保育園の売却や譲渡をする際に悩むのが、「動き出すタイミング」。園児や保護者との関わりにやりがいを感じながらも、収益や人材確保への不安が重なると「今が適切なのだろうか」と判断に迷うこともあるでしょう。今回は、経営者が押さえておきたい売却のベストタイミングや判断のポイントをわかりやすく解説します。保育園の収益が悪化している場合の売却・譲渡時期の目安もまとめたので、お役立てください。
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保育園を売却するタイミングはいつがよい?
保育園を運営していると、園児や保護者との関わりにやりがいを感じながらも、経営や人材確保などに悩む方もいるでしょう。
園の運営について、「いつまで存続できるのだろう」「売却を考えるならどの時期がいいのだろう」と迷うこともあるかもしれません。
保育園の売却・譲渡するタイミングについて詳しく見ていきましょう。
収益が安定しているとき
経営が黒字で安定しているときは、売却を検討するよいタイミングのひとつです。
買い手から見ると「将来も安心して運営できる園」として評価されやすく、条件も有利になることがあります。
長期間にわたり黒字が続いていると、その分だけ社会的な信用も高まり、より好条件での売却が期待できるでしょう。
園児の定員の充足率が高いとき
定員に対して園児の数がしっかり埋まっている状態は、保育園の安定性を示す大きな目安になります。
「継続的に需要がある園」と見られ、買い手からの評価も上がりやすくなるでしょう。
反対に園児が少ない場合は園の価値が下がってしまうことがあるため、充足率が高いうちに売却や譲渡を検討するとよさそうです。
補助金や制度が変わる前
保育園の経営は、自治体や国の制度や補助金に大きく左右される場合があります。
特に認可保育園を経営している場合は、自治体からの「公定価格(保育料にあたる基準額)」や各種補助金が収入の大部分を占めているため、改定があると収益や人件費に直接影響するでしょう。(公定価格の詳しい説明はこちら)
たとえば、職員配置の基準が見直されれば人件費が増え、公定価格が下げられれば、収入が減ることも考えられます。
こうした変更が行われる前は収入の見通しが安定しているため、買い手にとっても評価しやすい時期といえそうです。
また、2026年度から全国で本格実施される「こども誰でも通園制度」も、経営に影響を与える可能性があります。
この制度は、就労の有無にかかわらず0歳6か月から満3歳未満の子どもを一定時間預けられる仕組みです。(誰でも通園制度の詳細はこちら)
すでに各地の自治体では受け入れ園の募集が始まっているようです。
条件をクリアした場合は、子どもの受け入れ人数が増え、補助金が支給される場合もあるため、園にとってプラスに働くこともありそうです。
詳しくは、各自治体の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
後継者への引き継ぎを考え始めたとき
園を立ち上げてから年月が経つと、「この先、誰が園を支えていくのだろう」と考える場面もあるでしょう。
体力的な不安やライフステージの変化などから、信頼できる方に後継者を引き受けてもらいたいという気持ちになる方もいるようです。
しかし、身近に後を託せる人が見つからないことも少なくありません。その場合は、外部の事業者に引き継ぐことも一つの選択肢となります。
経営が安定している時期に準備を始めておけば、職員や保護者への影響を最小限にしながら、スムーズに引き継ぎを進めやすくなるでしょう。
地域の保育需要が変化する前
保育園の経営は、地域の人口や家庭の働き方によって左右されます。
住宅地の開発が進めば園児数が増えることもありますが、少子化や競合園の開設によって定員の充足率が下がるケースも考えられます。
地域の保育需要が安定している時期に売却を進めれば、買い手にとって将来の見通しを立てやすく、評価につながりやすいでしょう。
反対に、すでに園児数の減少や競合増加が目立ってからでは、園の価値が下がってしまう恐れがあります。
自治体の計画や地域開発の動きを確認しておくと、判断の目安になるでしょう。
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保育園の収益が悪化している場合の売却タイミングはいつ?
