在籍園を辞めると決心をしたとき、どのように退職意向を伝えればよいのか悩む方もいるでしょう。特に、初めて退職を申し出る方は「何を言われるかわからない…言い出しづらい」「転職先が決まったけれど辞めると言えない」などと不安を抱きそうですね。今回は、退職意向を伝えるときのタイミングやポイント、ケース別の例文を詳しく解説します。
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■目次
初めての転職、退職はどう伝えたらいい?
在籍園を退職するとき、どのような対応が必要なのか悩む保育士さんもいるでしょう。
保育士さん
転職先が決まったけれど、人間関係が上手くいっていない中で辞めることを伝えづらい
保育士さん
退職の意向を伝えたいけれど誰に話せばよいかわからないまま、日にちが経ってしまっている
特に退職が初めてである場合、退職意向を伝えるタイミングや申し出るときの言葉選びに、迷ってしまうかもしれません。
円満に退職して転職先で新しいスタートを切るためにも、退職に関するポイントをおさえておきましょう。
まずは「退職願」「退職届」「辞表」の違いをおさらい
退職するときに「退職願と退職届のどちらも用意すべきなの?」と迷う保育士さんもいるでしょう。中には封筒に「辞表」と書いて提出すればよいのかと考えることもありそうです。
そもそも「退職願」「退職届」「辞表」にはどのような違いがあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
退職願:退職を願い出るときに提出する書類
退職届:保育園での退職の決定後に提出する書類
辞表:公務員や会社役員が退職を願い出るときに提出する書類
上記でわかるように、保育士さんが退職を希望するときは「退職願」のみを提出することが一般的です。
退職届は辞めることが決まってから提出する書類なので、間違わないようにしましょう。ただ、公立園で勤めている方は「辞表」の提出が求められるようなので、その点を覚えておくとよいですね。
また、保育施設では退職を口頭で申し出ることが多く、直接園長先生に相談してから退職が決定するケースがあります。
スムーズに進めば問題はありませんが、口頭で意向を伝えた結果「書面に記録が残らないため、トラブルになった」ということもあるようです。
トラブルになりそうな場合は「退職願」を用意し、提出に備えるとよいですね。
退職意向を伝えるタイミング
一般的に法律上は「退職する2週間前に伝えればよい」とされています。
ただ、引き継ぎや後任の選定などを考えると、辞める1カ月~2カ月前には伝えておきたいですね。
また、退職意向を伝えるタイミングは、園の就業規則に定められている場合があるので、期日を確認することもポイントですね。
また、中には担任を持っているため、年度途中に辞めることを言いづらい方もいるでしょう。
しかし、「早く辞めたい」という気持ちを持ちながら、仕事をこなすのは精神的に辛くなってしまいますよね。
退職を言い出せずに悩むこともあるかもしれませんが、勇気を出して早めに退職意向を伝え、自分の身体や気持ちを大切にできるとよいですね。
退職意向は誰に伝える?
