「放課後児童クラブ」「学童保育」など、小学生を放課後に預かる施設のさまざまな名称を耳にすることがあるかもしれません。似たような言葉が多いため、働く人には違いがわかりにくいこともあるようです。今回は制度上の違いを整理しながら、公営の放課後児童クラブと民間学童の違い、放課後等デイサービスとの違いなども解説します。
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学童保育と放課後児童クラブは同じ?
「学童保育」と「放課後児童クラブ」は、実は法的には同じ意味を持つ言葉です。ただし呼び名や運営主体の違いによって、現場での役割や求人内容に違いが生じることもあります。
法的な定義
「放課後児童クラブ」や「学童保育」のように呼び方は異なっていても、制度上はすべて児童福祉法に定められた「放課後児童健全育成事業」に該当します。
この放課後児童健全育成事業については、こども家庭庁が以下のように定義しています。
児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものです。
出典:放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)/こども家庭庁
法的には、放課後児童健全育成事業もしくは放課後児童クラブが正式名称であり、学童保育は俗称や一般的な呼称といえるでしょう。
一般的には、どの名称も事業内容や制度上の違いはないため、同じものととらえておくとよさそうです。
名称の違い
実際の現場では、自治体ごとに呼び名が異なるケースがあり「学童クラブ」「児童会」といった通称が使われている地域もあるようです。
求人や掲示物などにおいても、呼び方に地域差が見られることがあるため、求人情報を探す際には注意が必要かもしれません。
名称が異なっても仕事内容や運営形態はほぼ同じであり、施設の役割にも大きな違いがないことがほとんどでしょう。
また、「放課後児童支援員」「指導員」「保育士」などのさまざまな職種名で募集が出されている場合があります。求人を確認する際には募集職種の表記に注意して見るとよいでしょう。
運営主体による違い
「公営の学童保育=放課後児童クラブ」であるケースが多いですが、厳密には運営主体の違いにより分類されます。
放課後児童クラブは、地方自治体が直接運営する公営の施設だけでなく、自治体から委託されて社会福祉法人やNPO法人などが運営するタイプ(委託運営施設)、また民間企業が運営するタイプがあります。
公営は、制度上の補助や職員配置基準が明確で、一定の質が担保されやすいという特徴があります。公営か民間かで、保護者への対応やサービス内容、利用料金も異なります。
それにともない、公営や委託運営施設と、民間運営による施設では働き方や求められるスキル、給与や待遇なども異なってくるでしょう。
民間学童保育とは?公営との違い
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民間学童保育は、公営のように法令で定められた施設ではなく、企業が営利目的のため独自のサービスとして展開している施設です。
そのため「放課後児童クラブ」という公的な定義には該当しない点もあるかもしれません。
公営の放課後児童クラブと比べて、長時間保育などの柔軟なサービスを実施していることが特徴といえるでしょう。
公営と民間学童の違い
民間学童は児童福祉法に基づかない制度外の施設であり、営利企業やNPO、教育事業者などが独自の基準で運営しています。
公営と民間の主な違い(一例)は以下の通りです。
比較項目 | 公立(放課後児童クラブ) | 民間学童 |
---|---|---|
運営主体 | 自治体または委託法人 | 企業・NPOなど |
対象年齢 | 小学生(主に1~3年生) | 小1~中学生など幅広い |
利用基準 | 就労証明などの条件あり | 条件なしで利用可 |
預かり時間 | 通常18時前後まで | 20時頃まで延長可能な所も |
サービス内容 | 遊び中心、宿題支援等 | 習い事・英語教育・送迎付きなど |
このように民間学童は、共働き世帯や教育意識の高い家庭にとって、利便性の高い選択肢といえるかもしれません。
その分、利用する人にとっては利用料金が公営に比べて高額であったり、通学する校舎から離れているためバスや送迎車を利用する必要が生じたりする面もあります。
人材・働き方の違い
放課後児童クラブでは「放課後児童支援員」として都道府県の認定を受けた職員の配置が義務づけられています。
一方、民間学童では法律上の職員配置基準がないため、保育士や教員免許を持つスタッフだけでなく、学生アルバイトや未経験者が働いていることも珍しくありません。
働き方にも柔軟性があり、習い事の指導や宿題から受験対策まで幅広い学習支援、イベント運営、集客業務など幅広いスキルや仕事内容が求められます。
待遇面でも民間は幅が広く、福利厚生やキャリアパスは事業者によって大きく異なるでしょう。
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放課後等デイサービスとは?放課後児童クラブ・ 学童保育との違い
放課後等デイサービスは、障がいのある子どもを対象とした福祉サービスです。
放課後児童クラブや民間学童とは支援の目的も制度も異なります。支援対象の違い放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく「障がい児通所支援」に分類される施設です。
放課後児童クラブ(学童保育)との違い
放課後等デイサービスの対象は、小学生~18歳の障がいを抱える子どもです。個別支援計画に基づき療育・生活支援・学習支援などを行います。
放課後児童クラブと異なり、障がいや特性への理解と配慮が求められるため、療育分野での専門性の高い支援が中心になることが多いでしょう。
特徴の違いを比較してみると、次のような点が挙げられます。
比較項目 | 放課後児童クラブ(学童保育) | 放課後等デイサービス |
---|---|---|
対象 | 主に共働き家庭の小学生 | 障害のある6〜18歳 |
支援内容 | 遊び、宿題見守り | 療育、生活支援、個別支援計画あり |
制度 | 児童福祉法(健全育成) | 児童福祉法(障害児支援) |
利用方法 | 申請と選定による | 受給者証の発行が必要 |
費用負担 | 自治体による低料金 | 世帯収入に応じた自己負担あり |
人材・働き方の違い
放課後児童クラブでは放課後児童支援員や保育士として働くケースが多く、子どもたちの日常的な生活を支える役割が中心です。
一方、放課後等デイサービスでは「児童発達支援管理責任者(児発管)」や「児童指導員」が配置され、発達支援計画に基づく療育・支援が求められます。
いずれも保育士資格を持っていれば勤務が可能ですが、放課後等デイサービスは放課後児童クラブに比べてより専門的な知識や経験を求められる傾向があるようです。
療育など障がい児支援に関心のある方にとっては、やりがいを感じられる仕事といえるかもしれません。
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放課後児童クラブと学童保育は同じ。働く上では違いも
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法的には「放課後児童クラブ」と「学童保育」は同じ施設を指す呼び方ですが、働く場所や求人情報では名称や運営形態により細かい違いがあるようです。
特に、自治体によって呼称が異なること、公営と民間で利用者に対する支援内容や働き方にそれぞれ特徴があるといった点も求人を探すうえで気にしておきたい部分ですね。
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