保育施設の園長先生の中には園を運営する際に「人間関係」や「人材不足」などさまざまな悩みを抱くことでしょう。特に保育士の不足は深刻化しており、人材の確保や定着に向けて対策方法を知りたい方も多いかもしれません。今回は、園長先生が抱えやすい3つの悩みや運営に活かすことができる解決方法を詳しく紹介します。
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園長先生は大変!
保育施設の責任者である園長先生。
仕事内容は園の運営や予算計画の作成、人員配置、保護者対応、地域交流など多岐に渡ります。
常に園の運営者としての決断を求められるため、さまざまな悩みを抱くことでしょう。職場内の問題の解決に向けて取り組む一方で孤独を感じるケースも多いかもしれません。
園長先生が抱えやすい悩みとともに解決方法を把握して、運営に活かしていきましょう。
園長先生が抱えやすい悩み
まずは園長先生が抱えやすい悩みについて紹介します。
人間関係
園長先生は職員との人間関係が上手くいかず悩みを抱えやすいようです。
保育方針や理念を共有する中で、些細なことで言い合いになったり意図が伝わらなかったりすると円滑な関係が築けない場合もあるでしょう。
ときには保育士同士の仲のこじれから仲介に入ることもありますが、修復が難しいケースもあるようです。
対応方法を人に相談することも難しく、一人で解決策を模索する園長先生も多いかもしれません。
人材不足
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2021年10月の有効倍率は2.66倍と依然として保育士の人材不足の状況が続いています。人材獲得競争が激化する中で、職員の離職問題などに対応しなければならず、不安を抱く園長先生もいるでしょう。
人材不足を理由に無資格の保育補助の雇用に舵をきる園もある一方で、保育の質の維持を考えると前向きになれない園もあるかもしれません。
園長先生はそういった採用に関する方針についても重大な決断を迫られ、悩むこともありそうですね。
労働環境
保育士という職種は、「給与が安い」「労働時間が長い」など処遇に関してさまざまな課題が取り沙汰されています。その状況を改善しようと、労働環境の整備に取り組む園長先生もいるかもしれません。
しかし、その中で「今までの運営方法を変えるべきなのか」「どこから手をつければよいのか」と迷うこともありそうです。
残業時間の削減や有給休暇取得の促進など課題が山積みにも関わらず、対策を見い出せずに日々の業務に追われてしまう…。
このような状況が続けば心身ともに疲弊してしまう園長先生もいるでしょう。
園長先生の悩みの解決方法
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園長先生の悩みは人それぞれですが、仕事をスムーズにこなすために対策を立てることも大切です。
ここで解決方法の一例を紹介します。
良好な職場環境づくり
園長先生は、人間関係が上手くいかずに悩みを抱えることが多いものです。
円滑な人間関係を築き、雰囲気のよい職場を作り上げていきましょう。
現場の人間関係の把握
まずは、現場の人間関係の状況を把握してみるとよいかもしれません。客観的な視点で観察し、気づいたことを箇条書きにすると整理しやすいでしょう。
また、保育士さん一人ひとりの人柄や特性を知ることも大切です。職員間のパワーバランスや相性などを考慮したうえで人材配置を考えていきましょう。
現場主任やリーダーとの信頼関係の構築
現場主任やリーダーと積極的にコミュニケーションを図れば、現場の雰囲気を読み取ることができるでしょう。もし現場の主導者が悩みを抱えている場合は、園長先生がよき相談役になることも大切です。
特に経験が浅い保育士さんが役職に就いた際は、フォローできるよう定期的にミーティングを開催して交流の機会を設けましょう。
現場でトラブルが起きた場合もすぐ報告・連携しあえる関係を築いていけるとよいですね。
採用活動の見直し
保育士不足の問題は、多くの園長先生が抱える悩みです。
その際は、採用活動の見直しを考えて人材の確保に取り組んでいきましょう。
採用手法の幅を広げる
まずは応募の増加を目指し、採用手法が適切か否か判断していきましょう。
特に「ハローワーク」や「求人サイト」などを活用して採用活動に取り組む園が多いかもしれません。
その他にも、SNSで求人情報を配信したり、自園のホームページの中で求職者向けのページを設けたりして、採用手法の幅を広げてみることも大切です。
また、人材紹介会社に園の求人状況を伝え、登録者の中から条件にあった保育士さんの仲介を頼むという方法もあります。
面接日のスケジュール調整や労働条件の交渉といった代行業務も頼むことができ、手厚いサポートが受けられるでしょう。
パート雇用の拡大
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「正社員を募集してもなかなか応募数が増えない」と悩む園長先生もいるかもしれません。
短時間勤務パートやアルバイトの雇用を拡大すれば、人材の確保が進む可能性があります。
共働き世代が増えている今、主婦パートの採用活動を強化するとよいでしょう。シフト調整を行い、必要人数を洗い出し、園の実情にあわせた人材の補充に取り組んでいきましょう。
労働環境の改善に取り組む
保育士さんの労働環境の改善に向けてどのように取り組めばよいのか、悩む園長先生も少なくありまません。
人材の定着化や職員の仕事への満足度が高めることにつながるでしょう。
最後に労働環境の改善に向けた取り組みを紹介します。
ICTシステムを導入
職場の勤務体制や勤怠管理を行うためには、ICTシステムの導入を検討するとよいかもしれません。
ICTシステムとは、タブレットやパソコンを活用して職員の労務管理や園児の情報管理などを行うことが可能な電子システムです。
保育士さんそれぞれの勤務時間を正確に記録することができるため、残業時間データの収集に役立つでしょう。
その他にも有給休暇の取得数、残日数、有効期限などが一括管理できるなど、健全な環境を作り上げるために必要なシステムが備わっています。
国もICTシステムの導入を推進しており、1施設当たり最大100万円の補助金制度も確立しているため、活用するとよいかもしれません。
業務分担の見直し
保育士さんは保育活動以外にも、園の衛生管理や壁面製作、行事の企画・運営などさまざまな仕事をこなします。
そのため、業務量に偏りがないようバランスよく業務を振り分けることが大切です。話し合いの場を設け、保育士さん一人ひとりの得意なことを加味して役割分担を行うとよいかもしれません。
役割を明確化した後は進行状況を把握し、改善点を相談していきましょう。
悩みに対する解決策を立て、頼りになる園長先生を目指そう
園長先生は運営に携わる中でさまざまな悩みを抱くことでしょう。
解決するためには客観的な視点が大切になります。自身がどのような点で困っているのか、紙に書き出してみるとよいかもしれません。
そのうえで、例えば採用活動が上手くいかない場合は人材紹介会社などを活用するなど、それぞれの課題を分析して適切に対処することがよりよい職場環境作りに必要と言えます。
一つひとつの悩みに対して解決策を見出し、園の運営に役立てていきましょう。