5分でかきこむ昼食、休憩中の書き物、持ち帰りの制作……。そんな毎日を「子どものためだから仕方ない」「保育士なら当たり前」と思い込んでいませんか?
責任感が強い先生ほど無理をしがちですが、それは解決すべき「隠れ我慢(構造的な無理)」かもしれません。変わりつつある保育業界のデータや「新しい常識」と照らし合わせ、あなたの今の環境が“適正”かどうかを一緒に考えてみましょう。

1. データで見る保育士の労働環境。「精神論」から「仕組み化」へ変わる現場
かつては「手作りこそ愛情」「長時間労働は熱意の証」という風潮が少なからずありました。しかし2024年以降、国を挙げて保育現場の働き方改革が進んでいます。
保育士の「持ち帰り残業」は当たり前ではない?日本の働き方改革事情
厚生労働省の調査によると、保育士の退職を考える理由として常に上位に挙がるのが「給料が安い」ことと「業務量が多い(仕事量への不満)」です。
この状況を受け、国は連絡帳、指導案、登降園管理といった事務作業を効率化するため、ICT化(保育業務支援システム)への補助を進めています。
実際に、ICT化が進んでいる園では、登降園管理や指導案作成がタブレットで完結し、事務時間が大幅に削減されています。「手書きじゃないと想いが伝わらない」という考え方よりも、「事務を効率化して、その分子どもと向き合う時間を増やす(または早く帰る)」という考え方が、現代の保育現場で新しい常識になりつつあります。
76年ぶりの配置基準見直しが「働きやすさ」の分かれ道
令和6年(2024年)4月、実に76年ぶりに「3歳以上児」の職員配置基準が見直されました。これまで「4・5歳児 30人に対し保育士1人」だった基準が、「25人に対し保育士1人」へと改善されたのです(※経過措置あり)。
この改正にいち早く対応し、人員を増やして「ゆとりある保育」を目指している園と、「うちはまだ無理だから」とギリギリの人数で回し続けている園。
この「対応の差」が、現場の先生たちの負担の差に直結しています。
参照元:こども未来戦略加速化プラン
2. あなたの保育園はどっち?業務改善が進む園と停滞する園の特徴
働き方改革が進む中で、保育園の環境は二極化しています。あなたの職場はどちらの傾向に近いでしょうか?
【ケースA:変わり始めている園】
- 「休憩は“取るもの”」という空気がある
ノンコンタクトタイム(保育から離れる時間)を設け、別室でしっかり休憩を取る体制を作ろうとしている。 - ICT活用に前向き
アプリ連絡帳や勤怠管理システムを導入し、手作業の負担を減らす努力をしている。 - 行事の見直しをしている
「例年通り」にとらわれず、保護者や職員の負担を考慮して行事の内容や準備を見直している。
【ケースB:改善に時間がかかりそうな場合】
- 「精神論」が強い
会議で「もっと意識を高く持とう」「工夫して時間を作ろう」といった言葉ばかりで、具体的な業務削減案が出ない。 - 「子どものため」が都合よく使われる
サービス残業や持ち帰り仕事に対して「子どものためにやってくれている」と、感謝で済ませようとする。 - 人が定着しない
毎年のように退職者が出るが、原因を深堀せず、環境を見直そうとしない。
3. 茹でガエルになる前に。働く環境を客観的にチェックしよう
一番怖いのはつらさに慣れてしまうことです。
新卒で入った園や、長く勤めている園が【ケースB】のような環境だった場合、「保育士とはこういうものだ」「よそに行ってもどうせ同じだ」と思い込んでしまうこともあるでしょう。
心理学では、これを「茹でガエル現象」と呼びます。徐々に温度が上がるお湯の中にいると、熱さに気づけず、気づいた時には逃げ出せなくなってしまう状態です。
気づかないうちに、“やりがい搾取”のような状況に陥ることもあります。身体を壊したり、大好きだった保育の仕事を嫌いになってしまったりする前に、「今の自分の環境は、世間一般の基準と比べてどうなのか?」を知っておくことが大切です。
1分でわかる「隠れ我慢」度診断
そこで、厚生労働省のガイドラインや、働きやすい園の取り組み事例をもとに、「本来守られるべき保育士の働き方リスト」を作成しました。
今のあなたの職場で「これはできている(YES)」と思うものにチェックを入れてみてください。
チェックがつかなかった項目(空白)こそが、あなたが知らず知らずのうちに背負わされている「隠れ我慢」の正体です。
参照元:
こども家庭庁「保育人材の確保のための総合的な対策」
こども家庭庁「保育の人材確保をめぐる施策動向及び保育の魅力発信の取組について」
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(今の職場環境は適正?過負荷?)
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