一つの保育園で長く働きたい保育士さんにとって、低離職率の園は魅力的ですよね。仕事量が多い、休みが取りづらいなどのイメージがあるなかで、離職が少ない園にはどのような特徴があるのでしょうか。今回は、保育士の離職率の実態とあわせて、低離職率の保育園の特徴や探すときのポイントなどを紹介します。

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保育士の離職率の実態
ここでは、保育士の離職率の実態を、全国の一般労働者との比較とあわせて紹介します。
保育士の離職率
2018年時点の厚生労働省「社会福祉施設等調査」によると、公立と私立を合わせた保育所で働く保育士全体の離職率は8.02%となっています。
また、私立保育所のみにおいては9.57%という結果になり、保育士全体の離職率よりもやや高い数字であることが分かります。
保育士の勤続年数
2019年度の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、全国の保育士の勤続年数は、男女計で7.8年、男性のみは6.2年、女性のみは7.9年となっています。
ちなみに、この調査における勤続年数は、1つの施設で働き続けた年数を示しています。
この結果より、男性保育士よりも女性保育士の方が長く働き続ける傾向にあることが分かりますね。
全国の一般労働者との比較
日本の一般的な労働者の平均的な離職率や勤続年数はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」によると、一般労働者の男女計の勤続年数は、平均12.4年と示されています。また、男性だけで見ると13.8年、女性だけで見ると9.8年となっています。
さらに厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概況」を見ると、2018年の離職率は14.6%です。
産業別に比較すると「宿泊サービス業・飲食サービス業」の離職率が最も多く、「医療・福祉」の分野の離職率は4番目に多い15.5%となっています。
これらの結果より、保育士の離職率は全国的に見てもそこまで高いわけではないと言えそうですね。
出典:賃金構造基本統計調査/厚生労働省
保育士が離職してしまうのはなぜ?
保育士の離職率は著しく低いわけではないものの、やはり離職してしまうという現状があるようです。ここでは、保育士が離職してしまう主な理由をまとめました。
労働時間が長い
保育士の仕事に対するイメージとして持たれがちな労働時間の長さ。
保育園は標準的におよそ11時間程度開所しているところが多いでしょう。しかし、実際は保護者の都合などで延長保育を実施することもあり、残業時間が長引く傾向にあるようです。
また、保育士は子どもの保育をするだけでなく、事務作業なども業務の一環としてこなさなければなりません。
このようなことから、勤務時間内に終わらなかった仕事を家に持ち帰る方も少なくないため、労働時間の長さに不満を抱え、離職につながってしまうようです。
給料と仕事量が見合わない
抱える仕事量は多いものの、給料が見合っていないと感じてしまう保育士さんもいるようです。
国税庁の「平成30年分 民間給与実態統計調査」によると、1年間の日本の平均給与は441万円と示されています。
一方、厚生労働省の2019年の賃金構造基本統計調査では、保育士の1年間の平均給与は、2019年度で約363万円となっています。
この結果より、保育士さんの給料は日本の平均給与よりも低く、いまだに低水準となっていることが分かります。
保育士の仕事量が多く残業や持ち帰り仕事が発生してしまうなかで、現状の給料に物足りなさを感じてしまう保育士さんも多いようです。
保育士さんが、仕事量の多さに見合うような給料が支払われていると実感することができれば、離職しにくくなるかもしれませんね。
人間関係がうまくいっていない
人間関係の不和によって離職を考える保育士さんもいるようです。
いっしょに働く職員との仲が良好ではなかったり、ほかの職員同士の仲が良くなかったりすると、職場全体の雰囲気が重くなってしまうでしょう。
また、スムーズに情報の共有や伝達が行われず、業務に支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。
職場の雰囲気でストレスを感じてしまった場合は、環境を変えることで改善されることもあるため、人間関係の問題は保育士の離職につながりやすいと言えるでしょう。
保育方針が合わない
保育士が離職する理由として保育方針の不一致が挙げられそうです。
保育士が求める理想の保育のやり方と、園が定める保育理念や方針が異なることもあるでしょう。
保育活動についての意見をオープンに言えない雰囲気があったり、意見を聞き入れてもらえなかったりすると、保育士さんは自分が実現したい保育の在り方とのギャップに悩んでしまうかもしれません。
そのため、現在働いている園を離れて「もっと子どもたちに運動遊びをさせたい」「英語教育に力を入れたい」など、自分がやりたい保育をかなえられる園に転職しようと考えることもあるでしょう。
給料が安い、労働時間が長いなど、保育士の退職につながりやすい条件がそろっている園は、離職率が高い傾向にあるかもしれないので、転職を考える際には注意が必要ですね。
出典:賃金構造基本統計調査/厚生労働省
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低離職率の保育園の特徴

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離職率が低い園というのは、言い換えれば保育士さんの定着率が高いということでもあるでしょう。保育士さんが長く働き続けられるような、低離職率の保育園の特徴を紹介します。
給料が安定している・良い
給与が比較的高い、賞与の支給がある、残業代がきちんと支払われるなど、給与体制が整っていることは、保育士さんが辞めにくくなる要因の一つでしょう。
賞与が4カ月分以上支給されている実績があったり、住宅補助などの各種手当が充実していたりする保育園であれば、働く保育士さんの満足度の高さにもつながりそうです。
