「保育園の経営を引き継ぎたい」と考えたとき、どのような準備が必要なのでしょうか。保育園の承継には、主に親族承継・職員承継・第三者承継(M&Aを含む)の3つの方法があります。今回は、保育園の経営の引き継ぎ方法について徹底解説!費用の目安、行政や仲介業者・専門家への相談先まで、詳しく紹介するので参考にしてみてくださいね。
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保育園の経営を引き継ぎたいときに知っておくこと
「保育園の経営を引き継ぎたい」と考えたとき、まず知っておきたいのが事業承継という考え方です。これは、園の運営を次の世代にバトンタッチすることを意味します。
保育園の事業承継には、主に3つの方法があります。
親族承継(親族に引き継ぐ)
園長や理事長の子どもなど、家族が経営を引き継ぐ方法です。これまで築いてきた理念や園の雰囲気をそのまま守りやすく、地域や保護者にとっても安心して受け入れられやすい形といわれています。
職員承継(園で働く人が引き継ぐ)
副園長や主任、園長補佐などが園を任される形です。引き継ぐ側はこれまでの経験や信頼関係を活かして、慣れ親しんだ園を経営できるのが魅力です。
第三者承継(M&Aを含む)
親族や園内の職員以外の人が経営を引き継ぐケースです。M&A(会社や事業を売買して経営を引き継ぐ)を活用する方法も含まれます。
新しい理念を取り入れた園づくりができる一方、資金計画や職員・保護者への配慮が必要になるでしょう。
どの方法にもそれぞれのよさや課題があります。
保育園の経営に携わりたい方は、まずは自分がどの方法で承継すべきかを考える必要があります。
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保育園の経営を引き継ぎたい〜親族・職員・第三者承継のメリット・デメリット〜
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保育園の経営を引き継ぐというのは、単なる事業の承継ではありません。
子どもの命と成長を預かるという専門性の高い仕事の全責任を受け継ぐことを意味します。
そのため、「誰が保育園を承継するのか」がとても重要です。
ここからは、「親族」「職員」「第三者」承継の3つの視点で、メリット&デメリットを紹介します。
親族承継
園長や理事長の子どもなどが、家族として保育園を引き継ぐ方法です。経営を担ううえで、最初に検討されやすい承継の形です。
メリット
- 血縁によるつながりがあるため、園を大切に守っていく意志が伝わりやすい
- 地域から「代々受け継がれている園」として長期的な信頼を得やすい
- 行政や金融機関との関係がスムーズに引き継がれる場合がある
デメリット
- 「身内だから継いでいる」と見られる可能性があり、能力や適性に疑問を持たれることがある
- 経営判断に親族関係が絡むことで、意思決定が不透明に映る場合がある
- 親族間の不和やトラブルが、園全体の不安要素として広がるリスクがある
親族承継には、「親族が継ぐ意思がない」「経営を頼める親族がいない」というケースがあります。
そのため、園の存続を考える際には、親族以外が承継する方法も視野に入れることも多いようです。
職員承継
副園長や主任、園長補佐といった立場の人が園を引き継ぐ方法です。
現場で長く働いてきた経験や、園の方針に対する理解を活かせるため、親族承継に次いで選ばれることが多いかもしれません。
メリット
- 園の状況をよく理解しているため、日常の延長線上で経営に取り組みやすい
- 職員や保護者との信頼関係があり、関係者に受け入れられやすい
- 園の理念や保育方針を大きく変える必要がなく、安定した運営がしやすい
デメリット
- 現在の役職から経営者へ立場が変わることで、人間関係の距離感が難しい場合がある
- 園内で複数の候補がいる場合、誰が継ぐかで職員間に不公平感が生じることもある
- 「元同僚(保育士)」としての見られ方が残りやすく、経営者としての判断を支持してもらいにくい場合がある
職員承継は、園を熟知した人材が後を担える利点がある一方、新しい園長として、既存の職員に浸透するまで時間がかかる可能性があります。
さらに、経営者としてしっかり学び、知識やスキルを身につけられるかが、承継後の安定した運営を左右するでしょう。
第三者承継(M&Aを含む)
親族や園内の職員以外の人が園を引き継ぐ方法です。
法人や個人が保育園の運営事業を買収するといった、M&Aを活用するケースも増え、後継者不足に悩む園の存続手段として注目されています。
メリット
