子どもたちの成長をサポートしたい、障がいを持つ子どもたちの力になりたいという想いを持つ方にとって、障がい児保育はやりがいのある仕事です。しかし、どのような資格が必要なのか、どのようなスキルが求められるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、障がい児保育で活躍するための資格とスキルについて詳しく紹介いたします。
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■目次
障がい児保育とは
知的障がいや発達障がい、身体障がいなど、さまざまな障がいのある子どもに対して必要なサポートを交えながら保育を実施することを「障がい児保育」と呼びます。
未就学児であれば、多くの保育園や幼稚園・認定こども園で受け入れを行なっているようです。
また、児童発達支援センターや児童発達支援事業所など、児童福祉法に基づいて設置された福祉施設 では療育が行なわれています。
小学生以上は、主に放課後等デイサービスや、障がい児を受け入れている学童保育（放課後学童クラブ）などで支援が行なわれています。
受け入れ施設や自治体により基準はさまざまですが、一般的な保育園や幼稚園・認定こども園以外の障がい児支援施設では、市区町村が発行する「受給証」を取得した児童が対象です。
いずれの施設であっても、障がい児保育を行なう際は、子どもの障がいを考慮し困難をサポートすることが必要です。
子ども一人ひとりによって障がいの種類や度合い、また家庭や生活環境も大きく異なります。それぞれに応じた配慮や対応を行なうことから、障がい児に対する知識や理解が非常に重要となるでしょう。
障がい児保育に関する仕事に就くために必要な資格
障がい児保育を行なっている施設で働くにあたって、専門資格は必要ありません。
しかし、障がい児を保育する上で必要な知識は身につけておく必要があるでしょう。
ここでは、保有していると現場で役立つだけでなく就職やキャリアアップで有利になる資格を紹介します。
保育士
障がい児保育を行なう施設でもっとも求められているのが、保育士資格と言えるかもしれません。国家資格であり、一度取得すれば更新は不要で、取得に際する年齢制限もありません。
保育士は障がい児を受け入れている保育園だけでなく、児童発達支援施設や放課後等デイサービスなどの専門施設でも配置基準が定められています。
そのため、どの施設でも保育士資格取得者は非常に採用につながりやすく、現場でも即戦力となれる ことが期待されます。
介護福祉士
保育士と並び、国家資格として障がい児だけでなく幅広い福祉に関する業務を行なう際や就職にも有利になる資格と言えるでしょう。
障がい児保育に関して有利な点としては、放課後等デイサービスに勤務する際に必要となる「児童指導員」の任用資格取得要件に介護福祉士の取得と一定期間の実務経験が含まれていることが挙げられます。
発達障がい児などを専門にサポートする児童指導員任用資格の取得には、非常に近道と言えます。
また保育士資格を受験する際にも、申請時に介護福祉士資格登録証のコピーを提出することで「社会的養護」「児童家庭福祉」「社会福祉」の3科目の受験が免除されます。
保育士や介護福祉士の資格を活かせる求人を探す
児童発達支援士
「一般社団法人人間力認定協会」が発行している民間資格が、児童発達支援士です。
発達障がいなどを抱える子どもの支援を目的とした資格で、実践的な内容が身につきます。
テキストや動画による自宅学習を修了後にオンライン試験を受ければ即日結果が通知されることや、受験資格がないことから気軽に受験できることが魅力のひとつのようです。
民間資格と言っても、障がい児支援施設などでは非常に認知度が高い資格 のため、就職においても有利かもしれません。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格とは、都道府県や市町村の職員として社会福祉に携わる業務全般を行なう際に必要な資格です。
「主事」は職名なので、この資格はすでに公務員として勤務する人が「社会福祉主事」として任用される際に必要な資格ということになります。
主な職種としては、ソーシャルワーカーや介護福祉事業所での役職などに就く際に必要とされることが多いようですが、その一環として障がい児保育施設の施設長やケースワーカーなどの職務に配属される際に取得する必要があります。
障がい児保育の仕事に活かせる資格
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上記の資格に加えて以下の資格を持っていると、さらに有利になるでしょう。
理学療法士
身体に障がいを持つ人に対して、運動療法や物理療法などをもとにしたリハビリテーションの医学的技術を用いて日常生活の動作における改善と自立を目指し、障がいの悪化を予防するためのサポートを行なう、専門の国家資格です。
障がい児保育の現場では、主に事故や病気などで日常生活が困難になっている子どものリハビリテーションや成長にともなう支援計画の作成といった領域で資格を活かすことができるでしょう。
資格取得には、専門の養成校で3年以上学んだのちに国家試験の受験・合格が必要です。
作業療法士
理学療法士と同様に、日常の動作を行なう上でのリハビリテーションを行なう専門職に就くための国家資格です。
理学療法士が「立つ」「歩く」などの基本動作を専門としているのに対し、作業療法士は「食事」「洗顔」「料理」「書字」といった、生活上でその人が必要とする具体的な動作能力の獲得を目指す分野の専門職になります。
