小規模認可保育園とは？大規模園との違いや特徴、仕事内容・給料などの面からメリット・デメリットを解説

小規模認可保育園とは、0歳児〜2歳児を主な対象とした定員19人以下の認可保育施設です。働く方にとっては「行事の負担が大きい」「残業が多い」といった保育士特有の悩みを解決できる転職先として注目されています。今回は、大規模園との違いや認可園としての特徴を紹介しながら、仕事内容や待遇面といった働き方、向いている人の特徴をメリット・デメリットから解説します。

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小規模認可保育での働き方とは
小規模認可保育園とは、0歳児～2歳児を対象とした定員19人以下の認可保育施設。
小人数の配置で一人ひとりの保育に集中できる。残業が少ない傾向で、給与もほかの認可園とほぼ同水準で安定。
ブランク明けや未経験でもスタートしやすく、ワークライフバランスを重視できる。

小規模認可保育園とは？

小規模認可保育園は、都市部を中心に待機児童を減らす目的や、共働き世帯のニーズに応えるために国が作った「子ども・子育て支援新制度」によって設置されています。　

小規模認可保育園は、国の認可基準を満たしている認可保育園のなかでも、とくに保育ニーズが高く待機児童になりやすい0歳児～2歳児の受け皿として機能しています。

また、さまざまな事業者が参入することで、各地域ごとに多様化する保育ニーズに合わせて、柔軟さと保育の質の高さを両立することもねらいとしています。

規模が小さいだけでなく、2歳児までの子どもが主な対象なんだね！

「認可保育園」や「小規模保育園」との違い

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小規模認可保育園は、一般的な認可保育園や、認可外の小規模保育施設と比べて、定員や対象年齢、施設のタイプに違いがあります。

小規模認可保育園は、国の運営基準を満たした認可園

小規模園の中には、国からの「認可」を受けている認可保育園と、それ以外の認可外園があります。

小規模認可保育園は、児童福祉法にもとづいて自治体から認められた事業（地域型保育事業）で、国が定めた基準を守って運営されている「認可保育園」です。

そのため、施設運営を行ううえで、国や自治体からの給付（地域型保育給付）の対象となります。

一方で、認可外の小規模保育園は、国ではなく各自治体が独自に設けた基準や届出にもとづいて運営されることが多く、公的な給付の対象になるかどうかは、自治体によって異なります。

対象年齢は0歳児～2歳児、定員は19人以下

小規模認可保育園の子どもの定員は6人から19人と決められており、家庭的な雰囲気の中で、きめ細やかな保育ができるのが特徴です。

また原則として、0歳児から2歳児が対象年齢です。園児は3歳に達する前に卒園し、3歳児以降も受け入れを行っている連携園（一般的な保育施設）に移行するパターンが主流となっています。

ただし過疎地やへき地などで、兄弟姉妹が別々の園になってしまう家庭や、集団生活が苦手な子どもなど、自治体が必要と認めた場合には、3歳以上児を受け入れることも可能とされているようです。

A型・B型・C型の3つの類型に分かれている

小規模認可保育園には、地域ごとに異なる多様な保育のニーズに応えるために、以下のようなA型・B型・C型という3つのタイプがあります。

※「認可保育所の基本基準」は、0歳児3人に対して保育士1人、1歳児・2歳児6人に対して保育士1人。

A型・B型では、より質の高い保育を実現するために、一般的な認可保育園の基準よりも1名多く職員を配置することが求められています。

それぞれで運営基準が異なる部分もあるため、転職や就職の際には応募する園がどのタイプかを確認すると、自分の希望の転職先により近い園が見つかりそうです。

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小規模認可保育園で働く5つのメリット

「次は小規模な園がいいな」と考えている保育士さんは、小規模認可保育園で働くことでどんなメリットがあるか、気になるかもしれません。

まずは、どんな傾向や働き方の希望があるかで、小規模認可保育園に向いている保育士さんのタイプを見ていきましょう。

0歳児～2歳児の保育スキルが磨ける

以前働いていた大規模園では、乳児クラスの担当になってもすぐに異動があり、じっくりと乳児保育の経験を積むことができませんでした。今は、0歳児から2歳児の発達に合わせたきめ細かな保育計画を立て、毎日深く関わることができています。

小規模認可保育園では、0歳児～2歳児の保育に特化しているため、乳児期の子どもの発達段階を深く理解し、一人ひとりの個性や体調に合わせた対応力が身につきやすいでしょう。

子どもが小さい分、保護者との密な連携や情報共有も大切になるので、信頼関係を築くコミュニケーション能力も自然と磨かれていきそうです。

乳児保育に情熱があり、専門性を深めたい保育士さんにはぴったりの環境ですね。

ひとり一人への保育や保育士同士の連携が細やかにできる

以前の園で20人のクラスを担任していたときは、全体を見渡すのに精一杯でした。今の小規模認可保育園では、園児の人数が少なく、先生同士のコミュニケーションも密にできるので、子ども一人ひとりの小さな変化にすぐに気づけてじっくりと対応できます。子どもたちと愛着関係をしっかり築けている実感があります。