「収益が安定していないのに、売却できるのだろうか」と不安を抱く方もいるでしょう。
確かに、収益が安定している園は買い手から評価されやすい傾向にあります。
では、収益が不安定な場合はいつ売却を検討すべきでしょうか。
ポイントは、赤字が慢性化する前に、改善に向けた取り組みや将来性を示せる段階で動き出すことです。収益減が長期化すると、買い手の評価が下がる恐れがあるためです。
課題を整理し「改善の余地がある園」と見てもらえるうちに行動を起こしましょう。その際には、収益が不安定な理由も具体的に整理しておくと役立ちます。
【例】
- 園児数が定員に満たず、充足率が低い
- 職員の人件費が高く、収益を圧迫している
- 物価や光熱費の上昇で運営コストが増えている
- 補助金や制度の変更で収入が減少している
- 設備投資や修繕費が一時的に重なっている
こうした要因を明確にしておけば、買い手から「現状を正しく把握して、真剣に売却・譲渡を考えている園」と捉えられ、プラス評価につながる可能性があります。
また、今後の運営に見通しが立たず不安を抱えている場合は、経営コンサルタントや専門家に相談してみるのも一つの方法です
保育業界に詳しいネクストビートでは、園の運営状況を踏まえたうえでこれからの経営について、ご相談に応じます。
人材採用・園児募集など幅広くサポートさせていただきますので、お問い合わせお待ちしています。
無料相談保育園を売却するタイミングを逃さないで!必要な事前準備
「売却すると決めたときにすぐ動けるようにしておきたい」と考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
実際にタイミングを逃さず売却を進めるためには、日頃から準備しておくことが大切です。
ここからは、売却に向けた必要な事前準備を紹介します。
定期的に収益や経費を見直しておく
保育園を売却するとき、買い手は「安定した収益が見込めるかどうか」を重視する可能性があります。
そのため、日頃から収益と経費のバランスをチェックし、安定した収益が続くように工夫しておくことが大切です。
たとえば、人件費や光熱費、備品の購入費などを固定費と変動費に分けて確認するだけでも、どこに無駄があるのかが見えてくるでしょう。
さらに、収益が安定しているデータをきちんと残しておけば、売却交渉の際に「経営の健全性」を裏付ける証拠になりそうです。
園児数と稼働率をしっかり把握する
園児の定員に対する充足率は、園の安定性を示す重要な指標です。
買い手は「この園に子どもが集まり続けるか」を知りたいと考えているため、定員の埋まり具合や地域の待機児童の有無などをチェックすることでしょう。
そのため、普段から園児数や稼働率をきちんと把握しておき、年度ごとの変化や入退園の傾向を整理しておくとよいですね。
こうしたデータを準備しておけば、売却の場面で「今後も安定して運営できる園」ということを説明しやすくなるでしょう。
売却に必要な情報を収集する
売却を検討する際には、園の内部データだけでなく、地域の状況に関する情報も押さえておくことが大切です。
たとえば、人口動態や女性の就業率の状況、新しい住宅地の開発予定などは、将来の保育需要を左右するポイントです。
以下のグラフは、都道府県ごとの女性就業率と1・2歳児保育利用率を示したものです。
女性の就業率が高い地域では、保育利用率が上昇していることがわかります。
引用:保育を取り巻く状況について/厚生労働省
事前にこうした地域ごとのデータもまとめておくと、売却時に「将来的な需要を見込める園」として説明でき、買い手からの評価も高まる可能性があります。
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保育園を売却するべきか迷ったときはどうする?専門家への相談が大切
「このまま続けるべきか、それとも売却した方がよいのか」といった迷いに直面することもあるでしょう。
そんなとき、一人で抱え込まずに、まずは専門家へ相談してみることをおすすめします。
客観的な視点からアドバイスをもらうことで、ご自身の気持ちが整理されたり、これまで気づかなかった新たな選択肢が見えたりすることもあります。
もし、どこに相談すればよいか迷われた際には、ぜひネクストビートにご相談ください。
まずは園への想いや現状をじっくりお聞かせいただき、一緒に最善の道を考えていくパートナーとして、お力になりたいと考えています。
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