「どんな保育をしたいか」という質問は保育士さんの採用面接での定番ですが、どう答えるのがよいか迷っている保育士さんも多いようです。今回は面接対策として、保育士さんそれぞれの「保育観」から見えるもの、答え方について考えていきましょう。併せて、面接で保育観を聞かれる意図やアピールの仕方、参考になる例文も紹介します。
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■目次
「保育観」で面接官が知りたいこと
面接で聞かれる「どんな保育をしたいか」は、保育士さんの「保育観」を問う質問です。
どの保育園での面接でも聞かれる頻度が高い質問のようですので、回答をあらかじめ準備しておくのがよいでしょう。
この質問は、保育士さんの選考基準として以下を判断することが意図されているようです。
- 人柄、基本的な考え方
- 園や職員との相性
- 熱意や長く続けられるかなどの姿勢
面接という短い時間の中、答え方しだいで保育士さんのさまざまな部分が浮き彫りになるこの質問。しっかり対策して臨みたいですね。
自分がしたい保育は「得意」から考えよう
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そう言われても「どんな保育をしたいか」について、どのように考えればいいのか分からないと悩んでしまう保育士さんも多いのではないでしょうか。
面接対策として考える際には、「理想を高く掲げすぎない」「自分の言葉で説明する」ことが大切です。
まずは、保育分野での経験や学びから、「得意なこと、興味があること」を見つけましょう。
それを主軸とした自分なりの保育観を設定すると、自然と嘘や誇張のない回答ができるでしょう。
以下で、新卒・転職といったケースごとに、面接で答えやすい保育観の考え方について見ていきます。
新卒の場合
まだ現場での保育経験がない新卒の保育学生さんは、今までの資格試験の勉強や学校での学びから、自分の得意・好きだった科目や分野を書き出してみましょう。
例えば、
「子どもの発達に興味があり、インターン現場での発達支援やケアに課題を感じた」
「ピアノが得意なので、音楽・リトミックなどで子どもの感性を育みたい」
「児童心理学の先生に聞いた心理療法についての体験談が印象に残り、子どもの心理に興味を持った」
など、自分の得意分野や学びの中で、特に強く興味を抱いたことから広げてみましょう。
転職の場合
実際に保育現場での勤務経験がある保育士さんは、過去の経験をもとに、実践した保育の成功例から「自分が特に意識を高く持ってできる保育」の分野 をアピールしましょう。
この場合、過去の成功例に併せて、そのときの上司・同僚からの評価やかけられた言葉、その際の子どもの反応や変化などについても話すことができると、より保育観に説得力が持たせられるでしょう。
「どんな保育をしたいか」面接での効果的な答え方
自分らしい保育観が決まったら、面接での答え方について見ていきましょう。
面接での答え方は、以下の4項目を押さえるとより伝わりやすくなります。
【1】結論から述べる
【2】経験・エピソードを交えて理由を説明
【3】今後の課題、取り組みたいこと
【4】園の方針とリンクさせる
この流れを押さえておくと答えやすくまとまり、聞く方にも好印象を与えられるでしょう。
保育士さんへ
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「どんな保育をしたいか」面接での応答3例
前述した「答え方のポイント」を踏まえたうえで、それぞれの保育観ごとの回答パターン例を見ていきましょう。
子どもの気持ちに寄り添う保育士
例文
私は、子どもの気持ちに寄り添う保育を大事にしています。
前の勤務先で、他の子に他害行動をしてしまう園児を担任し、とても手を焼いたのですが、○○先生の著作を読んだことをきっかけに、叱ったり注意したりすることを控え、その子と細やかなコミュニケーションをとることに努めました。
その結果、保護者の方からもかんしゃくが減ったという報告と感謝の言葉をいただきました。なによりその子の笑顔が増え、自分の保育に自信をもつことができました。
これからも、子どもの行動を制限したり抑え込んだりするのではなく、その裏にある子どもの気持ちに寄り添うスキルをさらに高めたいと考えています。
そんな中、貴園の「子どもの声に耳を傾ける」という方針にも非常に共感して転職を決意しました。
