子どもたちは遊びを通して体の使い方や協調性など多くのことを学んでいきます。学校教育では座学の勉強が重視されますが、保育の現場ではそれと同様に体を使った遊び=学びとして重視されています。そこで、今回のコラムでは、保育士さんに役立つ保育園の遊びを4つほどご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
子どもたちの発達を促す楽しい遊びを紹介します!
子どもたちを発達を促す遊びとはどのような遊びなのでしょうか?あらかじめアイデアを知っておくと保育園で取り入れることができるでしょう。
遊びアイデアを詳しく紹介します。
保育園の遊び(1)前後左右へジャンプ!
前後左右が分からない子どもや指示通りに体を動かすことが苦手な子どもたちの練習になるような遊びを紹介します。
大人も楽しめますので、子どもと一緒に体を動かしてみましょう。
○準備物
まずは、前後左右シートを作りましょう。
布またはボール紙などの丈夫な紙の中央に子どもが立てるマスを作ります。
そのマスの前後左右に、色のついた丸い印を貼るなど、色分けしたエリアを4つ作りましょう。
簡単にダンボールを開いて作ってもいいですね。
その際は、ダンボールがすべって転ばないように床に固定した方が安全ですね。
○遊び方
シートの準備ができたら、子どもを中央のマスに立たせ「みーぎ」と言ったら右に移動、「う・し・ろ」と言ったら後方に移動してもらいます。
何回か繰り返して慣れてきたら、少しずつスピードアップしてみましょう。
さらに、リズミカルに「まーえ、みーぎ、うしろ、ひだりー」といくつか指示してみましょう。
子どもたちにも、その指示に合わせてただ移動するのではなく、各エリアにジャンプで移動するように指示してください。
一つのエリアに移動したら、必ず中央のマスに戻り、次のエリアに移動するようにします。
上に乗ると音が出るように、ブーブークッションの中にある踏み笛を活用すると、さらに楽しく遊べますね。
左右があいまいな子どもには、右手や右足に赤のリストバンドを着けてあげましょう。
「あーかのみーぎ」と語呂合わせで覚えられるように工夫してみましょう。
何度もトライすることにより、左右の違いも覚えていくことでしょう。
○応用編
ステップアップした遊びに発展させたい場合は、指示を早くしたり、「まーえ」と言われたら、自分も「まーえ」と言いながら移動するように、ことばを付け足して移動させるというのも楽しいですね。
動物のマネをしながらなど、保育士のアイデアで独自のルールを付け加えてみるのもいいでしょう。
さらに、言った方向と逆の方向へジャンプするなど、動きを複雑にしてみるのもいいかもしれません。
もっとむずかしくしたい場合は、「ひだりあし、まーえ」などというように、エリアに置く体の部位を指定することで、さらに難易度の高い遊びに発展させることができます。
楽しみながら、いろいろなルールを考えてみましょう。
保育園の遊び(2)忍者になろう!
子どもたちは日々生活していく中で、自然と体の動かし方や力のコントロールを学びます。
ですが、中には力をコントロールするのが苦手な子もいますよね。
そのような子どもに「ゆっくり、そっと、しずかに」動くことを意識させられるのが「忍者になろう!」というゲームです。
○準備物
修行の動きを描いた絵、修行シールシート、ごほうびの巻物と手裏剣
○遊び方
「忍者」と聞くと、子どもたちは「ささっとすばやく動く。
でも、ときには敵に見つからないようゆっくり、そっと、しずかに動かなければならない」というイメージが浮かぶようです。
その動きを意識させるのが「修行」です。
そして、修行をして本物の忍者になれたら、ごほうびの巻物と手裏剣がもらえるようにします。
子どもたちはごほうびがもらえるように張りきりますよね。
以下に具体的な「修行」の方法を掲載しておきます。
【マットを使った課題】
「横転」「でんぐりがえり」「たかばい(横)」「たかばい(前後)」などをすることにより、自分の体の大きさを知り、自由に動かせるようになります。
【平均台を使った課題】
「前歩き」「後ろ歩き」「つみき越え」「お手玉のせ歩き」などをすることにより、バランス感覚が養われます。
恐怖心がある場合は、保育士がそばにいてサポートしてあげましょう。
【くぐりシリーズ】
トンネルや台の上に乗せた棒の下をくぐったり、縄を触らないようにくぐったり、網の下をくぐったりとさまざまな方法があります。
くぐることにより、自分の体の大きさと空間の大きさの関係を感じ、nに体を縮めたり、低くしたりとコントロールできるようになります。
【歩き方シリーズ】
歩き方にもいろいろな方法があります。
左右の足を交差させながら横に歩いたり、立てひざをしてしゃがみ、また立ちあがって今度は反対のひざを立ててしゃがむという動きを繰り返しながら進んだりします。
また、ロープを使った歩き方をさせるのも楽しいですね。
ロープをまたいだり、上を歩いたり、2本の間を歩いたり。
「本当は屋根の上なんだよ。
落ちないように歩こうね」などと、慎重に歩くことを意識させましょう。
○指導法
「修行」である課題は週一回の指導の場合、毎回20分程度で7~8回行います。
頻繁に行える場合は、同じ課題を2、3回繰り返してから、次の課題へ移るというようにしましょう。
毎回の指導の終了時に、できた課題の分のシールを修行シートに貼ります。
全部シールが貼られたら、巻物と手裏剣がもらえるということを意識づけましょう。
子どもに負けず、保育士も忍者になりきって、一緒に楽しんでください!
