子どもにいつから砂遊びをさせてよいのか悩む保育士さんもいるでしょう。公園で砂遊びをする際に幼児クラスはスムーズに行えそうですが、乳児クラスの赤ちゃんには抵抗を感じることがあるかもしれません。今回の記事では、子どもに砂遊びをさせるタイミングや園外保育の砂遊びが子どもにもたらす効果について解説します。
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砂遊びを保育に取り入れるねらい
日々の保育で、積極的に外遊びを取り入れている保育園は少なくないでしょう。園庭や公園の遊具を使って、思いっきり体を動かして遊ぶ外遊びには、子どもの成長を育む大切な要素がたくさん詰まっています。
滑り台やジャングルジムなどいろいろな遊具があるなかで、砂場が一番のお気に入りという子どももいるのではないでしょうか。砂遊びは1人でも複数でも遊べるうえに、年齢に見合ったさまざまなことができるので、子どもの個々の成長に合わせて楽しめそうですね。
保育園や幼稚園で砂遊びをするのには、次のようなねらいがあります。
<乳児>
- 砂を握ったりつまんだりし、砂の感触を楽しむ
- 自然物を取り入れて遊ぶ
<幼児>
- 砂や、水を含むと泥になる感触の変化を楽しむ
- 砂を使って創造する遊びを楽しむ
こうしたねらいがある砂遊びですが、子どもの保育に取り入れるとき、いつから始めればよいかタイミングに悩む保育士さんもいるのではないでしょうか。特に乳児クラスの赤ちゃんに砂遊びをさせるとき、砂を食べてしまわないか心配になるため気になりますよね。
今回は、砂遊びを始める時期や、遊びのなかでもたらす効果などを紹介します。
子どもに砂遊びをさせるタイミング
砂遊びを始めるのはいつからが適しているのか、タイミングについてまとめてみました。
お座りが安定した頃
乳児クラスの赤ちゃんは、お座りが不安定だと砂場の中で座っても倒れてしまうかもしれません。
また、砂場で転んだ場合、砂が体中に入ってしまう心配があります。そのため、お座りが安定してから砂遊びをするとよいでしょう。
なんでも舐めなくなった頃
乳児クラスには、なんでも口に入れて舐めて遊ぶという子どももいるでしょう。砂場で遊んでいても砂を食べたり、使っている道具を舐めてしまったりするかもしれません。
砂場には、壊れた玩具の欠片やタバコ、ゴミなど、口に入れると危険なものが含まれている場合があります。子どもの日々の様子を踏まえて、なんでも口に運ぶような行為をしなくなってから砂遊びをするようにしましょう。
砂遊びがもたらす効果
砂遊びには、子どもの成長を促すうれしい効果があるようです。
子どもが砂遊びで遊ぶ際の、主なメリットについて紹介します。
想像力・創造力を育む
子どもは砂場でいろいろな物を作って遊びながら、想像力を働かせています。砂に水を含ませて泥を作り、崩れないトンネルを作るなど、イメージを膨らませながら創造する力も育まれることでしょう。
感性が磨かれる
子どもは砂や湿り気、水分を含ませて作る土など、あらゆる砂や土の感触を手足の感覚で自然に確かめながら遊んでいます。変化する砂の状態に合わせさまざまな感覚を得ながら、子どもの感性は磨かれていくようです。
適応能力が高まる
作りたい物に合わせて砂を泥に変えたり、混ぜる水の量を調整したりするなかで、物事に適応する能力が養われていくようです。バケツに砂を入れて運ぶときにも、どの程度入れると運べないほど重くなるのかなど、子どもは砂遊びの失敗からもいろいろ学んでいるといえるでしょう。
砂場で遊ぶことは上記に挙げた3点以外にも、最後まで根気強く作品を作りあげたときに育まれる集中力や工夫して遊びを発展させる思考力、子ども同士の道具の貸し借りから社会性を学ぶなど、あらゆる発達を促すきっかけになるかもしれません。
あれこれと砂遊びに制限を設けず、手足や頭を使って可能な限り子どもが自由に遊べるような環境を作れるとよさそうですね。遊びのなかで衣服の汚れを気にしすぎないよう、あらかじめ保護者には汚れてもよい服や靴を用意してもらうようにしましょう。
子どもが楽しめる砂遊びのアイデア
