保育園勤務による手当について最新の情報を知りたい保育士さんもいるでしょう。手当には保育園や国、自治体ごとにさまざまな種類があります。今回は、2023年度の最新の状況から保育士さんが月給以外に受け取れる各種手当について紹介します。各種手当や国の処遇改善の種類、また自治体の人材確保策の手当についてもまとめました。
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保育士がもらえる手当にはどんな種類がある?
世間的に保育士さんは給与が低いと言われているなかで、どのような手当をもらえるのか気になる方もいるでしょう。実際、収入面の不満から離職してしまうケースも少なくないようです。
このような現状をふまえ、国は保育士不足の解消や待機児童問題の軽減などを目的として、処遇改善の取り組みに力を入れています。
また、他職種との賃金格差を解消することをねらいとして、国だけでなく自治体や保育園でも独自の手当を支給 しているようです。
保育士さんが受けられる手当の種類は、以下の3つに分けることができます。
保育士のように国家資格を保有している場合に受け取れる「資格手当」から、出勤するうえで必要な「通勤手当」など一般的なものまで、保育士さんが受け取れる手当にはさまざまな種類があるようです。
次からくわしく見ていきましょう。
保育園から保育士に支給される手当
保育士さんが園から毎月受け取る給与には、いくつかの手当が含まれていることもあります。
パートやアルバイトとして働いている方も手当の対象ですが、全ての保育園が手当を設定しているというわけではないようです。また、園によって手当の支給額も異なるので、事前に調べておくとよいでしょう。
では、保育園から保育士さんへ支給される手当の種類を紹介します。
資格手当
資格手当とは、保育士資格を持っている場合に毎月の給与へ上乗せされる手当です。
相場としては5000円~15000円程度もらえることが多いようですが、保育園によって金額に差があります。
園によっては基本給に含まれている場合もあるようですので、勤務時に給与に含まれる手当があるのかを確認してみるのがよいでしょう。
特殊業務手当
行事の準備などにより残業や持ち帰りの仕事が続くなど、通常に比べてこなす業務の負担が多い場合に支払われる手当です。
ただし園により特殊業務手当がつかないなど、こちらも保育園により対応は異なるようなので、求人票などを確認する必要があるでしょう。
役職手当
役職手当とは、園長や副園長、主任など、役職に就くと受け取れる手当です。
近年は専門リーダーや職務分野別リーダーなどの中間管理職が新設され、役職手当を受け取れるポジションが多くなりました。
役職手当の支給があることで、それぞれの役職に就くことを目標に掲げて長く勤めようと考える保育士さんが増えることも期待されているようです。
扶養手当
扶養している家族(配偶者や子どもなど)がいる場合に支給される手当で、扶養人数に応じて手当額が異なることが多いようです。
以前は、女性が多い職場であったことから制度自体がない保育園が多かったようですが、現在では男性保育士が増えていることや、女性も家計を担うことが異例ではなくなってきていることもあり、扶養手当を導入している園も増えてきているようです。
保育手当
保育士さんが子育てと両立しながら長く働くことができるように支援する制度で、勤務している保育士さんが子どもを保育施設に預けた場合、その費用を勤務先が負担する手当です。
勤務先が決めるため費用助成の額はさまざまですが、主に実際にかかる費用の一部負担としていることが多いようです。
通勤手当
通勤にかかる費用を勤務先が負担します。主に往復でかかる電車代が支給されますが、車通勤の場合はガソリン代などが月額一律支給されるなどの制度もあります。
電車代は全額支給されることがほとんどですが、勤務先によって月の上限額が決まっている場合があります。
これは求人募集要項に記載されていることが多いため、転職時に応募する園に金額の上限がある場合は事前に計算しておくとよいかもしれません。
園や経営企業・法人ごとに取り入れている手当の種類は異なります。
また金額の幅や対象となる範囲なども異なりますので、入職時の契約書や求人の段階などで手当の有無や内容をしっかり確認する必要があるでしょう。
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国から保育士に支給される手当
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国から支給される保育士さん向けの手当は主に2種類あります。基本的な支給方法は、国から保育園へ補助金として支給され、それを給与支払いのタイミングなどで別途手当としていっしょに保育士さんに支給される流れとなっています。
