保育園でのお正月遊びの一つ、すごろくを保育活動に取り入れたいと考える保育士さんもいるのではないでしょうか。遊ぶようになった理由ややり方を知って、子どもと日本ならではの文化を味わいたいですよね。今回はお正月にすごろくをする意味や遊び方についてまとめました。あわせて、子ども向けのルールを説明のしかたや、手作りアイデアもお伝えします。
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■目次
お正月遊びの定番、すごろくとは
羽子板や凧揚げ、福笑いなどと並び、すごろくも昔から親しまれているお正月の一つですよね。
簡単なルールなので、子どもからお年寄りまでみんなで楽しめるのも魅力です。
今回の記事ではすごろくに焦点をあてて紹介していきますが、そもそもどのような歴史があり、すごろくをする意味はどんなものなのでしょうか。
すごろくの歴史
すごろくは昔から世界中で遊ばれていたようです。
2人で対戦していち早く敵陣に攻め入れば勝ちというルールの「盤双六」と、さいころを振って出た目の数だけゴールをめざして進む「絵双六」の、2種類のすごろくが存在します。
「盤双六」は7世紀頃に日本へ伝わってきたといわれており、江戸時代にはいまのすごろくのルーツである「絵双六」が流行したといわれています。
「絵双六」は日本独自のすごろくであり、現代のルーレットを回して駒を進めるボードゲームにつながり、さらには携帯ゲームやテレビゲームと形を変えて双六のルールが受け継がれているといえるでしょう。
すごろくという名前の由来
それではなぜ「すごろく」と呼ばれているのでしょうか。
すごろくはサイコロを2つ振って、出た合計の目の数を進む遊びですよね。
サイコロの「双方が6になる」と最大値になることから、「すごろく(双六)」という名前になったという説があります。
すごろくをする意味
江戸時代には年の始めに「絵双六」というものを用いて、その勝敗によりその年に誰が出世できるのか運試しをするという風潮があったといわれています。
現代ではお正月にみんなで楽しむ遊びとして定着している双六ですが、昔は年の始めの運試しという意味合いがあったのですね。
すごろくのルールはとてもシンプルなので、年明けの保育活動に取り入れてみましょう。
ここからは具体的な遊び方について紹介します。
お正月に楽しめるすごろくの遊び方
準備するもの
- さいころ
- 駒
- マス目の描かれたボード
遊び方
1.駒を「ふりだし」のマスに置きます。
2.じゃんけんで順番を決め、サイコロを2つ振ります。
3.出た目の合計数だけ駒を進めます
4.止まったマスの指示に従います。
5.早く「あがり」のマスに入った人の勝ちです。
遊び方のポイント
2人以上で遊びます。
サイコロ2つの合計数を出すのが難しい場合は、サイコロを1つ使って出た目数だけ駒を進めるルールにしてもよいでしょう。
途中「ふりだしに戻る」という指示のマスにとまったら、スタートに戻ってやり直しです。
「1回休み」という指示では、次に自分の番がまわってきてもサイコロを振ることができません。
「あがり」のマスに入ったらゴールというルールのほかにも、「あがり」のマスに数がピッタリ合うまでゴールできずに余った数だけ引き返すという遊び方もあります。
ゴール間近に「ふりだしに戻る」というマスがあると、最後まで勝敗が予測できずに盛り上がりそうですね。
お正月遊びのすごろくを子ども向けに説明する方法
すごろくの遊び方はシンプルですが、子ども向けに説明をするのは難しいと感じることがあるかもしれません。
保育園ですごろくを取り入れるとき際の、子どもに分かりやすく伝える方法をまとめました。
ルールにちなんだ遊びをする
すごろくで遊ぶ前に導入として、すごろくのルールにつながるようなさまざまな遊びを楽しんでみましょう。
合計を当てるゲームをする
サイコロをふたつ使う場合は、1から6までの数字を使った足し算に慣れる必要があります。
あらかじめ保育士さんが大き目のさいころを2つ作りましょう。
2つのサイコロをふって出た数の合計を考えるゲームをすると、数字の足し算に親しむきっかけになりそうですね。
フラフープで遊ぶ
決められた数だけ駒を進むという練習に、フラフープを活用したダイナミックな遊びをしてみましょう。
フラフープを保育室に並べ、保育士さんの指示をした数だけ進みます。
スタートとゴールを決め、「3つ戻る」など後退する指示も出すと駒を戻る練習もできそうです。
命令ゲームをする
すごろくはマスの指示に従うというルールがあるので、保育士さんの命令通りのことをするというゲームで遊んでみましょう。
「犬の鳴き声の真似をしましょう。」
「手を3回叩きましょう。」
など、子どもにとって分かりやすいお題を用意すると楽しく遊べるかもしれませんね。
ホワイトボードや黒板を使って説明する
保育室にホワイトボードや黒板などがある場合は、模造紙にマスを描いて子どもに見えるように貼って説明してみましょう。
