保育園や幼稚園では、3月3日のひな祭りに向けて、雛人形などをテーマにしたひな祭り製作を行うことがあるでしょう。そこで今回は、0歳児、1歳児、2歳児の乳児クラス向けのひな祭り製作のアイデアを紹介します。身近な素材で作ることができるので、みんなで楽しく作ってみてくださいね。
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■目次
ひな祭りとは
ひな祭りとは、毎年3月3日に行われている日本の伝統的な行事の1つで、女の子の健やかな成長を願う日として親しまれています。
ひな祭りは、中国から伝わってきたとされており、平安時代には紙でできた人形を川へ流し、人形に女の子の厄災を引き受けてもらう「流し雛」が行われていたそうです。
そこから時代が進むにつれて、「人形を流す」から「人形を飾る」という文化になり、現代のように家でお雛様を飾り、女の子の健康や成長を願う行事になったといわれています。
保育園や幼稚園でも、3月3日のひな祭りに向けて、雛人形などをテーマにしたひな祭り製作を行うこともあるのではないでしょうか。
保育園や幼稚園で行うひな祭り製作には、
- 製作を通してひな祭りとは何かを知る
- ひな祭りという行事に親しみを持つ
などといったねらいがあります。
今回は、保育園や幼稚園でできる0歳児、1歳児、2歳児の乳児クラス向けのひな祭り製作のアイデアを紹介します。
保育園や幼稚園でできる0歳児向けのひな祭り製作
0歳児は、保育士と肌を触れ合わせるなどのスキンシップを図りながら、手足を活発に動かすようになったり、声を出して反応をするようになる頃でしょう。
そのため、音が鳴るおもちゃに興味を示したり、さまざまな物を触って感触を楽しむ姿が見られるようになるかもしれません。
このような0歳児の赤ちゃんの特徴を生かして保育園や幼稚園でできる、ひな祭り製作アイデアを紹介します。
指スタンプでつくるひな祭りの壁面製作
0歳児は、物の感触を楽しむ姿が見られるようになるかもしれません。
そこで、0歳児の赤ちゃんの指先に絵の具をつけて、絵の具の感触を楽しみながらできる指スタンプを活用したひな祭り製作を紹介します。
用意するもの
- 画用紙
- 紙皿
- 絵の具
- はさみ
- のり
保育士はあらかじめ、雛人形の顔と体をつくったパーツを用意し、画用紙に貼っておきます。0歳児の赤ちゃんがスタンプしやすいように、大きめにパーツをカットし、画用紙に貼っておくといいかもしれません。
作り方
1.保育士は紙皿などに何色かの絵の具を用意します。
2.保育士がサポートしながら、0歳児の赤ちゃんの指や手に絵の具をつけます。
3.雛人形のパーツを貼った画用紙に、自由にスタンプして装飾したらできあがりです。
この製作は、0歳児の赤ちゃんの指先についた絵の具の感触を楽しみながら、作ることができるひな祭り製作です。スタンプする位置にはこだわらず、さまざまな色の絵の具を使って指スタンプしていきましょう。
この製作を行うときは、机の上に大きめの新聞紙を敷いておくと、机などに絵の具がつきにくくなるので、参考にしてみてくださいね。
手形や足形でつくる雛人形
指スタンプをさらに応用した、子どもの手形や足形作る雛人形の作り方を紹介します。
手形や足形の場合、手の平と足の裏全体に絵の具を塗るため、指スタンプとは違った感触や形を楽しむことができるでしょう。また、手形や足形でのひな祭り製作は、子どもの成長記録にもなるので参考にしてみてくださいね。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- はさみ
- のり
保育士は、雛人形の顔パーツを事前に作っておきましょう。お雛様などの雛人形の顔のパーツは、画用紙や折り紙などで作ったり、子どもたちの写真を顔の部分だけ切り抜いたりしても、かわいく仕上がりそうですね。
作り方
1.子どもたちの手や足に絵の具を塗ります。
2.雛人形の体にしたい場所に、絵の具で色をつけた子どもたちの手や足をスタンプするように押します。
3.(2)に保育士が作ったお雛様の顔を組み合わせてできあがりです。
