M&Aによる保育園買収は、既存の園を受け継ぎ、自分たちの理念や教育方針を反映できる手段のひとつとして注目されています。買収のメリットには、運営基盤の活用や収入の安定などが挙げられ、異業種からの参入に適している可能性も!今回は、保育園をM&Aで買収する利点を徹底解説!保育施設の基本的な概要を交えて、仲介業者選びの重要性も紹介します。
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【保育園の買収】M&Aという選択肢を
保育園経営を取り巻く現状の中で注目されているのが、M&A(買収や事業の引き継ぎ)という方法です。
新しく保育園を立ち上げるのではなく、すでにある園を引き継ぎ、運営を続ける仕組みのことを指します。
では、今なぜこのM&Aという方法が選ばれやすくなっているのでしょうか。
全国の保育施設数の推移を見てみると、その背景がよくわかります。
2014年(平成26年)の保育施設は2万4,425カ所でしたが、2024年(令和6年)には3万9,805カ所へと約1.6倍に増加しました。
この10年間で、認定こども園や地域型保育事業といった多様な形態の施設が増えてきました。
一方で、入園児の定員割れや人材確保の難しさ、運営資金への不安を抱える園が増える傾向も見られます。
その結果、売却や事業譲渡という形でM&A市場に出る園も少なくありません。
実際に課題のある園であっても、買収後に自社の強みや改善策を取り入れることで、黒字化に転換できる可能性があります。
「改善の余地がある園」を引き継ぐことで、買収後の成長のチャンスにつながることも!
保育需要が年々高まる今、既存園の買収は有効な選択肢のひとつです。
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【保育園の買収】M&Aのメリット
新しく保育園を立ち上げる場合、場所探しや許認可の取得、職員採用など、数多くの準備が必要になります。
一方で、M&Aによって既存の保育園を引き継ぐ方法には、買う側にとって多くの利点があります。
ここでは、M&Aを活用した買収のメリットを紹介します。
開設コストを抑え、早期に運営を始められる
保育園を新設するには、数千万円から数億円規模の初期投資が必要になる場合があるでしょう。
土地を購入したり、園舎を新築・改修したりする費用はもちろん、開園準備中も人件費や広告宣伝費がかかり、資金面で大きな負担になります。
M&Aであれば、すでに運営中の保育園を引き継ぐことができるため、大規模な施設投資を抑えられるでしょう。
「基盤を引き継いだうえで事業を展開できる」「大幅に準備期間を短縮できる」という点は、スピーディーに事業を進めたい場合に魅力的なポイントです。
安定した収入の仕組みを引き継げる
保育園の収入の多くは、国や自治体からの公的給付によって支えられています。
たとえば、認可保育園は、子どもの人数に応じた公定価格で給付が行われるため、比較的安定した収益が見込める仕組みになっています。
一方、新規開設の場合、最初から十分な利用者を集められるかどうかは不透明で、赤字経営に陥るリスクもあります。
その点、M&Aで既存の園を引き継げば、すでに利用している子どもや保護者がいて、安定した収入が期待できるでしょう。
運営実績を持つ園を承継できれば、銀行や金融機関からの信用も得やすく、追加の投資や事業拡大に向けた資金調達にもプラスになりそうです。
「初めから収入基盤が整っている」という安心感は、異業種から参入する経営者にとっても大きなメリットです。
雇用体制を受け継ぎ、採用コストを軽減できる
保育園経営で最も大きな課題のひとつが「人材確保」です。
保育士不足が続く中、求人広告や人材紹介会社を活用すると採用コストがかさみ、採用できても定着しないというリスクもあります。
M&Aで園を引き継ぐ場合、これまで働いてきた職員をそのまま雇用するケースが多いようです。
その場合は、新しく人材を一から集める負担を減らせるというメリットがあります。
また、既存の職員はすでに子どもや保護者との関わりを築いているため、その信頼関係を引き継げることも期待できそうです。
【保育園の買収】M&Aのデメリット
M&Aには多くの利点がある一方で、注意すべきリスクや課題もあります。
デメリットを理解したうえで準備すれば、安心して経営を引き継ぐことができるでしょう。
ここでは、保育園M&Aで想定される主なデメリットを紹介します。
買収費用や負債を引き継ぐリスク