磁石を駒に見立ててマスの進め方を示すと、子どもは覚えやすいかもしれません。
基本的なルールを復唱する
画用紙にルールを書いて子どもに見せましょう。
- ふりだしからあがりまで早く進めたら勝ち
- マスの指示に従う
- 順番を守る
などの基本的な遊び方を何回か読み上げたあと、ルールを子どもの見える場所に貼っておくのもよさそうですね。
基本的なルールのクイズをする
子どもに一通りルールを伝えたあと、最後にすごろくのルールをクイズ形式にして子どもに出してみましょう。
子どもがクイズを答えられるのか確認をしながら、あやふやなところは再度伝えるなどするとスムーズにすごろくで遊ぶことができるかもしれませんね。
お正月遊びのすごろくを手作りする方法
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保育園で楽しめるすごろくを用意できないということもあるかもしれません。
手作りのオリジナルのすごろくについてアイデアをまとめました。
カラフルすごろく
子どもが見てワクワクするように、いろいろな色の画用紙や折り紙などを使って作ってみましょう。
用意するもの
<マス>
- 画用紙(白・黄色・水色など)
- ハサミ
- セロハンテープ
- 毛糸
- クレヨン
- ペン
あらかじめ保育士さんは、画用紙をハートや星型などに切ってマスを作ります。
また、毛糸を適当な長さに切っておきましょう。
<駒>
- 折り紙
- クレヨン
<サイコロ>
あらかじめ保育士さんは、立方体の展開図を2つ作ります。
また、隣り合う面を合わせやすいよう両面テープをつけておきましょう。
作り方
<マス>
1.好きな形の画用紙を選びます。
2.クレヨンで画用紙の枠に模様をかきます。
3.(2)にペンで指示の文をかきます。
必ずふりだしとあがりを用意しましょう。4.(3)を複数枚並べて毛糸でつなげるとできあがりです。
<駒>
1.折り紙で好きな形を折ります。
2.仕上げにクレヨンで色をつけるとできあがりです。
<サイコロ>
1.展開図を組み立てて立方体を作ります。
2.両面テープをはがし、1つの面を残して隣り合っている面どうしを貼り合わせます。
3.開いている面からちり紙をつめ、両面テープで固定します。
4.1つの面の中心に赤い丸シールを1枚貼り、残りの面には黒い丸シールを2枚~6枚ずつ貼るとできあがりです。
製作のポイント
幼児クラスから楽しめる双六を作りましょう。
ボードはなくマスだけなので、簡単に作れそうですね。
駒は、覚えている折り紙製作からモチーフを決めて子どもたちで自由に作れるようにするとよいですね。
三角柱にして子どもの顔写真を貼って仕上げてもかわいい駒になりそうです。
サイコロはちり紙をしっかりつめることで潰れにくくなるでしょう。
サイコロの目は対面の数の合計が7になることや、目の並びがどのようになっているのかを伝えると、子どもは興味をもって製作できるかもしれませんね。
巨大すごろく
保育室全体を使って遊べるような、大きなサイズのすごろくを作ってみましょう。
用意するもの
- ダンボール
- 模造紙
- スズランテープ
- ガムテープ
- 絵の具(赤・黒)
- 紙皿
- ペン
あらかじめ保育士さんは子どもが乗れる程の大きさにダンボールを切り、表面を模造紙で覆います。
また、ダンボールでサイコロの展開図を2つ作っておきましょう。
作り方
1.模造紙で覆われたダンボールの枠に、ペンで好きな模様をえがきます。
2.マスの中にペンで指示の文をかきます。必ずふりだしとあがりを用意しましょう。
3.(2)を複数枚並べてスズランテープでつなげるとマスのできあがりです。
4.展開図を組み立てて立方体を2つ作ります。
5.ガムテープで隣り合っている面どうしを貼りわせます。
6.1つの面の中心に赤い絵の具を塗った紙皿を1枚貼り、残りの面には黒い絵の具を塗った紙皿を2枚~6枚ずつ貼ると、サイコロのできあがりです。
製作のポイント
廃材を活用して作るすごろくです。
段ボールで大きな駒も作って、動かしながら遊んでも楽しいかもしれません。
大きなすごろくで見栄えがするので、遊べる展示品として作品展の製作にしてもよいでしょう。
保育園でもお正月遊びの定番のすごろくに親しもう
お正月に盛り上がる遊びの定番のひとつである、すごろく。
手作りすることでいろいろな指示を考えることができ、体を使った遊びなどに展開もできそうです。
幼児クラスでは、マスにかく指示の内容を自分で考えることもできるでしょう。
その際には進む、戻る、休むなどの数を保育士さんが調整したり、5歳児クラスであれば子ども同士で相談しながら指示の内容を決めたりするとよいかもしれません。
モノマネや一発芸などをする指示を盛り込むのもおもしろそうですね。
保育士さんも夢中になって遊びながら、すごろくを通してお正月気分を味わいましょう。