小規模認可保育園は、受け入れ定員が19人以下と少ないため、大規模園に比べて子どもとじっくり関わる時間をしっかりと確保しやすいという特徴があります。

また、国が定める基本の配置基準から、さらに1名の追加配置が定められているため、保育現場にもゆとりが生まれる体制が図られています。

保育室などのスペースもコンパクトなので、保育士さん同士が連携を密にとりやすく、おだやかな環境のなか、チームで子どもたちを見守る体制が整っているケースが多いようです。

残業が少なく働きやすい

運動会、発表会、親子遠足、お泊り保育と、行事前の準備で残業が当たり前だった前職。思い切って今の小規模認可保育園に転職してからは、行事自体がほとんどないため、日々の保育に集中できるようになりました。定時に退勤できるので、自分の子どものお迎えにも間に合うし、子育てとの両立が格段にしやすくなりました。

小規模認可保育園は、園児の人数が少なく、大規模園でよくある運動会や発表会といった大規模な行事が少ない園も多いようです。

そのため、行事の準備にともなう残業が少なく、働きやすい環境といえるでしょう。

ワークライフバランスを大切にしたい方や、子育て中の保育士さんにとって、残業が少なく働きやすい小規模認可保育園は、理想的な転職先の一つかもしれませんね。保育士バンク！に無料会員登録転職先を紹介してもらう

小規模だけど認可園だから給料や安定感の面でも安心

認可外の小規模園や託児所なども考えましたが、保育の質や経営方針の面でより共感できる職場を探したら、小規模認可保育園にたどりつきました。処遇改善手当ももらえて、一般的な認可保育園と同じようにキャリアや収入アップを目指せるところが魅力です。

小規模認可保育園は、「地域型保育給付費」という公的な給付の対象事業なので、保育士さんのお給料の面では通常の認可保育園とほぼ同じ水準です。

また、保育士処遇改善手当の対象になるのはもちろん、自治体ごとに導入されている借り上げ社宅制度などの住宅補助が適用される可能性もあります。

国が定める設備・運営基準を満たしているため、保育の質の保証や運営の安定性という点で、より安心感があると言えますね。

ブランク明けや未経験でもスタートしやすい

子育てのため約10年のブランクがあり、保育士として復帰したくてもついていけるか不安でした。その点、小規模園はブランクがあっても一人ひとりの子どもに時間をかけて落ち着いて接することができ、昔の感覚を取り戻しながら安心して働くことができています。

小規模認可保育園は、保育の現場を離れていた方や、資格は取っているけど保育士経験がない潜在保育士の方にも最適かもしれません。

大規模園と比べて少人数のチームで働くことが多いため、困ったことがあればすぐに相談しやすい環境であることや、子ども一人ひとりに向き合ってじっくり関われることがその理由です。

また、大きな行事の負担が少ないため、ブランクがある・未経験の方が、イベント準備や行事の進め方についていけず戸惑うといった心配もないでしょう。

まずは落ち着いた環境で保育士としての感覚を取り戻したい、あるいは、未経験から一歩ずつ着実に経験を積みたいという方にとって、小規模認可保育園は、最初の一歩にぴったりと言えそうです。会員登録・相談無料保育士バンク！で転職相談

小規模認可保育園で働く4つのデメリット

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大規模園での保育経験が長かったり、3歳児以降の年齢の子どもの保育に興味があったりする方にとっては、小規模保育に関して、求めているものが得られないと感じてしまうことがあるかもしれません。

就学まで成長を見届けられない

小規模園で卒園する子どもたちを見送るときは、寂しい気持ちになります。3歳を前に、せっかく子どもとコミュニケーションがとれるようになってきた頃なので、この先の成長する姿も見守りたい、と感じてしまいます。

小規模認可保育園の対象年齢は、原則として0歳児から2歳児までと決められているため 、子どもたちが小学校に入学するまでの成長を継続して見届けることができません。

3歳児以降の子どもの保育経験が少なくなってしまうことで、将来的に大規模園や認定こども園への転職を考えている場合は、経験の幅が限定的になる可能性もあるでしょう。

人間関係が密になるリスクがある

全体的に人数が少ないため、人間関係に気をつかうかもしれません。今は先生同士も家族のようですが、以前は人間関係のトラブルがあったという話も聞きます。今の園のような小さいワンフロアの縦割り保育では、少しでも和が乱れると、ストレスを感じるかもしれないなと思います。

