「こども誰でも通園制度」はいつから始まる?実際の導入事例・助成金・注意点

    こども誰でも通園制度とは、親が働いていなくても月10時間を上限に子どもを保育園に時間単位で預けられる制度です。今回は、2026年度4月から本格的に開始するため、制度の内容をわかりやすく解説!対象者や利用時間、料金から、東京都・福岡・沖縄県の実際の導入例・注意点までを詳しく紹介します。

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    こども誰でも通園制度とは。いつから始まるの?

    「こども誰でも通園制度」とは、親が働いていなくても0歳6カ月〜満3歳未満の子どもを月10時間を上限に保育園へ預けることができる通園制度です。

    全国で本格的に開始されるのは「2026年度4月」

    いままで保育園は、保護者が働いていたり、病気や介護などの特別な事情があったりと保育の必要性の認定を受けた家庭のみ利用することができました。

    しかし、「こども誰でも通園制度」は、保護者の就労を問わず、時間単位で「誰でも」保育園を利用できるようにつくられました

    制度内容

    対象者

    認可保育園、認定こども園、地域型保育事業所等に通っていない0歳6か月〜満3歳未満の子ども

    利用時間

    月10時間

    利用料

    1時間300円(園によって100円~800円前後の場合あり)

    受け入れ先

    保育園、幼稚園、認定こども園、家庭的保育事業所、小規模保育事業所、地域子育て支援拠点企業主導型保育事業所、認可外保育施設、児童発達支援センター

    利用形態

    ・定期利用:曜日や時間を固定して継続的に通園
    ・柔軟利用:曜日や時間を固定せず、必要に応じて通園

    ※園によって利用法が異なる、上記を組み合わた提供も可能

    「親子通園」も可能なため、子どもの様子や家庭の希望に合わせて、制度を利用することができるでしょう。

    すべての自治体で制度が利用できますが、園の状況によっては受け入れていない場合もあります。

    保育園や幼稚園に通う前の雰囲気を体験する「プレ保育」として、受け入れている場合もあります。

    こども誰でも通園制度と一時預かりとの違いとは?

    こども誰でも通園制度と一時預かりとの違いの画像buritora / stock.adobe.com

    そもそも国の一時預かり事業があるのだから、「こども誰でも通園制度」は不要なのでは?と考える保育士さんもいるでしょう。

    国は以前から一時預かり事業を行ない、保護者の病気や仕事などを理由に一時的に子どもを預けられるような取り組みを実施していました。

    ただ、一時預かりは基本的に保護者の病気や仕事などといった特定の理由がなければ、保育園に預けることが難しいという特徴があります。

    一方、「こども誰でも通園制度」は、何らかの理由がなくても保護者が子どもを預けられることが大きく異なる点でしょう。

    こども誰でも通園制度と一時預かり事業の違いは以下の通りです。

    制度内容比較

    項目 こども誰でも通園制度 一時預かり事業
    対象年齢 0歳6ヶ月〜満3歳児未満 病気や仕事などで家庭での保育が一時的に困難なこども
    利用時間 1カ月あたり10時間程度の上限 保育園や園によって異なる※市町村で上限時間や日数を設定
    事業目的 ・親が働いていなくても、各家庭のライフスタイルに合う支援
    ・子ども同士で遊ぶ経験や土台作りの支援
    ・親の就労や病気などで一時的に保育が困難なときに支援
    ・乳幼児に必要な保護を行う
    実施自治体 すべての自治体 自治体全体の81.5%実施※2024年10月時点

    ※一時預かり事業では障がいのある子どもがいるご家庭に保育士が訪問し、お世話をするサービスも行っています。

    こども誰でも通園制度の助成金はいくら?

