「採用しても人が定着しない」そんな悩みを抱える採用担当者の方は少なくありません。厚生労働省のデータでは離職率9.3%とされている保育士ですが、定着率は運営形態でも差があります。まずは自園の現状を把握することが、対策の第一歩になりそうです。本記事では、定着率が低くなる理由から、人間関係・給与・業務負担への具体的な改善策まで、今日から園で取り組めることを紹介します。

保育士の定着率は?厚生労働省のデータから分析
定着率とは、一定期間ののちにどれだけの職員が職場に残っているかを示す割合です。
離職率の裏返しにあたる指標で、職場環境や処遇がよいことを示す目安として使われます。
採用に力を入れても、入った人が続かなければ人材は積み上がりません。まずは、業界全体の数字から自園の立ち位置を確かめていきましょう。
保育士の離職率は9.3%。ほかの業種と比べると?
厚生労働省「保育士の現状と主な取組」によると、常勤保育士の離職率は約9.3%です。
全産業の平均離職率を見てみると、厚生労働省による令和6年の雇用動向調査では14.2%となっており、それと比べると数字のうえでは低い部類に入ります。
ただし、保育を含む医療・福祉分野はもともと人の入れ替わりが起きやすい領域でもあり、「平均より低いから安心」とは言い切れないのが実情です。
離職率は年ごとに大きくは動きませんが、経験年数別に見ると傾向が分かれます。
経験の浅い若手ほど離職しやすく、入職から数年のあいだのフォローが定着率を大きく左右します。
また、入職初期の支えを手厚くすると、早い段階での離職が減り、定着率の底上げにつながります。
公立と私立で異なる?定着率の比較
同じ保育士でも、運営形態によって定着率には差があります。
厚生労働省による「令和6(2024)年社会福祉施設等調査」では、2024年の調査では公立保育園に勤める常勤保育士の離職率は2.2%、私立は9.7%で、私立は公立の約4.3倍です。
それだけ、私立では人材の定着が大きな課題になりやすいといえます。
公立の定着率が高い背景
- 地方公務員として給与や福利厚生が安定している
- 経験年数に応じた昇給・昇格の道筋が見えやすい
一方で私立は、園によって給与や待遇の幅が大きいぶん、整え方しだいで差を縮める余地も大きいといえます。
上記は一般的な見解ですが、自園で保育士の定着率に課題を感じる場合は、その状況を正しく認識して、必要な対策を検討することが大切です。
自園の定着率について対策したいとお考えの際は、課題の整理から始めてみませんか。
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保育士の定着率が下がる3つの理由と自園のチェックポイント
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定着率が下がる園には、共通する要因があります。
東京都の調査によれば、保育士の退職理由で上位に挙がるのは「職場の人間関係」「給料の安さ」「仕事量の多さ」です。
多くの場合、ひとつだけでなく複数が重なることで離職に至り、定着率が下がります。自園に当てはまるものがないか、順に見ていきましょう。
退職理由の上位を占める「人間関係」のストレス
退職理由として最も多く挙がるのが人間関係です。
東京都の調査では、実際に辞めた理由として職場の人間関係を挙げた保育士が33.5%と最も多くなっています。
保育の現場は少人数で連携しながら進める場面が多く、保育観の違いや、先輩・後輩の関係性のなかで摩擦が生まれやすい環境です。
意見の対立が長く続くと、しだいにストレスが積み重なっていきます。
自園の状況をチェック✔ 職員同士が気軽に相談・質問し合える雰囲気がある
✔ 保育観について話し合える機会(会議・面談)がある
✔ 相談が特定の人に偏らず、複数の窓口がある
給与・処遇への不満が招く離職
給与や処遇への不満も、離職の大きな要因です。
同調査で、辞めた理由として給料の安さを挙げた保育士は29.2%にのぼり、人間関係に次ぐ多さです。
とくに私立は園ごとに待遇の幅があり、「仕事量に給与が見合っていない」と感じやすい傾向があります。
日々の責任の重さに対して評価が伝わりにくいと、納得感が薄れ、転職を考えるきっかけになります。
自園の状況をチェック✔ 処遇改善等加算を職員に正しく還元できている
