人材不足が深刻化する中、保育士の採用単価について知りたい方もいるかもしれません。「求人情報サイト」「人材紹介会社」「転職・就職フェア」を利用すると、どのくらい料金が発生するのかを知れば、採用計画も立てやすいでしょう。今回は、採用手法別の保育士の平均採用単価やコスト抑制対策について詳しく紹介します。
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保育業界の求人状況
厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」資料によると、2021年10月の保育士の有効求人倍率は2.66倍となり、依然として高い水準で推移しています。
出典:保育士の有効求人倍率の推移(全国)/厚生労働省からの抜粋
有効求人倍率の状況を見てもわかるように、子どもたちを見守る保育士の人材不足が深刻化しています。
さらに待機児童問題の解消に向けて、保育の受け皿の拡大が進む中、これからも保育需要は高まることでしょう。
このような状況において「保育士の採用がなかなか進まない」と悩む採用担当者の方もいるかもしれません。また、人材獲得競争が激しくなるにつれて、保育士の採用にどれほどの予算を算出するべきかと迷うケースもあるようです。
保育士の平均採用単価やコストの抑制対策などを把握して、これからの採用活動に活かしていきましょう。
【採用手法別】保育士の平均採用単価
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まずは、採用手法別にそれぞれの特徴と保育士の平均採用単価を紹介します。
求人情報サイト
特徴
求人情報サイトは、オンライン上で保育士さん向けの求人を掲載できるサービスです。地域に特化したものから、保育士専門の求人サイトなど多様な種類があります。
転職活動中の保育士さんの多くが利用しているため、求人を掲載することで応募者の増加に役立ちそうです。
採用単価
求人情報サイトの採用単価は掲載課金型と成功報酬型によって異なります。
<掲載課金型>
掲載課金型は求人広告を掲載すると、料金が発生するシステムです。大手サイトの多くはこの掲載型課金を導入しているようです。
掲載日数や地域によって平均採用単価は異なります。安価なところでは1万円以下から利用できるようですが、1万~40万円程度が相場といえるでしょう。
<成功報酬型>
成功報酬型とは、求人広告を掲載して一定の成果が出た時点で料金が発生するシステムです。初期費用や掲載料が無料でできる場合がほとんどです。
成功報酬型の手数料は、採用した保育士の年収の約20%~40%といわれています。
保育士の2020年度の平均年収は約374万円であるため、この数値を基に平均採用単価を算出すると、74万円〜149万円程度の費用がかかると予想できるでしょう。
人材紹介
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特徴
人材紹介会社は、別名「転職エージェント」と呼ばれるサービスです。
人材紹介会社に園の求人状況を伝え、登録者の中から条件に合った保育士さんを紹介してもらう仕組みとなっています。
面接日のスケジュール調整や年収や勤務時間などの条件交渉といった代行業務も頼むことができ、手厚いサポートが受けられるでしょう。
採用単価
人材紹介会社の多くは、採用の成功後に料金が発生する成功報酬型を導入しています。
報酬額はさまざまで、25万程度の固定料金を設定しているところもあれば、保育士の年収の約20%〜40%の紹介手数料を支払う場合もあるようです。
後者の場合は、先述の通り平均採用単価74万円〜149万円程度が目安となります。
転職・就職フェア
特徴
転職・就職フェアは、複数の保育施設がブースを出展し、会場に訪れた保育士さんと実際に触れ合う機会です。
各ブースに集まった保育士さんに対して自園の説明やアピールすることができるため、採用の成功率が高いといわれています。
採用単価
転職・就職フェアの出展費用は開催規模や地域によって異なりますが、一般的に1日あたり35万円~100万円程度の料金が発生するようです。
一度の出展で多くの求職者にアプローチできるというメリットがあり、全体の採用単価を下げることにつながるかもしれません。
また、求人掲載とフェアのセットで料金を設定している場合もあるため、開催する企業に詳細を確認する必要があるでしょう。
出典:賃金構造基本統計調査/厚生労働省
保育士の採用単価のコスト抑制対策
保育士の平均採用単価がわかったところで、コストを抑えるための対策について見ていきましょう。
ハローワークの活用
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ハローワークは、厚生労働省が管轄する職業紹介事業のひとつです。無料で求人を出稿することができるため、コスト抑制に役立ちます。
オンライン上で求人情報を公開していることから、転職活動中の保育士さんの目に留まりやすく、多数の応募が期待できます。
また、求人掲載期間は通常「登録日の翌々月末」となっていますが、延長を申請できるため、安心してサービスを活用するとよいでしょう。
養成校への声かけ
保育士の養成校に求人状況を伝えると、学生や卒業生の中に就職を希望する人材がいれば紹介してもらうことができそうです。
養成校では先生と生徒の結びつきが強いため、学校側と良好な関係を築いている卒業生も多いでしょう。就職後も相談やアドバイスをもらいに学校に訪れる保育士さんもいるようです。
自園の中途採用について説明しておくことで、優秀な人材を紹介してくれる可能性もあるでしょう。
自園のホームページを利用
自園のホームページに求人情報を掲載することも、採用コストを抑える方法のひとつです。
求職者向けに募集の内容を詳しく記載しましょう。
ホームページには保育方針や子どもたちの活き活きした様子を掲載している園も多いのではないでしょうか。
求人情報とともに温かな雰囲気が伝わる内容を掲載すれば、園の魅力を届けることができるかもしれません。
保育士の採用単価を把握し、自園に合った手法を取り入れよう
保育士の採用単価は採用手法によって違いがあるため、自園の予算と照らし合わせたうえでどのように採用活動を行っていくべきか検討することが大切でしょう。
ハローワークの活用や養成校への声かけなどを行い、コストを抑える対策を立てることが大切です。
また、最近は転職エージェントに登録する保育士さんも増加していることから、利用を検討してみると採用の幅も広がりそうですね。
手法別の採用単価を知り、自園にあった方法を取り入れていきましょう。