保育士さんが円満退職するためには、職員や保護者の方などにしっかり挨拶することが大切です。なかでも、年度途中に辞める場合はクラスの子どもや保護者の方も不安になってしまうため、挨拶のしかたやタイミングが重要になるでしょう。今回は、年度途中に退職する保育士さんの挨拶の伝え方や時期、例文などを紹介します。
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■目次
年度途中で退職する保育士さんは挨拶が大事!
キャリアアップや生活環境の変化など、保育士さんが園を退職する理由はさまざまでしょう。
そのなかで、区切りのよい年度末ではなく、年度途中で園を辞める保育士さんもいるかもしれません。
クラス担任を受け持っている保育士さんが年度途中で退職する場合、担任が変わることで子どもたちや保護者の方に不安を抱かせてしまうこともあるでしょう。
また、自分が担当していた業務を引き継ぐ必要があるので、他の保育士さんの負担が増えてしまうことも考えられます。
年度途中に退職すると園全体にさまざまな影響を与えてしまうため、職員さんや保護者の方、子どもたちにきちんと挨拶を伝えることが大切です。
気持ちよく退職するためにも、しっかりと心を込めた挨拶を行いましょう。
保育士が年度途中の退職意思を伝えるのに適した時期
保育士さんが年度途中で園を辞める場合、園長先生に退職意思を伝えるのに適した時期があるようです。
主に以下のタイミングが考えられます。
- 6月から8月:大きな行事が少なく、来年度の採用を本格的に始めだす頃
- 11月から12月:来年度のクラス編成を考え始める頃
上記以外の4月~5月などは、新年度が始まったタイミングなので新人保育士さんの育成などがあり忙しいことが考えられます。
また、運動会やハロウィン行事など9月や10月も大きな行事が控えている時期のため、保育園がバタバタしているかもしれません。
しかし、この時期以外でも自分が退職すると決めたタイミングがあれば相談してもよいでしょう。
理由にもよりますが、園とのトラブルや精神的・肉体的な面で事情がある場合には、時期を見計らうことなく早めに伝えるほうがよいかもしれません。
また、園の就業規則によって「退職の意思を伝えるのは〇日前まで」などと決められていることもあるようなので、あらかじめ確認しておくことも大切です。
【相手別】保育士が年度途中で退職する際の挨拶例
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ここでは、保育士さんが年度途中で退職する場合の、挨拶の例文を相手別に紹介します。
上司や同僚保育士に向けた挨拶例
例文①
「この度、一身上の都合により〇月〇日付で退職する運びとなりました。
年度途中での退職となり、皆さんにご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございません。
今年は初めて行事の責任者として務めさせていただき、数多くのことを学ぶことができました。
皆様のサポートのおかげで貴重な経験を積むことができたこと、大変嬉しく思います。
本当にありがとうございました。最終出勤日まで残りわずかではございますが、精一杯勤めますのでよろしくお願いいたします。」
例文②
「この度、一身上の都合により今月末をもって退職することとなりました。
この時期に退職することとなり、皆さんにご迷惑をおかけしてしまうこと大変心苦しく思います。
社会人として未熟な点も多々あり、そのたびに皆さんに助けていただきました。
本当にありがとうございます。この園で学んだことを活かし、今後も日々精進してまいりたいと思います。
みなさんのご活躍心からお祈り申し上げます。
◯年間、大変お世話になりました。」
これまでお世話になったお礼とともに、年度途中で退職することへの謝罪を伝える挨拶にすると、礼儀正しい印象につながりそうです。
保護者の方に向けた挨拶例
例文①
「この度、家庭の事情により〇月〇日をもって退職する運びとなりました。
年度途中での退職となり、保護者の皆様やお子様にご迷惑をおかけしてしまうこと、大変申し訳なく思っております。
〇〇組の担任としてお子様の元気な姿と笑顔に触れることができ、毎日楽しく過ごすことができました。
これは何より、保護者の皆様のお力添えあってのことと思います。最終日まで、担任としてしっかりお子様と向き合ってまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。」
例文②
「この度、家庭の事情により〇月末で退職することとなりました。
保護者の皆様には突然のご報告となり申し訳ありません。
また、最後まで〇〇組の担任として務めあげることができないこと、大変心苦しく思っております。
