保育園を買収するまでの全フローを解説!M&Aでの事業参入を成功に導く手順とは

    保育園の買収は、自治体との調整やデューデリジェンスを含む段階的なフローを経て、事業引き継ぎが行われます。本記事では、保育園とのM&Aを成功させるフローを、仲介会社の実例に基づいて解説します。さらに、買収フローの要であるデューデリジェンス項目を保育園買収にあわせてリスト化。保育園とのM&Aがはじめてでも確実にリスク回避できるチェックリストを紹介します。

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    保育園買収フローの第一歩とは?

    保育園とのM&Aが一般企業のM&Aと大きく異なる点として、保育施設は社会福祉法人による運営が多いことが挙げられます。

    2024年に公表されたこども家庭庁の調査結果によると、保育分野における事業者の社会福祉法人による割合は全体の51%と最多となっています。

    非営利であることが前提の社会福祉法人とのM&Aでは、企業との取引にみられる「株式の売買」による事業承継はできないことに注意が必要です。

    このような特殊な運営母体が主であることや、保育園という施設の特性上、行政との許認可の手続きや補助金申請のハードル、また、案件の発掘自体が難しいケースが多いという難点もあるようです。

    しかし、厚生労働省の「合併・事業譲渡等マニュアル」によると、社会福祉法人の約43%が事業承継対策の必要性を感じているという調査結果があり、M&Aのニーズは確実に上昇していることは間違いないようです。

    M&Aの成功には、保育園とのネットワークや経営への理解、そして円滑な引き継ぎに長けた専門家チームを持つ仲介会社への相談が、不可欠といえるかもしれません。

    事業参入を成功させるために、保育業界に精通した専門的な仲介会社のサポートが必要と判断すれば、どの仲介会社を利用するのかが、成功に向けた買収フローへの第一歩となるでしょう。

    まずは信頼できるパートナーとして手を組める、保育園運営に詳しいM&A仲介会社を探してみるところから始めましょう。保育園M&Aならネクストビートに相談

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      【買収フロー1】仲介会社への相談と契約の締結

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      保育園買収フローの第一段階は、専門的な知見を持つ仲介会社へ相談し、M&Aを進めるための契約を結ぶことです。

      この初期段階で、情報漏洩を防ぐための措置や、買収の意思を明確にする手続きを行います。

      アドバイザーへの相談

      仲介会社のアドバイザーに、希望する買収条件や経営戦略について相談します。

      アドバイザーは、売却を希望している保育園の情報を提供しますが、この時点では、法人名を特定できない概要資料(ノンネームシート)が中心となります。

      秘密保持契約の締結・事業者の情報提示

      買収側がその情報に興味を持った場合、情報漏洩を防ぐために、仲介会社と秘密保持契約を締結します。

      この契約を結ぶことで、はじめて法人名が記載された詳細資料を入手し、検討を進めることができます。

      【用語チェック】秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement: NDA)とは?

      M&Aの検討プロセスで開示される相手法人の機密情報(財務状況、顧客情報、従業員情報など)を、外部に漏らしたり、契約以外の目的に使用したりしないことを約束する契約です。

      保育園の場合、子どもの情報や職員情報などセンシティブな情報が含まれるため、初期段階で必ず締結しましょう。

      仲介の契約後、意向表明書の提出

      買収側は仲介会社との間で正式な仲介契約を結び、M&Aのプロセスを本格的に進めます。

      次に、買収側の引き継ぎに対する意向や希望する引き継ぎ条件(買収価格の目安、雇用継続の意向、引き継ぎ後の経営方針など)をまとめた意向表明書を提出します。

      これは、売却元(譲る側)に買収側の意向や希望条件を伝える書面であり、交渉の土台にもなります。

      【M&A用語チェック】意向表明書(Letter of Intent: LOI)とは?

