少人数保育のプロフェッショナル、チャイルドマインダーの資格が注目されています。英国では古い歴史があり、国家認定の資格ですが、日本ではまだ導入されて新しい資格です。今回のコラムでは、チャイルドマインダーの資格が生かせる仕事は現在どのような職種があるのか、また気になる収入面や仕事内容についてまとめました。
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■目次
チャイルドマインダーの資格と仕事
チャイルドマインダーの資格とは
チャイルドマインダーの資格は民間資格です。もとは英国発祥の資格で、少人数保育に特化した研修を受け、合格したスペシャリストに与えられる資格です。日本では現在、主に3つの団体によって、それぞれ認定する資格がよく知られています。
保育士との違い
同じ保育の仕事にたずさわる保育士との大きな違いは
・国家資格ではない、民間運営の資格であること
・資格取得のための試験の難易度が低く、比較的とりやすい資格であること
・独学での取得ができず、認定団体が運営する講座を受けなければいけないなこと
・日本での歴史が浅いため、チャイルドマインダーの資格単独での求人はまだ少ないこと
などが挙げられます。
チャイルドマインダーの仕事内容
最大4人までの預かり人数内での「少人数保育」に特化しています。
子どもひとりひとりの年齢や性格、保護者の方針に合わせたきめ細かい保育を行うことができる、非常にやりがいのある仕事です。
チャイルドマインダーが預かる子どもの数
イギリスのチャイルドマインダー協会の規定をもとに、
1人あたりの保育人数は3人まで、預かれる人数は年齢ごとに規定されています。対象年齢は0歳~4歳までを主に預かりますが、12歳までの子どもを預かることが可能なようです。
チャイルドマインダーの就職先や求人状況
チャイルドマインダーの働き方には、働く場所や雇用形態に関して、いくつかの選択肢があります。資格としての歴史は日本では新しく、「チャイルドマインダー」の資格のみで募集している、探せる仕事はまだ少ないのが現状です。どのような場所でチャイルドマインダーの資格が生かせるのかをまとめました。
自分のもっているキャリアやスキルによって、選び方も変わってくるでしょう。
施設型保育
自治体・法人・企業などに所属して雇用契約および、その施設内で少人数保育にたずさわる働き方です。雇用形態は正社員・契約社員・派遣社員・パート・業務委託など、様々な形態があります。
認可保育施設
認可保育施設や保育園で働く場合、国家資格である保育士の資格を持っていないと、保育にたずさわる「保育士」として正職員で働くことはできません。保育士のサポート的な役割をする仕事である「保育補助」の募集で、正社員・契約社員・派遣社員・パートでの採用枠があります。パートや派遣社員の枠が多く求人があります。少なめですが、保育補助として正社員採用を行っている施設もあります。
認可外保育施設
認可外保育施設では、企業内の託児所施設や小規模保育施設、子ども向け塾や教室など、少人数の子どもを預かるさまざまな形態の保育施設があり、チャイルドマインダーの資格を生かした仕事が見つかりやすい傾向です。雇用形態も、正社員からパートまで幅広く探すことができます。
家庭的保育
保護者と直接契約、あるいは自治体や企業と契約して、自分の自宅で子どもを預かったり、契約者の家庭に訪問して保育業務を行う働き方です。チャイルドマインダーの仕事は「独立開業を状況や環境によっては選べる・目指せる」という点が、他の資格と違い、働き方として大きな魅力の1つとなっていますし、資格認定した協会によっては独立開業や業務委託契約の方法などをレクチャーしてくれることもあります。
在宅保育
自分の家で規定人数内で子どもを預かり保育を行います。主に独立開業や保護者と直接業務委託契約を交わして、双方の合意の金額で子どもを預かります。
自治体によっては保育士や看護師等の資格がなくても、保育関連で働いている経験年数を満たした上で研修・認定を受けられれば「保育ママ」として働くことも可能です。認定条件等は自治体により違うため確認しましょう。保育ママは子どもの募集は自治体が行い、自治体から補助金が受けられるため、安定した収入が見込めるかもしれません。
