「せっかく採用した新卒保育士さんがすぐ辞める…」保育現場において、新人の育成・定着は大きな課題の一つです。早期離職を防ぐには、なぜ若手の保育士さんが辞めてしまうのか、その理由と背景を詳しく知ることが大切になります。この記事では、新卒保育士さんが辞めたいと思う理由とともに、長く働いてもらうための対策を解説します。
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新卒保育士がすぐ辞めることによるデメリット
「新卒だからすぐ辞めても影響は少ないかな…」と考える採用担当者の方も中にはいるかもしれません。
新卒保育士が早期離職してしまうと、下記のようなデメリットが生じます。
現場の負担が増加する
まず人手がいなくなることにより、現場の保育士さんの業務負担が増えるという問題点が挙げられます。
新人であっても有資格者であれば配置人数にカウントすることが可能なため、クラス担任として配置している園も多いのではないでしょうか。
そのため残された保育士さんにとっては、早番・遅番を含む勤務時間が増えたり、終わらなかった仕事を残業して対応したりといったケースが想定されます。
残された保育士のモチベーションが下がる
新卒保育士さんの育成には一定の手間と時間が必要になります。
先輩保育士さんの中には、忙しい中で合間を縫って指導した保育士さんが辞めてしまうことに徒労感を味わっている方もいるかもしれません。
また、度々新卒保育士さんの離職があると「また新人が辞めてしまった」と園全体の雰囲気が重くなってしまうことも考えられるでしょう。
採用コストがかかる
人員を補充するために、もう一度採用する必要があることから、大きなコストが発生します。
求人を出して募集をかけるといった費用面での負担はもちろん、求職者との連絡や選考といった人的コストがかかることで、より園の運営が圧迫されるかもしれません。
新卒保育士がすぐ辞める理由
早期離職を防ぐには、保育士さんたちがどうして辞めてしまうのかを知ることが大切です。
新卒保育士さんがすぐ辞めるのには、どういった理由があるのでしょうか。
人間関係
新卒保育士さんの離職理由として考えられるのが、人間関係に関するトラブルやストレスです。
特に慣れない環境で緊張状態が続く中、同期や先輩保育士さんとの関係がうまく築けないと、不安や孤独を感じて仕事を続ける自信を失ってしまう方もいるでしょう。
保育方針のミスマッチ
自分が理想としていた保育方針と、実際に園で行う保育にギャップを感じて離職に至るケースが挙げられます。
まだ経験が浅い新卒保育士さんにとって、方針が一致しないことによる不安はもちろん、自分の保育観が否定されているような気持ちになってより孤独を感じている可能性が考えられるでしょう。
残業・持ち帰り仕事の多さ
入職してから、残業や持ち帰り仕事の多さにストレスを感じ、すぐ辞めるという選択肢を選ぶ方もいるかもしれません。
特にワークライフバランスを重視する方の場合、「この職場だとプライベートを犠牲にし続けてしまう」と考え、辞めていく方もいるようです。
給与・福利厚生への不満
給与や福利厚生に不満を感じて離職してしまうケースも考えられます。
また、ボーナスがあると聞いていたのに支給されない、福利厚生制度の利用に厳しい条件があったなど「入職前に聞いていた条件と違う」と違和感を感じた際に、離職を検討する場合もあるでしょう。
将来のキャリアへの不安
保育士として希望を持って入職したものの、先輩の働き方や園の評価制度を知り、今後のキャリアに不安を感じるケースもあるようです。
「このままだと自分の能力を発揮しながら働いたり、経験に見合った給与や待遇を受けたりすることが難しいかもしれない」と考え、転職を見据えて”すぐ辞める”という決断に至っていると考えられます。
新卒保育士の離職防止に向けた対策6選
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新卒保育士が辞めない職場作りのためには、選考など入職前の時点から入職後までを一貫して丁寧にサポートすることが重要です。
保育園が取り入れられる6つの離職防止対策を紹介します。
入職前
選考で丁寧にコミュニケーションを取る
面接は”園側が質問をする場”だと考える方も多いかもしれません。
しかし、入職前に保育士さんが抱えている不安や疑問を選考の場で解消できれば、よりギャップのない状態での入職につながります。
そこで、面接を園・保育士さんの双方が気になることを確かめる対話の場として活用してみましょう。
不安に思っていることはないか園側から尋ねたり、園の内情をしっかり伝えたりすることで、入職への不安を緩和できるかもしれません。
事前に園見学をしてもらう
入職前に園見学をしてもらうことで、現場のリアルな雰囲気を知ることができ、入職後のギャップ防止に役立ちます。
面接や入職前の打ち合わせなどの際に園内の様子を見てもらうとともに、園の職員や子どもたちと簡単に挨拶をする機会を持つとよいかもしれません。
働き方についてありのままを伝える
残業の有無や勤務時間の長さなどを伝えると、内定を受諾してもらえないかもしない、余計なプレッシャーを与えてしまうかもしれないと不安になりますよね。
しかし、入職後に「想定していた働き方と違う」と保育士さんが感じると、早期離職に至る可能性があります。
残業時間やシフトの決め方、給与体系などについては、保育士さんにとっては聞きづらい質問です。面接の場や内定後の打ち合わせの時間を活用して、詳しく説明するようにしましょう。
入職後
定期的に面談を行う
「誰に質問すればいいかわからない」「初めてのことばかりで自信が持てない」など悩みを抱えやすい新卒保育士さんには、定期的な面談の機会を設けましょう。
面談をするときは、他の保育士さんに内容が聞こえない場所を選ぶ、内容を否定せず傾聴するなど、話をしやすい雰囲気を作ることがポイントです。
ただ、保育士さんの心理状況は職場の状況によって日々変化するうえ、常時アンテナを張っておくことは難しいですよね。
そこで、保育士さんのコンディションをキャッチできるツールを活用すれば、より素早く変化に気づいて対処ができるかもしれません。
保育士バンク!では、毎月の自動アンケートで職員のコンディションを簡単に把握できる「保育士バンク!パレット」というサービスを提供しています。
貴園の状況に合わせた使い方をご提案することも可能なので、保育士さんのモチベーション管理に課題を感じている方は一度ご相談ください。
相談役を複数名設ける
園長先生や主任保育士さんとの面談では緊張してしまい、本音が出せない新卒保育士さんもいるかもしれません。
そのため、年齢や立場の近い保育士さんを相談役に任命して、こまめにコミュニケーションを取る場を作るとよいかもしれません。
仕事で悩んだときだけではなく、普段から気軽にやり取りできるような存在があることで、職場での不安や孤独感を軽減することが期待できます。
研修・マニュアルの整備
仕事を始めたばかりの新卒保育士さんは、覚えることがたくさんあって混乱することが予想されます。
スムーズに仕事に慣れていけるよう、新人向けの研修やマニュアルについてしっかり整備を進めることが大切です。
新卒保育士がすぐ辞める園から長く定着する園を目指そう
新卒保育士さんがすぐ辞める…という状況から抜け出すには、採用活動から入職後のフォロー体制までを一貫して見直すことがポイントになります。
保育士バンク!では保育業界を専門に、保育士の採用から定着までを包括的に支援しています。
人材が必要なときはもちろん、職員のモチベーションの把握や労務管理など、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。