2010年に家庭的保育事業として始まった保育ママ制度。保育ママとして働くためには、どんな資格が必要なのか気になりますよね。今回は、保育ママ制度の概要や、開業するための条件および資格などを解説します。また、保育ママとして働いた際の給料事情や働くうえでのメリット・デメリットについてもまとめました。
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■目次
保育ママ制度とは?
保育ママ制度とはどのようなものか、概要や今後の課題などを解説します。
保育ママ制度の概要
保育ママ制度は、2010年の児童福祉法の改正によって家庭的保育事業として始まったものです。
家庭的保育事業は、区市町村によって認定された家庭的保育者が、保育者の居宅やその他の施設で子どもを預かり保育を行ないます。
対象となる子どもは主に0歳児から2歳児ですが、くわしい年齢は区市町村によって異なるようです。
また、1人の家庭的保育者が預かることができるのは3人までで、家庭的保育補助者を雇えば5人までの少人数保育を行なうことが可能となっています。
保育ママ制度および家庭的保育事業は、家庭的な雰囲気のもとで、少人数の子どもたちを対象にきめ細かい保育を実施できることが特徴と言えるでしょう。
保育ママ制度の今後の課題
さまざまな働き方やライフスタイルに対応するために柔軟な保育サービスが必要とされているものの、保育ママ制度を実際に取り入れている自治体は多くないようです。
そのほかにも、認知度が低いや家庭的保育者へのなり手が少ないなど、いろいろな課題を抱えているのが現状と言えるでしょう。
保育ママとベビーシッターの違い
保育ママは、居宅で子どもたちの保育を行なうという点でベビーシッターと似ているかもしれません。しかし、運営のしかたや対象となる子どもの年齢などに違いがあります。
保育ママは保育者の居宅で保育サービスを提供するのに対して、ベビーシッターは利用者の居宅で保育を行ないます。
また、保育ママ制度を利用できる子どもは主に0歳児から2歳児までの乳児となっていますが、ベビーシッターの場合、0歳から12歳までの子どもが利用できます。
さらに、ベビーシッターは企業に属したり派遣に登録したりと雇用されて働く仕事ですが、保育ママは自身で開業するため個人事業主となります。
このように、保育を提供する場所や子どもの年齢、働き方についてベビーシッターとは異なる点があるということを押さえておきましょう。
保育ママになるための資格や条件
では、保育ママになるにはどうすればいいのでしょうか。保育ママになるために必要な資格や開業の条件を解説します。
保育ママになるための資格
保育ママ、つまり家庭的保育者の資格があるのは、以下のいずれかに該当するものと定められています。
- 市町村長が行なう研修を修了した保育士
- 保育士と同等以上の知識や経験を有すると市町村長が認めた者
ただし、保育ママになるために保育士資格の所有が必須かどうかは自治体によって異なります。もし保育士資格がない場合は、必要な研修を修了するなどの要件を満たす必要があるようです。
保育ママとして働きたい方は、まず自身が住む各市町村のホームページなどで資格や要件を調べてみましょう。
保育ママとして開業するための条件
保育ママになるには、自治体に認定してもらう必要があります。
たとえば、以下のような条件が挙げられるでしょう。
- 25歳からおおむね60歳くらいまでの健康な方
- 育児経験がある方
- 未就学児の子どもがいない方
- 保育専用の部屋が確保できる方
- 月曜日から土曜日まで8時間程度の保育が可能な方
自治体によってくわしい条件は異なるものの、保育経験があることや未就学児の子どもがいないこと、施設環境が整っていることなどが共通していると言えそうですね。
開業を考える際には自治体ごとの条件をきちんと確認しましょう。
出典:地域型保育事業について(小規模保育事業以外の事業を中心に)/厚生労働省
出典:大田区ホームページ
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保育ママの給料事情
保育ママの収入は、保育の利用料と自治体から支給される補助金で構成されるようです。
固定の給料性ではないため、預かる子どもの人数や補助金の額によって収入が上下することが考えられるでしょう。
自治体や家庭的保育者によって保育利用料は異なりますが、およその相場は子ども1人あたり2万5千円程度のようです。また、補助金が支給されるかどうかは自治体によってさまざまになります。
自治体によっては、環境整備費として月額3万円程度支給されたり、保育補助費として月7万円程度支給されたりする場合もあるようです。