手形や足形のひな祭り製作では、0歳児の赤ちゃんの手の平や足の裏全体に色を塗るので、手足を動かしているときは色を塗るのに時間がかかったり、上手に塗れない場合もあるかもしれません。
そういったときは、0歳児の赤ちゃんの手や足が入る大きさの底の深い容器や紙皿を用意し、事前に絵の具を入れておき、様子を見ながら絵の具の入った容器に手や足をつけると、一度で全体に色がつきやすくなるので参考にしてみてくださいね。
また、絵の具をつける前に、0歳児の赤ちゃんの手や足を拭いてから色をつけると、きれいに仕上がりますよ。
さらに、テーブルや床を汚さないようにするために、新聞紙やビニールシートなど敷いた上で作業するとよいでしょう。
シールを貼ってつくる雛人形
0歳児の後半になると、手足を活発に動かすようになる頃でしょう。
ここでは、0歳児後半から楽しめるシール貼りでつくる雛人形の作り方を紹介します。
用意するもの
- 画用紙
- シール(大中小)
- はさみ
- のり
保育士は、画用紙などで雛人形の体のパーツと、何もかいていない顔のパーツを作りましょう。シールは、0歳児の赤ちゃんでも取れるように台紙から軽くはがしておくと、指につけて取りやすくなるでしょう。
また、大中小のシールを用意し、はじめは大きいサイズのシールを使い、慣れてきたら中くらいのシールや小さめのシールなども活用するといいかもしれません。
作り方
1.保育士は雛人形の体と顔パーツを用意します。
2.雛人形の顔に、子どもたちが自由にシールを貼ったらできあがりです。
0歳児の場合は、眉や目、口などの位置にこだわず、シール貼りを楽しみながら、雛人形をつくるという楽しみ方をするといいでしょう。さまざまな色や大きさのシールを使って、子ども一人ひとりオリジナルの雛人形を作ってみてくださいね。
保育園や幼稚園でできる1歳児向けのひな祭り製作
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1歳児になると、0歳児よりも物をしっかり掴めるようになったり、紙をくしゃくしゃにする、ちぎるなどできることが増えてくる時期といえるでしょう。
また、自我が芽生えはじめてきたり、保育士など人の動きを真似るようになる頃でもあるので、製作を行うときは、保育士がお手本を見せながらいっしょに行うといいかもしれませんね。
それでは、1歳児の特徴を生かした保育園や幼稚園でできる、ひな祭り製作のアイデアを紹介します。
ちぎり絵でつくるひな祭りの壁面製作
1歳児になると、折り紙や新聞紙などの紙をちぎったり、丸めたりできるようになるかもしれません。
そこで、ちぎり絵を活用して作れる雛人形の壁面製作を紹介します。
用意するもの
- 折り紙
- 画用紙
- はさみ
- のり
保育士は事前に、画用紙で雛人形の顔と体のパーツを作りましょう。
お雛様の体は、ちぎり絵を貼るときの目安になるので、ちぎった紙を貼り付けやすいように大きめにカットするといいかもしれません。
雛人形の顔と体のパーツを組み合わせたら、子どもたちといっしょに雛人形を装飾していきましょう。
作り方
1.1歳児の子どもたちに折り紙をちぎってもらいます。
2.保育士が事前に用意した雛人形の体にのりをつけます。
3.子どもたちがちぎった折り紙を(2)に貼り付けたらできあがりです。
この製作では、ちぎり絵のほかにものりを塗る、という工程があります。
のりにはスティックタイプのものや液状のものなどさまざまですが、つぼ状タイプののりを使うと、1歳児の子どもたち自身でのりを手につけて、直接のりの感触を楽しみながら行うこともできそうです。
保育士がのりを塗った画用紙にちぎり絵を貼る場合は、時間が経つと乾いてしまうため、子どもたちの作業ペースを見ながら、再度塗り直す場合もあるかもしれません。
また、上手に折り紙をちぎれない子どもがいたときは、保育士が少し紙に切り込みをいれておくと、ちぎりやすくなるでしょう。
紙コップでつくる雛人形
紙コップを雛人形の体に見立ててつくるひな祭り製作を紹介します。
用意するもの
- 紙コップ
- 画用紙
- 絵の具
- はさみ
- のり
保育士は雛人形の顔パーツを作っておきます。
あらかじめ絵の具を用意しておくと、スムーズに作業が始められるようになりますよ。