    子ども誰でも通園制度を導入した園には、助成金が支給されます。

    0歳児:こども一人1時間あたり 1,300 円
    1歳児:こども一人1時間あたり 1,100 円
    2歳児:こども一人1時間あたり 900 円

    2023年度より「こども誰でも通園制度」は試験的な実施を行っていました。

    当初、国からの助成金は子ども一人あたり、1時間につき一律850円でした。

    しかし、補助金850円に加え、保護者からの利用料金が300円だった場合は、合計で1,150円。

    この金額では「運営が難しい」という声が多く寄せられ支給額が追加されました。

    そのため、事業者は上記の助成金を受け取りながら運営できるため、園で体制を整えていくべきか、しっかり考えてみましょう。

    園児がなかなか集まらない」「空き教室を有効に使いたい」といった方は、こども誰でも通園制度を活用し、子どもの受け入れを考えることも大切です。

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      こども誰でも通園制度の保育方法と流れ

      ここでは、こども誰でも通園制度の保育方法や3つの導入事例について詳しく見ていきましょう。

      保育方法

      保育方法は主に以下の3つです。保育の方法を用いて試験的に実施しています。

      【一般型(在園児と合同)】

      保育園などの定員に関係なく、在園児といっしょに保育を行います。保育士の配置基準を満たせば、各園で子どもの受け入れ人数を自由に設定することができます。

      【一般型(専用室独立実施型)】

      保育園などの定員に関係なく、在園児と別のスペースで保育を行います。保育士の配置基準やスペースが確保できれば、各園で子どもの受け入れ人数を自由に設定することができます。

      【余裕活用型】

      利用児童が定員に達していない場合のみ、子どもを受け入れて在園児といっしょに保育を行います。

      また、保育者の人員配置基準は以下のように一時預かり事業と同じです。

      保育者の人員配置
      ・0歳児3人に対して保育者1人以上配置
      ・1〜2歳児6人に対して保育者1人以上配置

      保育者の半分は保育士の有資格者を配置し、保育士以外の方は子育て支援研修または家庭的保育者基礎研修と同等の研修を修了した方の配置が義務づけられています。

      また、余裕活用型の場合は、クラス定員に対する人員配置で対応が可能です。

      利用開始までの流れ

      保護者の利用開始までの流れは以下の通りです。

      保護者が利用申請
      自治体が利用認定
      利用可能な受け入れ先を探し、預け先を選ぶ
      初回面談を行う(子どもの特徴や好きな遊び、アレルギーの有無などを共有)
      利用開始

      申請から予約までは「こども誰でも通園制度総合支援システム」を利用できますが、直接自治体の窓口に申請を行う必要がある場合もあるようです。

      保護者から預け先として選ばれた事業者は、初回面談を実施し、必要な持ち物や子どもの健康状態・生活リズムなどの情報を共有します。

      その後、利用開始日や時間などの詳細を調整していく流れとなります。

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      【地域別】「こども誰でも通園制度」導入事例

      子ども誰でも通園制度は、園の受け入れ体制が整わなければ、運営が難しいという場合もありますが、園の体制に合わせて無理のない範囲で実施している園も多いようです。

      ここからは、こども家庭庁が公表した「子ども誰でも通園制度の事例集」をもとに、試行事業に参加した保育園や幼稚園について、詳しく紹介します。

      東京都の幼稚園

      施設概要

      • 開所曜日月・火・水・木・金
      • 開所時間8時30分~16時30分
      • 利用可能時間10時間超
      • 定員12名/1時間
      • 対象年齢1歳半~2歳

      保育のポイント「充実した幼児教育の提供」

      専用室で安定的な受け入れを確保し、プレ保育や満3歳児クラスの経験がある園として、保育士の有資格者を担当として配置しています。

      開始時は親子通園や短時間での利用などを行い、子どもの特性に合わせて、きめ細やかな対応を大切にしています。

      また、在園児といっしょに手遊びや歌、体操など楽しみながら過ごせるよう、配慮しています。

      福岡県の保育園

      施設概要

      • 開所曜日月・水・木・金
      • 開所時間8時30分~16時30分
      • 利用可能時間10時間超
      • 定員12名/1日
      • 対象年齢0歳6か月~2歳

      保育のポイント「食育に配慮した幼児教育」

      子ども一人ひとりの発育に合わせた食育を大切にしています。給食の場面には保護者も立ち会ってもらい、子どもの育ちを実感できるようにしています。

      離乳食の進め方や偏食、アレルギー対応についても、親子通園や事前面談を通して、保護者と連携し、丁寧にサポート。

      「子どもの偏食が減った」「よく食べるようになった」との保護者からの声が届き、成果を感じています。

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      沖縄県の保育園

      施設概要

      • 開所曜日月・火・水・木・金
      • 開所時間9時~17時
      • 利用可能時間10時間
      • 定員3名/1時間
      • 対象年齢0歳6か月~2歳

