看護師資格を活かして働ける転職先の一つとして、乳児院を検討している方もいるかもしれません。しかし、そもそもどんな施設で、病院や保育園での仕事内容とどう違うのかなど気になりますよね。今回は、乳児院で働く看護師について、役割や配置基準などを紹介します。また、大変なことややりがいについてもまとめました。
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■目次
乳児院ってどんな施設?
乳児院とは、あらゆる事情によって、家庭で育てることが困難な状況にある乳児を保護し、養育する施設です。
主に0歳児から2歳児までの乳児が入所し、1日24時間を施設内で過ごします。
入所している子どもは、病気を抱えていたり虐待を受けていたりするケースもあるため、基本的な乳児の養育機能に加えて、個別対応も可能な専門的養育機能も備わっています。
近年は乳児の保護・養育だけでなく、地域の子育て支援や保護者支援、里親支援などさまざまな役割を担っているようです。
乳児院には医師や看護師、保育士などが勤めており、子どもとその家族が幸せに過ごしていけるようにサポートする存在として働いています。
乳児院とはどのような施設なのかおさらいしたところで、次は職員として働く看護師の配置基準や役割について見ていきましょう。
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乳児院看護師の配置基準や役割
まずは、乳児院看護師の配置基準や担う役割について解説します。
配置基準
看護師の配置基準は以下のように定められ、最低でも7人以上配置することとされています。
また「乳児10人以上の施設の場合、乳児10人に対して看護師2人以上、以降10人毎に1人追加」すれば、保育士や児童指導員でも代替可能であることが定められています。
役割
乳児院に入所している子どもにとって、施設は安心できる「家」となります。そのため、看護師は子どもと密接に関わり、親代わりとしての役割を求められることがあるようです。
また、乳児院は子どもが生活するだけでなく愛情や愛着を形成する場でもあるため、看護の業務だけでなく子どもたちの心を育てる役割を持っているとも言えるでしょう。
病気やけがをしている子ばかりではないので、一般的な看護よりも、子どもの心と体の両面をサポートすることが大切になるかもしれません。
乳児院看護師の仕事内容
次は、乳児院で働く看護師の仕事内容を見ていきましょう。
子どもの健康管理
入所している子どもたちの健康管理をすることが仕事の一つです。
毎朝、検温や体調のチェックなどを行い、子どもたちに異変がないかを確認します。
0歳児や1歳児など、自分で不調を訴えるのが難しい年齢の子どもが多いため、子どもの様子や表情、仕草など些細なことから体調の変化をキャッチすることが重要になるでしょう。
また、日頃から感染症などの予防に努めることも看護師の仕事になります。
薬の管理や処置
病児が入所している乳児院では、医師の処方に基づいた薬を用意しているケースも多いようです。
その場合、薬剤の管理や準備などをするのも看護師の仕事になります。
また、子どもへの投薬のサポートなどをすることもあるかもしれません。
他の職員の健康指導
乳児院で働く他の職員の健康管理などを行うのも、看護師の仕事と言えるでしょう。
子どもへ病気がうつらないように職員同士で感染症の対策をしたり、日々の健康指導などを定期的に行ったりすることもあるかもしれません。
また、看護師が不在となる時間帯の子どもへの処置について保育士に指導したり服薬について共有したりすることもあるようです。
乳児院看護師の働き方
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次は、乳児院看護師の働き方について見ていきましょう。
勤務スタイル
乳児院は基本的に24時間体制で運営されているため、シフト制を採用している施設が多いようです。
そのため、施設によっては1日3~4交代制で夜勤があるかもしれません。
なかには、保育士が夜から朝にかけての時間帯を担当し、看護師は夜勤がないという施設もあるようです。しかし、子どもの体調が急変したときなど、緊急時に駆けつけるといった対応は必要になりそうですね。
給料・待遇
乳児院看護師の給料は地域によって異なるものの、東京都の施設で正社員として働く場合、月に20万円から24万円くらいが平均のようです。
なかには、16万円から19万円程度の施設もありますが、そういった施設では夜勤手当や職務手当など、基本給とは別に手当がつくケースも見られます。
施設によっては、これまでの看護師としての経験年数やスキルに応じて、給料がアップすることもあるかもしれませんね。
乳児院看護師として働くやりがいや大変なこと
最後に、乳児院看護師として働くうえでのやりがいや大変なことについて紹介します。
やりがい
子どもの成長をそばで見守れる
乳児院に入所している子どもの多くは0歳児から2歳児です。
目まぐるしく発達する時期の赤ちゃんを近くで見届けることができるのは、乳児院で働く看護師ならではのやりがいと言えるでしょう。
毎日密接に関わり時間を共にすることで、子どもがいろいろなことをできるようになり、成長していく姿にやりがいを感じられるかもしれません。
子どもだけでなく保護者のサポートもできる
乳児院は、養育が必要な子どもだけでなく、家庭で子どもを育てることが困難な保護者を支援する役割も持っています。
そのため看護師や保育士は、子どもの退所に向けて保護者と何度も面談を重ね、不安を解消したり悩みに寄り添ったりすることもあるでしょう。
子どもと保護者の両方のサポートをする仕事となるので、社会に貢献しているというやりがいを感じられそうです。
大変なこと
子どもの成長を支える責任の重さ
先述した通り、乳児院は子どもたちにとっての「家庭」として機能しており、看護師は親代わりのような役割を担っています。
そのため、自分のかかわり方によって、身体だけでなく精神面についての発達も左右するかもしれないという責任を感じてしまうこともあるようです。
子ども一人ひとりに合わせた対応が求められる
乳児院に入所している子どものなかには、病児や虚弱児がいるケースもあり、健康な子どもとは異なる個別的な対応が必要になることもあるでしょう。
そういった場合に、乳幼児を看護した経験がないと戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
また、健康な子どもであっても急な体調の変化などが起こる可能性もあります。
子どもの様子をよく観察して迅速に対応することが求められるため、大変だと感じてしまうこともあるかもしれません。
乳児院で看護師として働くことを視野に入れてみよう
今回は、乳児院で働く看護師について、役割や仕事内容、給料などを紹介しました。
乳児院は、主に家庭で育てることが困難な0歳児~2歳児までの乳児を保護し、養育する施設のことを言います。
子どもたちの「家」として機能しており、そこで働く看護師には親代わりの役割が求められるようです。
乳児院看護師の仕事には、慎重な対応が求められることで大変だと感じる側面がある一方で、子どもの成長を近くで見守れるというやりがいもあるでしょう。
乳児院看護師の仕事や働き方などを知って、転職先の選択肢に入れてみてくださいね。