2歳児ではどのような絵の具遊びをするとよいのでしょうか。フィンガーペインティングやボディペインティングなど、絵の具を使った技法はさまざまあるため、年齢にあった遊び方を取り入れてみましょう。今回は2歳児向けの絵の具遊びについて、ねらいやポイント、アイデアなどを紹介します。
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■目次
2歳児にとっての絵の具遊びとは
絵の具遊びにはさまざまな技法がありますが、2歳児の保育ではどのような遊び方ができるのでしょうか。
2歳児の場合、まだ筆を使って細かく色を塗る作業などは難しいかもしれません。
そのため、フィンガーペインティングやボディペインティングなど、自分の指や体を使って色遊びを楽しめる活動を取り入れるとよさそうです。
2歳児の絵の具遊びには、次のようなねらいが挙げられます。
- 絵の具の感触を楽しみながら遊ぶ
- 絵の具のいろいろな色を見ながら、色に興味をもつ
- 色を混ぜると色が変わることを覚え、 色の変化を楽しむ
製作を上手に完成させることが目的ではなく、子どもが色に関心が持てるように絵の具遊びができるとよいですね。
2歳児に絵の具遊びを導入する際のポイント
2歳児が絵の具遊びをするきに気をつける点や工夫することをまとめました。
子どもといっしょに準備をする
後片づけが大変にならないよう、活動範囲には事前に新聞紙などを敷くことでしょう。
新聞紙やビニールなどを敷く準備作業も子どもに手伝ってもらうようにすると、これから始まる活動により興味がもてるかもしれません。
注意することを伝えてから活動に入る
絵の具遊びに入る前に、
- 絵の具を口に入れないこと
- 筆を持ち歩かないこと
など、事故や怪我につながらないよう子どもと確認をしましょう。
活動中は上記をふまえたうえで、保育士さんが子どもから目を離さないよう注意することが大切です。
また、画用紙などからはみ出ないようにかくことや、顔や服、机などには絵の具をつけないように気をつけることなど、約束事を決めてから活動に入るようにしましょう。
絵の具を出して子どもに見せる
赤と青を混ぜたら紫、黄色と青を混ぜたら緑など、絵の具2色以上を混ぜて変色する様子を子どもに示してみましょう。
子どもがいろいろな色に興味をもち、活動のなかで色を混ぜてみたくなるかもしれません。
子どもの発想を否定しない
子どもは夢中になると、想定外の表現で絵の具遊びに取り組むことがあるかもしれません。
思い通りの作品にならなくても子どもの個性として認め、子どもが意欲的に工夫できる雰囲気作りを大切にしたいですね。
2歳児が楽しめる絵の具遊び:フィンガーペインティング編
打ち上げ花火
用意するもの
- 画用紙(黒)
- 絵の具(赤・青・黄など)
- ふきん
製作のポイント
絵の具それぞれの色が混ざらないよう、別の色を使うときには手拭きで指をふきながらペイントするときれいに仕上がりそうです。
完成した作品を保育室の天上に飾り、花火鑑賞ごっこをするのも楽しそうですね。
きのこ
用意するもの
- 画用紙(桃)
- 画用紙(黄)
- 絵の具
- のり
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは、画用紙をきのこのかさと柄の形に切っておきます。
いろいろな色の画用紙や絵の具を使って、カラフルなきのこを作りましょう。
保育室に飾るとにぎやかになりそうですね。
きのこの柄の部分に子どもの顔写真を貼って仕上げてもすてきかもしれません。
こいのぼり
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具セット
- はさみ
製作のポイント
いろいろな色の絵の具を使って、自由に好きな模様をえがきましょう。
画用紙でこいのぼりの目を作り、最後に貼りつけてもよいですね。
個性溢れるこいのぼりを保育室に飾ると、子どもの日の行事に興味をもつきっかけになるかもしれません。
2歳児が楽しめる絵の具遊び:ボディペインティング編
さくらの木
用意するもの
- 画用紙(白)
- 絵の具(茶・桃色)
- ペットボトル
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは、ペットボトルでスタンプを作っておきます。
さくらの木に見立て、腕までしっかり茶色の絵の具をつけましょう。
子どもにどの部分をえがいているのか、伝えながら遊べるとよいかもしれません。
茶色の絵の具が乾いてからさくらの花びらをつけるようにすると、滲むことなくきれいに仕上がりそうです。
海の生き物
用意するもの
- 汚れてもよいパンツ
- 模造紙
- 絵の具(青・水色・赤・黒など)
- 画用紙(白)
- のり
作り方
1.パンツだけ履き、自分の手を使って体や足に青や水色の絵の具をつけます。
