子どもを預かる保育施設では、常に子どもの安全に気を配る必要があります。なぜなら、幼児期の子どもたちは好奇心旺盛な子が多く、自分の周りにどのような危険があるのかをまだ理解できない年齢だからです。そのため、保育施設で働く保育士さんは園内の安全管理はもちろんのこと、安全指導も行なわなければなりません。今回は、保育中の子どもたちを守るための安全管理と安全指導について解説します。
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■目次
保育中は危険と隣り合わせ!安全に気を配るためには環境の整備が大切
保育士さんたちがつねに気を配っている環境だったとしても、子どもの思いがけない行動でさまざまな事故が発生する可能性があります。
2023年8月にこども家庭庁が公表した「令和4年教育・保育施設等における事故報告集計」によると、教育・保育施設などで発生した報告件数は2461件にも及ぶそうです。
その多くの発生場所が施設内となっており、2182件も発生しているといいます。このような事故を防ぐには、まず環境を整備することが大切です。
なお、保育園で起こりうる事故の多くは衝突や転倒、誤飲などだそう。事故を防ぐためにも、日頃から対策を把握しておくようにしましょう。
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シチュエーション別に必要となる安全管理の例を解説
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保育活動中は、保育園内はもちろんのこと、園外の安全管理体制も整えなければなりません。ここでは、シチュエーション別に必要となる安全管理の例を確認しておきましょう。
保育室での活動
普段過ごすことの多い保育室にも、意外と危険は潜んでいます。特に注意が必要となるのは、お絵描きや製作などで使用する鉛筆やはさみなどの道具の取り扱いです。なぜなら、使い方を間違えば大きなケガにつながる可能性が高くなってしまうからです。
道具を持ちながら歩いたり走ったりしていないかはもちろんのこと、ほかの園児に向けていないか、口に入れていないかなど、しっかりと安全に気を配るようにしましょう。
園庭での活動
保育園の敷地内である園庭も、油断してはいけません。子どもが園外につながる園庭の扉を簡単に開けることができないようにしたり、不審者の侵入および子どもの飛び出しを防止したりするために、しっかりと施錠を行なうなどの注意が必要です。
また、園庭に置いてある遊具などの正しい遊び方も子どもたちにしっかりと共有しておくようにしましょう。
散歩・公園遊び
園外での散歩や公園での遊びは、外部の人やものと接触する機会が多いため、つねにリスクに気を配る必要があります。
また、出発前後に人数を把握し、天気・気温のチェック、交通量の少ない道や時間帯を選んで移動するなどの配慮も忘れてはいけません。
食事の際の誤嚥・窒息
給食やおやつなど食事をするときにも、誤嚥や窒息などが起きないか気を配らなければなりません。たとえば、時間内に食事をさせようとして急かしてしまい、その結果たくさんの食べ物を口に詰め込んでしまうことでも重大な事故につながりかねないからです。
食事をするときは、子ども一人ひとりの食事のペースはもちろんのこと、食べることができる量に気をつけ、誤嚥・窒息のリスクを防ぐようにしましょう。
睡眠中の窒息
0歳児の乳幼児を保育している保育施設の場合は、睡眠中の窒息にも気を配ることが大切です。そのためにも、以下の点に注意し、睡眠環境を整えるようにしましょう。
- やわらかい布団・ぬいぐるみなどを使わない
- 周りにひも状のものを置かない
- 口の中に異物が残っていないか確認をする
- 嘔吐をしていないか確認をする
また、睡眠中は定期的に子どもの呼吸の有無、体勢、睡眠状態などを確認するようにしましょう。
プール活動・水遊び
保育活動中にプール活動や水遊びをする際には、充分に監視できる人数を確保することが大切です。監視を担当する保育士は監視のみに専念し、常に目線を動かし、子どもたちから目を離さないようにしましょう。
万が一、動かない子ども、不自然な動きをしている子どもを見つけた場合には、すぐにその子のもとに駆けつけられるように気を配りましょう。
アレルギー
特定のものに免疫機能が過剰反応を起こしてしまう状態のアレルギー。乳幼児や幼児に多いアレルギーとしては、食物アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。
これらは重症化すると命にも関わることもあるため、日頃からアレルギー対応について知識を深めておくことが大切です。
子どもたちに向けた安全指導も行なうことが大切
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保育園内外の保育士による安全管理も大切なことですが、安全に過ごすことのできる保育施設を実現するためには、子どもたちに対して安全指導を行なっておくことが大切です。
まず、活動をする前に声かけをするなどして安全指導を行ないましょう。保育活動中は、そのとき行なう活動内容によって、潜んでいる危険が異なります。そのため、各活動を行なう前に子どもたちに声かけをすることが重要です。
たとえば、製作ではさみを使う場合は「はさみを人に向けないようにしてね」など。園庭や公園などにある遊具で遊ぶときは、「遊具で遊ぶときは順番を守って遊ぼうね」など、状況に合わせた言葉かけをするようにしましょう。
安全管理・安全指導をする際に気をつけたいこと
安全管理や安全指導は子どもを守るために大切なことですが、管理や指導の仕方を間違えると、子どもが必要以上に過敏になってしまう可能性も考えられます。そのため、以下のポイントに注意して管理・指導を行なうようにしましょう。
危険を排除しすぎないようにする
保育活動中に潜む危険は、すべて排除しないように注意しましょう。子どもが安全面の能力を身につけるには、小さな危険を経験して、自ら判断して危険を避ける力が必要だからです。
怯えさせるような指導は避ける
保育活動中に、怯えさせるような声かけをすることもあるでしょう。子どもを怯えさせて行動を促すような指導は、自ら進んで行動することに結びつかないため、注意が必要です。
保育士が手本となる
子どもたちにルールを守ってもらうためには、身近な大人が手本を見せることが大切です。子どもは日々生活していく中で、保育士の行動や判断をよく見ています。子どもに安全指導をしつつ、保育士がルールを守り、行動で示すことを心がけましょう。
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出典:「令和4年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表について/こども家庭庁
出典:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン/内閣府
保育施設の安全管理を徹底し、子どもたちに安全指導を行なおう
保育施設で安全管理を徹底することで、子どもたちの安全を守ることができます。一方、安全指導は子どもたちの安全管理能力を向上させるために大事なことです。
日頃から保育活動中で安全に気を配るためには、園内外に潜むリスクを把握しておくことも重要となるでしょう。
保育中の思いがけない事故を防ぐためにも安全管理を徹底し、子どもたちが安心して過ごせる保育環境を整えるようにしてくださいね。
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