保育園の保育教材として用いられることが多いエプロンシアターですが、日常保育に加えて、誕生会などのイベントや食育や歯磨きの生活習慣の導入につなげることもできます。その一方で題材選びは難しいもの。このコラムではエプロンシアターを考えている保育士さん向けに、取り扱う題材選びのポイント、絵本や歌、具体的なイベントなどのテーマを紹介していきます。
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■目次
エプロンシアターの題材選びのポイント
まずは、どのような点に気をつけて題材を選んでいけばいいのか見ていきましょう。
年齢に合ったものを選ぶ
聞き手である子どもの年齢にふさわしいものを選びましょう。エプロンシアターは絵本と同じように、取り扱うテーマによって理解しやすいか、楽しめるかどうかが変わります。
絵本の対象年齢などを参考に、考えているテーマのエプロンシアターが担当する子どもの年齢に合っているかどうか確認が必要です。
ねらいを決める
エプロンシアターを通して達成したいねらいを決めてから題材を選びましょう。長めのお話の場合なら静かに聞くこと、生活習慣や食育の導入に使いたいならそのイベントに関連する題材を選ぶことが必要です。
達成したいねらいを踏まえて、題材選び、お話づくりを進めるようにしましょう。
イベントに合わせて準備する
イベントの導入にもエプロンシアターは使いやすいです。イベントに関連したエプロンシアターを上演することで、子どもが当日に向けて期待感を高めたり、イベントへの理解を深めることができるでしょう。
ねらいを中心とした題材のアイデア
ここからは、ポイントを踏まえたうえでエプロンシアターの題材のアイデアを紹介していきます。まずは、達成したいねらいを中心とした題材を見ていきます。
歯磨き
生活習慣の導入として歯磨きを題材にしてエプロンシアターを作ってみましょう。
カバやワニ、ライオン、オオカミ、など歯に特徴のある動物を中心に虫歯にならないための歯磨きを大切にしようと、子どもが考えるきっかけになるといいですね。
園によっては「いい歯の日」の周辺の時期で歯の健康を考える期間を毎年設けている場合があるので、こうした時期にエプロンシアターで導入をしてみてもいいかもしれません。
風邪予防
特に冬の時期、子どもが集団で過ごす保育園では、インフルエンザや風邪が広がらないように予防、対策が大切です。手洗い、うがいは子どもにしてほしい対策の一つ。病気がはやりやすい時期に風邪や予防を題材にしたエプロンシアターで手洗いうがいの大切さを導入することで子どもの意識を高め、園全体で風邪に対する予防に努めましょう。
食育
食育をテーマとしてエプロンシアターを導入してもいいでしょう。食をテーマにしたお話はたくさんありますし、自身でも内容を作りやすいのではないでしょうか。
年長さん向けにはエプロンの中央に分類表を持ってきて、「黄色の食材」「赤の食材」「緑の食材」などの分類わけをする、といった内容で栄養バランスについて簡単に説明してもいいかもしれません。
イベントを中心とした題材のアイデア
ねらいを保育園のイベントや季節の行事に設定した場合の題材について紹介します。
七夕
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季節の行事、七夕を題材にエプロンシアターを作ってみてはいかががでしょうか。七夕は織姫と彦星の物語が背景としてあるためお話の流れも作りやすく、エプロンシアターで物語を導入することで子どもがより行事について理解を深めることができるのではないでしょうか。
誕生会
誕生会にエプロンシアターを利用してもいいでしょう。
誕生会の場合は、ストーリーを作るというよりは誕生会の進行として、エプロンシアターを利用するという形がいいでしょう。劇の登場キャラクターに今月誕生日の子を紹介してもらったり、エプロンからバースデーカードを取り出す仕掛けをつけて子どもがより楽しめるように工夫しましょう。
お泊り保育
お泊り保育の導入としてエプロンシアターをしてもいいでしょう。
お泊りやおつかい、冒険ものなどの絵本をテーマに進めることが多いお泊り保育ですが、エプロンシアターでこうしたテーマに関連する劇で導入するのも一つの手段でしょう。
エプロンシアターは話の流れに融通がきくことや、子どもとの掛け合いもしやすいのが特徴。劇中に「みんなも今度お泊りするんだって?」とキャラクターと掛け合いをするのもいいでしょう。
お泊り保育の詳しい説明はこちら
日常保育の一環としての題材
日常保育の一環としてエプロンシアターを利用することもできます。そのような場合の題材の例を紹介していきます。
絵本
絵本を題材にするのは定番と言っていいでしょう。絵本は物語があらかじめ完成されているので、お話を自身で作る手間が省けます。その分仕掛けやエプロンシアターの特徴を利用した演出に工夫を凝らす必要がありそうです。
何度も読み聞かせている定番の絵本の場合であれば、少しアレンジしてみてもいいかもしれません。
昔話のアレンジ
昔話をエプロンシアターでアレンジしてみてもいいでしょう。昔話は園でも家でも読み聞かせたりする定番のものなので、エプロンシアターで上演する場合は、アレンジを加えると子どもがより楽しめるでしょう。
エプロンシアターは子どもとの掛け合いもしやすいので、子どもに物語の選択をゆだねて、そのアドリブにそって話が進むようにすると、いつもとは一味違う昔話を楽しんでくれるでしょう。
歌を中心としたオリジナルの物語
劇中に歌を歌うことを想定して、歌の内容に合わせた物語をエプロンシアターでやってもいいかもしれません。
歌はそれ自体だけでも楽しめますが、その背景にある物語を想像できるとより楽しいもの。普段歌っている童謡などを題材に選んで、いつもの歌を子どもが以前より楽しめるといいですね。
題材選びを工夫してより楽しめるエプロンシアターに
エプロンシアターは保育教材としてさまざまなねらいを設定したり、さまざまな題材で行うことができます。日々の保育には指導案に書くようなねらいが求められるように、エプロンシアターにとってもそのねらいは大切。子どもの年齢や直近のイベントなどを考えたうえで、その題材を選ぶようにしましょう。
また、題材には生活習慣の導入、イベント、日常保育などそのねらいの達成にふさわしいものを選ぶようにしましょう。発想一つでさまざまな物語が繰り広げられるエプロンシアターで、子どもが普段とは一味違った楽しい時間を過ごすことができるといいですね。