保育士は「給料が低い」と言われるなか、処遇改善で人件費が10.7%引き上げられました。
2025年度に公表された統計では、正社員の平均年収は約407万円、パートの時給1,370円へ改善。ただし「手取りがあまり増えていない…」との声もあります。今回は、年齢・経験別の推移、公立と私立の違い、地域手当で年間最大30万円が追加支給される制度を解説!さらに転職で年収アップを実現した体験談も紹介します。
保育士の平均年収
約407万円(2024年度の平均額)
平均労働時間
月162時間
年齢別の目安
20代=300万円台前半/30代後半〜40代=400万円超
平均給料
正社員月給約28万円/パート時給1,370円
出典:賃金構造基本統計調査(令和6年)/厚生労働省
【2025年最新】保育士の平均年収は約407万円・パートは時給1,370円!
保育士は子どもたちの笑顔や成長を支えるやりがいのある仕事。
しかし、これまで「保育士の給料は低すぎる」という声は根強く、処遇改善の必要性がたびたび取り上げられてきました。
そんな中、政府は2024年度に保育士の人件費を10.7%増額することを発表。
実際にはどれくらい給料に変化があったのでしょうか?
厚生労働省が2025年に公表した最新調査(2024年度分)によると、保育士の平均給料は、正社員で月給27万7,200円・年収406万8,100円(賞与込み)です。
パートでは、時給1,370円・年収154万7,420円(賞与込み)となっています。※1日5.5h×月16日換算
下記でもわかるように、政府による人件費10.7%引き上げが反映され、2023年度よりも正社員・パートともに、平均年収が上がっていることがわかりました!
正社員
- 平均月給27万7,200円
- 年間賞与等74万1,700円
- 年収(支給額)406万8,100円
- 前年からの年収UP+約9万9,100円
パート(1日5.5h×月16日換算)
- 平均月給12万560円
- 時給1,370円
- 年間賞与等9万1,700円
- 年収(支給額)154万7,420円
- 前年からの年収UP+約6万5,668円
ちなみに、正社員とパートの平均の手取り額はこちら。
正社員
月21万〜24万円程度
パート(1日5.5h×16日換算)
約11万5,000〜11万7,000円程度
※一般的に正社員は年収の約75〜85%、パートは年収の95~97%が手取りの目安で算出
保育士の給料は額面(支給額)で示されますが、実際に手元に残る「手取り額」は税金や社会保険料を差し引いた金額になります。
統計上は平均給料は上がっている一方、「賃金は上がっていても、税金や社会保険料が高く、手取りが少ないと感じる」という方もいるでしょう。
そんな不安がある方はこちらの記事をチェックしてみてくださいね。
【年齢・経験別】保育士さんの平均給料
2024年度の保育士さんの年齢・経験年数別の平均給料を見ていきましょう。
年齢
20代前半では年収300万円台前半にとどまりますが、30代後半~40代で年収は400万円台と、年齢を重ねるにつれて、給料が少しずつ上がっていることがわかります。
年齢 | 月給 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 22万8,900円 | 51万7,800円 | 326万4,600円 |
25~29歳 | 25万1,000円 | 62万7,000円 | 363万9,000円 |
30~34歳 | 26万4,400円 | 65万6,300円 | 382万9,100円 |
35~39歳 | 28万1,100円 | 83万7,400円 | 421万0,600円 |
40~44歳 | 27万6,600円 | 80万8,200円 | 412万7,400円 |
45~49歳 | 28万6,400円 | 86万3,700円 | 430万0,500円 |
50~54歳 | 28万8,300円 | 81万9,000円 | 427万8,600円 |
55~59歳 | 30万1,800円 | 95万7,100円 | 457万8,700円 |
60~64歳 | 29万5,100円 | 81万3,000円 | 435万4,200円 |
65~69歳 | 26万2,600円 | 51万8,900円 | 367万0,100円 |
※平均年収は「所定内給料額×12カ月+年間賞与その他特別給付額」で算出
50代後半には年収450万円前後が目安となり、キャリアを重ねるごとに収入が着実に伸びていく傾向が見られますね。
一方で、60代に入ると年収は、再び430万円台から360万円台へと下がっています。
これは、定年後の再雇用によって給料水準が見直される影響が大きいのかもしれません。
経験年数
経験年数別の給料の推移をチェックしてみましょう。
保育士さんの初任給は22万6,800円、賞与込みの年収は約285万円です。
ただし、5~9年の経験を積むと370万円台と、約85万円アップしています。
