保育園を運営するうえで、保育士さんの採用コストの削減は大きな課題となります。特に、人員確保が難しくなっている昨今、費用のカットだけでなく人的コストの負担減も取り組んでいくべきポイントの一つでしょう。今回は、採用の質を下げずにコストを削減するための改善策を8つ紹介します。採用単価の計算方法や相場についてもまとめました。
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保育士の採用コストとは
「採用コスト」とは採用にまつわる活動にかかった費用全般のことを指します。
採用の市場は景気によって売り手市場・買い手市場と変化するため、必要となる採用コストも変動します。
なお、保育士不足が続いている売り手市場の昨今、保育士の採用コストは上昇傾向にあると言えます。
費用削減を考えるうえで、まずは採用コストにはどんなものが含まれるのか確認してみましょう。
外部コスト・内部コストの違い
採用コストは、外部コスト・内部コストの2つに分けられます。
外部コストとは
外部コストとは、求人サイトや人材紹介会社など、社外に支払うコストのことです。
<外部コストの例>
- 求人広告費
- 人材紹介の手数料
- 園の採用ホームページの制作費
- 求職者に配布する園のパンフレット制作費
- 内定者の研修費
外部コストを洗い出す際は、各種媒体の採用単価をチェックしたうえで、削減できるポイントを見つけ出すことが大切です。
内部コストとは
内部コストとは、採用を進めるうえで社内で必要になるコストです。
<内部コストの例>
- 採用担当者の人件費
- 面接の交通費や宿泊費
- 内定者の引っ越しサポート費
- 会食費
人件費がメインとなる内部コストは、外部コストと比較して完全に把握しづらいものが多く、まずはコストを可視化することが大切になります。
採用担当者の業務内容と工数を調査し、時給換算しておおよそのコストを算出するとよいでしょう。
保育士の採用コストの計算方法
採用コストの総額は、外部コスト+内部コストで計算することができます。
さらに、採用できた人数で割ることで、1人を採用するためにいくら必要なのかがわかります。
<採用単価の計算方法>
採用コスト総額(外部コスト+内部コスト)÷採用人数=採用コスト単価
採用単価を算出することで、より事実に即した採用コストが把握できるようになります。
保育士の採用コストの相場
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採用コストについて理解が深まったところで、求人広告と人材紹介の2つのケースにおける平均的な費用相場を見ていきましょう。
<求人広告>
1万~40万円程度
利用する媒体やプランによって異なるものの、求人広告費は上記が相場となっています。
<人材紹介>
採用1件あたりの職業紹介事業者に支払った手数料額
平均採用コスト(1名あたり) 76.9万円
人材紹介の場合、採用が決まった保育士の年収の30%を手数料として支払うケースが一般的です。
厚生労働省の資料では、1名あたり約80万円の採用コストが相場というデータが掲載されていました。
出典:保育分野における職業紹介事業に関するアンケート調査/厚生労働省
保育士の採用コストを削減する方法8選
ここでは、保育士の採用コスト削減のための8つの方法を紹介します。
①早期離職の防止に向けた対策の実施
早期離職が発生すると再び費用をかけて採用する必要が発生します。
そのうえ、受け入れ準備や研修に要した内部コストも無駄になってしまうため、なるべく早期離職は避けたいもの。
求職者が想定していた働き方と園側の環境にミスマッチがあると早期離職につながるため、下記のような取り組みをしていきましょう。
- 現場保育士による面接の実施
- 園見学の実施
- 受け入れ体制の強化
- 内定者懇親会や入職前面談の実施
- 入職後の定期的なフォロー面談
また、早期離職の原因となるミスマッチの防止策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
②選考プロセスの見直し
選考プロセスの見直しも、採用コストの削減には効果的です。
特に、選考は内部コストを必要とするので、一つひとつの選考プロセスを見直して、削減ポイントを探してみましょう。
面接回数の削減
面接の設定・実施・評価には膨大な人的コストが必要となります。