そのため、支援対象者との密なコミュニケーションが必要な仕事であり、障がいの度合いや個人の希望によってきめ細かい個別の対応を行なう能力が求められます。
障がい児保育の領域では、医療的ケア児など身体障がいがあるこどもへのサポートはもちろん、発達障がいで日常生活に困難を抱えている子どもへの支援を行なうこともあるため、医療機関だけでなく療育の現場でも資格を活かすことができる でしょう。
資格取得には、理学療法士と同じく養成校で3年以上学んだのちに国家試験に合格する必要があります。
言語聴覚士
言語聴覚士資格は、言葉によるコミュニケーションに問題がある方のサポートをする専門職に就くために必要な国家資格です。取得するためには、養成校で3年以上学んだのち国家試験の受験・合格が必要です。
主に医療機関や福祉施設などで、聴力や音声機能、言語機能に障がいを持つ人への訓練やサポートを行なうほか、摂食・嚥下障がいに対応することもあります。
障がい児保育の分野では、知的・発達の遅れによる言語障がいや、病気による構音障害などをはじめ、吃音がある子へのサポートなども行なうため、医療から療育の現場まで広く求められる でしょう。
手話通訳士
手話通訳を業務として行なうことができる資格です。省令の定める公的資格として認定されています。
取得には「社会福祉法人聴力障害者情報文化センター」が実施する試験の受験・合格が必要で、同法人に登録することで手話通訳士として勤務することができます。
子どもだけでなく幅広い世代で聴覚障がいを持つ方に手話で通訳を行ない、音声サービスの利用介助や健聴者とのコミュニケーションを仲介する役割を担う際に役立つ資格と言えるでしょう。
障がい児保育で求められるスキル
障がい児保育の現場で活躍するためには、以下のようなスキルが求められることがあるでしょう。
個々に合わせた支援を行なう力
健常児の保育では、年齢や発達段階に照らし合わせて保育計画を作成しますが、障がい児の場合はそれに加えて障がいの種類や度合い、家庭環境や方針などにより支援内容は大きく変わります。
障がい児それぞれの個性やサポートの目的に応じて個々の支援計画を立て、子どもの様子をしっかり見て判断しながら、その子に合った適切な支援を行なう能力 が必要となるでしょう。
コミュニケーション能力
発達障がい児の中には、言葉の意図を読み取ることが難しい子や、識字に困難が生じる子など、発話や文字などのツールだけではコミュニケーションがとりづらいケースが多くあります。
そのような子どもたちと信頼関係を築いてサポートしていくには、さまざまなアプローチでコミュニケーションを円滑に保つためのスキルと工夫が必要になるでしょう。
また、障がい児保育に携わるためには、保護者との連携や協力関係の構築も欠かせません。障がい児の家族との適切なコミュニケーションについても学ぶ必要があるかもしれません。
観察力
同じ障がいであってもその個性や症状は千差万別 です。また、同じ障がいや状況の子に、まったく同じ支援計画が適用できるとも限りません。
障がい児保育に携わる場合は、できるだけ子どもの特性や個性に寄り添い、どんな対応に効果があるのか、子どもの成長や反応などを子細に観察しながら、それを活かした保育を展開させていくことが大切です。
協調性
障がい児保育の現場では、職員同士のチームワークや連携が欠かせないでしょう。
繊細に進める必要がある業務の中で、問題やサポート手法などの情報共有や、療育の状況、変化などを職員間でしっかり分かち合いながら作業にあたることは非常に重要です。
そのために、ともに働く仲間や専門職のスタッフとも信頼関係を損なわずにチームワークを円滑に維持していく協調性は、大いに役立つ能力と言えるでしょう。
忍耐力
「忍耐」とは、つらい状況をただ我慢することではなく、困難な場合でも目標を見失わずにポジティブに努力できる力と言えるかもしれません。
障がい児の保育や療育は、専門家であっても決してすぐに成果がでるものではないでしょう。
支援の結果が思うようにならない場面でも、あきらめずに支援を継続したり、目標に向けて新たな可能性を考えながら方向転換を続けたりすれば、道が開けることも考えられます。
障がい児保育の求人を探す障がい児保育のやりがい
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一定以上の人数の子どもを相手にする大規模保育園や学校などと違って、障がい児保育では子ども一人ひとりにより深く、密接に関わることができます。
支援人数が少ない分、子どもたちの個性に合わせた支援計画をしっかり組み、子どもと向き合いながら成長をいっしょに喜んだり、子どもが抱える困難に向き合えたりすることが、最も大きなやりがいと言えるかもしれません。
また、障がい児の保育を経験することで、キャリアの幅がより広がることも働く上での大きなやりがいとなるでしょう。
障がい児の保育に携わる上で経験するさまざまな状況をスキルアップの機会ととらえることができれば、子どもたちの成長だけでなく自身の成長にもつながるかもしれません。
保育士資格を活かして障がい児保育でやりがいのある仕事を
障がい児保育の仕事には、厳密には資格は不要です。しかし、子どもに関わる仕事の現場では、無資格の場合は非正規雇用となってしまうことが多いのも現状です。
保育士や介護福祉士の資格を持っていれば、障がい児保育では確実にスキルを活かして働くことができ 、就職やキャリアアップにも有利と言えます。
発達や療育に関係する民間資格なども、就職や転職の強い味方になるでしょう。資格や経験を身につけて、障がい児保育の現場で働いてみるのはいかがでしょうか。
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