      買収側が売却元の法人に対して、M&Aの実行を希望する意思とその主要な条件を示す文書です。

      この文書は一般的には法的拘束力を持ちませんが、提示価格の目安、買収手法、スケジュールなど、今後の交渉を進めるうえで基本的な方向性を明確にします。

      POINT!
      保育園のM&Aでは、社会福祉法人の事業承継や、行政との連携など特殊な手続きが求められるケースがあります。保育園譲渡に特化した仲介会社を選ぶことが、スムーズな交渉と成功につながります。

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      【買収フロー2】買収先の選定と条件の調整

      仲介会社との契約後は、買収候補との具体的な交渉が始まります。

      このフローには、候補先の絞り込み、独占交渉権の確保、そして取引条件の調整という、M&Aの成否を分ける重要なステップが含まれます。

      買収候補との面談

      フロー1で作成した「意向表明書」の内容を、売却元(譲る側)が確認し、買収側からの意向があった場合、必要に応じて面談が実施されます。

      この面談は、M&Aに関する条件だけでなく、経営理念や保育方針、職員の引き継ぎに対する考え方が合致するかなど、数値には現れない要素をすり合わせる機会にもなります。

      売却元が安心して園を託せるよう、誠実かつ熱意を持って臨むことが大切です。

      覚書を締結

      面談などを経て、売却元の事業者は、交渉に進む候補先を一法人に絞り込みます。

      ここで選定されれば、以下の内容を含む覚書を締結するのが一般的です。

      • 機密保持
        詳細な情報開示にともない、改めて機密保持を約束。
      • 一定期間の独占交渉権
        この期間、売却元はほか候補との交渉を停止し、覚書を交わした事業者とのみ交渉。

      この独占交渉権を獲得することで、買収側はデューデリジェンスを含めた次のフローに進む準備ができるでしょう。

      売却元(譲る側)との条件調整・基本合意書の締結

      独占交渉権を得たのち、主に以下のような内容を中心とした取引条件を互いに調整します。

      • 価格・支払い方法
      • 引き継ぎ時期
      • 職員の処遇・対応
      • 資産・負債の範囲

      このフローでは、保育人材の確保も含めた、買収後の長期的な経営計画と照らし合わせながら条件を詰めていく必要があります。

      条件がまとまり次第、基本合意書を締結します。

      【M&A用語チェック】基本合意書とは?

      現時点での主要な取引条件について、双方が合意したことを確認する文書です。

      最終契約書の締結に至るまでの中間的な合意であり、法的な拘束力を持たないケースが多いようです。この締結により、最終段階のフローで重要な「デューデリジェンス」へ移行することが正式に決定します。

      「保育人材の確保」はなぜ重要?

      保育園は職員配置人数が法令で定められているため、必要数の保育士を確保できるかどうかが受け入れ児童数にダイレクトに影響します。

      M&Aによって経験豊富な職員が離職してしまうと、保育の質はもとより運営自体が維持できず、事業価値が大きく損なわれるリスクにつながるでしょう。
      そのため、既存の人材定着と新規採用の計画は、買収前から綿密なすり合わせが必要です。

      POINT!
      事業譲渡、合併などM&Aのスキーム(手法)によって税金や会計処理が大きく変わります。交渉や文書の作成など法的知識が必要な場面も多いため、会計士や税理士などの専門家と提携しながら、確実な意思決定を行いましょう。

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        【買収フロー3】DDによる最終確認を行い契約完了

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        最終的な契約締結に進む前に、買収対象となる保育園の価値とリスクを詳細に調査するデューデリジェンス(DD)を実施します。

        この調査こそが、M&Aの成功と安全性を決定づける最も重要なプロセスといってもよいでしょう。

        デューデリジェンスの実施

        デューデリジェンス(DD)は、M&A対象となる保育園の潜在的なリスクや問題点がないかを詳細に確認するプロセスです。

        基本的には、園の認可基準や法令を遵守しているか、雇用や勤怠の状況、補助金や簿外債務、資産の確認といった法務・労務・財務における企業の実態について監査を行います。

        とくに保育園の買収においては、一般的な企業買収で想定される問題点に加えて、行政や自治体との関係性に関わる特有のリスクについても調査する必要があります。

        保育園のデューデリジェンスを想定した項目のチェックリストはここで確認!

        M&A用語チェック】簿外債務とは?