作り方
1.子どもの指に絵の具をつけます。
2.子どもたちに紙コップの側面に指スタンプをしてもらいましょう。
3.紙コップの底の部分に、保育士が作った雛人形の顔パーツを貼り付けたらできあがりです。
1歳児になると、保育士の行動を真似る姿が見られることがもるので、はじめに見本として保育士が紙コップの側面に指スタンプをするやり方を見せると、1歳児の子どもたちも真似をしながらスタンプを楽しめるかもしれません。
また、お雛様が持っている笏や扇などのパーツをあらかじめ保育士が作っておくと、より本物らしい見映えになりそうですね。
色のついた指でどんどんスタンプをしていくと、色が重なってきれいな色を表現できますが、絵の具が混ざりすぎてしまった場合には、一度子どもの指をきれいに拭いて、新しいものを用意してあげるといいでしょう。
紙皿でつくる雛人形
紙皿でつくる雛人形を紹介します。
用意するもの
- 紙皿
- 画用紙
- シール
- はさみ
- のり
保育士は事前に、画用紙を使って雛人形のお雛様とお内裏様の顔の輪郭を作っておきましょう。
作り方
1.子どもたちは、画用紙で作った雛人形のお雛様とお内裏様の顔にシールを貼ります。
2.(1)を紙皿の上に貼り付けたらできあがりです。
お雛様とお内裏様の顔にシールを貼っていくときは、正しい目や鼻などの位置にこだわらず貼っていきましょう。
その中で保育者が声をかけながら、「目はどこに貼るかな?」「口はどこだろう?」と声をかけながら行うと、目や鼻、口の正しい位置を認識することにつながるかもしれませんね。
保育園や幼稚園でできる2歳児向けのひな祭り製作
2歳児は、少しずつ色を認識できる子どもが出てくる頃でしょう。また、クレヨンなどで自由にお絵かきをする中で、曲線などもかけるようになってくるかもしれません。
さらに、2歳児は好奇心旺盛になってくる時期でもあるので、色や素材などに興味を示す子どもも多くなりそうですね。
2歳児の特徴を生かして保育園や幼稚園でできる、ひな祭り製作アイデアにはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
身近な素材でつくるひな祭りの壁面製作
紙皿や紙コップといった身近な素材でできる、雛人形の作り方を紹介します。
紙皿でつくる雛人形
紙皿に雛人形を貼ってひな祭りの壁面製作を作ってみましょう。
〈用意するもの〉
- 紙皿
- 折り紙
- 画用紙
- 紐
- カッター
- はさみ
- のり
- パンチ
〈製作のポイント〉
この製作には、台紙となる紙皿を丸くカットする工程や雛人形を作る工程などがあるため、子どもだけでは少し複雑に感じてしまう場合もあるかもしれません。
そのため、はさみを使う工程などは安全に配慮して保育士が行い、子どもたちができそうな紙皿の装飾や雛人形の表情をかいてもらう工程は子どもが行うなど、役割を分けていっしょに進めていくとスムーズに作ることができるでしょう。
紙皿の周りを飾る折り紙は、和紙や千代紙を使うとよりひな祭りらしく華やかに仕上がりなりますよ。
紙コップでつくる雛人形
紙コップでつくる雛人形の作り方を紹介します。
〈用意するもの〉
- 紙コップ
- フェルトペン
- 折り紙
- のり
保育士はあらかじめ、紙コップに雛人形の顔の位置を決め、印をつけておきます。 印をつけるときは、油性のフェルトペンを使うと、子どもたちにも目印がわかりやすくなるでしょう。
さらに、保育士は雛人形が持っている笏や扇のパーツを折り紙や画用紙などで作っておくと、装飾などで活用できるので作っておくといいかもしれませんね。
〈作り方〉
1.子どもたちは、紙コップで目印をつけた範囲以外の場所に、自分でちぎった折り紙を貼りつけます。
2.紙コップで目印をつけた範囲の中で、子どもたちはお雛様やお内裏様の顔をかいていきます。
3.保育士があらかじめ作っておいた、雛人形の冠や笏のパーツを貼りつけたらできあがりです。
雛人形の体の装飾は、ちぎり絵以外にも、クレヨンや絵の具で自由にお絵かきしてみたり、シールを貼ったり、マスキングテープなどで装飾してみてもいいかもしれませんね。