例・東京都
家庭的保育者(保育ママ)Q&A
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/hoiku/h_mama/qa.html
訪問保育
子どものいる家庭に赴き、ベビーシッターや家庭教師として保育を行う働き方、という選択肢もあります。業務委託契約で直接保護者と契約を結ぶこともできますが、安定した集客が難しいと考える場合は、企業と派遣社員やパートとして契約する働き方を選択する選択肢もあります。
在宅+訪問保育
在宅保育と訪問保育を両方取り入れた働き方をすることも可能です。本業として自宅での預かり保育を行い、緊急時や空いた時間には在宅保育も受け付けるなど、自分の時間を活かした働き方が可能です。
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チャイルドマインダーの収入・給料
独立開業した場合や業務委託
保育ママの収入が額面で20~30万ほどと言われています。
チャイルドマインダーとして独立開業し、子どもを規定数内で預かれれば、同等の収入が見込める予測は立ちますが、保育ママと違って子どもの募集は独力で行わなければなりません。集客が安定して見込めないと、月々決まった額の収入が得られるかの予測は、難しいと言えます。
業務委託契約での1時間当たりの保育料金は1,200~1,500円前後が相場と言われています。チャイルドマインダー以外のスキルや資格を持っている場合は、さらに高い保育料を設定できることも考えられます。
正職員・派遣社員・パートなど
法人・企業が定めた待遇で、給与が決められているため、安定した収入が見込めるでしょう。給料の相場はその企業によって異なるため、一概には言えませんが、保育補助や保育士のアルバイト・パートの相場は時給900~1500円ほどです。正社員の月給ではスキルやキャリアにもよりますが、17~20万ほどが見込めます。
チャイルドマインダーの資格を他の資格と併せ持つメリット
今もっているスキルの価値を高めることができる
保育士資格と比べると、しっかり講座を受ければ合格率が高い、比較的とりやすい資格であると言えます。他の資格と併せ持つことで、より自分自身の仕事の価値を上げ、スキルアップやキャリアアップすることが可能です。
相性のいい資格例
保育士 ・看護師・教諭免許
保育士、看護師、教諭としての転職やキャリアアップを目指す際に、自分のスキルをアピールする際の説得力が増す資格と言えます。
また、雇用されている状態から、独立開業を視野に入れている場合には、非常に心強い資格と言えるでしょう。
民間の保育園・幼稚園では、正職員にチャイルドマインダー取得を積極的に推奨している園もあります。
セラピスト・ベビーマッサージなど民間資格
チャイルドマインダーとしての専門性やスキルを上げる際に役立つ資格と言えます。
例えば、子ども専門の英語教師資格を保有していれば、保護者が子どもを預ける際に、単にきめ細かい保育をしてくれるだけでなく、より充実した保育方針の特性がわかりやすく、チャイルドマインダーとして選んでもらえるチャンスや、給与アップも見込めます。これらの資格や肩書があれば、複数の選択肢の中で自分が持っているスキルが、保護者からより目に留まりやすい、選ばれやすいというメリットを考えて、併せてとる資格を選ぶといいでしょう。
チャイルドマインダーの資格を生かせるキャリアプランを
チャイルドマインダーの資格は「少人数保育のプロフェッショナル」という、日本では比較的新しい資格です。ただ、保育士不足が叫ばれる現在の日本では、今後もより需要が見込まれる資格であるといえます。
保育士に比べれば取得しやすい資格ですが、チャイルドマインダー単体としての求人状況は、まだあまり仕事がない現状のため、「どのように資格を生かした仕事をしたいか」「独立開業を目標にどのようなスキルを得たいか」をしっかり考えた上で、就職先を選ぶことが大切です。また、自分の環境に合わせた仕事選びに併せて、他に取得する資格などを考えましょう。