        企業の財務表に計上されていない潜在的な債務のことです。

        たとえば、従業員への未払い残業代や、将来発生する可能性のある退職金(退職給付引当金)、係争中の訴訟による賠償金リスクなどが該当します。

        これらをデューデリジェンスで洗い出すことで、最終的な買収額や契約にかかる評価にも大きく影響します。

        「保育園の許認可」とは?

        保育園には、児童福祉法に基づき、国や自治体が定めた基準を満たしている施設は「認可保育園」、それ以外の園を「認可外保育園」として位置づけています。

        この許認可により、行政からの補助金を受けることができます。

        POINT!
        「保育園の許認可」に関しては、M&Aで事業を引き継いだ場合も、改めて認可取得の手続きが必要です。買収によってこの許認可が取り消される可能性もあるため注意が必要です(認可外園も自治体ごとの運営基準を満たす必要あり)。

        最終契約書の締結・買収完了

        デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な取引条件を再度調整して双方が合意に至れば、最終契約書を締結します。

        この最終契約書は、法的な拘束力を持つ合意文書であり、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書などをはじめ、M&Aの取引価格、支払い方法、表明保証、損害賠償などの事項が詳細に定められます。

        契約が締結したのちに施設や事業の引き渡しが行われ、買収が完了となります。

        【M&A用語チェック】表明保証とは?

        M&A契約締結日や実行日において、売却元(譲る側)が、最終的に交わした契約内容について「真実かつ正確であること」を表明し、保証する条項です。

        違反があった場合、売り手は買い手に対して損害賠償責任を負います。

        POINT!
        保育園のM&Aでは、行政指導の履歴、補助金受給の適正性、人員配置基準の遵守状況など、保育事業者ならではのDDチェックポイントがあるのが特徴です。これらは買収後の運営にも大きく関わるので、しっかり理解したうえで確認しましょう。

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        保育園買収のデューデリジェンス項目チェックリスト

        保育園のM&Aにおけるデューデリジェンスは、行政との関係性や特殊な会計処理が絡むため、一般的なM&Aよりも詳細な確認が必要です。ここでは、特に重要なDDのチェックリスト(一例)を紹介します。
        法務・施設に関する項目

        チェック 確認項目
        過去5年間に自治体から行政指導を受けていないか
        指導を受けた履歴がある場合、指導内容と改善状況は適切か
        認可・認定の履歴や、行政への報告義務を怠っていないか
        現行の法規制や自治体の基準をすべて満たしているか
        消防法や建築基準法に適合しているか
        園舎や関連施設・設備の大規模修繕や改修が間近に迫っていないか
        施設の賃貸借契約について、残存期間、解約条件、敷金の返還条件を確認できているか

        労務に関する項目

        チェック 確認項目
        過去の勤怠管理体制に問題はないか
        職員の未払い残業代がないか
        職員の雇用契約内容、有給休暇の消化義務、就業規則が最新の労働基準法に準拠しているか
        園長・主任保育士の離職リスク、過去3年間の職員の離職率を確認したか

        財務・会計に関するチェックリスト

        チェック 確認項目
        補助金が適正に計上・受給されているか
        不適切な経理処理がないか
        賃貸借契約の敷金は確認できているか
        退職給付引当金や訴訟リスクといった潜在的な債務がないか

        保育園の買収フローでもっとも重要なデューデリジェンスをまかせられる専門家を紹介します!保育園の買収・M&Aのご相談はネクストビートへネクストビートに相談出典:保育分野における事業者の経営力強化等/こども家庭庁出典:合併・事業譲渡等マニュアル/厚生労働省出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準

        ベストな買収フローを実行してM&Aを未来への飛躍に

        保育園の買収は、企業や法人の利益だけでなく、子どもたちの未来と保育・教育をより発展させることができる夢のある事業展開といえるでしょう。

        保育事業特有の難しさやリスクを把握しながら、具体的なフローをおさえることでスムーズに進めることができそうです。

        保育事業に精通したM&Aアドバイザーをはじめとした専門家チームを編成し、行政との連携を密に行うことで、保育園のM&Aというハードルもこなしていきましょう。

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