また、折り紙をくしゃくしゃにして広げたものを貼り付けてみても、一味違った装飾になるので、参考にしてみてくださいね。
紙粘土でつくる雛人形
保育園や幼稚園では、だいたい2歳児頃から紙粘土を使った製作を行うこともあるのではないでしょうか。
紙粘土は、自由に形を作れるだけでなく、水彩絵の具を混ぜれば、色のついた紙粘土に変わります。
また、紙粘土は通常の粘土と違い、時間が経つと固まるという特徴があるので、紙粘土の感触の違いに2歳児の子どもたちは興味を持つかもしれませんね。
紙粘土でつくる雛人形の作り方を紹介します。
用意するもの
- 紙粘土
- 画用紙
- フェルトペン、クレヨン
- 割り箸、またはストロー
- 折り紙
- ガムテープ
保育士は、紙粘土に貼り付ける雛人形の顔として、画用紙を丸く切り抜いたパーツを作っておきます。必要に応じて笏や扇といったパーツも作っておくといいでしょう。
作り方
1.子どもたちに紙粘土を丸めてもらい、顔をつけるための支柱として割り箸を半分にカットし、紙粘土の真ん中に挿します。
2.約1時間ほど紙粘土を乾かしておきます。
3.紙粘土を乾かしている間に、雛人形の顔のパーツにフェルトペンやクレヨンなどで、お雛様やお内裏様の表情をかいてもらいます。
4.紙粘土が乾いたら、保育士が割り箸に雛人形の顔を貼り付けてできあがりです。
(1)から(4)の工程ができたら、雛人形の体を装飾していきましょう。体となる部分に接着剤を塗り、子どもたちに和紙をちぎって貼りつけてもらうと、着物を着ているお雛様とお内裏様に見立てることができますよ。
紙粘土の表面に絵の具で色をつける場合は、乾くのに時間がかかるため、紙粘土で形を作る日と乾いたものに装飾する日で、分けておくといいかもしれません。絵の具が乾いた上にニスを塗ると、色が落ちがしにくくなり、ツヤが出て見栄えもよくなるので参考にしてみてくださいね。
折り紙でつくる雛人形
折り紙で作れるお雛様の作り方を紹介します。
用意するもの
- 折り紙(赤)
- 折り紙(青)
- ペン
製作のポイント
動画で紹介した雛人形の作り方ですが、折り紙を裏返しにしたり、折り目に合わせて折るため、折り方が難しいと感じる子どもがいるかもしれません。そのため、あらかじめ保育士が折り紙で雛人形を作っておくと、作業がスムーズに進みそうですね。
また、折り紙は和紙や千代紙を使用すると、雛人形の着物がより本物らしく仕上がるでしょう。子どもたちに雛人形の顔をかいてもらうと、子どもの個性が光るオリジナルのお雛様を作ることができますよ。
デカルコマニーでつくるひな祭りの壁面製作
デカルコマニーとは、絵の具をつけた紙を半分に折り、左右対称の模様を作ることができるお絵かきのことです。
この方法を活用したひな祭り製作を紹介します。
用意するもの
- 絵の具 3~4色
- 画用紙
作り方
1.雛人形のパーツとなる画用紙を半分に折って開きます。
2.子どもは、(1)の折り目を真ん中にし、片面に絵の具で色を付けていきます。
3.(2)を閉じましょう。
4.(3)をもう一度開いたら、もう片面に色が移っているので、雛人形の装飾のできあがりです。
デカルコマニーは、紙を折ったときに片面に色を付けるため、もう片面に色が移りやすいように少し多めに絵の具をつけると、きれいに模様が浮かび上がるでしょう。
この方法でひな祭り製作を行うときは、デカルコマニーで模様をつけた画用紙を雛人形の体のパーツにカットし、雛人形の着物に見立てます。雛人形の顔は保育士が作ったものを貼り付けてもいいですし、雛人形の顔の輪郭だけを用意して、表情を子どもたちにかいてもらってもかわいく仕上がりそうですね。
ひな祭り製作を通して、ひな祭り行事に親しみを持とう
保育園や幼稚園でできる0歳児、1歳児、2歳児の乳児向けのひな祭り製作のアイデアについて紹介しました。
0歳児、1歳児、2歳児の乳児クラスは、年齢を重ねることによってできることが増えてくるため、年齢に合わせたひな祭り製作を行うことが大切になります。
紙皿、紙コップ、絵の具など身近な素材でひな祭り製作を作ることができるので、ひな祭り製作を通して、日本の伝統行事に親しみを持つきっかけづくりをしていきましょう。