人的資本経営とは、企業の人材を「資本」と捉え、人材の価値を高めることで企業価値の向上を目指す経営手法です。近年注目されている経営手法のひとつで、さまざまな企業で導入されています。今回は、人的資本経営の概要を詳しく紹介します。保育園経営に焦点をあて、人材資本経営を取り入れるメリットや保育士育成のポイントについてまとめました。
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人的資本経営とは
人的資本経営は、企業の人材を「資本」と捉え、企業の大切な「財産」としてその価値を最大限に引き出すことで企業価値の向上につなげる経営手法です。
従来の経営の多くは人材を人的資源と考え、人材の育成にかかる費用はすべてコストとして捉えており、特に重要視していませんでした。
また、人材に関わる業務はすべて人事部が担当し、運用や管理を行なうのも人事任せといった企業もあったようです。
しかし、時短勤務やリモートワークなど、働き方の多様化が進む今、人材一人ひとりのコストパフォーマンスを引き出し、価値を高める人的資本経営が注目されています。
人材の育成が企業にとって重要な要素であるという考えのもと、研修の開催や従業員同士のコミュニケーションの場の設置、職種に関連する資格取得のサポートなど、さまざまな取り組みが行なわれています。
企業の経営者が戦略を立て人材育成に投資することで新たな利益や価値を生むことが、持続可能な経営につながっていくといわれているのです。
保育園においていうと、保育士を園の重要な「資本」と捉え、職員一人ひとりの成長を支えられることが「人的資本経営」であると考えられるでしょう。
保育園経営に人的資本経営を取り入れるメリット
保育園経営に人的資本経営を取り入れる場合、経営陣が積極的に人材育成に取り組み、育成に関する研修やコミュニケーションの場が増えることが予想されます。
人的資本経営を導入することがどのようなメリットを生むのか、詳しく見ていきましょう。
園全体で人材育成に取り組むことができる
保育園では園長や副園長などが経営を担い、現場の中心的な存在は主任や学年リーダーが担当する場合が多いかもしれません。
人材の育成については、主任や学年リーダーが行ない、管理責任をふくめ全て任せているという園もあるようです。
しかし、人的資本経営を取り入れることで、保育士一人ひとりの技術の向上やスキルアップを支えるためにはどのようなアクションが必要なのか、経営陣が考えるようになります。
保育士の個性や人柄、仕事への意欲などを正しく把握したうえで、どのように育てるべきかを主任や学年リーダーなどと話し合い、新人育成の在り方を見直すことができそうです。
そのような機会を設ければ、役職者同士のコミュニケーションも活発になり、園全体で人材育成に取り組めるでしょう。
保育士の仕事への満足度があがる
人的資本経営を取り入れると、保育士の育成にあたってさまざまな機会を設けることでしょう。
職員同士が保育観を共有する場をつくったり研修の機会を増やしたりと、保育について学習できる場が増えそうです。
日頃、保育士は子どもや保護者への関わり方、保育の進め方などにさまざまな不安を抱いている場合があります。
研修や職員同士のコミュニケーションの場を通して相談したり学んだりすることが増え、悩みの解消につながるかもしれません。
結果として仕事へのモチベーションが上がり、意欲的に業務に取り組む人材を育てることができそうですね。
園全体の保育の質の向上に役立つ
保育園は子どもの命を預かり、健やかな成長を支える重要な場です。
多くの保育園が、日々、保育の質の向上に向けて取り組んでいることでしょう。
しかし、働き手である保育士がやりがいをもって働けない環境なのであれば、離職率が高くなり、園児や保護者の方々に不安を与えてしまうかもしれません。
人的資本経営を取り入れることで、保育士の成長をサポートし、技術の向上に役立つでしょう。そこから、職員一人ひとりのスキルアップやモチベーションアップが見込めます。
仕事への満足度が高い保育士が増えれば、自然と園全体の保育の質の向上につながるでしょう。
人的資本経営を取り入れた保育士育成のポイント
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人的資本経営を取り入れた保育士育成のポイントをまとめました。
積極的に研修を実施する
保育士を育成するうえで大切なのが研修の機会。さまざまな知識や技術を身につけて、現場で役立てることができるでしょう。
園側は積極的に研修を実施していきましょう。
以下は研修の例です。
食育に関する研修:子どもの健康づくりや食べ物の関心を高められるような方法を学ぶ
カウンセラー研修:保護者や子どもの心理的ケアに応じるスキルを学ぶ
防災関連の研修:災害の対応や応急処置、救助の方法などを学ぶ
どのような研修が必要かについて職員からアンケートを取ってもよいでしょう。また、研修は業務時間内に行ない、職員に負担がかからないようにすることも大切です。
保育関連の資格取得をサポートする
保育に役立つ資格は多数あります。
園側が資格手当などを支給しサポートすることで、資格取得の促進につながりそうです。
- チャイルドマインダー
- 保育カウンセラー
- リトミック講師
- 絵本専門士
- 防災介助士
実際には、資格取得に向けて「費用の補助がない」「資格を取得しても手当がない」といった保育園が多いようです。
保育士としての知識や技術の向上のためにも、園の経費を見直し、補助や手当の算出を検討してみましょう。
人的資本経営を取り入れて保育士の育成に活用しよう
人的資本経営を取り入れる際は、人を資本と捉え、価値を高めるために投資を行なうことが必要です。
保育士一人ひとりの成長を支えられるよう、環境を整えられるとよいですね。
中には「人手不足で保育士の育成まで手が回らない…さらに、離職者が増えている」といった園もあるかもしれません。
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