2024年度の保育士試験の合格に向けてどのように対策を立てればよいのでしょうか。2022年の合格率は「約30%」。難易度が高く、筆記・試験の勉強の順番に悩みますよね。今回は、保育士試験の筆記・実技における科目別の対策や合格ポイントをわかりやすく解説します。保育士資格の取得に向けて計画的に取り組んでいきましょう。
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目次
2024年度の保育士試験の概要
保育士になるためには、保育士資格の取得が必要です。
国家試験である「保育士試験」は、筆記と実技の2つで構成されており、筆記試験に合格後、実技試験を受験できる仕組みとなっています。
両方の試験に合格することで保育士資格を取得できますが、「勉強方法がわからない」「合格するための対策を知りたい」と考える方もいるでしょう。
まずは、 2024年度の保育士試験の日程や内容、合格率について把握することが大切です。
そのうえで勉強の順番や対策方法を知り、保育士試験の合格を目指していきましょう。
試験日程
保育士試験は、1年間の中で前期と後期の2回実施されます。
一次試験に筆記試験が行なわれ、全科目合格すれば2次試験の実技試験に進む流れです。
2024年度の保育士試験は以下の日程で行なわれます。
前期試験
- 筆記試験:2024年4月20日(土)、21日(日)
- 実技試験:2024年6月30日(日)
後期試験
- 筆記試験:2024年10月19日(土)、20日(日)
- 実技試験:2024年12月8日(日)
筆記試験と実技試験の対策をしっかり立てていきましょう。
試験科目と合格点
試験科目の詳細と合格点について紹介します。
筆記試験科目
筆記試験は9科目から出題されます。
科目 | 出題内容 | 設問数 | 時間 |
---|---|---|---|
保育原理 |
・保育に関する法令及び制度 ・保育所保育指針における保育の基本 ・保育の思想と歴史的変遷 ・保育の現状と課題 |
20問 | 60分 |
教育原理 |
・教育の思想と歴史的変遷 ・教育の制度 ・教育の実践 ・生涯学習社会における教育の現状と課題 |
10問 | 30分 |
社会的養護 |
・社会的養護の基本 ・社会的養護の制度と実施体系 ・社会的養護の対象・形態・専門職 ・社会的養護の現状と課題 |
10問 | 30分 |
子ども家庭福祉 |
・子どもの人権擁護 ・子ども家庭福祉の制度と実施体系 ・子ども家庭福祉の現状と課題 ・子ども家庭福祉の動向と展望 |
20問 | 60分 |
社会福祉 |
・社会福祉の制度と実施体系 ・社会福祉における相談援助 ・社会福祉における利用者の保護に関わる仕組み ・社会福祉の動向と課題 |
20問 | 60分 |
保育の心理学 |
・子どもの発達過程 ・子どもの学びと保育 |
20問 | 60分 |
子どもの保健 |
・子どもの身体的発育・発達と保健 ・子どもの心身の健康状態とその把握 ・子どもの疾病の予防及び適切な対応 |
20問 | 60分 |
子どもの食と栄養 |
・栄養に関する基本的知識 ・子どもの発育・発達と食生活 ・食育の基本と内容 ・家庭や児童福祉施設における食事と栄養 ・特別な配慮を要する子どもの食と栄養 |
20問 | 60分 |
保育実習理論 |
・保育実習実技 |
20問 | 60分 |
試験形式はマークシート方式となります。試験時間は1科目60分となりますが、例外として「教育原理」および「社会的養護」のみそれぞれ30分となりますので、その点に注意しましょう。
合格点
筆記試験の合格点は100点満点中の6割(60点)です。「教育原理」および「社会的養護」はそれぞれ50点満点で、どちらも30点以上得点すれば合格になります。
実技試験科目
実技試験は、3分野の中から2分野を選択して試験を行ないます。
<音楽に関する技術の課題曲>
- 夕焼け小焼け(作詞:中村雨紅 作曲:草川信)
- いるかはザンブラコ(作詞:東龍男 作曲:若松正司)
ピアノ、ギター、アコーディオンのどれかひとつを使用し、演奏しながら歌います。
<造形に関する技術の課題>
- 保育の一場面を絵画で表現する
当日提示された問題文と条件にあわせて、保育の一場面を表現します。試験時間は45分です。
<言語に関する技術の課題>
3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」を行なうことをイメージし、以下の4つのお話のうち1つを選択します。
- ももたろう
- 3びきのこぶた
- おおきなかぶ
- 3びきのやぎのがらがらどん
子どもが15人程度いることを想定して、一般的なあらすじを伝えるとともに3歳の子どもが楽しめるように工夫することが求められます。
課題の詳細については、「一般社団法人 全国保育士協議会」のホームページを見て確認しましょう。
合格点
実技試験はどの分野も50点満点となります。6割とれば合格となるため、1分野で30点以上、2分野で合計60点以上得点する必要があります。
合格率(2022年度)
厚生労働省の「保育士試験の実施状況(2022年度)」の資料をもとに、2022年度の保育士試験の合格率を見てみましょう。
前期
受験者:40501名
合格者:12750名
合格率:約31%
通年、筆記試験の合格率は低いものの、実技試験の合格率は高くなっています。
後期
受験者:34345名
