「最近、保育の質を保つのが難しくなってきた」そう感じている採用担当者や園長は少なくないかもしれません。保育士の質の低下は、個人の力量ではなく、離職と保育士不足の悪循環といった構造的な原因から生まれています。この記事では、質が下がってしまう背景と現場への影響を整理したうえで、配置やICT化など、園が今日から取り組める改善策をわかりやすく紹介します。

「保育士の質の低下」とは?今、保育の現場で起きていること
「保育の質が低下している」と耳にする機会が増えました。
まずは、それが具体的に何を指すのか、なぜ今これほど問題になっているのかを整理しておきましょう。
数字上は解消した待機児童、その裏で起きていること
ここ十数年、保育施設は急速に増え、待機児童は数の上で大きく改善しました。ただ、園の数が増えた一方で、保育士の数と経験がそれに追いついていません。
現場では「ベテランが足りない」「新人を育てる時間がない」という声が聞かれます。
施設は整っていたとしても、保育を担う人が育ちきらないまま運営が続くことが「質の低下」と呼ばれる状態の正体です。
新卒や中途の採用数に対して3年後に何人残っているかを確認すると、この「育ちきらないまま入れ替わる」状態が自園で起きていないかを把握できます。
「質の低下」は個人ではなく構造の問題
質の低下というと、保育士一人ひとりのスキル不足を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際は、過酷な労働環境や低い社会的評価が人手不足と離職を生み、その結果として「現場の余裕が失われている」ことが問題です。
原因を個人に求めても、解決にはつながりにくいのが実情でしょう。
たとえば一人あたりの担当児童数や残業時間を見直すなど、職場の条件そのものを変えるほうが効果が見込めます。
こんな状態が続いていませんか?
あてはまる項目に
チェックを入れてみてください
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ベテランが減り、新人の割合が高くなっている
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新人を育てる時間や担当者が確保できていない
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行事や書類が特定の職員に偏っている
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残業や持ち帰り仕事が常態化している
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保護者対応や見守りに手が回らないと感じることがある
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当てはまる項目があれば
保育の質を支える仕組みを
見直すタイミングです
まずは現状の課題を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
当てはまる項目があった園も、ここからの工夫で十分に変えていけます。
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次の章では、その構造的な原因を5つに分けて見ていきます。
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保育の質が低下する5つの原因
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質の低下を食い止めるには、まず原因を正しくとらえることが大切です。
ここでは、多くの園に共通する、以下の5つの要因を見ていきます。
①離職と保育士不足の悪循環
人手が足りないと、職員一人あたりの負担が増えます。
負担の重さが新たな離職を招き、さらに人手が足りなくなる悪循環が、質の低下を招いています。
採用に力を入れても退職者の数がそれを上回れば、人手不足は解消せず、現場はさらに疲弊していきます。
残業の削減や休憩時間の確保など、今いる職員が辞めずにすむ条件を整えることが、人手不足を止める近道になります。
こんな園は質の低下に注意!
- ここ数年、退職者の数が新規採用の数を上回っている
- 誰かが休むと、ほかの職員の残業で穴埋めしている
- 退職理由を聞き取れておらず、辞める原因が分からないままになっている
②ベテラン不足と新人教育の崩壊
経験豊富な保育士が辞めてしまうと、新人を育てる役割を担う人がいなくなります。
教える側に余裕がないと、新人は十分な指導を受けられないまま現場に立つことになります。
育成が回らなくなると、先輩から後輩へ伝えられてきた声かけや子どもへの対応のコツが共有されず、新人は手探りで保育にあたることになります。
先輩職員に新人指導の時間を勤務として割り当て、その分の行事準備や書類を別の職員が引き受ければ、教える側も無理なく新人に向き合えます。
こんな園は質の低下に注意!
- 勤続5年以上の職員が減り、若手や新人が中心になっている
- 新人教育の担当者や指導にあてる時間が、はっきり決まっていない
- 指導の内容が担当者まかせで、園としての基準がない
③70年以上見直されてこなかった配置基準
保育士一人が受け持つ子どもの人数を定めた「配置基準」は、長らく見直されてきませんでした。
とくに4・5歳児の基準は、戦後に定められてから70年以上も据え置かれてきた経緯があります。
2024年度(令和6年度)には「30対1」から「25対1」へと改められ、長年の課題に一歩前進が見られました。
とはいえ、現場の負担が十分に軽くなったとはいえません。
基準ぎりぎりの人員で運営していると、丁寧に関わりたくても手が回らない場面が増えてしまいます。
こんな園は質の低下に注意!
- ほぼ最低基準ぎりぎりの人数で、日々を回している
- 加配や、余裕のある人員配置を組む余力がない
- 急な欠勤が出ると、その日のシフトが回らなくなる
④待遇・労働環境・社会的評価の低さ
給与水準への不満、業務量の多さ、責任の重さは、長く離職理由の上位に挙げられてきました。
命を預かる仕事でありながら、社会的な評価や処遇が見合っていないと感じる保育士は少なくありません。
保育士の有効求人倍率は、2026年現在も全職種の平均を大きく上回る水準が続いています。
求人票に給与だけでなく、残業時間の少なさや有給取得率といった「働きやすさの数字」を示せる園は、応募者に選ばれやすくなります。
処遇改善は進みつつありますが、業務負担そのものが減らなければ、現場の忙しさは変わらないのが現状です。
こんな園は質の低下に注意!
