「保育士になりたい!」と思い立った時、保育士の専門学校や短大などに通うことが多いでしょう。
しかし、それが今社会人として働いている会社員だったり、主婦をしている人だったりした場合、学校に新たに通い直すのは難しいことがありますね。
そういった人の場合、どうやって保育士の資格を取れるのでしょうか?
今回のコラムでは、保育士のなり方と適性のある人をご紹介いたします!
■保育士のなり方:保育士資格の取得方法
保育士資格の取得方法には、大きく分けて二つあります。
(1) 厚生労働省が指定した保育士養成課程のある学校に通い、卒業する
保育士養成課程のある学四年制大学や短大、専門学校などのどれかに通い、所定の単位を取って卒業すれば、自動的に保育士資格を取得することができます。
ちなみに通信教育で養成課程を修了することも可能です。
(2) 保育士試験を受験し、合格する
今会社員をしている人や、主婦をしている人は、こちらの方法が保育士のなり方として最適でしょう。
年齢制限もありませんから、思い立った時に受験することが可能です。
保育士試験は平成27年度までは年に1回、28年度は年に2回開催されており、
筆記試験・実技試験ともに合格すれば、保育士となることができます。
とはいえ、保育士試験は合格率が20%弱と低いので、保育士養成課程のある短大や大学、専門学校に通っての保育士資格取得ルートをとる人が大多数です。
保育士試験を受験するときは、筆記試験に向けてしっかり勉強しておかなければ、合格は難しいでしょう。
いずれかの方法により、保育士資格を取得できたら、各都道府県に保育士登録申請書を提出し、晴れて保育士として就職活動を開始することができるようになります。
■保育士のなり方:保育士試験の内容
保育士試験の具体的内容についてもご説明致します。
まず筆記試験ですが、全8科目すべてで合格ラインを超えている必要があります。
・保育原理
・教育原理および社会的養護
・児童家庭福祉
・社会福祉
・保育の心理学
・子どもの保健
・子どもの食と栄養
・保育実習理論
合格ラインは6割。
“全科目合格”という難しさから、例年保育士試験の合格率は20%弱と、とても低いのですが、一度合格した科目は翌年の筆記試験を免除されるので、数回に分ければ合格もそこまで難しいものではありません。
ちなみに科目合格は3年間有効です。
実技試験は、『音楽表現に関する技術』『造形表現に関する技術』『言語表現に関する技術』の3科目あり、2科目を選択して受験することとなります。
こちらも6割得点で合格となりますが、受験者全体で90%近い合格率となりますので、しっかり対策をしていけば問題無いでしょう。
■保育士試験の受験資格に年齢制限は存在しない…だけど?
保育士資格を取得した後、正社員として就職を希望すると、嫌でも見えない年齢制限に気がつくことになります。
実際に、正社員としての保育士の求人は、基本的に「20代中盤までの人材」を募集しています。
たとえば30歳以上保育士未経験という肩書ですと、履歴書の段階で切られてしまうことも多いです。
地方自治体の運営する保育園の場合、自治体の採用試験要項に最初から「30歳まで」とハッキリ書いてある場合もあります。
(むしろハッキリ書かれてあるほうが親切かもしれません…。)
しかし、近年騒がれている保育士不足の問題によって、年齢制限など関係なしに就職を進めている保育園も多くなってきています。
お給料が安い問題から、保育士さんになる若い年齢層の女性がいなくなり、待機児童問題は大きくなるばかりです。
そんな中で、いくつであっても保育士を目指したいと思うあなたの存在が、社会の役に立つ、やりがいのある職業でもあります。
■パートタイマーとしての保育士の需要はある?
正社員ではなく、パートタイマーやアルバイトでの採用となると転職の需要は格段に上がります。
そもそも保育士資格の使いどころは、いまや保育園だけに限られません。
学童保育や乳児院、児童養護施設など、さまざまな施設で保育士資格所持者を求められています。その他、店舗内の託児所や幼児向け教室の先生のアルバイトなど、
「保育士資格所持者優遇」と募集要項に記載してくれていることも多いです。
パートタイマーやアルバイトといえど、保育の専門家は引く手数多。
フルタイムだけに絞らず少し視野を広げてみれば、保育士として活躍できる場はたくさんありますよ!
■短期間でお得な保育士のなり方
先程も書きましたが、会社員や主婦の方の場合、保育士試験を受験する方法が保育士のなり方として最適です。
養成課程のある学校の場合、100万円近い学費がかかってしまう上に、期間も短くても2年、長ければ4年もかかってしまいます。
独学での保育士試験受験は、確かに難しいです。
ですが保育士講座や、添削もしてくれる通信講座などを活用し、隙間時間で少しずつでも勉強を続けていけば養成校卒業よりも早く、保育士になることも可能です。
その場合、申し込む時の講座選びが最も肝心!
しっかり調べて、後悔のないようにしましょう!
■保育士資格を取得したらいよいよ就職活動が開始!保育士に向いている人って?
それでは、晴れて保育士資格を取得したとして、就職活動はどのように行えばいいのでしょうか?
