保育実習生を受け入れる際、実習日誌のコメントの書き方に迷う指導者の方もいるかもしれません。「目的を明確化する」「肯定したうえで注意点を伝える」などの添削のポイントを抑えておきましょう。今回はケース別に実習日誌のコメント例文を紹介します。併せて4つの添削のポイントや指導方法などをまとめました。
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■目次
保育実習日誌のコメントの書き方とは
保育実習日誌とは、保育園に来た実習生がその日の子どもたちの様子や保育士の援助方法などを記録し、自分が感じたことや反省点などをまとめたものです。
実習担当者は毎日記録をチェックして訂正やコメントを残します。
指導経験が少ない方やチェックが苦手な方などは、どのようにコメントを残したらよいのか迷う場面もあるかもしれません。
保育士としての成長を支えるためにも実習日誌の添削ポイントやコメントの書き方を把握して、学び多い実習期間となるように指導していきましょう。
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保育実習日誌の4つの添削ポイント
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まずは保育実習日誌の添削ポイントを紹介します。
目的を明確化する
保育実習日誌には「子どもへの理解を深める」「保育士の役割を学ぶ」といった目的があります。
このような目的を意識せずに日誌を書いてしまうと、何のために実習しているのかわからなくなってしまう実習生もいるかもしれません。
一日一日の実習目標を大切にすることを伝え、達成するためにどのような行動や観点が必要なのか、自身で考えられるように添削方法を工夫していきましょう。
誤字・脱字や話し言葉をチェックする
添削時は誤字や脱字、話し言葉が記載されていないかチェックすることが重要です。
例えば、「やっぱり」「ちゃんと」などの話し言葉を書いてしまう実習生もいるかもしれません。「やはり」「きちんと」と書くように伝え、正しい表記を説明していきましょう。
また、「~させる」「~してあげた」といった保育現場ではあまり使わない言葉についても確認することが大切です。
さらに、保育園の中には日誌の表記ルールが設けられている場合もあるでしょう。
事前に書き方のルールをまとめた資料を用意しておくと、添削する際に活用できそうですね。
わかりやすい言葉で説明する
コメントを書く際はわかりやすい言葉で説明することを意識しましょう。要点を抑えて伝えたいポイントをまとめて書くとよさそうです。
また、3歳児・4歳児クラスなど年齢によって援助方法は違ってくるため、クラスの状況や取り組んでいるねらいなどもきちんと伝えていきましょう。箇条書きにしたり、付箋を貼ったりと読みやすさに配慮することも大切です。
肯定したうえで注意点を伝える
添削時は注意点ばかりを記入するのではなく、実習生の考えや行動を褒めたうえで気をつけて欲しいことを伝えていきましょう。マイナスのコメントが続いていると落ち込んでしまいます。
自身の実習当時を思い出し、どんなことを伝えられたらうれしかったか、どんな風にコメントを残してもらえたら参考になったかを考えながら記入するとよいかもしれません。
【ケース別】保育実習日誌のコメント例文
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続いて、ケース別に保育実習日誌のコメント例文を紹介します。
ネガティブな表現が多い場合
ネガティブな表現が多く、前向きな言葉が少ない実習日誌もあるでしょう。コメントでは励ましの言葉や具体的なアドバイスを残すとよさそうです。
一例を紹介します。
実習お疲れ様です。
今日は子どもたちに積極的に声かけをしてコミュニケーションをとっていましたね。
日誌では自身の反省点を細かく書いていますが、子どもたちの行動を客観的に見て「どんな風に考えて行動したのかな?」「保育士としてどんなサポートができるだろう?」と考えながら一日を振り返って記録してみてください。
そうすることで新しい発見や気づきが見つかるかもしれません。自分の考えを整理しながら「次は~に子どもたちと接してみようと思います。」など、前向きな気持ちも表せるとよいですね。
〇〇さん(実習生)が楽しそうだと子どもたちも自然と笑顔になるものです。
まずは「楽しく過ごす」ことを大切に子どもたちと関わってみてくださいね。
実習の初めは緊張してどのように行動すればよいのかわからない方もいるでしょう。
日誌には実習への意欲が高まるコメントを意識して記載するとよさそうです。
抽象的な内容が多い場合
実習日誌の中には「子どもたちが楽しんでいたのでよかった。」「元気に遊んでいた。」など抽象的な内容が多い場合もあるかもしれません。
その際は具体的なエピソードを記録し、自身が気づいたことや感じたこともきちんと書くことを伝えられるとよいですね。
コメントの一例を紹介します。
〇日目の実習お疲れ様です。
今日は子どもたち一人ひとりと丁寧に接している姿が印象的でした。朝から泣いている〇〇ちゃんを励ましてくれていましたね。目線を合わせてしっかり向き合っていたので、〇〇さん(実習生)の優しい人柄が伝わってきました。
実習日誌ではそういったエピソードを具体的に記入し、どんな思いを持って励ましていたのか、自身の考えも書くようにしましょう。