      保育のポイント「小規模園ならではの柔軟な通園支援と保護者連携」

      一時預かり事業(一般型)を実施するうえで、地域で家庭保育をしている子育て世帯が感じる孤独感や負担感を知り、未就学児家庭への支援の必要性を感じ、試行事業に参加。

      補助金を活用し、専用室を改修して在園児と交流できる空間を確保し、生活リズムの異なる子どもの受け入れを行っています。

      利用者は月に3回程度の通園のため、送迎時は家庭での子どもの様子や園での活動を丁寧にコミュニケーションを取り、保護者との信頼関係の構築を大切にしています。

      「こども誰でも通園制度」の子どもの受け入れ園の決まり方

      「こども誰でも通園制度」の子どもの受け入れ園は決まっている?勤務園が対象になったときに意識することの画像buritora / stock.adobe.com

      こども誰でも通園制度は全国すべての保育園で実施されるものではありません。

      事業者側は、自治体からの認可を受けることで、受け入れを開始できます。流れは以下の通りです。

      子どもの受け入れを検討
      認可手続き
      市町村児童福祉審議会等への意見聴取
      設置認可
      開所

      その際、以下の内容を検討する必要があります。

      • 「こども誰でも通園制度」を単独で行うか、他の事業所と併設するか(一般型・余裕活用型など)
      • 受け入れる子どもの年齢や時間枠を設定
      • 定期利用か柔軟利用か、どの程度継続的に受け入れるかを決定
      • 食事の提供の有無や、提供体制・献立作成方法を検討
      • 親子通園の実施可否や回数・期間を決定
      • 障害児や医療的ケア児など、特別な支援が必要な子どもの受け入れ方を検討
      • その他、キャンセルポリシーや災害時対応などを考慮

      これから、受け入れを検討している事業者は職員体制や環境の整備の可能かを含めて、検討することが大切でしょう。

      こども誰でも通園制度で子どもの受け入れが決まった場合の注意点

      子ども誰でも通園制度で受け入れ園になった場合の注意点を詳しく紹介します。

      職員同士の話し合いを大切にする

      月10時間を上限に子どもを預かるため、その時間内で子どもの様子を把握することに不安を抱く方もいるでしょう。

      そのため、職員同士で連携を図りながらそれぞれの子どもの発達状況や様子を確認し、引継ぎをしっかり行なうことが大切になりそうです。

      保育士さんがスムーズに引継ぎできるよう、園側も体制をしっかり整えることがポイントになりますね。

      体調管理に気をつける

      なかには、人員配置が変わり、こども誰でも通園制度による子どもの預かり担当となることで、変化に馴染めずに体調を崩す保育士さんもいるかもしれません。

      環境の改善を求めてもなかなか働きやすい状況にならない場合は、転職を検討してみてもよいでしょう。

      そんなときは自分らしく保育士を続けるにはどうしたらよいのか、どんな園が自分に合っているのか、改めて考えてみるとよいですね。

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      保育士資格を活かす転職先を探している方はいませんか?以下の記事でどのような職場があるかチェックしてみてくださいね。

      こども誰でも通園制度について詳しく知ろう

      こども誰でも通園制度は、子育て家庭の支援を強化するうえで重要な施策のひとつでしょう。

      ただ、預かる側である保育園の職場環境が整っていることが大切になります。

      処遇改善などによる保育士の労働環境の見直しが進められていますが、現在すでに今の職場環境に対して不満がある方は、将来的な自分の理想の働き方について考えてみましょう。

      「もっと働きやすい園へ転職したい」「職員数が多い園で働きたい」といった希望がある方は保育士バンク!までご相談ください。

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      出典:こども誰でも通園制度の実施に関する手引/こども家庭庁出典:13.一時預かり事業の実施率/こども家庭庁出典:こども誰でも通園制度/こども家庭庁出典:こども誰でも通園制度(仮称)の創設について/こども家庭庁出典:乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)の実施について/こども家庭庁出典:こども誰でも通園制度事例集/こども家庭庁

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