人気エリアにある入園希望者の多い園は評価額が高く、買収資金が膨らむことがあります。
また、M&Aでは、園の資産だけでなく、借入金やリース契約、既存の取引関係などを引き継ぐケースもあるようです。その場合、思わぬ負債を抱えるリスクが発生することも考えられます。
そのため、デューデリジェンス(事前調査)を徹底して行い、適正価格での買収の検討が重要になりそうです。
情報開示の限界と見えにくいリスク
M&Aでは事前に調査や情報開示が行われますが、すべてのリスクを完全に把握できるわけではないでしょう。
契約前には見えていなかった課題が、買収後に明らかになるケースもあります。
ただし、できる限り丁寧に調査を進め、契約内容にリスク対応についても盛り込めば、大きなトラブルを防ぐことができそうです。
慎重に準備を重ねておけば、課題の早期発見や改善につながり、安心して運営を始めるための土台となるでしょう。
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経営方針や園文化の違いによる摩擦
前経営者が築いた園の文化や運営方針と、新しい経営者の考え方が異なる場合、職員との意思疎通や保護者への対応で、摩擦が生じる恐れがあります。
たとえば、保育の方針、職員の働き方、地域との関わり方などに違いがあると、現場に戸惑いが広がることも…。
ただし、既存の文化や職員の思いを尊重しながら、少しずつ新しい仕組みや改善策を取り入れていけば、双方のよさを融合できるケースもありそうです。
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保育園の基本概要と運営の仕組み
実際に買収を検討するうえで、保育施設の基本的な種類や運営についてチェックしていきましょう。
認可保育園
国が定める基準(施設の広さ、園庭の有無、保育士の人数配置、安全面など)を満たし、所轄自治体の認可を受けて運営している保育園です。
0歳〜5歳児を受け入れており、施設の規模はさまざま。
また、園児の人数に応じた「公定価格」と呼ばれる基準に沿って、国や自治体から給付金が支払われるため、安定した運営がしやすいのが特徴です(公定価格とは、保育園にかかる人件費や運営費を国が一定のルールで計算したものです。詳しくはこちら)。
共働きや病気・介護などで子どものお世話が難しい場合に利用が認められ、自治体が入園可否の調整を行います。
そのため、保護者にとっては子どもを預けられる代表的な選択肢となっています。
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小規模保育園
2015年に制度化された認可保育園の一種です。定員6〜19人程度、主に0〜2歳の子どもを対象としています。
運営にあたっては、認可保育園と同様に園児の人数に応じた「公定価格」による公的な給付を受けられるため、収入は安定しやすい仕組みです。
また、自治体の基準を満たす必要があるため、安全性や保育の質について一定の水準が保証されています。
少人数ならではのきめ細やかな関わりができるのが特徴で、特に都市部では待機児童対策として整備が進められてきました。
認可外保育園
認可外保育園は自治体の「認可」を受けていない保育園ですが、児童福祉法に基づいて設置・運営が行われており、一定の安全や衛生、職員配置に関する最低基準は定められています。
認可保育園よりも比較的、設置の自由度が高いことから、独自の保育方針や特色を取り入れやすく、柔軟な運営ができるのが特徴です。
0歳〜5歳児まで幅広く受け入れているケースが多く、英語教育や音楽・スポーツに特化した園、夜間・休日保育に対応する園など、認可保育園にはないサービスを打ち出す園もあります。
基本的には保護者からの利用料が収入源となり、国や自治体から一定の補助を受けられる場合もあります。
企業主導型保育園(企業型保育事業)
2016年から導入された仕組みで、企業が従業員の子どもや地域の子どもを預かることを目的に設けた保育園です。
制度上は0歳〜5歳児まで幅広く対応していますが、実際は園の方針や規模によって異なるため、0歳〜2歳児中心の園もあるようです。
認可外に分類されますが、国からの補助金を受けられる特別な枠組みとなっており、短期間で急増しました。
2022年度(令和4年度)以降、国は新規園の募集および定員増を停止する方針を示しており、現在は新規参入が難しい状況になっています。
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