- 後継者が身近にいない場合でも、園の存続を実現できる
- 資金力や経営ノウハウを持つ第三者が加わることで、運営基盤を強化できる
- 新しい理念や仕組みを取り入れると、園を発展させられる可能性がある
デメリット
- 職員や保護者にとっては「外部の人が経営者になる」ことへの不安が生じやすい
- 園の方針や雰囲気が大きく変わるリスクがある
- M&Aを行う場合は、費用や契約条件の調整に時間と専門知識が必要になる
第三者承継は、買収後にどう信頼関係を築き、自身の理念を園に根づかせていくかが課題となるでしょう。
また、M&Aは仲介業者や専門家を通じて、園のマッチングや契約条件の調整をサポートしてもらいながら進めるのが一般的です。
そのため、買収を検討している方は、経験豊富な仲介業者や専門家を選ぶことが成功の鍵となるでしょう。
ネクストビートでは、保育業界に詳しい担当者があなたの「園を引き継ぎたい」という思いを形にするお手伝いをいたします。
「保育園のM&Aについて詳しく知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。
無料相談保育園を引き継ぐときに必要な費用
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保育園の経営を引き継ぐときには、承継の方法によって必要になる費用が変わるでしょう。
ここでは、それぞれのケースごとに費用に関する例を紹介します。
親族承継
親族に承継する場合は、大きな買収資金が必要になるケースは少ないようです。
ただし、園を引き継ぐために、相続税や贈与税がかかる可能性があります。
相続額によっては、数十万〜数百万円といった金額が必要になるケースもあるようです。
一定の条件を満たせば、税の負担を軽減できる「事業承継税制」も用意されているため、税理士などの専門家に相談したうえで進めることが大切です。
職員承継
職員が園を引き継ぐ場合は、親族のように相続や贈与ではなく、園の持分(株式や出資金など、園を所有する権利)を買い取る形になるでしょう。
金額は園の規模や状況によって変わりますが、数百万円程度かかるケースもあるかもしれません。
ただし、経営者が信頼する職員に託すときは、負担にならない金額に調整されるケースもあるようです。
また、社会福祉法人が運営主体の場合は、園の持分はないため、理事長や役員の交代という形で承継が行われるでしょう。
第三者承継(M&Aを含む)
M&Aなどで会社や事業を買収して引き継ぐ場合は、株式や事業を買い取るための資金が必要になることが一般的です。
職員承継と同様、園の規模や状況によって金額は変わりますが、数百万円程度かかることもあるかもしれません。※社会福祉法人などはかからない可能性あり
M&Aでは専門的な手続きや契約調整が欠かせないため、仲介会社や専門家に依頼する費用がかかります。
ただし、成功報酬型(契約が成立したときに費用が発生する方式)を採用している場合が多く、初期費用の負担を抑えて取り組めるようです。
また、仲介会社や専門家に依頼することで、相手先の情報収集や条件に合ったマッチング、契約内容の調整までサポートしてもらえるため、安心して進められるでしょう。
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保育園の経営の引き継ぎで利用できる相談先
保育園の経営を引き継ぎたい方は、まず行政の支援先や専門家に相談することが大切です。
行政では、中小企業庁や「各自治体の事業承継・引継ぎ支援センター」が承継全般の相談窓口となっており、後継者の探し方や税制・資金調達に関する情報を得ることができるでしょう。
また、実際に保育園のM&Aを検討する場合には仲介会社や専門家に相談することが重要です。「どのように進めたらよいかわからない」と不安になることもあるでしょう。
そんなときは、ネクストビートにご相談ください。
保育園の経営を未来につなぐためのサポート、M&Aに関する情報提供や専門家の紹介などを行っています。
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ネクストビートに無料相談出典:事業承継税制特集/国税庁出典:合併・事業譲渡等マニュアル/厚生労働省出典:事業承継・引継ぎ支援センター/中小企業庁
保育園の経営を引き継ぎたいときは専門家への相談が大切
保育園の経営に興味のある方の中には、「自分にできるだろうか」「資金や手続きについて何もわからない」と不安を抱えることもあるでしょう。
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