保育士不足が叫ばれている昨今、保育士として復職したいという人材は、社会にとって宝です。
でも…「20年以上前にとった保母資格…今は保育士って呼ばれているみたいだけど、これって通用するの!?」と不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、「保母資格」についての特集です。
子育ても落ち着き、そろそろ本格的に社会復帰したいという「保母資格」をお持ちの皆さん、必見の内容です!
◆保姆→保母→保育士 名称変遷の歴史
現在は保育士という名称が正式なものですが、以前は保母と呼ばれており、もっと時代をさかのぼると保姆(ほぼ)と呼ばれていたこともありました。
名称が変わるごとに少しずつ資格の内容も変わってきています。
まずは、名称変遷の歴史をおさえておきましょう。
〇保姆(ほぼ)からの変遷=1947年「学校教育法」が転機
保母は、もともとは保姆(ほぼ)という用語で、幼稚園で幼児を保育する女性に用いられていました。
しかし、1947年制定の学校教育法によって、幼稚園が小学校などと同様の「学校」という位置づけになります。
そのため、保姆は「教諭」という名称へと変わり、女性だけでなく男性も幼稚園で働く資格を得られるようになりました。
その後しばらく保母という名称は、児童福祉施設で保育に従事する女子だけに用いられるようになりました。
〇保母からの変遷=1977年「児童福祉法の改正」が転機
保育所等の児童福祉施設で働けるのは、保母資格を持つ女子のみという時代が長く続きますが、1977年に児童福祉法が改正されます。
ここでやっと男子も「保母に準ずるもの」と呼称されるようになりました。
男子も保母同様、児童福祉施設において児童の保育に従事することができるようになったのです。
その後、男女雇用機会均等法の流れを受け、1999年4月の児童福祉法の改正では、女性を連想させる保母という呼び名をやめ、現在の「保育士」という呼び名になりました。
◆保育士の定義の変化
保姆→保母→保育士という名称変遷の歴史をおさえてみると、見えてくるのは、時代の変化です。
時代の変化、すなわち社会が保育士に求めるものの変化に伴い、保育士の定義も少しずつ変化していきます。
〇2003年、保育士資格が国家資格に格上げ!
1999年以前の「保母」は、保育所等の児童福祉諸施設で児童の保育に従事する人のことを指すという点では現在の「保育士」と同様で、社会福祉事業従事者の中でも重要な役割を果たしているという点も同じです。
しかし、以前は保母の資格は国家資格ではありませんでした。
現在の「保育士」は、2003年の児童福祉法の改正により、国家資格に認定されるようになりました。
〇保母が保育士として働くには?
名称が変わり、国家資格へと格上げされた保育士ですが、保母時代と業務内容は特に大きな変更はありません。
そのため、簡単な手続きを踏めば、保母資格を有している方が保育士として働くことは可能です!
保育士として働くにはその業務に就く前に、都道府県知事に対して登録申請手続きを行い、保育士証の交付を受けることが必要になりました。
保母資格証明書には有効期限は設けられていないので、以前に取得した資格証明書で登録できます。
ただ、登録をせず、保母資格のままでいても資格がなくなるというわけではないので、保育士として業務に就く予定がなければ必ずしも登録申請を行う必要はありません。
〇現在の保育士に求められる資質
2003年の改正と同時に、資質の向上も義務づけされました。
保護者に対して保育に関する指導を行うことが保育士の業務に位置づけられました。
保育士は乳幼児に関する相談に応じ、助言を行うための知識および技能の取得、維持および向上に努めなければならないこととされています。
また、ただ子どもを預かるだけでなく、生活を通じて基本的生活習慣を身につけさせるための指導、配慮、援助を個々の発達に応じて対応していかなくてはなりません。
また、保育時間の延長、24時間保育や休日保育など、保育施設も多様化し、増加傾向にあります。
保育時間内に幼児教育を行ってほしいなど、多様化するニーズにも対応していかなくてはいけないため、高いスキルを持った人材、施設といったような環境整備をしていかなければならないのです。
◆眠っている保母資格は、ぜひご活用を!
保母資格は、保育所だけでなく、養護施設や母子支援施設などの施設や、児童館や学童、病院、ベビーシッターなどで勤務する場合も資格は必要とされることが多いので、幅広い職業に対応可能な国家資格でもあります。
年齢に関係なく続けることができ、女性としてハンデになりがちな結婚、出産の経験もプラス材料として扱われます。
眠っている保母資格があればぜひ活用してほしいと思います。