やりがいと備え
保育士は、「保母さん」と言われていた時代もありましたが、近年は男性の保育士も増えてきて珍しくなくなってきました。
男性にとっても保育士は進路の一つの選択肢となってきたのです。男性目線で見ても保育士は魅力ある仕事です。
また、男性保育士を雇う保育園にとってもメリットがあります。
そこで今回は男性保育士にとっての仕事のやりがいとその将来について考えてみたいと思います。
男性保育士がいるメリット
全体的には保育士全体の約4~5%が男性保育士となり、ここ数年で男性の保育士志願者が増えてきています。
保育園や児童福祉施設での仕事は力仕事や体力的な仕事が多いため、男性保育士のニーズが高まってきたことも考えられます。
それでは男性保育士がいるメリットとはなんでしょうか。
◯防犯対策に効果
近年、保育施設にとって大きな問題なのが、防犯策です。保育施設や小学校など子どもたちが集まる場所、女性だけの職場は不審者から狙われやすい対象となり、全国各地で不審者の情報が寄せられています。
そのため、責任を持って大切な子どもたちを守るかということが重要任務になっています。
安全面を考えると、施設内に男性スタッフが一人でも常駐していることで、心理的にも安心でき、外部からの侵入に対しての抑止力として働くことになります。
◯力仕事を任せられる
保育園では、身体を動かす力仕事もたくさん。子どもたちの活発な遊びに一緒に参加したり、行事の準備をしたり。そのようなシチュエーションでは、男性保育士の活躍のしどころです。
ですが、なんでもかんでも力仕事を男性の先生にまわしてしまうと、不満や悩みに思う男性の先生も少なからずいますので、バランス良く、お互いが助け合える職場作りをしましょう。
◯園外保育の男児トイレ連れ添い
「動物園での遠足」や「お泊まり保育」といった園外保育で、必ず必要となるのが、園児をトイレに連れて行くことですよね。女の子をトイレは問題ありませんが、公共のトイレに男の子を連れて行く際は、女性の先生ですと入り口までしかついていけません。
また、園外保育の場合、トイレに残っている子がいないかの確認や、不審者チェックもが基本ですが、女性の先生の場合、そこまではできないのが現状です。男性の先生が一人いると、そのような問題なく、安心して園外保育を楽しむことができますね。
◯男性という存在自体のメリット
近年、シングルマザーも決して少なくないので、幼児期に父性を知らない子どもにとっても、男性保育士がいることで、保育園の父親的な存在、お兄さん的な存在として保育に良い影響となってくれるでしょう。
保育園の場合なら、男性保育士がいることで子育てに対する父親の考えが良い方向に向くことも。父親側からも「同じ男として男性保育士がいることで話がしやすい」などという声もよくあるようです。
男性保育士の待遇
保育士が人材不足に陥っているのはその雇用環境に根本的原因があります。男性保育士のお給料や待遇、将来性について考えてみます。
◯男性保育士の年収は?
保育士のお給料は男女で基本的には変わりませんが、男性の場合は結婚や妊娠で退職することがないので女性よりも若干高くなっているようです。男性保育士の平均年収は約330~370万円ほどとなっています。
この年収の金額は、都道府県や公立・私立、また園によってもさまざまですが、一概には言えませんが大体15~24万くらいの手取りとなり、もちろん勤続年数によってお給料も上がりますが、新卒の男性保育士の手取りは20万円ないことがほとんどのようです。
◯公立保育園の公務員保育士を目指そう
男性が保育士を目指した時の不安要素の一つとして、給料が安く、将来結婚した時に家族を養えないのではないかという点があるようです。
実際に、保育士の給料が安いということから親や先生に反対されるケースもあるようです。
また、実際に働いている男性保育士も、結婚を考えるようになる給料面の不安により、転職を考える方が多いのだとか。
しかしながら、金銭面の不安を抱えずに保育士を続けていく方法もあります。
その方法は公務員になって公立保育園で働くことです。公務員であれば、他公務職との給料にも違いがなく、勤続年数が長ければ長くなるほど給料も上がります。
そのため、公立保育園は退職者が少なく、公立保育園の民営化も進んできているため、公立保育園への就職はハードルが高くなっているのが現状です。
給料面での不安を持ちつつも、保育士を続けたい、これから保育士を目指したい男性は公立保育園への就職を目指して、公務員の資格を取得するのがおすすめです。
◯男性保育士の求人は少ない?
最近は男性保育士の需要が高まってはきていますが、まだまだ男性保育士を採用しない園もあるようです。
男性保育士を募集していない保育園は、結婚するまでの若い女性の先生を雇うことで人件費を抑えているという経営方針だったり、男性が働けるようなトイレや更衣室などの環境を整える余裕がない、などといった金銭的な理由もあるようです。
ですが、最近は保育士不足を解消するべく、男性保育士を積極的に採用する保育園も増えてきますので、経営方針や施設についてしっかりと事前にリサーチしておくのも大事です。
男性保育士の将来性は?
現代は少子化ではありますが、共働きの家庭が増えており、保育園は今も待機児童の問題が解消がされずに保育士不足が問題となっており、保育士の需要は高まっています。それでも、男性保育士は中規模程度の保育園で1~2名が採用される程度となっています。就職時には、保育士以外の資格を持っていたり、特技がある方のほうが採用されやすい傾向にあるようです。
例えば、法人の事務が兼務できるような簿記の資格や、バスの運転ができる、ITに詳しい、など。
そういう方を保育士として採用することで、将来主任保育の勉強もしてもらい、園長候補として考えていくといった園が多いようです。
そのため、将来性を考えると、園長になることを目標にさまざまな資格を取得して保育士になるのが、おすすめです。
男性保育士の増加に期待
以上「男性保育士になる方へ…仕事のやりがいと将来への備えておいたほうがいいこと」について考えてみました。男女によって得意、不得意なことがありますので、女性と男性、両方の保育士がいることで、得意、不得意をカバーし合えたら職員の連携力も高まりそうですよね。
今後、保育現場で活躍する男性保育士さんは、ますます増えていくかもしれません。