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保育士さんが子どもと楽しく砂場で遊ぼうと思っても、砂の感触を嫌がったり、どのように遊んでよいのか分からず戸惑っていたりと、子どものあらゆる様子に困ることがあるかもしれません。
成長に個人差はありますが、子どもの年齢によっても砂遊びの楽しみ方は異なるため、年齢を考慮することも大切でしょう。
子どもが興味をもって楽しく砂遊びができるよう、砂遊びのアイデアについていくつかご紹介します。
道具を活用する
道具を使って砂遊びをしてみましょう。シャベルやバケツだけでなく、プリンなどの空き容器やペットボトルなど、身近なものも活用できそうです。
ペットボトルに砂を入れてサラサラと出して遊んだり、ペットボトルに砂と水を入れて固まる様子を観察してみましょう。プリンなどの空き容器には土を詰めて型抜きをし、スイーツをたくさん作てみても楽しいかもしれません。
山、川、トンネルを作る
1歳児後半や2歳児になると、砂の感触を楽しみながら自分で山を作ったり、穴を掘って遊べるようになる子どももいるかもしれません。0歳児は形を作ることは難しいため、保育士さんといっしょに砂を触ることからはじめてみるとよさそうです。
バケツやシャベルを使って、山や川などスケールの大きなものを作ってみましょう。砂山や川などを作ったら、壊す作業も楽しい遊びの一環になりそうですね。
砂だけだと崩れやすいので、水を加えて湿らせながら作ってみると崩れにくくなりそうです。
子どもは砂から泥へと変化させたり、トンネルが崩れないように補強したり、川から水が溢れないように工夫するなど、自分で考えながら遊ぶようになります。保育士さんが余り助言をしすぎないよう、子どもから意見を引き出しながら遊びを進めるとよいでしょう。
自然の物を活用する
2歳児から3歳児になると、イメージを膨らませて好きな形を造ったり、砂を土に変化させて遊べる子どもも見られるかもしれません。
そんな特徴を活かして、土でケーキの土台を作ったら、その上に集めた小石や葉っぱを飾りつけ、おいしそうなケーキを作ってみましょう。器のなかに砂と拾ってきたどんぐりを入れて混ぜ、料理を作るマネをするのもよいですね。
土を固めて大きな山やお城を作り、拾ってきた松ぼっくりや葉っぱを飾るのも楽しそうです。
ごっこ遊びに発展させる
3歳児以上の幼児クラスになると、子ども同士で協力し合って1つの作品を作ったり、ごっこ遊びをしたり、遊ぶ内容に広がりが出てくるでしょう。
砂や泥、土でいろいろなものを作ってごっこ遊びに展開できるアイデアを紹介します。
ケーキやさん
プリン容器を活用してスイーツをたくさん作ったら、ケーキやさんごっこをしてみましょう。
プラスチックのスプーンを用意して添えると、本格的になって気分も高まりそうです。
団子やさん
砂だけではサラサラして団子を作れませんが、適量の水を加えて砂を泥に変化させると、丸めて泥団子が作れるようになります。乾いて固まったら擦ることでツヤも出てくるので、次はもっと大きな団子が作りたいと、団子作りにはまる子どももいるかもしれません。
だんごをたくさん作ったら、団子やさんごっこを楽しんでみましょう。
他にも、砂のなかにボールなどを隠すだけで、隠したものを探す宝さがしごっこができます。何かひとつ当たりのものを決めておくと盛り上がりそうですね。
砂遊びのタイミングを見計らい、子どもの成長の手助けをしよう
砂遊びは手先や脳を使うため、子どものあらゆる能力を伸ばしたり、発達を促すきっかけとなることが分かったのではないでしょうか。
メリットの多い砂遊びをいつから子どもに取り入れてよいか悩んだときには、お座りが安定して子どもがなんでも口に入れなくなるタイミングではじめてみるとよいでしょう。
砂場で遊ぶ前には、砂の中にたばこや壊れた玩具の欠片、放置ごみなどの危険物が紛れ込んでいないか確認することが大切です。砂遊びのあとは、着替えや手洗いも忘れずに行いたいですね。
子どもの様子を見ながら砂遊びを取り入れる時期を見計らい、砂遊びを通して子どもの成長の手助けをしていきましょう。