処遇改善等加算Ⅰ
処遇改善等加算Ⅰは、平均経験年数によって賃金改善が期待できる制度 です。
国から支給される手当は、保育園を介して保育士さんの手元に届く仕組みになっており、園の判断によって職員に配分されるようです。そのため、一人ひとりが受け取れる額は、保育園によって差があるかもしれません。
そのような理由で、金額はひとくくりにはできませんが、おおむね月額10000円~最大38000円(2~12%)程度、給与が割増になるようです。
なお処遇改善手当は、認可外保育園へ勤める保育士さんは対象外となっています。
処遇改善等加算Ⅱ
処遇改善等加算Ⅱは、若手や中堅保育士さんがキャリアを積みやすくするための制度です。
新たに職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士という3つの役職が追加され、キャリアアップ研修を受講することで、これらの役職を目指しやすくすることを目的としています。
保育士のキャリアアップ研修の研修分野は以下の8つです。
一定の要件を満たし8つの研修を受講したのち、職務分野別リーダーにキャリアアップすれば、月額5000円の手当を受けることができます。
また、専門リーダーや副主任保育士としてキャリアアップを実現すれば、最大月40000円が給与にプラスされる仕組みとなっています。
処遇改善加算Ⅲ
2022年2月からの賃上げで、月額9000円が給料に上乗せされる制度ができました。
これは、保育士さんなどに対する賃金の継続的なベースアップのためとされており、保育園などの施設が、対象となる保育士さんの人数を申請し、その人数×施設ごとの単価の金額が園に支給されるといったもののようです。
この処遇改善加算Ⅲは、導入時点では終了未定となっていましたが、こども家庭庁から2025年度にすべての処遇改善加算が一本化される予定があるとのことが公表されていますので、期間限定の手当であるようです。
自治体から保育士に支給される手当
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保育園が所在する都道府県や市区町村から保育士さんに対して手当が支給されます。
国と自治体が費用を折半して補助する住宅支援や家賃補助である「保育士宿舎借り上げ支援事業」、東京都独自のキャリアアップ補助などがあり、各自治体により手当の種類や額が整備されています。
例えば東京都大田区では、勤務する保育士さん1人につき毎月10000円に相当する額が区より勤務先に支給されます(勤務要件あり)。
これは、勤務先の園が申請することで区から相当額が支給されるため、園によって給与支払いのタイミングなどで保育士さんの手に渡るようにしているようです。
北海道札幌市では、採用から3年・6年・9年勤務を続けた保育士さんなどに対して、一律10万円の一時金を給付する事業が独自に行なわれています。
こちらは保育士さんが区に申請することで直接受け取ることができますので、保育士さんは忘れずに手続きしましょう。
転職の際などは、対象地区の自治体から支給される手当の有無や、ある場合の対象の範囲、手当の内容などを、事前に自治体のサイトなどで調べるとよいかもしれません。
保育士の手当の種類を知り転職に役立てよう
保育士として働くにあたり、給料がいくら支給されるのかは気になる点でしょう。
転職の際などは、月給の額面だけで判断せず、手当を受け取ることにより満足できる収入になることも考慮してみましょう。
保育士さんの離職理由として、給与が他業種に比べて低いということが問題視されています。
保育士さんを確保して待機児童問題を解消するためにも、今後もさまざまな処遇改善が行われるかもしれません。
国だけでなく、自治体や保育園から受け取れる手当によっても収入は大きく変わるでしょう。
転職先でどんな手当や補助金が支給されるかを確認したい保育士さんは、保育士バンク!を利用して転職先を探してみましょう。
専任の転職エージェントが、手当や給与面もご希望を考慮しながら、保育士さんの理想の転職をお手伝いします。
相談やリサーチだけでも大歓迎!お気軽にお問い合わせください。
出典:保育士確保/厚生労働省
出典:調査研究協力者会議における議論の最終取りまとめ(概要)~保育士のキャリアパスに係る研修体系等の構築について~/厚生労働省
出典:技能・経験に応じた追加的な処遇改善(処遇改善等加算Ⅱ)に関するFAQ(よくある質問)/内閣府子ども・子育て本部
出典:令和5年度札幌市保育人材確保に向けた一時金給付事業申請の案内/札幌市
出典:大田区内で働く保育士の皆様へ~大田区保育士応援手当/大田区