担任として、日々成長していく子どもたちとふれ合うことができたことが、なによりの喜びです。
至らない点もあったかとは存じますが、これまでの皆様のご支援に感謝申し上げます。
後任は〇〇先生となりますので、なにかありましたらお気軽にご相談ください。
これからも△△保育園をどうぞよろしくお願いいたします。」
子どもたちを預けてくれたことや、保育園に協力してくれたことに対するお礼をしっかりと伝えましょう。
そのうえで、年度途中で担任が交代となってしまうことへの謝罪の意も述べることが大切です。
子どもたちに向けた挨拶例
年少・年中クラス向け
「先生は、今日でこの保育園とバイバイすることになりました。
みんなと会えなくなるのは悲しいけれど、お外や公園でたくさん遊んだことは、先生の大切な思い出です。
先生は遠くにお引越ししてしまうけど、みんなのことがずっと大好きです。
今までありがとう。
これからも元気で過ごしてね。」年長クラス向け
「今日は、みんなに聞いてほしいことがあります。
先生がこの保育園にくるのは今日が最後です。一生懸命頑張った運動会や、たくさん練習したダンスの発表会など、楽しい思い出がたくさんあります。
〇〇組のみんなと会えなくなってしまうのは寂しいけれど、この保育園で過ごした毎日は先生の宝物です。
明日からは△△先生が、先生の代わりにみんなと遊んでくれます。
先生は遠くに行ってしまうけど、みんなのことを忘れません。
これからも笑顔が素敵なみんなでいてください。
今までありがとう。」
子どもたちに挨拶をするときは、「バイバイ」「遠くへお引越し」などわかりやすい言葉を使うようにしましょう。
子どもたちとの楽しかった思い出や頑張ったエピソードなども交え、担任になることができて嬉しかったという気持ちが伝わるような挨拶ができるとよいですね。
年度途中で退職する保育士が挨拶する際の注意点
保育士さんが年度途中の挨拶を伝える際に気をつけたいポイントを紹介します。
職員への挨拶はできるだけ直接伝える
先輩保育士さんや同僚など、保育園の職員さんに退職の挨拶をするときは、直接口頭で伝えるのが望ましいでしょう。
あらかじめ上司に相談して、職員さんが全員集まる朝礼や終礼の場で挨拶のための時間を設けてもらうとよいかもしれません。
その場にいなかった保育士さんには後日改めて個別で伝え、退職日まで会うことができない職員さんがいた場合には、メールなどで挨拶をするとより丁寧ですね。
具体的な退職理由を伝えるのは控える
職員さんに退職の挨拶をする際は「一身上の都合により」とし、具体的な理由について触れないのが一般的です。
ただし、結婚や出産などおめでたいことが退職理由の場合には、正直に説明してもよいかもしれません。
また、保護者の方に挨拶をする場合にも「家庭の事情により」とするのが基本で、理由を述べる必要はないようです。
退職理由は、伝え方によっては園の不満を言っているように受け取られてしまう恐れがあるため、詳細について尋ねられた際にはポジティブな形に変換して説明しましょう。
保育士が年度途中で円満退職するための流れ
年度途中で退職する場合の挨拶の伝え方や例を押さえたところで、保育士が円満退職するためのステップを紹介します。
1.園の就業規則を確認し、退職時期を検討する。
2.直属の上司(主任など)に相談したうえで、園長先生に退職の意思を伝える。
3.退職願あるいは退職届を提出する。
4.職員、保護者、子どもに向けた退職についての伝え方を園長先生と相談する。
5.職員へ退職の挨拶をする。
6.保護者へ退職の挨拶をする。
(子どもへの挨拶の時期は、園長先生からの指示に従う)
7.後任の保育士さんに引継ぎを行う。
8.退職の手続きや私物の整理を行う。
9.退職日に最後の挨拶を伝える。
このような流れで最終日を迎えることができれば、職員さんや保護者の方に不安を残すことなく円満退職できるかもしれません。
気持ちよく退職するためにも、自身の業務の引継ぎはきっちりと丁寧に行うようにしましょう。
最終日に改めて挨拶をして感謝の気持ちを伝えると、誠実な印象につながりそうですね。
保育士の挨拶のポイントをきちんと押さえて、年度途中でも円満に退職しよう
今回は、年度途中で退職する保育士さんの挨拶について、伝え方のポイントや例文などを紹介しました。
円満退職するためには、挨拶のしかただけでなく伝えるタイミングも重要になります。
なるべく園が忙しい時期を避け、来年度に向けたクラス編成が行われる前に退職意思を伝えるとよいでしょう。
年度途中で退職することで、職員は業務を引き継ぐこととなり、保護者や子どもたちは少なからず不安な気持ちになったりするかもしれません。
そのため、お世話になったことへの感謝と、退職することへの謝罪を盛り込んだ挨拶を伝えることが大切です。
職員さんや保護者の方、子どもたちに丁寧な挨拶を述べて、年度途中でも円満退職できるとよいですね。