✔ 給与や手当の決め方を職員に説明できている
✔ 「仕事量や責任に給与が見合っている」と職員が実感できている
仕事量の多さと長時間労働による疲弊
仕事量の多さと労働時間の長さが保育士の負担になっていることも見過ごせません。
同調査では、辞めた理由として仕事量の多さを挙げた保育士が27.7%、労働時間の長さを挙げた割合が24.9%でした。
保育そのものに加え、行事の準備や書類作成、保護者対応などが重なり、業務が一部の職員に偏ってしまうケースもあります。
日々の余裕が失われると、心身の疲れが定着率に影を落とします。
自園の状況をチェック✔ 行事準備や書類作成が特定の職員に偏っていない
✔ 持ち帰り仕事や残業が発生しない体制を整えている
✔ 休憩や有給休暇を取りやすい雰囲気ができている
裏を返せば見えてくる、定着率が高い園の共通点
定着率の高い園には、いくつかの共通点があります。
- 悩みを早めに相談できる風通しのよさ
- 業務の偏りがない、負担の分散への配慮
- 給与や評価の基準と反映が明確
加えて、新人を支えるフォロー体制と、将来のキャリアが見通せる仕組みが整っていることも大きな要素になります。
これらは特別な取り組みというより、ここまで見た「3つの理由」を裏返したものでもあります。
つまり、辞める理由を一つずつ解消していくことが、そのまま定着率の高い職場づくりにつながるということですね。
取り入れられそうな取組が見つかった場合は、貴園の状況や「こうなりたい!」というご希望に合わせた導入・活用方法をご案内します。
定着の取り組みについて聞いてみる 個別相談無料・ご質問だけでも歓迎です
【今日からできる】保育士の定着率を上げる取り組み
ここからは、定着率を上げるための具体策を見ていきます。自園で課題が大きいものから優先順位をつけて、できることから着手していきましょう。
相談・コミュニケーション環境を整える
人間関係は離職理由の上位を占めるため、悩みを早期に拾える仕組みが大切になります。
定期的な面談や、担当を固定しすぎないペア編成の見直しは、摩擦を防ぐ実践的な方法です。
日頃から声をかけ合える雰囲気が整うと、小さな不満が退職という形になる前に解消され、定着率の安定につながります。
園長や主任が「気軽に相談していい」という姿勢を示すことも、安心して働ける土台になります。
処遇改善・福利厚生の見直し
給与や手当の見直しは、処遇改善等加算を職員に正しく還元できているかの確認から始めると進めやすくなります。
手当の使い道を職員に共有すると、納得感が高まり、働き続けたい気持ちにつながります。
具体的には、月々の給与にどのように反映しているか、どのタイミングで賞与にいくら上乗せされるか、などを明確に周知することです。
福利厚生も、住宅補助や休暇の取りやすさなど、「働き続けやすさ」に直結する項目から整えると効果が見えやすくなります。
大きな制度改革でなくても、職員が「きちんと見てもらえている」と感じられる工夫が積み重なっていきます。
業務負担の軽減と効率化
業務の偏りや事務作業の多さは、効率化によって和らげられる部分があります。
書類作成や保護者連絡にICTを導入して手間を減らす、行事の内容を見直す、役割分担を整理するといった工夫が有効です。
一人ひとりの負担が減ると、保育活動や新人へのフォローに向き合う余裕が生まれます。
保育運営・シフト・勤怠管理が可能になる保育専用ICTシステム保育士バンク!コネクトは、登降園管理や指導計画、保護者連絡などを専用ツールで一元化でき、職員一人ひとりの事務負担を軽減できます。
空いた時間を保育や新人フォローに充てられるようになり、働きやすさの改善にもつながります。
事務作業の多さが負担になっている場合は、保育業務に特化したICTで効率化できる部分がないか確認する方法もあります。
業務負担の軽減方法を確認するさまざまなプランから選べます
新人が早期離職しない職場づくり
慣れない環境で多くの仕事を覚える新人保育士は、不安を抱えやすいものです。
入職前後のフォローを整えることが、早期離職の防止に直結します。
実際に、保育士バンク!の求人紹介を通じてご成約された園では、5名の入職者に歓迎会と顔合わせを行ったところ、入職後のアンケートで5名全員から「新しい職場に満足」という回答が集まりました。
迎える側のひと工夫が、新しい職場への安心につながった事例です。