保育園の遊び(3)お風呂ごっこ
身近にあるもので、簡単に遊べる遊びを紹介します。
毎日の習慣であるお風呂をイメージしたお風呂ごっこです。
お風呂ごっこを通して、子どもたちは体の部位の名前を覚え、その位置を正しく知ることができます。
また各部位の左右も分かるようにもなります。
触感覚が敏感な子どもにとっては、触れる感覚に慣れる良い経験にもなるでしょう。
○準備物
お風呂に入っているイメージが持てるように、子どもが入れるくらいの大きめのダンボールまたはビニールプール、ボディスポンジ、手桶などのお風呂グッズなど。
○遊び方
お風呂ごっこには、保育士や大人にしてもらう、自分でする、おともだちにしてもらうなど、さまざまなやり方があります。
まずは、自分でやらせてみましょう。
子どもにボディスポンジを持たせてください。
リズム良く、メロディをつけ「みぎてをゴシゴシ洗いましょう~もいちどゴシゴシ洗いましょう~ひだりてゴシゴシ洗いましょう~もいちどゴシゴシ洗いましょう」と歌い、歌に合わせてその部分をゴシゴシこすってください。
1番は手、2番は足といったように、おなかや背中、お尻、右ひざ、左ひざなど子どものレベルに合わせて、いくつか続けて部位を洗いましょう。
3番くらいまで繰り返し歌ったら、最後にダンボールのお風呂に入ります。
お風呂に入ったら、「ザバー、ザバー!」と言いながら手桶のお湯をかけてあげて終了です。
本当のお湯の代わりに、水色のスズランテープをお湯に見立ててもいいですね。
スズランテープを細かく割いて、桶の底に貼り付け、ひっくり返すと滝のように流れ出てくるしかけを作ります。
子どもたちはお湯をかけるたびに大喜びしますよ。
また、お湯をかけてもらうのを楽しみにしながら、一生懸命、体をゴシゴシ洗ってくれるでしょう。
遊ぶときに左右が分かりやすいように、保育士は横に並んで行うといいですね。
○応用編
歌の1番の4つのフレーズを「頭、右うで、左足、背中」などと全部違う部位にしたり、歌のスピードをあげると難易度がアップします。
子どもたちに部位を決めさせても、楽しいですね。
もちろん、おうちの本当のお風呂の中でおとうさんやおかあさんと一緒にやってみましょうと促してみてもいいですね。
お風呂に絵を描いたり、お風呂を作る過程を楽しんだりするのもいいですね。
お風呂嫌いの子もお風呂が好きになってくれれば、保護者にも喜ばれますよね。
保育遊び(4)触覚を意識させる「ノータッチゲーム」
物や人にぶつかっても気付かなかったり、体の動かし方がぎこちない子どもなど、まだまだ触覚の発達が未熟な子どもたちに、「自分の体の細部を意識させる」ゲームをご紹介します。
○準備物
大小さまざまな大きさ、色の輪を数種類。
市販の大中小のフラフープや、新聞紙をねじって輪を作りビニールテープを巻き付けたものなど、大小さまざまな輪を用意しましょう。
○遊び方
用意した輪を大人が持ち、その輪に体のいろいろな部分をノータッチで通すことができたらオッケーというゲームです。
触れたかどうかを判定するのは大人にしてください。
触れたのに触れてないと主張する子どももいるでしょう。
触覚が未熟なためにかすかな接触が感じられないのかもしれません。
また、勝負と思い、負けたくないがために触ったことが分かっていても認めたくない子もいると思います。
子どもの発達段階に合わせ、あまり厳密にせず、「触らないように気をつけること」を目標にしたり、厳密に触らないことを意識させたりするなど工夫しましょう。
通過しやすい輪にするか、ぎりぎりの輪にするかも発達段階に合わせて決めてあげましょう。
○応用編
サイコロを二つ用意し、一つには全身、腕、足、頭、右手、右足など体の部位を書き、もう一つのサイコロには大きい赤、小さい青など大小と色を書いておきます。
サイコロは大きなものを用意すると盛り上がりますよ。
二つのサイコロを転がし、出た部位を出た輪に通すようにします。
サイコロではなく、カードにして他の人にひいてもらうという方法もあります。
○注意点
触れてしまったことを、はっきり意識させることが目的の場合は、輪の内側に小麦粉をつけて白くさせたり、新聞紙の真ん中をくり抜いたぺらぺらな輪でやると破れてしまうので、触ってしまったことがはっきり分かります。
ただ、その際はゲームがつまらないものにならないように、大人があえて触ってしまってみせたり、明らかにみんなが触ってしまう難易度の高い輪を用意する(逆にみんなが簡単に成功できる輪でもいいです)など、楽しい雰囲気で終われるように心がけましょう。
子どもの遊び=学び!保育士の腕の見せ所!
子どもは快楽のために遊ぶのではなく、遊びを通して身体的能力を身につけたり、想像力を鍛えたり、社会性を身につけたりします。
子どもにとって遊びは学びであり、健全な成長・発達には欠かせないものなのです。
園内の遊びをいかに意義あるものにするのかは保育士の腕にかかっています。
子どもたちも自分も楽しめて、子どもたちの成長を促すような遊びを提案し、実践していきましょう。