おにぎりをテーマにした食育が、保育園で注目されています。ラップを使ってにぎるなど、子どもでも実践できる衛生的な作り方や、取り組みのねらい、おにぎりの日についてなど、季節や年齢を問わず楽しめるおにぎり食育についてのあれこれを解説します。
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■目次
おにぎり食育のねらい・食材について知ろう!
子どもたちにまず伝えたいのは「おにぎりってなに?」「おいしくてすごい!」ということ。栄養バランスに優れたおにぎりの食材について、子どもたちに知ってもらいましょう。
お米、ごはん
おにぎりの主食材となるごはん。お米を知らない子どもはいないでしょうが、生米を研いで炊く体験をしながら、お米がいつも食べているごはんになる過程を学びましょう。
また、田植えや稲刈り体験ができれば、稲の成長を見ながらお米を身近に感じることができます。
田植え体験が難しい場合でも、籾、玄米、米ぬかなどを用意して、子どもたちに触ってもらいながら工程を説明するのもよいですね。
海苔
まずは「海苔ってなに?」という問いかけからはじめましょう。海苔はどこでとれる?という謎を説明してあげながら、海苔が「海藻」であることを知ることができます。
また、海藻である海苔がみんなの知っている形状になるにはどんな工程を経ているのかも、子どもたちにとっても興味深い学びになります。
具材
好きなおにぎりの具は、大人の話題としても盛り上がりますよね。
ごはんとのりの栄養に加えて、塩や子どもたちの好きな食材を入れることで、さらに栄養のバリエーションが増える、そんなおにぎりってすごいね!と子どもたちに知ってもらいましょう。
おにぎり食育のねらい・ラップを使ってかんたん衛生的
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おにぎり食育のハイライトは、なんといっても実践の「おにぎり作り」。
年齢にあわせて、子どもたちが楽しく衛生的におにぎり作りに取り組めるよう工夫しましょう。
1歳児
100円ショップでも購入できる「おにぎり型」を使うのが安心です。定番の三角型、たわら型など種類も揃えると楽しめます。
型から押し出して完成したおにぎりには、好きなふりかけをまぶして、のりで包んであげましょう。
2歳児
あらかじめふりかけをまぶしたごはんを、ラップをしいたお茶碗の上などに盛ってあげましょう。ラップを持ち上げてにぎる感覚を体験するのが子どもたちには楽しいようです。
形をしっかり作るのはむずかしいので、最後は保育士さんがサポートして仕上げてあげてくださいね。
3歳児以上
開いた手のひらにラップを乗せて、その上にごはんをよそってあげましょう。保育士さんの号令にあわせて、みんなでいっせいに「ぎゅっ、ぎゅっ」と三角おむすびを作ってみましょう。
事前に、三角のつみきなどを使い手の中で回転させながらにぎる方法を説明してあげるのもよいかもしれません。うまくできなくても、子どもたちの個性や工夫を認めてあげてくださいね。
4~5歳児
うまくにぎれるようになったら、具材を入れてにぎってみましょう。
具材は、細かくほぐした鮭や梅ぼし、昆布やおかかなど、にぎりやすいものを園で用意して、子どもたちがそれぞれ選べるようにしてあげるとよいでしょう。
また、年中・年長さんには、米とぎや炊飯器からしゃもじでごはんを適量よそう体験、食後には油汚れがおちる米ぬかを使った食器洗いなど、食事を作る工程の中で幅を広げてあげることも大切です。
実践にあたっては「手洗い・消毒、マスク、三角巾」など、調理前の準備も大切 です。ラップを使うこともあわせて、衛生面の大切さも呼びかけましょう。
おにぎり食育のねらい・食事のできる過程を知る
お米、ごはん、のり、具材など、それぞれのパーツが、手でにぎることによって「おいしいおにぎりになる!」という体験は、調理の過程をたどりながら、食育の基本も網羅することができます。
食材からおにぎりができるまでの工程を体験しながら理解することが、子どもたちの食への興味につながっていくからです。
たのしく作っておいしく食べる体験を重ねることは、食育にとってとても大切な要素であり、子どもたちが「大きくなった自分を感じる」ことにもつながる と言われています。
また、おにぎりは持ち運びもできるため「自分が作ったおにぎりをだれに食べてほしい?」といった質問を投げかけてみることで、誰かのために食事をつくる、という思いやりの心を育むこともできます。