2.大きな模造紙の上を歩いたり寝転んだりしながら、模造紙を海に見立てて染めましょう。
3.手に絵の具をつけ、画用紙でかたどったタコや魚に色をつけます。
4.(3)の海の生き物を(2)にのりで貼るとできあがりです。
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは、適当な枚数の模造紙をつなげておきます。
また、海の生き物の型を画用紙で作っておきましょう。
大きな模造紙を海に見立てて、友だちと絵の具をつけ合うなどダイナミックに遊びましょう。
上半身裸になるので、夏に園庭などで行うとよいかもしれません。
夕焼けと紅葉
用意するもの
- 絵の具(赤・オレンジ・黄)
- 模造紙
- ペン
作り方
1.足の裏に絵の具をつけます。
2.模造紙に(1)をつけ、夕焼け雲に見立てます。
3.手のひらに絵の具をつけ、木の幹のまわりに手形をおして紅葉に見立てるとできあがりです。
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは、大きくつなげた模造紙に木の幹をかいておきましょう。
夕焼けも紅葉も、複数の色を使うときれいなグラデーションがえがけそうです。
本物の落ち葉をいっしょに貼って仕上げてもすてきかもしれませんね。
2歳児が楽しめる絵の具遊び:スタンプ編
コスモス
用意するもの
- 紙皿
- スポンジ
- コスモスの形に切り取った画用紙 ※紙皿を切り抜くときの型として使います
- 画用紙
- 絵の具(赤・青・黄)
- カッター
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは画用紙でコスモスの型を作り、紙皿を型抜きしておきましょう。
散歩のときにコスモスの花を見つけたら色について話をすると、製作のとき興味をもって絵の具遊びができるかもしれませんね。
ドーナツ
用意するもの
- トイレットペーパーの芯(数個)
- 絵の具
- 紙皿
- 画用紙
- はさみ
- クレヨン
- 色鉛筆
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは動画を見ながら、トイレットペーパーの芯に切り込みを入れてスタンプを作っておきましょう。
ほかにも以下を参考に、乳酸菌飲料の容器やひもなどを使っていろいろなスタンプを用意すると、素材の形状に関心を持つきっかけになるかもしれませんね。
関連動画:乳酸菌飲料の容器でさくらのスタンプ遊び/保育士バンク!
関連動画:ひもスタンプ/保育士バンク!
イチョウの木
用意するもの
- 木の描かれた画用紙
- ガーゼ(1枚)
- 脱脂綿(1枚)
- 絵の具(黄色・オレンジ)
- 輪ゴム
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは動画を参考にポンポンを作り、画用紙に木の幹をかいておきましょう。
1つのポンポンで1色を使うなどして複数の色が混ざらないようにすると、それぞれの淡い色彩を楽しめそうです。
秋の壁面の共同製作にしてもよいですね。
2歳児が楽しめる絵の具遊びのアイデア:技法編
はじき絵
用意するもの
- ろうそく(白色)
- 水彩絵の具
- 水
- 絵の具筆
- 画用紙
製作のポイント
ろうそくでかいた見えない絵が手品のように浮かび上がる様子に、子どもはびっくりするでしょう。
手品のタネとしても使えそうですね。
デカルコマニー
用意するもの
- 絵の具(3~4色)
- 画用紙
製作のポイント
あらかじめ保育士さんはきれいに色つけができるように、絵の具の濃度や量を調整しましょう。
フィンガーペイントで色をつけても楽しそうですね。
にじみ絵
用意するもの
- 半紙(正方形 1枚)
- 絵の具(数色)
- 画用紙(1枚)
- はさみ
- のり
- 色鉛筆やペン
製作のポイント
あらかじめ保育士さんは、動画を参考に半紙を傘の形に切っておきます。
絵の具をつける量の調整などは2歳児には難しいかもしれないので、保育士さんが子どもといっしょに取り組みましょう。
複数の色が滲んで重なる様子を見て、混ざると何色になるのかを子どもと話しながら行うと色彩に興味をもって製作できそうですね。
関連動画:絵の具を染み込ませて遊ぼう♪傘の壁面工作/保育士バンク!
2歳児が楽しめる絵の具遊びを保育で取り入れよう
今回は、保育園でできる2歳児向けの絵の具遊びのネタを紹介しました。
フィンガーペインティングやボディペインティングなどで絵の具の感触を楽しんだり、廃材や野菜などをスタンプにして遊んだりすると、2歳児でも無理なく楽しめそうです。
活動に入る前に周辺に新聞紙やビニールなどを敷くと、汚れを気にせずに遊ぶことができるだけでなく、片づけも楽になりますよ。
絵の具の感触を思う存分に楽しみながら、2歳児の子どもが色彩に興味を持つきっかけになるとよいですね。