術を学ぶことができます。
- 地域保育コース
- 地域子育て支援コース
- 放課後児童コース
- 社会的養護コース
コースそれぞれの施設概要や必要な受講数の一覧は以下の通りです。
一般的には、子育て支援員の資格取得後の勤務先を想定してコースを選択する方が多いようです。
ここからはコースの概要や受講時間について詳しく見ていきましょう。コース選択の際の参考にしてみてくださいね。
地域保育コース
地域保育コースで学べる事業概要や受講時間を紹介します。
<事業概要>
- 小規模保育事業
定員6名~19名の少人数の子どもを対象に家庭的な保育を実施
- 家庭的保育事業
保育者の自宅やその他の場所で定員5名以下を対象に家庭的な保育を実施
- 事業所内保育事業
会社の事業所や保育施設で従業員の子どもや地域の子どもの保育事業を行なう
- 一時預かり事業
一時的に家庭における保育が困難な子どもを対象に保育施設などで保育を行なう
- ファミリーサポートセンター事業
育児の援助を行いたい方と受けたい方の会員組織の中で育児のサポートを行なう
<受講時間>
上記の事業は共通科目として12科目15時間〜15.5時間の受講が必要です。以下のように事業内容によって共通科目の他に選択科目や受講時間は変わります。
- 小規模・家庭・事業内保育事業:6科目6時間~6.5時間と2日以上の見学実習
- 一時預かり事業:6科目6時間~6.5時間と2日以上の見学実習
- ファミリーサポートセンター:4科目6.5時間
地域子育て支援コース
子育て支援コースで学べる事業概要や受講時間を紹介します。
<事業概要>
- 利用者支援事業・基本型(専任職員)
地域の子育て広場などで相談員や関係機関との連携し、子育て支援を行なう
- 利用者支援事業・特定型(専任職員)
行政期間の窓口などで地域の保育施設の情報提供や相談などを行なう
- 地域子育て支援拠点事業(専任職員)
地域の公共施設などで子育て相談や保育に関する情報提供、さまざまな子育て支援を行なう
<受講時間>
- 利用者支援事業・基本型:9科目24時間
- 利用者支援事業・特定型:5科目5.5時間
- 地域子育て支援拠点事業:6科目6時間
※地域の実情にあわせて受講科目が追加する可能性あり
放課後児童コース
放課後児童コースで学べる事業概要や受講時間を紹介します。
<事業概要>
- 放課後児童クラブ(補助員)
小学生を対象に平日の放課後や土曜日、長期休みなどに学校内や児童館などで子どもの生活や遊びをサポートする
<受講時間>
放課後児童クラブ:6科目9時間
社会的養護コース
<事業概要>
- 乳児院・児童養護施設など(補助的職員)
さまざまな事情で保護者と離れて生活する児童に対する養護や心身的なケア、保護者への包括的支援を行なう
<受講時間>
乳児院・児童養護施設など:9科目11時間
毎年、カリキュラムの内容の詳細は各自治体で発表されているため、最新の情報をチェックしてみましょう。
また、研修期間については基本研修と専門研修あわせて6日間の中で、各自が必要な研修を受けられるように日程が組まれている場合もあるようです。(実技必要なコースは+1日間、保育園見学が必要なコース+2日間)
実施期間を早めにチェックしておくとスケジュールが立てやすいでしょう。
子育て支援員研修Q&A
子育て支援員の研修についてのQ&Aを紹介します。
誰でも研修は受けられる?
地域の子育て支援に関心を持っている方であれば、研修の参加についての年齢の制限は特にありません。
保育士や社会福祉資格取得者は研修の免除がある?
保育士や幼稚園教諭、社会福祉士、看護士、保健師の有資格者は基本研修が免除になります。
研修を欠席したらどうなる?
次回以降に講義を受講し、必要な研修を修了する必要があります。詳しくは各自治体に尋ねるとよいでしょう。
研修後の勤務先の決め方は?
自身で勤務先を探し、応募する必要があります。
ハローワークやインターネットの求人応募、転職エージェントなどのさまざまな媒体を利用し、転職・就職活動を行なうでしょう。
わからないことがある場合は、お住まいの自治体の窓口に問い合わせするとよいでしょう。
子育て支援員研修を利用して子どもと関わる仕事に就こう
「子どもが好き」「子どもと関わる仕事に就いてみたい」という方は、子育て支援員研修への参加を検討してみましょう。
保育士不足が深刻化する中、子育て支援員を求める保育施設はたくさんあります!
転職・就職を考えられている方はぜひ、一度保育士バンク!に相談ください。子育て支援員が活躍する保育園や小規模園、放課後児童クラブなどさまざまな職場をご紹介いたしますので、お問い合わせお待ちしています。