1名の求職者に対して複数回の面接を行なっている場合、面接回数を削減することも効果的かもしれません。
本当に面接が必要なのか、どうしてこの面接を行なうのかなど目的を改めて振り返ってみましょう。
実施方法の見直し
面接のやり方を見直すことも重要です。
例えば、オンラインで実施することで交通費の削減をすることができます。
他にも、面接の様子を録画しておき、後から選考を行なう「動画面接」という方法もあります。
予め質問項目を用意し、求職者が答える様子を録画するというやり方のため、臨機応変な対応は難しいですが、人柄や考え方を知るためには有効でしょう。
上記は一例ですが、面接の流れや実施方法を見直すことで、工数および内部コストの削減に役立つかもしれません。
③求人広告媒体の見直し
求人広告を出す媒体を見直す
各媒体の特徴のチェック
- 利用ユーザーのエリア・保有資格・年齢層
- 利用ユーザー数
- 掲載求人数
- 掲載費用
各媒体の採用実績の確認
媒体別に採用単価を算出して、効果が出ているのはどの媒体かをチェックしてみましょう。
「この求人サイトには〇円支払っていて、結果△名採用できているので、採用単価は●●円だ」と採用単価を確認すると効率的です。
本当に効果が出ている媒体を洗い出し、適切に費用をかけられるようにしましょう。
④就職・転職フェアの活用
就職・転職フェアとは、求職中の保育士さんと、採用活動を行う多数の保育法人が一つの会場に集まって話ができる採用イベントです。
求職者とコミュニケーションを取りながら園の魅力を伝えられるのが特長で、自園とマッチした方に出会えれば長期就業につながる可能性も高くなります。
一度出展すれば複数の求職者に直接アプローチをかけられるので、複数名の採用を予定している・ミスマッチによる早期離職が課題になっている場合は活用してみるとよいでしょう。
人材紹介の利用の見直し
人材紹介を多用している場合、利用の仕方を見直してみるのも一手です。
人材紹介は成果報酬制という料金形態であるゆえ、採用人数が増えると採用コストが急上昇する可能性も。
複数名を採用予定の場合は、求人広告など他の手法を使った方がコストを抑えられる可能性があります。
自園の状況に照らし合わせて、どの媒体に費用をかけるか検討していきましょう。
⑤自治体の採用支援サービスの活用
自治体が推進する保育士・保育所支援センターやハローワークを活用できているでしょうか。
公的な採用支援サービスはコストをかけずに利用可能なため、採用を行なう際は一度検討してみてもよいかもしれません。
出典:保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先/厚生労働省
⑥オンラインツールの活用
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園の紹介動画やSNS、ホームページなど、オンラインツールを活用することで効率的に宣伝・採用を進められます。
昨今は、多くの求職者がオンラインで情報を集めたうえで応募を検討することが考えられます。
特に、園の雰囲気をリアルに感じてもらえる採用動画やSNSを取り入れる園は増加しているよう。
園の資産として長く活用していけるため、まずは利用してみるのも一つの手です。
⑦保育士養成校への声かけ
新卒採用を行なう場合、養成校に声をかけて求人票を送付することも効果的です。
また、実習生を受け入れる中で学生との関係が構築でき、ゆくゆくの採用につながっていくことも考えられます。
⑧既存職員への紹介の依頼
園の職員に対して「職場を探している人を紹介してもらえないか」と依頼してみましょう。
職員の知人であれば、具体的な働き方や園の雰囲気などを詳しく知ったうえで入職できるため、ミスマッチを減らすことができます。
紹介した人の入職が決まったら、紹介した人に謝礼としてインセンティブを渡す制度を設けている園もあるようです。
採用コスト削減を考えたら保育士バンク!にご相談を
保育士の採用コスト削減は、採用担当者にとっては常に取り組んでいく必要のある大きな課題と言えます。
採用コストの削減に困ったときは、保育業界専門の採用支援サービスである保育士バンク!にご相談ください。
多くの園の採用をサポートしてきた知見をもとに、貴園の抱える課題をヒアリングして最適な解決方法をご提案いたします。
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