また、家庭的保育補助者を配置することで、補助金の加算が受けられるかもしれません。
待機児童の解消にもつながるため、自治体ごとに保育ママの運営負担を軽減させるような助成が行なわれているそうです。
保育ママとして開業する際は、預かる子どもの人数や時間を考えて利用料を設定したり、自治体から補助が受けられるのかを確認したりしておくことが大切になりますね。
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保育ママとして働くメリットやデメリット
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ここでは、保育ママとして働いた場合のメリットとデメリットについて説明します。
メリット
子どもたち一人ひとりと向き合って保育ができる
保育ママとして働くと、子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合うことができるというメリットがあるでしょう。
保育ママ1人に対して子ども3人までという少人数保育を行なうため、子どもたちに目が届きやすいだけでなく、一人ひとりの個性や発達についてもしっかりと把握することができるかもしれません。
子育てに近い環境で保育をしたい方にとっては最大のメリットと言えそうですね。
保護者の方との信頼関係が築きやすい
保育ママとして働くことのメリットに、保護者の方と信頼関係が築きやすいということが挙げられそうです。
保育ママは預かる子どもの人数が少ないため、保育園で働く保育士さんやさまざまな家庭に赴くベビーシッターよりも、関わる保護者の方の人数も限られるでしょう。
それにより、子どもについての情報交換もスムーズにすることができ、密なコミュニケーションが取れるかもしれませんね。
自身の理想とする保育ができる
保育ママとして働くメリットとして、理想的な保育を行えることが挙げられるでしょう。
保育の方針や内容などは、保育ママが主体となって決めることができます。
そのため、食育を大事にしたり、リトミックを取り入れたりと、自身が理想とする保育の在り方を実現しやすいかもしれません。
デメリット
保育スペースを確保する必要がある
保育ママとして開業するうえでのデメリットは、自宅などに保育専用のスペースを設ける必要があることと言えるでしょう。
家庭的保育事業として認可を受けて運営するためには、保育専用のスペースが子ども1人あたり3.3㎡と必要であると国の基準で定められています。
自治体からの認定を受ける際に施設環境のチェックなどが行なわれる場合もあるようです。
自宅での保育が難しい場合には、別のスペースを借りるなどの対応が必要となるため、事前に確認しておくとよさそうですね。
働き始めるまでの手続きや準備が発生する
保育ママになるまでの手続きなど、準備が多く大変だと感じることもあるでしょう。
保育ママとして運営をするためには、自治体の認可をもらうことが必須です。
認可を受けるためのさまざまな書類の提出や施設の整備、自治体が定める研修の修了など、開業するまでに必要な手続きがたくさんあります。
そのため、自治体から認可をもらう時期を明確に設定し、早い段階から開業に向けて準備することが大切になりそうですね。
お休みが取りづらいことも
保育ママとして働くうえで、お休みが取りづらいというデメリットがあるかもしれません。
保育ママは基本的に1人や2人など少人数で保育をしており、保育者が体調不良になった場合などに代わりの人を立てるのが難しいでしょう。
保育園との連携により、やむを得ない場合は保育園が代理で保育を行なうこともあるようですが、急な都合でお休みすることは難しいかもしれません。
そのため、自身が保育できない状況になってしまった場合に、自治体がサポートをしてくれる体制が整っているかどうか確認しておくとよさそうですね。
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保育士資格や経験を活かして、保育ママとして働くことを考えてみよう
保育ママ制度はいわゆる家庭的保育事業のことを言い、保育者の居宅で少人数の保育を行なうことが特徴です。
保育ママになるには保育士や看護師などの資格が必要になる場合もありますが、必要な研修を修了することで自治体からの認定を受けられるようです。ホームページなどで確認し、開業するための条件もあわせてチェックしておきましょう。
密接なコミュニケーションの中で、子どもたちにしっかりと向き合って保育をしたいという方は、保育ママになることを検討してみてもよさそうですね。
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