さらに10年以上経験を積めば、400万円前後となり、15年以上のベテラン層では460万円台まで伸びています。
この頃には、主任やリーダーなどの役職に就く人も増え、責任や業務内容に応じて収入が上がる傾向が見られるでしょう。
経験年数 | 月給 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
0年 | 22万6,800円 | 12万9,100円 | 285万0,700円 |
1~4年 | 24万0,500円 | 58万4,000円 | 347万0,000円 |
5~9年 | 26万0,000円 | 67万0,700円 | 379万0,700円 |
10~14年 | 27万2,100円 | 72万0,000円 | 398万5,200円 |
15年以上 | 30万2,700円 | 100万3,900円 | 463万6,300円 |
※平均年収は「所定内給料額×12カ月+年間賞与その他特別給付額」で算出
保育園で長く働くほど、収入面での安定が期待できる傾向がありますね。
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【公立・私立別】保育園・幼稚園の保育士等の給料
施設別の保育士さんの給料について詳しく見ていきましょう。
私立保育園は、月給およそ34万8,119円・年収417万7,428円(賞与込み)です。
公立保育園の、月給およそ36万5,542円・年収438万6,504円(賞与込み)と比べると、低めの傾向があります。
公立保育士の給料が高いのは、地方公務員として勤務し、国家公務員の基準に準じて安定的に支給される仕組みがあるためです。
一方、私立保育園は公立よりも給料が低いものの、運営母体によっては、実力や経験が重視されるため、若いうちから高収入を得られる場合もあるでしょう。
施設形態 | 月給 | 年収 |
---|---|---|
私立保育園(保育士) | 34万8,100円 | 417万7,400円 |
公立保育園(保育士) | 36万5,500円 | 438万6,500円 |
私立幼稚園(保育教諭含む) | 33万5,400円 | 402万4,600円 |
公立幼稚園(保育教諭含む) | 40万4,500円 | 485万4,400円 |
※「1人当たり給与月額(賞与込み)」の金額は、令和6年3月分の月額給与。職員の給与には、月額給与の他、令和5年度分の賞与の1/12が含まれる
※幼稚園は、保育教諭(保育士+幼稚園資格を持つ方)の給料が含まれています。
保育園と同様に、幼稚園でも私立の給料水準は公立を下回る傾向があります。
ただし、少子化の進行や保育・教育制度の変化に伴い、公立の保育園や幼稚園の数自体は減少しています。
そのため、もし就職や転職を視野に入れるなら、給料だけではなく、通いやすさや将来性なども考慮することが大切です。
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2025年の4月からスタート! 処遇改善で保育士の給料はどう変わる?
2023年度から2024年度の平均給料を見ると、保育士さんのお給料は上がっていることがわかります。
これは、国が処遇改善の取り組みを進めてきた成果のひとつといえるでしょう。
さらに2025年4月からは、新しい処遇改善制度がスタートしました。
これまでは手当が一時金としてまとめて支給されることが多く、「普段の生活では実感しにくい」という声もありました。
新しい制度では、手当が毎月のお給料に上乗せされる形が増え、日々の生活の中で「給料が上がった!」と感じやすくなることが期待されています。
【2025年4月~給料アップ例】
・すべての保育士さんが対象:基本給の引き上げ
毎月のお給料に 5,000円〜9,000円ほど手当が上乗せされます。
・経験年数に応じた加算
勤務1年目から少しずつ加算が始まり、10年以上勤務している保育士さんには月1万円程度の加算が見込まれています。
・役職やリーダー職への手当
主任・副主任・リーダーなどの役職に就いた方や研修を受けた・修了した方には、毎月2万〜4万円の手当が加わります。
処遇改善の詳細は、こちらをご覧ください。
※旧制度で支給されていた手当は、そのまま引き継がれつつ、新しい仕組みに合わせて見直しが行われます。
このように処遇改善制度が整えられていることから、今後も少しずつ給与の増額が見込まれます。
正社員の給料アップ例
パートの給料アップ例
なかには、「私の園は処遇改善手当がない…」と給料面で不安を抱えている方は、保育士バンク!にご相談ください。あなたが安心して働ける職場を一緒に探してみましょう。
処遇改善に取り組む園を紹介してもらう採用されるだけで年間30万円プラスも?保育士向けの地域手当が大幅に拡充!
国の処遇改善で給料の昇給が期待される中、自治体ごとに独自の手当や補助を設けている地域もあります。
「年間30万円支給」「勤続ごとにボーナス」など、思わず目を引くような制度も!