入職前~入職時(内定後面談・園見学・歓迎の準備)
入職前は、内定後面談で労働条件や園の方針をていねいに伝え、不安や疑問を聞く場を設けましょう。
1年以内に入職した先輩との交流の機会があると、入職後のイメージがつかみやすくなります。
園見学やイベントへの招待で雰囲気を知ってもらうこと、歓迎会やメッセージカードなどで迎える気持ちを伝えることも、温かいスタートを後押しします。
入職後の業務(声かけ・相談しやすい雰囲気・業務バランス)
入職後は、こまめな声かけが支えになります。
「何か困っていることはない?」と一声かけるだけでも、相談しやすい雰囲気が生まれます。
育成担当が行事の企画を持たないようにする、園だよりは別のスタッフが担当するなど、新人育成に集中できる環境づくりも効果的です。
あわせて、新人に業務が偏りすぎていないかを確認し、無理のない配分を心がけましょう。
キャリアアップ・研修制度(やりがいを育てる)
長く働き続けてもらうには、将来の見通しも欠かせません。
研修の機会やキャリアパス、職務分野別リーダーなどの役割を用意することで、成長を実感しながら働けます。
「この園で続けていけそう」という手応えが、やりがいと定着率の双方を支えます。
外部サービスの活用で定着率を改善
採用と定着は地続きです。自園に合った人を採用できれば、入職後のミスマッチが減り、定着率が安定しやすくなります。
逆に、現場が忙しいなかで採用も定着もすべて園だけで抱えようとすると、対策が後回しになりがちです。
そんなときは、保育業界に精通した外部の知見やツールを活用するのもひとつの方法です。
保育士バンク!では、「応募が来ない」「自園に合う採用方法がわからない」「採用しても定着しない」といった声に応えて保育園経営者様のサポートを行なっています。
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採用から定着までを園だけで抱え込まず、保育業界に精通した担当者に相談することができます。
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保育士の定着率にまつわるよくある質問
Q. 「保育士の定着率」とは何ですか?
離職率の裏返しにあたる指標で、職場環境や処遇の良さを示す目安として使われます。定着率を上げるには、まずは自園の離職理由を把握し、相談体制づくり・処遇の見直し・業務負担の軽減に着手するとよいでしょう。保育士バンク!では、お悩み対策診断や個別相談で優先順位の整理をサポートしています。
Q. 保育士の定着率の平均はどのくらいですか?
定着率に換算するとおよそ9割が在籍を続けている計算になります。ただし運営形態や園の規模によって差があるため、自園の数値と比べることが現状把握の出発点になります。
Q. 公立と私立で定着率に差があるのはなぜですか?
そのため、公立は私立に比べて定着率が高い傾向があります。私立でも、処遇改善やキャリア制度の整備によって差を縮めることは十分に可能です。
Q. 定着率が低い主な理由は何ですか?
複数が重なって離職に至るケースが多いため、自園で大きい課題から優先順位をつけて改善するのが効果的です。
Q. 新人保育士の早期離職を防ぐ方法はありますか?
新人が業務に集中できるよう、育成担当の負担を調整しておくことも早期離職の防止につながります。保育士さんの早期離職を防ぐ詳しい対策は以下の記事でもご覧いただけます。
Q. 採用や定着の相談だけでも対応してもらえますか?
保育士バンク!では、採用課題・経営課題に関する個別相談を無料で受け付けています。サービスの導入有無にかかわらず、現状の整理から伴走させていただきます。
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Q. 費用はどのくらいかかりますか?
人材紹介は成功報酬型、求人広告は掲載型など、ご予算や採用計画に合わせて選べます。詳細は資料または個別相談でご確認いただけます。
出典:保育士の現状と主な取組/厚生労働省出典:令和6年社会福祉施設等調査/厚生労働省出典:東京都保育士実態調査 結果の概要/東京都福祉局出典:令和6年 雇用動向調査結果の概況/厚生労働省
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