- 近隣の園と比べて、自園の給与水準を把握できていない
- 残業時間や有給取得率を、数字で管理できていない
- 求人票に「働きやすさ」を示す具体的な情報がない
⑤潜在保育士が現場に戻ってこない背景
資格を持ちながら保育の仕事に就いていない「潜在保育士」は、全国で数十万人規模にのぼるとされています。
こども家庭庁の調査によれば、2023年時点で保育士登録者数約185万人に対して「保育士として働いていない」人の数は約115万7,000人です。
これにより、保育士有資格者のうち約6割以上が潜在保育士ということがわかります。
戻ってこない理由の多くは、過去に経験した働き方への不安です。
「また同じように忙しくなるのでは」「ブランクがあって不安」という気持ちが、復帰の壁になっています。
短時間勤務やブランク明け向けの研修を用意している園は、こうした有資格者が「ここなら戻れそう」と感じやすく、経験者の採用につながります。
こんな園は質の低下に注意!
- 短時間勤務やパート枠など、柔軟な働き方の選択肢が少ない
- ブランクのある人向けの研修やサポートがない
- 過去に退職した職員と、復帰につながる関係が築けていない
保育士の質の低下を招く要因、貴園でも心当たりがあるという経営者の方も多いのではないでしょうか。
保育士バンク!パレットは、保育園の事務負担を劇的に減らす業務効率化ツールです。
指導案やシフト作成、保護者連絡などをデジタル化し、現場に「時間と心のゆとり」を創出します。
職員のコンディション可視化で離職も防ぎ、保育の質と採用力を底上げできるシステムです。
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質の低下が保育現場にもたらす影響
質の低下は、印象だけの問題ではありません。子どもや保護者との関係に、具体的なかたちで表れます。
見守りの目が減り、事故のリスクが高まる
保育は、子どもの命を預かる仕事です。職員の数や経験が足りないと、見守りの目がどうしても薄くなります。
転倒や誤飲、午睡中の事故など、ほんの一瞬の隙が大きな事故につながりかねません。
職員の人数に余裕があれば、一人が記録や連絡に対応している間も、別の職員が子どもから目を離さずに済みます。
ヒヤリ・ハットを記録して職員間で共有する仕組みを作ることで、同じ場面での事故を未然に防ぎやすくなります。
保護者からのクレームが増えやすくなる
慌ただしい毎日が続くと、保護者への連絡や説明が後回しになりがちです。
連絡帳の記入が簡素になったり、子どもの様子を伝える時間が取れなかったりすると、保護者からの不安や不信につながることもあるでしょう。
登園・降園時に一日の様子をひとこと添えるだけでも、保護者は子どもの姿を具体的に知ることができ、行き違いから生じる苦情が起こりにくくなります。
質の低下がよい人材の採用にも響く
求職者は、求人票の条件だけでなく、園見学や面接の際にも現場の様子をよく見ています。
職員に余裕がなく表情が険しかったり、子どもへの言葉かけが雑になっていたりすると、「ここでは長く働けなさそう」と受け取られてしまいます。
内定を出しても、複数の園を比べたうえで辞退されるケースは少なくありません。その判断材料のひとつが、見学時に伝わる現場の余裕のなさです。
逆に、職員が落ち着いて子どもに関わり、見学者にも自然に声をかけられる園は、「ここで働きたい」と思ってもらいやすくなります。
日々の保育を整えておくことが、見学から採用までの結果を左右します。
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園ができる、保育の質の低下を防ぐ対策
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ここからは、園が今日から取り組める改善策を紹介します。
国の制度はすぐには変えられなくても、現場の仕組みは園の工夫で整えられます。
ICT化・業務効率化で、保育に向き合う時間を増やす
書類作成や保護者連絡、登降園の管理など、保育以外の事務作業は意外と多いものです。
これらをICTシステムで効率化すると、残業や持ち帰り仕事が減り、子どもに向き合う時間を確保しやすくなります。
たとえば連絡帳や登降園の記録を手書きからアプリに切り替えれば、一日あたり数十分の事務時間を減らせます。
その分を、子どもと過ごす時間や保育の準備にあてられます。
労務管理ICTシステム保育士バンク!コネクトは、 登降園管理や指導計画、保護者連絡などをひとつにまとめて管理でき、日々の事務作業を効率化できます。
職員の負担が軽くなることで、保育に向き合う時間と気持ちの余裕が生まれます。
人員配置の適正化と役割分担で、負担を分散する
「忙しい人がいつも忙しい」という状態が続くと、その職員から疲れがたまっていきます。
誰がどの業務をどれだけ抱えているかを棚卸しし、役割分担を見直してみましょう。
行事の企画、書類、製作などを特定の人に集中させず、チームで分け合える仕組みにすると、一人あたりの負担が下がります。
基準を上回る人員を配置できれば、急な欠勤にも落ち着いて対応でき、見守りの質も保ちやすくなります。
待遇・評価制度を見直し、保育の質を「見える化」する
がんばりが正しく評価され、待遇に反映される仕組みは、経験ある職員の定着を支えます。
処遇改善の加算をきちんと活用し、キャリアアップの道筋を示しましょう。
あわせて、保育の質を測る評価の基準を園内で共有しておくと、改善の方向がぶれにくくなります。
国の指針に沿った自己評価や、第三者評価の活用も一つの方法です。
年に数回の面談で「次に目指す役割」と「そのために必要な経験」を具体的に伝えると、職員は将来の見通しを持って働き続けやすくなります。
職員マネジメントツール保育士バンク!パレットは、 職員の状態や面談記録を一元管理!