代表的な自治体の取り組みをまとめたので、給料アップに向けて、チェックしてみてくださいね。
兵庫県・神戸市【最大30万円の一時金!】
神戸市では、市内の私立保育園や幼稚園に新しく採用された保育士さんに対し、1~2年目で最大30万円の一時金が支給されます。
さらに、3年目以降も節目ごとに最大20万円の支援が続き、7年間で合計最大160万円を受け取れる仕組みになっています。
採用されるだけでまとまった金額がもらえるというのは、就職・転職を考える方にとってうれしい支援ですよね。
また、出産や子育てで現場を一度離れた方がパートとして復帰する場合には、10万円の一時金が支給されます。
ブランクがあっても経済的な支援が受けられると、安心して再スタートがきれそうです。
出典:「6つのいいね」の神戸で保育士・幼稚園教諭になろう。/神戸市千葉県・千葉市【月最大4万円の給料アップ!】
千葉市では、市内の認可保育園などに勤務する保育士さんに対して、国の処遇改善に加えた独自の給料上乗せ制度を導入しています。
具体的には、園を通じて月額最大4万円が給料に上乗せされる仕組みです。自治体から認可を受け、処遇改善等加算の認定を受けた民間の園で働く方が対象です。
北海道・札幌市【勤続年数ごとに10万円支給】
札幌市では、保育士さんの定着を後押しするために、勤続年数に応じて一時金を支給する制度を導入しています。
市内の認可保育所や認定こども園などで働く保育士さんに対し、3年目・6年目・9年目の節目ごとに10万円が支給されます。処遇改善手当などとの違いとして、交付対象者本人の口座へ直接支給されるのが特徴です。
認可保育所、認定こども園、地域型保育事業所、札幌市一時預かりを実施している幼稚園で働く方が対象です。
長く働き続けるほどメリットが大きく、仕事へのモチベーションもアップするでしょう。
出典:札幌市東京都・江戸川区【月1万円+勤続5年報奨金10万円】
東京都の江戸川区では、保育士さんが安心して長く働けるように、毎月の給料加算と勤続報奨金を組み合わせた支援制度を実施しています。
具体的には、市内の認可保育園などで働く保育士さんに対し、区独自の手当として毎月1万円が支給されます。
また、勤続5年に達した翌年度に10万円の報奨金も受け取ることができます。
このような取り組みにより、保育士さんが安心して働き続けられる環境づくりを進めています。
出典:東京都江戸川区転職で実現!「給料50万円アップ&退職金あり」の園に出会えた体験談
続いて、実際に転職をきっかけに年収が増え、安心して働けるようになった方の体験談を紹介します。
転職で年収330万円から年収380万円に上がった!体験談
前職ではサービス残業や低い賞与に不満があり、園長との方針の違いも重なって転職を決意しました。
子どもたちの卒園を見届けたい気持ちから入社時期に迷いましたが、調整してもらい、4月から新しい園で働くことに。
複数の園を見学し、園長の人柄や子どもたちの様子を重視して転職先を決定しました。
結果として賞与が高い園に出会え、年収は約50万円アップ。
給料面と働きやすさの両方に満足しています。
転職を考える際は、給料だけでなく賞与を確認することが大切だと感じました。
「このまま働いたら退職金がもらえない!」退職金制度のある園へ転職した体験談
勤務するなら長く勤めたいという気持ちはあったので6年間勤めたものの、その園では、退職金制度がなかったので、転職を決意しました。
多忙ななかの転職活動だったので、早番の後や夜19時、20時から面接を行ってもらいました。
結果的に、希望だった「退職金制度完備」「家賃補助あり」の園へ転職することができました。
新しい園は職員数も多く交代制が整っており、以前よりも働きやすい環境です。
制度面と働きやすさの両方を得られたことで、長期的に安心して続けられる職場に出会えました。
その他の転職者の方のインタビューはこちらをご覧ください。
保育士バンク!に転職相談保育士の給料~よくある質問Q&A~
保育士の給料に関するよくある質問をまとめました。
正社員とパートで給料にどのくらい差がありますか?
正社員は賞与も含まれるため、パートとの差は大きくなります。
地域によって給料は変わりますか?
都市部ほど給料水準が高い傾向にあるため、一度求人情報をチェックしてみるとよさそうです。
公立と私立ではどちらの給料が高いですか?
ただし、少子化や制度改革により公立幼稚園の数は減少しているため、単純比較だけでなく勤務先の安定性も考慮する必要があります。
給料を上げる方法はありますか?
「給料がなかなか上がらない」と諦めず、一度どのような求人があるかを、確認することが大切です。
高収入の求人を知りたい出典:国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項/こども家庭庁出典:保育士/厚生労働省出典:令和7年度以降の処遇改善等加算について/こども家庭庁出典:賃金構造基本統計調査
保育士の給料は上昇傾向!あなたが納得のいく給料をもらうために行動しよう
処遇改善や自治体独自の取り組みにより、保育士の給料は少しずつ上昇しています。
正社員・パートともに平均年収は上がってきていますが、園や地域による差が大きく、「思ったほど手取りが増えていない」と感じる方も少なくありません。
今回紹介したように、各地域の手当の活用や退職金・賞与が充実した園へ転職すると、年収がアップする可能性があります!
「もっと安定した収入を得たい」「自分に合った園を探したい」と考えた時は、保育士バンク!にご相談ください。
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