ポイント
「子どもの気持ちに寄り添う保育」は、保育士さんであれば、多かれ少なかれ経験があるのではないでしょうか。子どもとしっかり向きあうことで、成長や変化を感じたエピソードがあるとなおよいでしょう。
人とのかかわり、チームワークを大切にする保育士
例文
私のモットーは「人とのかかわり、チームワークを大切にする保育」です。
私自身が、中学、高校とダンス部に所属し、今でも趣味で続けていますが、そこで育んだチームワークの大事さを日常生活でも大事にしたいと考えています。
保育士としても、園児に発表会のダンス指導をする中で、子どもたちには「ダンスを上手に踊るより、お友だちと助けあって楽しもう!」と声かけしていました。
それにより、子どもなりにチームワークを大事にし、気持ちをあわせて活動ができることを私自身が子どもたちから教えてもらうことができました。
これからは、周りになじめない子や身体を動かすのが苦手な子への対応もさらに深めていきたいと学びを続けています。
ポイント
自分の得意分野や前職で担当していた役割などから広げた保育観は、実例をまじえて話すことで説得力を持たせることができます。
また、回答をもとに体験の詳細を追加質問されることもあるので、より自分の保育観をアピールできます。
保護者のケアもできる保育士
例文
私は「保護者のケアもできる保育士」を目指しています。
以前働いていた園で、多忙だからと私たちからのコミュニケーションを拒否するようなお母さまがいらっしゃいました。
私は、お母さんの悩みや育児で困っていることがあればなんでも相談してくださいね!と連絡帳でコミュニケーションをとるようにしました。
子どものエピソードや興味の方向などを報告していくうちに、お母さまと少しずつ雑談が持てるようになり、実はワンオペで夫の協力がなく、子育てに悩んでいるという本音をきくことができました。
その情報を園全体で共有し、職員全員で保護者の方が安心して預けてもらえるコミュニケーションの取り方についてミーティングを重ねたことが、私にとって非常に学びになり、その園児とご家族への接し方を見直すことで子どもの笑顔も増えたと感じました。
家族全員が笑顔になれる保育を目指すことで、結果的に子どもへのよい影響も得ることができると考えています。
ポイント
子どもとのエピソードだけでなく、保護者や地域住民、他職員とのコミュニケーションについての成功例は、保育観だけでなく人柄や誠実さ、仕事の信頼度にもつながります。
「気持ちよくいっしょに働ける保育士」という印象を持たせることにもつながりそうです。
「どんな保育をしたいか」面接で避けたい回答
取り入れたい回答について知った上で、避けたい回答内容についても知っておきましょう。
一般的すぎる回答
「いつも元気で明るい保育士」「何ごとも最後まで根気よくやりとげる保育士」など、どんな仕事や現場でも通用する内容、保育観と呼べないような内容の回答は、保育士として中身がないととられてしまうかもしれません。
他回答との整合性がとれていない
面接ではさまざまな質問があるため、全体的に筋が通っていないとマイナス要素になりかねません。
例としては、教育を重視した園での志望動機で「体操や英語などカリキュラムが豊富な方針に興味がある」と答えたにもかかわらず、どんな保育がしたいかの質問に「子どもを縛らず自由にのびのびとした保育がしたい」と回答してしまう、などです。
園の方針とも志望動機とも相反してしまう保育観は、どんなによいことを言っていても逆アピールになりかねません。
合わない保育観の否定
過去のエピソードを引き合いに出す際に、自分以外の保育観を否定したり、他の保育士さんの失敗やトラブルを反面教師としたりするような内容は、ネガティブなイメージがついてしまうので避ける方がよいでしょう。
面接の「どんな保育をしたいか」は自分の言葉で!
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保育士さんが大事にする「保育観」は、一見、むずかしいと思ってしまいがちですが、今までの経験や得意なことから考えれば、誰でも持っているものと言えるでしょう。
自分なりの「どんな保育をしたいか」を見直した うえで、面接で効果的な回答ができれば、保育士さんの個性と魅力をしっかり伝えることができますよ。
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