絵本専門士とは、民間団体が管理・認定する資格の1つです。2014年度から導入された新しい資格ですが、保育士をはじめ、教育や絵本にたずさわる仕事の人たちの専門性の深さと、その知識を育児や教育、福祉などさまざまな分野で広め、役だてる資格として、現在注目を浴びています。どのような資格で、どのような場面で活動、仕事に活かせるのかまとめました。
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絵本専門士とは
絵本専門士という資格
絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備えた専門家のことです。
子どもの読書活動を充実させるための専門的知識や実践力を持った指導者を養成し、学校、家庭、地域など様々な場での読書活動を支援するための資格として運営が始まりました。2012年から有識者によって「絵本に係る専門家の養成に関する検討会」を立ち上げ、2014年から資格として運用されています。
絵本専門士は子どもたちが健やかに成長するための絵本の活用法を、学校や家庭だけでなく地域全般に普及させる役割を担います。具体的には、実際に絵本の読み聞かせやワークショップなど、子どもたちの読書活動の推進させる活動を行います。
出典:「絵本専門士とは」/独立行政法人国立青少年教育振興機構
絵本専門士は民間資格
絵本専門士は「独立行政法人国立青少年教育振興機構」が養成講座を運営、認定している民間資格です。絵本の読み聞かせに関する民間資格は他にもありますが、受講資格が絵本に関する実務経験者に限られていたり、講師陣に専門性が高い絵本の専門家を選出しているなど、認知度や信頼性が非常に高い資格であるようです。
絵本専門士の現在の人数
2019年4月現在、日本で約200名以上の人が資格を取得しています。
出典:「絵本専門士 認定者名簿(都道府県順)」/国立青少年教育振興機構
絵本専門士の役割や仕事
絵本専門士の役割
絵本専門士の役割は、読み聞かせやおはなし会、ワークショップなど、実際に本を使って行う取組みが主体になっています。絵本に関する知識を広めるための指導や助言を行う講座の講師や、絵本に関する交流会、地域の読み聞かせ会やボランティア活動など幅広い活躍の場があります。活動の場所も幼稚園や学校から図書館、医療機関までさまざまな場所から依頼があるようです。
<絵本専門士の仕事例>
・絵本の読み聞かせやおはなし会
・ワークショップの企画・実施
・研修会の講師や読み手への指導・助言など
絵本専門士の活動・仕事・求人
子どもたちの読書活動を推進する専門家として、国立青少年教育振興機構を通じての依頼で、
さまざまな団体・グループが主催する絵本のイベントに参加することが可能です。
また、個人的に依頼を受けることもできるようです。
絵本専門士を仕事に活かすには
例えば保育士が絵本専門士の資格を取ることで、日々の保育の中で活かせるのはもちろん、例えば保護者や子どもを招いて絵本の読み聞かせ会を開くといったことも出来ます。
それ以外に絵本の知識を活かした研修会の講師をしたり、医療機関やボランティアなどで読み聞かせ会やおはなし会を行うなど、絵本専門士を仕事として活躍できる場は、現在広がりつつあります。
絵本専門士の資格の取り方
絵本専門士の資格を取るには、国立青少年教育振興機構が主催する「絵本専門士養成講座」全5回をすべて受講し、修了課題を受けることが必要です。応募締め切りは年1回で、2019年度は2019年3月10日に締め切られています。
絵本専門士の受講資格
絵本専門士養成講座は、絵本に関する一定の知識や経験を備えた方を対象としています。受講資格を満たし、受講者選考に通った方が絵本専門士養成講座を受講することができます。
受講資格として定められているのは、次の通りです。
・子どもや絵本に関連する資格を有する者
・絵本に関わる実務について、原則として3年以上の経験を有する者
・絵本に関わる活動に携わり、原則として3年以上の経験を有する者
・絵本学や児童文学、美術について研究実績を有する者 等
具体的にどのような経歴が必要かというと、例えば
・司書・司書捕・保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の有資格者で3年以上の実務経験
・絵本などの出版経験のある人
・絵本や児童文学について研究している人
など、有資格者や実務経験がある人に限られているようです。
絵本専門士養成講座
絵本専門士養成講座を受講するには、国立青少年教育振興機構のHPからエントリーシートを記入して送信し、選考を受ける必要があります。
選考結果は同HPで発表になります。受講倍率は正確な数字は発表されていませんが、定員70名対して、例年多くの応募があるため、選考倍率は高いようです。
絵本専門士は今後ニーズがより高まる
絵本専門士と同様の内容の民間資格は他にもありますが、養成講座の受講資格や申し込みの高倍率が、絵本専門士の資格の認知度や信頼性をより高めているといえそうです。
実際、絵本専門士を取得した方の多くが資格取得後、絵本を使った朗読会や絵本の専門的な知識を生かした講演会など、さまざまな仕事・活動を行っています。
子どもだけでなく、大人にも現在より人気が高まっている絵本の世界をより深く楽しむために、絵本専門士の需要や活躍の場は、ますます広がっていきそうです。