残業や持ち帰り仕事が少ない
近年、ワークライフバランスを重視する働き方改革が進んでいることもあり、保育士さんの残業削減に積極的に取り組んでいる園が増えてきているようです。
なかには、アプリやパソコンなどを用いたICTシステムを導入して、事務作業や書類作成を簡素化し、業務の効率化に取り組んでいる園もあるでしょう。
保育園が持ち帰り仕事や残業を減らす工夫をしていれば、働き方に不満を抱える保育士も少なくなり、離職率が低くなるかもしれません。
休みが取りやすい・多い
保育士の仕事は休みが少ない、または取りにくいという印象があるでしょう。
そのなかで、積極的に休暇取得を推進している園は、仕事とプライベートを両立しやすく、保育士さんも辞めにくいのかもしれません。
「年間休日120日以上」「土日休み」「有休消化率が高い」といった条件がそろっている園で働くことができれば、プライベートの時間もしっかり確保できるため保育士さんの満足度も高いでしょう。
また、職員の人数が足りている園は代理の保育士を立てやすく、有給休暇を取得しやすい環境にあるようです。そういった職場環境であれば、保育士さんが休みを取ることに後ろめたさを感じるなどの心理的負担も少ないのかもしれませんね。
職場の雰囲気が良い
職場の雰囲気が良い園は、保育士の離職率が低いところが多いようです。
職員全員が気軽に意見を出し合えるような風通しのよい職場環境であれば、仕事のしやすさに影響するのかもしれません。
いっしょに働く職員との関係が良好であれば、子どもや保護者の方のためにより良い保育を目指すことができるでしょう。保育園で長く働くためにも、職場の雰囲気の良さは重要と言えそうです。
福利厚生が充実している
福利厚生がしっかりとしている園も、保育士が長く働き続けるための大きな特徴と言えるでしょう。
「産前産後休暇」「育児休暇」「時短勤務制度」などの体制が揃っていると、結婚や出産などのライフイベントがあっても、安心して産休に入ることができたり、仕事と子育てを両立しやすかったりするでしょう。
また、そういった制度の利用率が高いと、働きやすさにつながり、離職率の低さに反映されるのかもしれません。
転職を検討する際は、実際に福利厚生の制度を利用している職員の割合なども把握しておくよいですね。
このように、保育士が働きやすいと感じられるような環境や制度がしっかりと整えられている保育園は、保育士が辞めにくく離職率も低いといえそうですね。
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低離職率の保育園を探すときのポイント
低離職率の保育園の特徴をもとに、求人票や園見学などの際に重視するといいポイントを紹介します。
職員の人数が足りているかを確認する
職員の人数が充足していることは、日々の業務の忙しさや残業などの多さに関わってくるでしょう。
保育士の配置基準をぎりぎり満たしている職員数で保育をしていると、一人ひとりの業務負担量が多くなるうえに休みも取りづらくなってしまうかもしれません。
職員の人数が多く代わりの人を立てやすい環境があることは、今後の働きやすさにもつながるのできちんと確認しておきたいポイントですね。
賞与や昇給の有無・残業代の支払われ方を把握する
先ほどもお伝えした通り、給料が高く安定している園は保育士さんが働きやすい傾向にあります。
そのため、賞与や昇給の有無だけでなく、ある場合には実績を求人などで調べておくといいでしょう。また、残業代の支払われ方についても把握しておくことが大切です。
保育園によってはサービス残業として残業代が支払われないこともあるようなので、残業代は毎月決まった額なのか、給料とは別で支給されるのかを応募する前にきちんと確認しておきましょう。
残業時間数を確認する
残業時間数も、保育士さんの働きやすさに関わってくるでしょう。
保育園によって、行事の数が多かったり職員が少なかったりと、残業時間が増えてしまう要因はさまざまかもしれません。
また、業務効率化が進んでいない園では、事務作業なども手書き作業が多く、時間がかかり、残業につながるケースが多いことも考えられます。
積極的にパソコンやタブレットを取り入れて業務の効率化に取り組んでいる園であれば、持ち帰り仕事や残業は少ないかもしれません。
事前に園のホームページや求人票などに残業時間の平均が記載されているかを確認しておくことも大切なポイントと言えそうですね。
休日数や休みの取りやすさを確認する
求人票で、年間休日数や夏季休暇の日数などを必ずチェックしましょう。
一つの目安として、「年間休日120日以上」や「完全週休2日制」などと書かれていると安心かもしれません。
保育園は土曜日も開所しているところが多いため、土曜日に出勤があった場合には平日に代休が取れるようになっているかなども知っておくとよいですね。
また、有給休暇の取得率もあわせて見ておきましょう。
取得率が高い園は人事体制がしっかりしていたり職員の人数が足りていたりと、保育士さんが働きやすい環境づくりを目指していることがうかがえます。
職場の人間関係を自分の目で確かめる
園見学に行って、実際に働いている職員や園の雰囲気を目で見ておくといいでしょう。
職員たちと上手くなじめそうか、また困ったことがあったときに相談しやすそうかなど、今後その園で働くことになった場合を想定して確かめるといいかもしれません。
人間関係は保育士さんが離職してしまう理由の一つでもあるので、職場の雰囲気を知っておけば入職後にギャップを感じにくくなりそうですね。
福利厚生や各種手当を確認する
職員が利用できる福利厚生の制度が充実していることはもちろん、実際に利用している人がいるのかといった点も重視するとよさそうです。
福利厚生の制度を利用しやすいということは保育士として長く働き続けられることにもつながるでしょう。
リフレッシュ休暇やバースデー休暇など、園が独自で設けている休暇制度などもあるので、園見学や面接の際に、取得実績について尋ねてみるのもいいかもしれませんね。
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