印象に残った出来事を詳しく記入すると、それぞれの子どもの個性や性格を振り返る際も役立ちます。その点を意識して記録してみてくださいね。
上記のように「なぜエピソードを具体的に書くことが必要なのか」という点に触れてコメントを残せるとよいですね。
反省を活かすポイントが記載されていない場合
日誌にはその日に反省したことをふまえて、次の日の実習に活かすポイントを記載することが大切になります。しかし、実習生の中には反省後の目標が書かれていない場合もあるでしょう。
コメントを書く際は、その点を指摘したうえで文章をまとめられるとよいですね。
一例を紹介します。
〇日目の実習お疲れ様です。
今日は暑い中、室外での見守りお疲れ様でした。安全面を考えてしっかり子どもたちに声かけをしてくれていましたね。
日誌には〇〇さん(実習生)が自身の行動を振り返り、反省しているポイントがきれいにまとめられていました。
その反省を活かしてこれからどのように子どもたちをサポートしていくべきか、明日の実習に活かす内容を記入することも大切です。課題に対しての目標を書くことを意識してみてください。書き方でわからない点があれば、声をかけてくださいね。
上記のようにたくさんの反省点を書いていることを褒めたうえで、注意点を伝えていきましょう。また、書き方がわからない実習生も多いため、反省会などで「日誌を記入する際に不安な点はありますか?」などと声をかけるとよいですね。
誤字・脱字が多い場合
日誌の中で誤字・脱字が多く、指摘してもなかなか直らない実習生もいるかもしれません。その場合はコメント欄に具体的なアドバイスを書いていきましょう。
一例を紹介します。
実習お疲れ様でした。
子どもたちをしっかり観察して記録することができていました。〇〇ちゃんと〇〇くんがケンカをしていたときは、2人の話を聞いて仲直りができるようにしっかりサポートしていましたね。
実習日誌の中では子どもたちの様子をよく観察して記入できています。ただ、誤字・脱字が多い傾向にあります。「内容を音読する」「書いてから少し時間をおいて見直しをする」などを意識すると間違いに気づけるかもしれません。
保育士は保護者の方と連絡帳のやり取りをしたり、おたよりを書いたりと文章を書くことが多い仕事です。文章をスムーズに作成できるよう、この実習中に誤字・脱字をなくすことも一つの目標として頑張ってくださいね。
このように具体的にどのように見直しを行えば、誤字・脱字が減るのかをコメントに残せるとよいですね。繰り返しミスが続く場合は反省会などで指導していきましょう。
エピソードの記載だけで終わっている場合
日誌では保育の様子と合わせて、自分なりの振り返りや考察を記載することで、より学びにつながります。
しかし、その日の出来事を記載しただけで終わっている場合も多いもの。どんな風にコメントを書くとよいでしょうか。
〇〇の活動、お疲れ様でした。
しっかり子どもたちの様子や遊びの内容を記載できていて、〇〇さん(実習生)がじっくり子どもの姿を観察していたことがわかります。
明日からは、子どもの様子に加えて「〇〇さんがどんな考えで子どもに関わったか」「〇〇さんはその子がどんな思いでその行動をしたか」という内容を考えて、日誌に記載してみてください。
子どもたちの内面を洞察し、保育者としてねらいを持って関わるためには、〇〇さん自身が子どもの姿をどんな風に捉え、どんな意図で関わっていたかを記録していくことが大切です。ぜひ挑戦してみてくださいね。
具体的に指示を伝えることで、実習生さんも改善がしやすくなるでしょう。また、コメントの文章だけでは実習生さんに伝わりきっていないことも考えられます。対面でもアドバイスの声かけをすることで、より身についていくかもしれません。
実習日誌の指導ポイント
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最後に実習日誌の指導ポイントを紹介します。
実習日誌の添削の意図を直接伝える
添削中に指導の意図を文章で伝えられないケースもあるかもしれません。
その際は実習生にわかりやすい言葉で直接話してみるとよいでしょう。
また、コメント欄の内容に対して実習生がどのように思ったのか気になる場合は積極的に声をかけ、意思の疎通を図ることも大切になります。
実習生の個性を引き出す
実習生の中には、子どもたちへの関わりが自然にできる方もいれば、なかなか上手に接することができない方もいます。それぞれの個性を引き出すためには、よいところを見つけ「肯定すること」「褒めること」を意識するとよさそうです。
そのうえでどのような点に注意して実習に臨むべきかを指導していきましょう。
自身の考えを押しつけない
実習生はさまざまな経験を通して保育士としての資質や保育観を芽生えていくものです。
「子どもたちに接する際はこうすべきだ」などと決めつけたコメントを書いてしまうと、実習生自身が考える機会を奪う可能性があります。
指導する際は実習生の主体性を大切にしながら、自身の考えを押しつけないように気をつけましょう。
保育士としての成長を支えられるような実習日誌のコメントを考えよう
実習日誌は保育士としての成長を支えるうえで大切なものです。
チェックする際は日誌の書き方や子どもたちへの接し方、援助方法などについてわかりやすい言葉でコメントを残せるとよいですね。
それぞれの実習生の個性を大切にしながら、「未来の保育士を育てている」ということを意識して指導しましょう。
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