小規模認可保育園は家庭的な環境がメリットのひとつでもありますが、人間関係の風通しが悪いと、かえってストレスの原因になってしまうこともありそうです。

また、保育室のスペースがコンパクトな場合や園庭がない園もあるため、大規模園の賑やかな雰囲気や広々とした環境に慣れている方は、きゅうくつに感じる方がいるかもしれません。

大規模な行事やイベントを楽しめる機会が少ない

以前働いていた園では、運動会や発表会を通じて子どもたちの成長を実感したり、保護者の方によろこばれることにやりがいを感じたりしていました。今の小規模園では大型行事がないため、子どもたちとダンスや合奏などの発表機会がないことや、年間を通してメリハリが少ないことに、物足りなさを感じることがあります。

小規模認可保育園は、大規模園に比べて運動会や発表会などの大型行事を実施しない園が多い傾向にあります。

行事の負担が少ないことは働くうえでメリットともとれますが、行事を通じて子どもたちの成長を共有することや、大規模なイベントを成功させることによろこびを感じる保育士さんも多いでしょう。

このような場合は、モチベーションの維持が難しくなり、張り合いがないと感じてしまう可能性があります。

連携施設について保護者へのフォローが必要になる場合がある

卒園後の連携施設への移行手続きや、連携園での生活について、保護者から不安や疑問を相談されることがよくあります。新しい園への不安を感じる保護者へのフォローは、大規模園では経験がなかった業務なので、気をつかうこともありますね。

3歳になる年度で小規模認可保育園を卒園した子どもたちは、保護者の希望があれば、近隣の認可保育園などの連携施設に進級する流れが基本です。

この進級先として適切な連携施設を設定することが、小規模認可保育園には義務付けられています。

そのため、卒園児の移行に関しては、保護者へ正確な案内やきめ細かな意向確認などのフォローが必要になるでしょう。

この業務に関しては、小規模認可保育園での勤務に慣れていない保育士さんにとっては、なにかと戸惑うこともありそうです。

小規模認可保育園について気になる疑問Q＆A

小規模認可保育園への転職を考える保育士さんが知りたい質問に答えます。

Q1. 園庭がない小規模認可保育園は、戸外遊びや運動はどうしている？

A. 公園や近隣の施設を利用しています。

小規模認可保育園は、都市部などの設置しやすい場所を想定しているため、園庭の設置義務はありません。

その代わり、近隣の公園や広場を利用して戸外活動や散歩を行っています。

天候や気温によっては、保育室内のスペース、地域の児童館などを活用して運動を行う園もあるようです。戸外活動の頻度や場所は園によって異なります。

Q2. 卒園後の受け皿となる「連携施設」は必ず設定されている？

A. 原則として設定することが定められています。

小規模認可保育園は、卒園後の子どもたちの進級先を確保するため、認可保育園などの連携施設を設定することが義務付けられています。

ただし、地域によっては連携施設の確保が難しいと市町村が判断した場合、例外的に設定が免除されています。

2024年のこども家庭庁による調査では、連携施設が確保されていない小規模認可保育園は、全国で約14%あるという調査結果も。

しかしその場合も、市町村が責任を持って卒園後の受け入れ先を調整することが求められます。

また、制度として3歳児以降の受け入れを可能にする方向も検討されていることから、今後はさらに柔軟な対応が求められるようになるかもしれません。

Q3. ワークライフバランスを重視するなら、大規模認可保育園のパート勤務と小規模認可保育園の常勤勤務、どっちがいいですか？

A. 原経験重視なら大規模園のパート、プライベートとの両立重視なら小規模認可保育園かも？

ワークライフバランスのみを最優先するなら、勤務時間や日数を調整しやすい大規模園のパート勤務は最も自由度が高いでしょう。

一方で、ワークライフバランスをある程度保ちながら、安定した収入や社会保険の加入、キャリア継続を重視するなら、小規模認可保育園の常勤勤務はより希望に近い選択肢といえそうです。

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Q4. 小規模認可保育園の保育料（利用者負担額）は、認可保育園と比べて高い？

A. 規模に関わらず、認可保育園と同額です。

小規模認可保育園は国の「地域型保育事業」という認可事業の一つです。そのため、利用者が負担する保育料は、通常の認可保育園と同じく、住んでいる自治体や世帯の収入によって決定されます。

同じ認可園であることから、施設の規模や立地によって保育料が高くなることはありません。

また、0歳児から2歳児が無償化の対象となっているのは住民税非課税世帯ですが、東京都など独自の施策で0歳児～2歳児の保育料無償化をすすめている自治体もあります。各自治体に確認してみましょう。

小規模認可保育園でゆとりある働き方と細やかな保育を両立しよう

小規模認可保育園は、保育士さんが理想とする、ゆとりある保育とワークライフバランスを実現しながら働ける選択肢の一つであり、転職先として人気が上がってきています。

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