退職意向はまず直属の上司である「主任の保育士さん」に伝えましょう。
その後、主任の保育士さんから「私から園長に話しておくね。」と言われる場合もあるかもしれません。
しかし、主任の保育士さんが忙しい場合、なかなか園長先生にその話が伝わらないこともあるでしょう。
不要なトラブルを避けるためにも自分で直接退職理由を伝えることが大切です。
主任の保育士さんには「〇日までに自分から改めて伝えたいと考えています」と、期限の目安を伝えておくとよいでしょう。
また、退職意向を伝える際は「お忙しい中申し訳ありませんが大切なお話があるので、お時間いただけますか?」と話してみましょう。
話す際は情報が漏れないよう、他の同僚がいない場所を選ぶとよさそうです。
退職意向を伝えるときのポイント
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続いて退職意向を伝えるときのポイントを見ていきましょう。
ポジティブに話す
「給与が安いから退職したい」など退職理由をストレートに伝えると園長先生や主任との関係性が悪くなり、退職日まで働きづらい状況になってしまうかもしれません。
「違う環境の中でキャリアを積んでいきたい」などと、主に自身のスキルアップを意識して話すとよさそうです。
ただ、ネガティブな気持ちを抱いて退職を選んだ方の中には、前向きな理由で退職意向を伝えると「嘘をついている気分になってしまう」という方もいるかもしれません。
しかし、例えば「給与が安いから辞めたい」という方は、あくまでもその理由が転職のきっかけになっただけかもしれません。
他の園の見学をしたり、面接を受けたりするうちに「環境が素敵だから、ここの保育士として働いてみたい」「職員の雰囲気がよくて働きやすそう」などと感じ、転職を決めたことが考えられます。
そのため、転職先で働くことを決めた理由を整理して、退職する際もできるだけポジティブな表現で自分の気持ちを伝えることを意識しましょう。
誠実に対応する
退職を伝えた際、園長先生や主任から「なぜ意向調査のときに伝えてくれなかったのか」「もっと早く相談してくれなかったのか」と言われることもあるかもしれません。
その際は「ずっと進退について迷っていた」「自分の気持ちが整理できていないまま、相談すべきではないと思っていた」などと話し、申し出が遅れてしまったことを謝罪しましょう。
「悩み抜いた結果、自分のスキルアップを考えて転職を選んだ」などという意思を伝え、丁寧に対応することが大切ですね。
【ケース別】退職意向の伝え方の例文
最後に退職意向の伝え方をケース別に紹介します。ネガティブな内容をポジティブに言い換えるのはなかなか難しいものです。ぜひ参考にしてください。
人間関係が退職理由の場合の例文
〇〇園では、子どもたちへの接し方や保育の進め方などさまざまなことを学ばせていただきました。職員の方々はそれぞれが個性的で自身の保育観を大切にしながら、子どもと向き合っており、勉強させていただくことも多かったです。
しかし、今後は新しい環境の中で職員同士のチームワークを大切にしながら、保育士としてスキルアップできるよう頑張りたいと思います。
人間関係が辛くてやめたいという場合、ストレートに伝えてしまうと改善策を提示され引き止めにあう可能性があります。
しかし、引き止められて残ったとしても、実際は何も改善されなかったというケースもあるようです。
そのため、人間関係を理由に退職したい場合は「新しい環境でチームワークを大切にしていきたい」という前向きな理由を伝えてみましょう。
労働環境が退職理由の場合
皆で助け合いながら精一杯仕事をするという姿勢は素敵なのですが、仕事とプライベートの切り替えを行ないながら業務ができれば、より保育活動に集中できると考えました。
最近は疲れが溜まっており、自分が思うような保育を行なうのは難しい状況です。自身の身体を大切にして、保育に集中できる環境の中で頑張っていきたいと考えています。
「残業が長い」「業務量が多い」「休みにくい」など労働環境が退職の引き金になった場合は、自身の身体に負担になっていることが考えられます。
長期的な働きを考えて、自身の身体を大切にしながら働くのは難しかった旨を伝えるとよいかもしれません。
そのうえで「保育に集中したい」「自身の身体をケアしながら保育士を続けたい」などという前向きな想いを伝えることを意識するとよさそうです。
体調不良が退職理由の場合
以前から体調が優れないまま仕事をしていたのですが、なかなか体調が回復しないまま、業務に取り組んでいました。
先日病院を受診したところ「今の体調で仕事を続けるのは難しい」という診断を受けました。これからは自分の体調に気をつけながら、病状の回復に専念したいと考えています。
病院を受診している方でドクターストップを受けた方は、その状況をきちんと伝えましょう。
また、体調が戻らない方は回復に専念したい旨を伝え、退職日までの働き方も相談することが大切です。
初めて退職意向を申し出るときはタイミングや伝え方を考えよう
お世話になった園に退職意向を伝えるときは勇気が入りますよね。
ただ、引き継ぎや後任の選定などを考えると早めに伝えることが大切です。
自身の気持ちを整理したうえで、円満退職に向けてしっかり退職の意向を伝えていきましょう。