保育士の指導方法についてお悩みの園長先生や担当者の方は多いのではないでしょうか。新人・後輩をきちんと育てていくためには、職場全体で方針を統一し、成長を見守る雰囲気作りをすることが必要です。今回は、現場ですぐに使える教え方のコツと、園における指導マニュアルについて徹底的に解説します。
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保育士の指導・育成にはどう取り組む?
現場の保育士さんの指導や育成方針に悩んでいる園長先生・担当者の方も多いでしょう。
保育士の資質向上は保育の質に直結する大切なものです。
とはいえ、人材育成は一朝一夕で叶うものではないため、長期的な視点で計画的に取り組む必要があります。
自園の保育士さんに身につけてほしい能力を整理したうえで、どのように指導を実践していくか計画していきましょう。
指導者が知っておきたい保育士が持つべき能力とは
子どもと関わるうえで必要な「保育スキル」
まず保育士さんに身につけてほしいのが、子どもとの関わりで必要な「保育スキル」です。
子どもの発達や健康に関する知識から、子どもへの関わりや声かけといった技能など、保育のスキルは多岐に渡ります。
知識として知っておくべきものは研修などの場で学ぶのも手ですが、保育の実技に関しては現場で実践しながら身につけていく部分が大きいと言えるでしょう。
保護者と関わるうえで必要な「コミュニケーション能力」
保護者対応をする際に、適切に情報を伝えたり保護者の思いを汲み取ったりするコミュニケーション能力が必要になります。
正しい敬語の使い方や電話対応、伝わりやすい話し方については研修で身につけることができる部分です。
基本的なコミュニケーション能力を身につけたうえで、実際に保護者とやり取りしながら関係を作っていくことが大切かもしれません。
同僚と関わるうえで必要な「チームワーク」
保育現場で同僚の先生たちと協力して保育を行ううえで、チームワークが求められます。
声を掛け合いながら保育を進めたり、活動の準備や書類作成といった業務を相談しながら行ったりする能力が必要になるでしょう。
上司や先輩のサポートのもと、ケースバイケースの対応力を身につけてもらうとよいですね。
保育士の指導方法3種類
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保育士に求められる基本的な能力がわかったところで、実際に指導を進める際に有効な方法を見ていきましょう。
初任者研修
初任者研修とは、入職後すぐのフォローアップを目的に行う基本的な研修のことです。
内容としては、園の保育方針や一日の流れの説明、基本的なルールの確認などが多いでしょう。
初任者研修を充実させることで、新しい職場への不安を解消し、スムーズに仕事に慣れていってもらえるというメリットがあります。
ただ、話を聞いたり資料を読んだりするだけでは実際の仕事でうまく動けないことも多いため、実践的な内容も織り交ぜて行うことがポイントです。
OJT
OJTとは「OntheJobTraining」の略で、実際に保育に入って仕事をしながら必要なスキルを身につけていくやり方を指します。
現場の流れに早く慣れてもらえるうえ、その方の得意・不得意や現状のスキルに合わせて教え方を変えられるという特徴があります。
注意点として、現場が多忙だと丁寧な指導が難しかったり、先輩との相性によってはなかなか育成が進まなかったりするため、定期的に指導内容や進度を確認する必要があるでしょう。
園内研修
特定の研修テーマを設定して、自園の保育士さんが参加して相互に学び合う園内研修というやり方もあります。
実施方法の自由度が高く、参加者の関心や必要なスキルに応じて柔軟に内容を変更できるのはメリットです。
ただ、子どもがいる時間帯に開催しようとすると参加できる人数に限りがあるのは懸念です。また、研修内容を保育士さんに考えてもらう場合、負担が大きくなる可能性があるので注意するとよいでしょう。
保育士の指導における6つのポイント
最後に、保育士さんの指導を行うときに意識したいポイントをまとめました。
①クラスごとの人材配置を工夫する
クラス担任の人材配置は、保育士さんの経験や特性をもとに工夫することが重要と言えます。
例えば、若手の保育士さんにはベテランの方といっしょに複数担任クラスに配置する、
スキルが身についてきた中堅保育士さんは一人担任を任せるなどが挙げられるでしょう。
保育士さん同士の相性やコミュニケーションの取りやすさも意識して配置を組むとよいかもしれません。
②日頃からコミュニケーションを取る
保育士さんとの信頼関係を築くため、日常的にコミュニケーションを取ることが大切です。
挨拶に一言付け加えたり、クラスの子どもや受け持っている仕事で不安がないかさりげなく聞いたりなど、こまめに声をかけることで話しやすい雰囲気を作っていきいましょう。
③定期的に話を聞く
定期的に面談を実施して、保育士さんの様子をチェックしましょう。
1カ月~3カ月に一度ほどの頻度で行うことで、変化に気づきやすくなるようです。入職してすぐの方は1週間に一度実施するなど、頻度は状況に応じて変更するとよいですね。
④仕事の目的を説明したうえでお願いする
保育士さんに仕事を頼むときは、行う目的やその方にお願いした背景を説明することが大切です。
なぜやるのかを理解してもらうことで、保育士さん自身が判断基準を持ったり、責任感を持ってまっとうしたりすることにつながるでしょう。
⑤本人のモチベーションを尊重する
保育士さんはそれぞれ、子どもにこんな経験をしてほしい、こんな保育をしたいと意思を持って仕事をしていることが考えられます。
モチベーションをアップさせるためにも、保育士さんが考えた保育内容や行事計画について指導する際は、本人の意思・意欲を認めたうえで指導することが大切です。
また、若手の先生にはあえて行事の担当など責任ある仕事を任せることで、仕事への意欲や責任感につながるかもしれませんね。
⑥全員で話し合いをする場を作る
園の方針や行事の運営方法といった重要なことを決める会議は、役職を持つ保育士さんのみが参加するという園も多いものです。
効率的に話し合いができるというメリットはあるものの、若手の保育士さんにとって園のことがどのように決まっているかイメージしづらいというデメリットも挙げられます。
園全体に関わる内容は、全員が議論に参加できる場を設けてもよいかもしれません。
すぐには難しくても、園の方針がどのような意図・背景で決定しているか説明するなどの工夫をすることで改善しそうですね。
園全体で保育士の指導・育成に力を入れよう
今回は、現場の保育士さんの指導・育成方法やポイントについて紹介しました。
子どもと関わる保育スキルはもちろん、コミュニケーション能力やチームワークなど、保育を進めるうえで必要な力をバランスよく育めるよう計画していきましょう。
「自園の保育士さんの得意・不得意を把握できていない」
「どんな風に指導をすればいいか知りたい」
といったお悩みを抱える園長先生は、保育現場専門のマネジメントツールの導入を検討してみませんか?
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