おにぎり食育のねらい・絵本や昔話でおにぎりに親しむ
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おにぎりはさまざまな絵本や昔話でも登場しています。おにぎり食育の導入部の読み聞かせに最適な絵本と、おにぎりが登場する昔ばなしを紹介します。
- おにぎりがしま/作:やぎたみこ(ブロンズ新社)
- なにからできているでしょーか?/作:大森裕子(白泉社)
- おにぎり/作:平山英三 絵:平山和子(福音館書店)
- おにぎりにんじゃ/作:北村裕花(講談社)
昔ばなし
- おむすびまてまて
- おむすびころりん
- にぎりめしのすきなだいじゃ
- 龍の子太郎
- さるかに合戦
食育にぴったりな絵本「なにからできているでしょーか?」「おにぎり」や、子どもたちの心をつかむキャラクターが登場する「おにぎりがしま」「おにぎりにんじゃ」などで、おにぎりを身近に感じてもらうことができます。
また、定番の昔ばなし「おむすびころりん」や「龍の子太郎」などを絵本や紙芝居、語り聞かせなどで聞くことで、おにぎりが昔の人にも愛されていたと知ることにもつながります。
おにぎり食育のねらい・ほかにこんな話題も
おにぎりにまつわるトピックとして、こんな話題も取り入れてみるのはいかがでしょうか?
おにぎりの日・おむすびの日
365日、なにかの記念日が設定されていますが、もちろん「おにぎりの日」もあります。日にちは6月18日。しかし、「おむすびの日」は、1月17日なのだそう。
「おにぎりの日」は、石川県で日本最古の「おにぎりの化石」が発見されたことにちなんでおり、「おむすびの日」は、阪神淡路大震災があったとき、ボランティアによるおむすびの炊き出しが行なわれたことにちなんでいるそうです。
おにぎり・おむすび、どっちが正しい?
では、「おにぎり」と「おむすび」は、なにがちがうのでしょうか?
おにぎりとおむすび、これは、もちろん同じものを指しています。 一説によると「おにぎり」は日本全国で使われている呼び方ですが、「おむすび」は、関東から東海地域にかけてが発祥といわれることも。
また、おにぎりは鬼を切ると書いて厄除けの意味を持つ「鬼切り」から名づけられ、おむすびは人の縁を結ぶ「お結び」からきたという説があります。
いずれも諸説ありますが、はっきりとした違いはないようですね。
海苔の表と裏、知っていますか?
海苔を両面に返して見てみると、光沢のあるつるつるした面と、ザラザラしている面があることに気づくでしょう。
これは、海苔に表と裏があるということで、光沢面が表、ザラザラ面が裏なのだそうです。
味などに変わりはないため、おにぎりや手巻き寿司などで海苔をまく際にも、表と裏を気にする必要はないようですが、光沢面が外側、裏がごはん側とするのが海苔業界では一般的なのだとか。
お米は世界中で大人気!
お米といえば「和食」「日本古来の食べ物」というイメージが根強いですが、お米料理は世界中で食されています。
- パエリア(スペイン)・・・魚介を具材にしてサフランとお米を炊いた炊き込みご飯
- リゾット(イタリア)・・・生米を炒めてブイヨンなどと煮込む料理
- マクルーバ(イラクなど)・・・肉や野菜と鍋で炊いたご飯をを逆さにしてお皿に盛りつける料理
ほかにも、アジア全土やヨーロッパ、中東地域でたくさんの郷土料理として親しまれています。
そんなお米には、たんぱく質や炭水化物が多く含まれていることはよく知られていますが、ミネラル、ビタミン、食物繊維も豊富な万能食材なのです。
世界の料理や栄養面も、子どもたちに伝えてあげられるとよいですね。
おにぎり食育のねらいをふまえておいしく楽しもう!
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お米からごはんを炊いて、にぎって、海苔で巻いて…と、シンプルなおにぎりですが、子どもたちにとって、おにぎり作り体験は忘れられないイベントになること間違いなし です。
食そのものはもちろん、食べものや作ってくれる人、食材にも興味を持つことができる、非常に大きな意義のあるおにぎり食育、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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