◆求人検索法と内定承諾前の留意点
就職活動は企業が学生を選ぶ場であると同時に、学生が就職先を選ぶ場でもあります。
学生は就職先の「奴隷」ではありませんから、自由に職場を選択することができます。
しかし、不合格に慣れていない若者にとって、不合格の連続である就職活動は苦しい時期。内定が出ると慌てて飛びついてしまうのも無理ないことかもしれません。
しかし、ブラック企業と呼ばれる酷い職場があるのも事実。できるだけ良い求人に応募したり、内定承諾前に幾つかの点を確認するだけで、ブラック企業は回避できます。
そこで今回は保育士の求人を探す方法と、内定承諾前に確認して欲しいことをご紹介します。
◆保育士の求人はポイントを押さえて選ぼう
保育士の資格を取得したら、次は、就職先を決めなくてはいけませんね。
求人の探し方や、選び方は待遇面だけではなく、園の方針に共感できるかどうか、はたまた、公立か私立かなどポイントが多数あります。
ポイントを理解することで就職や転職の失敗を防ぐこともできますので、以下のようなポイントを参考にしてみましょう。
◯どんな保育園に就職したいかを明確にする
保育園の選び方として、まずは、自分がどんな保育園で働きたいのかを明確にすることが大切です。
例えば、行事を大々的に、多く実施している保育園であれば、残業や持ち帰りの仕事が多くなるでしょうし、都心部の保育園であれば、延長保育の時間が他園より長くなるということが考えられるので、帰宅時間が遅くなるでしょう。
自分が希望する保育園に就職するためには、保育園の方針や特徴、雰囲気といった情報をできるだけ多く得ることが重要です。自分のニーズに合う求人を見つけるために、しっかり情報収集しましょう。
◯私立か公立かで選ぶ
「どういう選び方をすればいいかわからない」という場合は、公立か私立かで選択する選び方でもいいかもしれません。
公立の場合は地方公務員となりますので、私立よりかは安定した収入が得られます。また、行事が比較的少なく、ゆったりとした時間が流れる園が多いようです。
私立の場合は、園ごとに保育方針が異なりますので、自分にあった園の求人に出会えれば、働きやすいでしょう。ただ、行事が多いので、年中準備に追われてあっという間に1年が終わると感じることもあるようです。
◯就職先の選び方の良い例
就職先の選び方の良い例をご紹介しましょう。
・保育園のホームページを見る
・複数の保育園のパンフレットを取り寄せて比較してみる
・候補に挙げた保育園へ見学に行ってみる
・保育園の説明会に参加して、見て回ってみる
・実際の実習をさせてもらうように申し出る
保育園がどのような方針の保育をしているか、また、実際に働いている保育士同士の雰囲気などを知ることが大切です。
事前に、把握しておくことで、実際に就職した際に「思っていたのと違った。」ということが少なくなります。
◯就職先の選び方の悪い例
就職先の選び方の悪い例もご紹介します。
・自宅からの距離が近いという利便性のみ
・お給料が他の施設と比べて高額
・知人や友人の紹介で、保育園の情報を知らないまま決める
以上のような理由で、安易に就職先を決めてしまうのは、おすすめしません。
また、気を付けておきたいのが、常に求人を出している保育園です。増園や規模拡大ではなく、常に求人募集があるということは、離職率が高い可能性があります。
人間関係がうまくいっていない園では、当然、離職率が高いでしょう。また、人間関係だけではなく、残業が多いのに残業代が出なかったり、仕事量が多いのに待遇が悪かったりといった問題がある可能性があります。
◆教えて。内定承諾前に確認すべきこと
保育施設から内定の連絡を受けたら、承諾する前に確認しておきたいことは意外とたくさんあります。
電話での内定連絡の場合はうっかり聞きそびれて、後々になって話が違う、なんていうことも。
内定をもらってから雇用契約をするまでの流れは施設によっても違うので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
◯入社日
在職中の人は、指定された日に入社が可能かどうか確認しましょう。職場との調整が必要な場合は「○月○日までに確認します」と期限を伝えましょう。
◯給与や給与以外の支給(交通費、時間外手当など)
募集時や面接時と相違ないかを確認しましょう。給与交渉をする場合はこの時点で行います。
通常、転職では現状維持というのが相場です。欲を出して心象を悪くしないよう空気を読むのが大切です。給与の昇降給の仕組みなども事前に聞いておくといいですね。
また、交通費の支給範囲(全額・一部)や、残業手当など、募集時の条件と相違ないかを確認しましょう。
◯勤務形態、休日・休暇、産休や育休など
シフト勤務、完全週休2日制など勤務形態を確認しましょう。また、産休や育児・介護休暇の取得については法律の定めがありますが、気になる場合は取得率などを聞いておくのもいいですね。また、出産後の時短勤務の有無も併せて聞いておきたいところです。その他、慶弔休暇や会社独自の休暇制度なども知りたい場合も事前に確認しましょう。
◯試用期間・契約期間(契約社員の場合)、契約更新について
試用期間中は雇用形態がアルバイトという場合もあります。期間や待遇をきちんと確認しましょう。また、有期契約の場合、更新の上限が「最長○年」となっている場合もありますので、契約期間と契約更新の上限の有無を聞いておきましょう。
◯勤務時間
所定勤務時間、そのうちの休憩時間、時間外勤務の有無とおおよその時間数などを確認しましょう。
◯福利厚生
社会保険(労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険)は完備かどうか、また、退職金の有無なども聞いておきましょう。
◯内定承諾後の「雇用契約書」
雇用契約書とは、雇用者が労働者へ給与や休日・休暇、退職や解雇など労働条件を明文化したもののことをいいます。一般的には入社日までに双方の記名・捺印を行います。企業の「雇用契約書」の作成は義務ではいため、小規模な施設の場合は契約書どころか書面を作成しない場合も。入社日を過ぎても書面での明示がない場合は「雇用契約書はいつもらえますか?」と聞いてみましょう。
内定後は、たいていの場合はコンサルタントのサポートが終了しますので、一般的な流れを把握しておくのが大切です。また、可能であれば内定前にコンサルタントに確認すべき事項はすべて聞いておくといいでしょう。
◆就職先は慎重に選ぼう。
安易な選び方をしてしまって、就職した後に、「こんなはずではなかった」と後悔してしまわないように、せっかく時間やお金をかけて取得した保育士資格です。しっかりと吟味して、自分にあった求人を見つけてくださいね。