保育士募集に向けて求人票を作成する際に、どのようなNGワードや禁止表現に気をつければよいのかと悩む採用担当者の方もいるかもしれません。法律違反とならないように、禁止事項についてきちんと把握することが大切です。このコラムでは、求人票のNGワードや禁止表現、OK表記例などを詳しく紹介します。
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■目次
- 求人票のNGワードや禁止表記はある?
- 保育士の求人票作成に向けて注意すべき法律規制は?
- 保育士採用における求人票NGワード①:性別による差別表現(男女雇用機会均等法)
- 保育士採用における求人票NGワード②:年齢による差別表現(雇用対策法)
- 保育士採用における求人票NGワード③:人権侵害、就職差別などの差別表現(雇用対策法)
- 保育士採用における求人票NGワード④:他園との優位性・比較表現(不正競争防止法)
- 保育士採用における求人票NGワード⑤:実態の働き方と異なる条件表現(労働基準法・最低賃金法など)
- 保育士採用における求人票NGワード⑥:著作権侵害となる表現(著作権法)
- 求人票のNGワードや禁止表現を把握し、魅力的な広告を作成しよう
求人票のNGワードや禁止表記はある?
求人票には雇用形態や労働時間などを記載しますが、法律でNGワードや禁止表現が定められています。
保育士さんの求人を募集する際も、「性別や年齢の差別的な表現」、「著作権侵害となる表現」などの禁止事項をきちんと把握すれば、掲載時のクレームやトラブルを防ぐことにつながるでしょう。
まずは、求人広告を制作する際に禁止されている表現が定められた法律についてみていきましょう。
保育士の求人票作成に向けて注意すべき法律規制は?
求人票を作成する際の禁止表現は、下記の法律によって定められています。
- 労働基準法
- 男女雇用機会均等法
- 最低賃金法
- 雇用対策法
- 不正競争防止法
- 職業安定法
- 著作権法
求人票で応募者に誤解を招く表記を記載した場合は、職業安定法違反となり、6か月以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑となる可能性もあるようです。
上記の法律の規制に沿った求人票の作成に向けて、NGワードや表記OKの例などを紹介します。
出典:職業安定法/厚生労働省
保育士採用における求人票NGワード①:性別による差別表現(男女雇用機会均等法)
労働者の募集や採用に関して性別を理由とする差別は禁止されており、保育士の採用活動においても、男女を均等に取扱う必要があります。
求人票の作成時は、 差別的と誤解される表記や表現とならないように気をつける必要があるでしょう。
性別による差別表現で注意するポイントは以下の内容となります。
保育士採用における求人票NGワード②:年齢による差別表現(雇用対策法)
労働者の募集や採用に関して、年齢を制限する表現は禁止されています。(例外事由を除く)
保育士さんを募集する際も年齢の制限はNGです。
年齢による差別表現で注意するポイントは以下の内容となります。
保育士採用における求人票NGワード③:人権侵害、就職差別などの差別表現(雇用対策法)
求人票の記載について、人権侵害や就職差別などを助長する表現は禁止されています。
保育士さんを募集する際も、施設側の主観的なイメージで求める人物像を限定する表現は避けるようにしましょう。
また、求人票を見た方が不快な思いをするような表現やワードが含まれていないか、きちんとチェックすることも重要です。
人権侵害、就職差別などの差別表現で注意するポイントは以下の内容となります。
保育士採用における求人票NGワード④:他園との優位性・比較表現(不正競争防止法)
求人票で他社との比較表現や優位性の表記は禁止されています。
保育士さんを募集する際も、他園との比較表現や優位性の記載がないように気をつける必要があります。
他園との優位性・比較表現で注意するポイントは以下の内容となります。
保育士採用における求人票NGワード⑤:実態の働き方と異なる条件表現(労働基準法・最低賃金法など)
求人票の作成において、実際の働き方に違いがあるにも関わらず、好条件を記載することは禁止されています。
例えば、求人票に「残業時間なし!休日も自由に取得可能」などと記載していても、実際は残業が多く、休日もなかなか取得できない職場の場合は募集要項と大きな違いがあり、法律違反となるようです。
保育施設の経営状況により、求人票の掲載時から求職者が入社する前に労働条件が変わることもありますが、その場合は記載内容との違いをきちんと説明することが大切でしょう。
また、給与の最低賃金については都道府県によって違いがあるため、最低賃金を下回っていないかなどをきちんと確認し、最低賃金以上の給与体系を設定する必要があります。
保育士採用における求人票NGワード⑥:著作権侵害となる表現(著作権法)
求人票の作成時に、求職者を惹きつけるキャッチコピーを考えることも多いでしょう。
その際に特定の書籍や映像作品などを用いて、承諾を得ずに記載することは禁止されています。
保育士募集の際も求人票に「○○の舞台となった保育園です」、「○○の絵本を多数読み聞かせに活用!」など特定のものを用いて表記する場合は、著作権をもつ作者や企業に確認を行い、掲載可否をきちんと確認するとよいでしょう。
また、書籍の中には「東京都でお勧めしたい保育園」、「子どもが楽しめる北海道の保育園」など、ある特定の地域の中でさまざまな保育園を紹介する本もあるようです。
自園が記載されたことを求人票でアピールしたい場合も、出版社に掲載可否を確認する必要があるでしょう。
求人票のNGワードや禁止表現を把握し、魅力的な広告を作成しよう
求人票は、求職者に向けて自園が求める人物像を伝える大切なものです。
法律規制に基づいて差別的な表現や著作権侵害などに気をつけて、法律違反とならないように求人票を作成していきましょう。
園の魅力をアピールするために「完全週休二日制!アットホームな環境の中で子ども一人ひとりと向き合えます。」、「20代~60代まで幅広い年齢の保育士さんが活躍中!有給取得率100%」など、さまざまなキャッチコピーを考える採用担当者の方も多いかもしれません。
キャッチコピーを考える際も、NGワードや禁止表現などをきちんと確認したうえで魅力的な求人票を作成できるとよいですね。