合格者:10128名
合格率:約29%
通常通り筆記試験に合格すれば、実技試験に進みます。難易度が高いことが想定されるため、早めに試験対策を行ない、勉強を進めていきましょう。
筆記試験合格科目免除について
筆記試験の合格科目には条件によって免除制度があるため、その点について紹介します。
筆記試験合格科目免除期間延長制度
通常、筆記試験の合格科目については3年間の有効期限が設けられています。
例えば、2024年に合格した科目については2025年、2026年の試験までは免除となり、合格点を満たなかった科目のみ受験することができます。
また、2024年度の受験者が過去の合格科目の免除を受ける場合は、通常通り考えると「2022年」「2023年」が対象期間となります。
幼稚園教諭免許を持つ方向けの特例制度も
厚生労働省「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」により、幼稚園教諭免許状を取得している方は、幼稚園などで「3年以上かつ4320時間以上」の実務経験があれば、以下の4科目が免除されます。
- 保育の心理学
- 教育原理
- 保育実習理論
- 実技試験
なお、実務経験がない方の場合「保育実習理論」以外の3科目が免除となるようです。幼稚園教諭免許状を取得済みの方は、確認してみるとよいでしょう。
保育士試験に向けた対策:筆記試験編
ここからは、保育士試験対策として筆記試験の勉強の順番について、順番に沿って紹介します。
STEP1.難易度を把握して科目別の優先順位を決める
先述の通り、保育士試験は9科目あります。全て6割以上の得点を取る必要があるため、合格が難しいと感じる方は多いでしょう。
まずは、科目別の難易度を把握したうえで優先順位を決めましょう。ここで、二通りの方法を紹介します。
(1)自分の興味のある分野・ない分野に分けて優先順位を決める
テキストや問題集などで出題範囲を確認して、自分の興味のある分野・ない分野に分けてみましょう。
特に難易度が高いと言われているのは、「社会福祉」「社会的養護」「子どもの家庭福祉」などが挙げられますが、自身の得意・不得意によって難しいと感じる科目に違いがあるかもしれません。
「興味のある分野とない分野をセットにして毎日2分野ずつ取り組む」など順番を決めて計画を立てれば、見通しを考えて勉強を進めることができそうです。
(2)科目をグループ分けする
9つの筆記試験科目は、以下のように近い分野をグループ分けすると学習がスムーズになるかもしれません。
(1)教育原理・保育原理・社会的養護→原理系
(2)社会福祉・子ども家庭福祉→福祉系
(3)保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養→子どもの心身発達系
(4)保育実習論→保育施設・実践系
以上の4グループに分ければ、学習内容を整理して勉強することができそうです。なかには内容が重複していたり、横断的に学習したほうがわかりやすかったりするケースもあるので、自分なりにアレンジしてみましょう。
STEP2.試験日から逆算して学習スケジュールを立てる
試験日までの日数を把握して学習スケジュールを立てていきます。計画を立てることが苦手な方もいるかもしれませんが、いつまでにどの教科を勉強するべきかがわかれば、勉強の継続にもつながります。
大まかな日程の目安でもよい大まかな日程の目安でもよいので、科目ごとに計画を立てましょう。
STEP3.インプット・アウトプットを繰り返す
学習計画を立てたら、実際に勉強を始めましょう。分野ごとにテキストをしっかり読み込み、インプットすることが大切です。重要項目をまとめたテキストもあるため、活用するとよいでしょう。
次に一問一答式の問題集などを解き進め、知識のアウトプットをします。ミスしても再度挑戦して正解するまで繰り返すことがポイントと言えますね。
STEP4.得意科目と苦手科目を把握する
勉強を進めていくうちに、自分が覚えやすい得意科目と、なかなか頭に入らない苦手科目が出てくることでしょう。頑張っていても問題が解けないと、不安な気持ちになりますよね。
苦手科目は集中力が続かない場合もあるため、まずは10分、15分と短時間から取り組む時間を増やしていきましょう。問題数も3問、5問と少しずつ解く問題を増やしながら正解率を上げていけば、苦手意識が和らぐかもしれません。
STEP5.本番を想定して過去問を解く
最後に、試験当日を想定して過去問で実践練習をします。
過去問の活用方法
過去問を活用して解くことで、その時点での学習水準を把握しやすくなるでしょう。
過去問のテキストには、内容にあわせて問題の意図や必要な情報が解説されていることがあります。解説を読み込めば、保育士試験の傾向をつかむことができそうです。
ただし、テキストや問題集は必ず最新版を選びましょう。なかには、法改正の関係で出題範囲が変わりやすい科目があるようです。特に「社会福祉」や「子ども家庭福祉」、「保育原理」、「教育原理」、「社会的養護」の5科目は、出題範囲が変わりやすいと言われています。
テキストや問題集選びに注意すると同時に、ニュースや新聞などをチェックして最新情報を集めておくようにしましょう。
本番に向けた実践練習
本試験では1科目60分、1日4〜5科目を受験します。まずは過去問を利用し、1科目60分間以内に解けるか時間を計りながら実践してみましょう。