一人ひとりの変化に早めに気づける仕組みづくりを支援します。
評価やフォローを継続的に行うことで、人が育ち、質が保たれる園づくりにつながります。
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受け入れ・育成体制を整え、人が育つ現場
保育の質を支えるのは、結局のところ「人が育つ現場」です。
新しく入った職員が安心してスタートできるよう、受け入れと育成の体制を整えましょう。
入職前の面談や園見学で不安をやわらげ、入職後はこまめに声をかけて孤立を防ぎます。
「教育担当は行事の企画を持たない」など、先輩が育成に集中できる工夫も有効です。
入職後1カ月は先輩がマンツーマンで付く、週に一度は短い面談で困りごとを聞くといった仕組みがあると、新人が早期に辞めてしまうのを防げます。
保育士バンク!には「人が定着せず質を保てない」「自園に合う育成の仕方がわからない」といったご相談が多く寄せられています。
そのため、保育業界を熟知した担当者が、園ごとに親身にヒアリングさせていただき、解決方法を二人三脚で実現しています。
受け入れや育成の体制づくりは分かっていても、日々の業務に追われて手が回らない、そんなときは外部の力を借りるのも一つの方法です。
現場の悩みを相談するまずは気になる資料から
保育士の早期離職を防ぐ対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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保育の質の低下についてのよくある質問
Q. 「保育の質の低下」とは、具体的にどういう状態を指しますか?
これらは、見守りが行き届かない、保護者対応が手薄になる、といった形で表れます。施設は増えても、保育を担う人が育ちきらないまま運営が続くことが背景にあります。
Q. 保育の質が低下する主な原因は何ですか?
人手不足が一人あたりの負担を増やし、それがさらなる離職を招きます。加えて、ベテラン不足による新人教育の停滞、70年以上据え置かれてきた配置基準、待遇や社会的評価の低さなどが重なって起きています。
Q. 配置基準が最近変わったと聞きました。今はどうなっていますか?
長年据え置かれてきた基準にとって大きな一歩です。ただし現場の負担が十分に軽くなったとはいえず、基準を上回る人員を独自に配置する園も少なくありません。最新の運用は自治体の通知などで確認しておくと安心です。
Q. 質の低下は、保育士個人のスキル不足が原因ではないのですか?
保育士個人の問題と捉えられがちですが、業務過多でゆとりの持てない職場環境が人手不足と離職を生み、現場の余裕が失われた結果として質が下がります。原因を個人に求めるより、職場の仕組みを整えていきましょう。
Q. 採用が追いつかず、人手不足で質を保てません。何から始めればよいですか?
ICT化で事務を減らし、配置や役割分担を見直すと、現場に余裕が生まれます。そのうえで、自園に合った採用方法で人を増やしていきましょう。保育士バンク!では、保育業界に特化した人材紹介・求人広告などの採用支援をご用意しています。
Q. 問い合わせると、しつこく営業されないか心配です。
まずは資料のお渡しや、課題のヒアリングからお伝えします。ご状況をうかがったうえで、必要な場合にのみサービスをご案内します。情報収集だけのご利用でも問題ありません。
まずは無料で相談してみる相談は無料。情報収集だけも歓迎です
Q. 保育士バンク!では、質の改善に向けてどんな支援ができますか?
労務管理ICTシステム「保育士バンク!コネクト」や職員マネジメントツール「保育士バンク!パレット」など、職員の負担軽減や育成・定着につながるサービスをご用意しています。保育業界を熟知した担当者が、園の状況に合わせてサポートします。
保育の質の低下は、園の仕組みで防げる
保育の質の低下は、保育士一人ひとりの努力不足ではなく、人手不足や離職の悪循環といった構造から生まれています。
だからこそ、原因を現場の仕組みからとらえ直すことで、園の側から保育の質を守ることができます。
ICT化で事務を減らす、行事の担当を分散する、面談の場を設けるなど、どれも明日から着手できる施策です。
まずは園で最も負担が偏っている業務を一つ選び、その見直しから始めてみてください。
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