今回は保育士としての適性にある人について、お話していきます。
就職や転職面接の際、面接官は質疑応答を通して、受験者が保育士として適性のある人物なのかを見抜いてきます。
どの保育園も”長く働ける人材”を求めています。
保育士としての適性が無い場合、早々にその保育園を去ってしまいかねないため、面接官も見極めに慎重になるのです。
■保育士としての適性がある人その(1)体力に自信のある人
一日中子どもを追いかけたり、抱っこをしたり…。
保育士は体力がないと続けられません。
子どもの世話以外にも、重い物の移動などの重労働もけっこう発生します。
力仕事は男性に任せたい気もするでしょうが、男性保育士がいる保育園は稀。
となると、女性保育士の場合は重いものでも自分で運ぶしかありません。
体力に自信があり、その体力をきちんと維持できるよう健康管理もしっかりしている人は、保育士として素晴らしい適性があると言えるでしょう。
転職面接の際にも、強力なアピールポイントにできます。
■保育士としての適性がある人その(2)子どもをしっかり叱れる人
「子どもが大好き!」というのは、保育士の適性にはなりえません。それは当たり前だからです。大事なのは、子どもの成長を促せるよう、しっかり子どもを教育し、時には叱ることができること!
ついつい甘やかしたくなる人は、保育士に向いていません。
心を鬼にして、子どもが自立できるように適切に指導しましょう。
■保育士としての適性がある人その(3)文章を書くことが得意な人
意外に思われるかもしれませんが、保育士は事務作業がとても多い職業です。
保護者との連絡帳に始まり、指導計画や保育園だより、日案、週案、月案…。教室内の掲示物もそうですね。
手書き文化が色濃く残っている保育園ですと、事務作業にさらに時間がかかってしまうでしょう。
自分なりの文章を書くのが得意な場合、事務作業の時間効率がよくなり、より多くの業務をこなすことができるようになります。
保育士の適性として、面接でアピールすることができるでしょう。
最後になりますが、「保育士の適性なんて私にはない…」と悩んだりしていませんか?
「上記3つの適性が当てはまらないなら、保育士としてやっていけない」
なんて大袈裟なお話ではありません。
それに、今適性がない方でも、これからの業務の中で少しずつ適性を身につけていけばいいんです。
転職面接の際には、「体力がつくよう、今ではジムに通っています」という感じで、
これから改善していく意思があることを示しましょう。
適性について深く考えるのは良いことですが、あまり自分を追い詰めないよう気をつけてください。
■晴れて就職が決定!保育士の仕事って?
それでは最後に、保育士のなり方と適性を踏まえた上で、保育士になった後の仕事の内容をご紹介します、
■保育士の役割(1)基本的な生活習慣を教える
食事や着替え、手洗いうがいにトイレなど…。
成長するにつれ、絶対に必要になってくる生活習慣を教えるのは、保育士最大の役割と言えるでしょう。
もちろん家庭で保護者も教えてくれていますが、
保育園でも反復することで、子ども達はより早く覚えることができます。
■保育士の役割(2)社会性を学ばせる
子どもに基本的な生活習慣を教えた後は、保育園という集団生活の中で社会性も学ばせるという役割もあります。
保育園のお友達と一緒に遊び、行事では助け合い、時には喧嘩をしながらも、
きちんと仲直りをして、子ども達はコミュニケーションの取り方を身に着けていきます。
社会性を学ばせようという時に、保育士はあまりでしゃばってはいけません。
子ども達が小さな頭で考えたコミュニケーションに、そっと寄り添い、サポートしてあげることが肝心です。
■保育士の役割(3)子どもの健康管理をする
子どもが怪我をしないよう、危ない目にあわないよう、子どもの安全管理をするのも保育士の大事な役目です。
それに加え、子どもの健康管理も、重要な保育士の役割となっています。
子どもは体調の変化が激しいうえに、たとえ体調が悪かったとしても自分の健康状態をうまく伝えることができません。
「普段より大人しいな」
「声の調子が少しおかしいような…」
といった些細な変化を見逃さず、休ませたり保護者に迎えに来てもらったりすることが、保育士には求められます。
■保育士の役割(4)保護者の悩みをサポートする
保育士の役割は、なにも保育園内の子ども達に対するものだけではありません。
子育てに悩む保護者の話を聞き、アドバイスすることも大事な役割です。
保育士は保育のプロですが、保護者もプロだとは限りません。
特に初めての子育ての場合、保護者は右も左もわからないまま、がむしゃらに子育てをしているということがほとんど。
そんな保護者のためにも、送迎の場などで毎日コミュニケーションをとるようにしましょう。
ちょっとしたやりとりだとは思いますが、悩みに対して上手にアドバイスしてあげられたら、保護者の気持ちも軽くなるでしょう。
いかがでしたか?
保育士のなり方から、就職した後の社会的な役割について、見直すことができたでしょうか?
前述の通り現在日本は保育士不足に悩んでいます。あなたが少しでもなりたいと思ったら挑戦してみることが、今後の日本の教育を支えることに繋がるかもしれません。