マークシート方式に慣れることも大切です。自身の問題を解くスピードと時間を把握したところで、ペースを掴んでいきます。
また、試験当日に向けて集中力を保つトレーニングも行ないましょう。休憩を挟みながら、5科目続けて解くことができるよう実践練習をしておくとよいかもしれません。
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保育士試験に向けた対策:実技試験編
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筆記試験に合格すれば、次に実技試験に臨みます。課題の取り組み方について、順番に沿って見ていきましょう。
STEP1.3分野から得意の科目を選択する
保育士試験の実技は「音楽」「造形」「言語」の3つの分野になります。試験内容に違いはありますが、分野ごとに難易度の差はあまりないようです。
そのため、3分野のうち得意な科目を選択するとよいでしょう。
得意な科目がよくわからないという方は「楽しく練習できるもの」「本番で緊張せずに取り組めそうなもの」などを基準にして選ぶとよいかもしれません。
試験対策としてだけでなく、保育施設で子どもたちの前で実演する日を目指して、練習に励みましょう。
STEP2.各科目対策方法を確認する
次に各科目の対策方法を確認します。
音楽
音楽を選択し、ピアノやギターなど使用する楽器を選んだら課題曲の練習を繰り返しましょう。
上手に弾くことよりも、表現力を問われる試験となるようです。
歌を歌うときは笑顔で恥ずかしがらずに大きな声で歌うことを意識するとよいでしょう。また、音楽教室などの中には、実技試験のレッスンを行なう教室もあるようです。
費用なども確認したうえで活用するとよさそうですね。
造形
造形の試験では、保育の状況を想定して、人物や情景を表現する必要があるでしょう。
試験の解答用紙は「A4サイズ・絵を描くスペースは縦横19cm」と決まっています。その枠の中に鉛筆や色鉛筆で描いていきます。子どもの様子などを描くことを想定して、絵本や写真などを参考に練習しておくとよさそうです。
試験時間は45分と設定されているため、普段から時間内に描き終えるように意識しましょう。
言語
言語の試験では、目の前に子どもたちがいることをイメージして、課題について3分間話す必要があります。
課題を確認したらそれぞれの絵本を一度読み、自分が好きなものや親しみやすい話を選ぶとよいかもしれません。
選んだ物語のあらすじを順番にまとめて、3分間の中で語りかける練習をします。
「表情を豊かにする」「声色を変える」など子どもたちが興味・関心を持てるよう、適切な身振りや手振りを加えることを意識してみましょう。
STEP3.試験本番を想定して練習する
実技試験の本番に向けて、友人や家族の前で実演してみましょう。当日は緊張して声が出なくなったり、やり方を忘れてしまったりと想定外のことが起こるかもしれません。
緊張感の中で自分の力を発揮できるよう、実践練習を繰り返すことが大切です。
保育士試験に合格するためのポイント
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最後に保育士試験に合格するためのポイントを紹介します。
達成可能な目標を立て効率的に勉強する
全てを完璧に覚えようとすると、そのプレッシャーから勉強が進まないこともあるでしょう。効率的な学習を考え、いつまでにどの科目を学習するか、スケジューリングすることが大切です。その際、最初からハードルの高い目標を設定するのではなく、「〇日までに1科目インプットする」といった短期的な目標を設定してみましょう。
それをコツコツと達成していくことで、モチベーションの維持にもつながるかもしれません。
精神的に安定する方法を考える
勉強を進めていく中で精神的に不安定になることもあるかもしれません。その際は運動したり、友人と食事したりと、休息をとることも大切です。
特に睡眠時間が少ないと体調を壊しやすいため、生活リズムが崩れないように注意しましょう。
また、合格へのプレッシャーを感じて、なかなか勉強に集中できないこともあるかもしれません。その際は、「なぜ保育士になりたいのか」あらためて考えてみましょう。
「子どもが好きだから」「子どもと接していると楽しいから」などさまざまな理由が挙げられるのではないでしょうか。
保育士試験の内容は、全て保育士が子どもの育ちを支えるために必要となる学習です。
そのため、勉強が上手くいかずに落ち込んだときも、今頑張っていることが保育士になったときに役立つという気持ちを大切にして、学習に取り組めるとよいですね。
出典:幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例/厚生労働省
保育士試験の勉強方法を把握して、当日までの対策をとろう
筆記試験科目によっては難易度が高く、覚えることも多いため、どのように勉強すればよいか悩むこともあるかもしれません。
自分自身にあった学習計画を立てるとともに、過去問練習なども含めてインプットとアウトプットを繰り返し行ない、準備を万全にして本試験に臨むとよいですね。
「保育士試験の合格を見据えて、保育園探しを始めたい」いう方は、ぜひ保育士バンク!にご相談ください。
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