保育園で楽しめる「氷鬼」。指導案を書く際にねらいや環境構成、保育士の援助方法などの記載に悩むこともあるかもしれません。簡単なルールのため、保育活動に取り入れやすい集団遊びのひとつですよね。今回は氷鬼の指導案の実例や書き方のポイント、基本ルールやアレンジ方法などもふまえて紹介します。
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■目次
保育園で楽しむ氷鬼の指導案の書き方を知ろう
「氷鬼」は、子どもたちが元気いっぱいに身体を動かして遊ぶことができる集団遊びのひとつです。
スムーズにゲームが進むように、活動前にねらいや援助方法などを記載した指導案を作成することが大切になります。
その際、「上手くねらいがまとまらない」「氷鬼の進め方がわからない」など不安を抱く保育士さんもいるかもしれません。
氷鬼の基本的な遊び方や約束事を把握し、ポイントをおさえたうえで指導案を作成していきましょう。
氷鬼の遊び方と約束事
まずは、氷鬼の遊び方や約束事を紹介します。
遊び方
1.ジャンケンなどで鬼を決めて、「鬼」と「逃げる子」にわかれます。鬼になった子は帽子を裏返したり、服に目印をつけたりします。
2.10数えたら、「逃げる子」を追いかけて身体にタッチします。
3.鬼が逃げる子をタッチすると氷になり、そのポーズのまま固まって動けなくなります。仲間が氷になった子にタッチすると、氷が溶けて逃げることができます。
4.鬼は全ての子をタッチして氷にすれば、ゲーム終了です。
氷鬼は地域によって遊び方に違いがあるため、園児が遊びやすいように進め方を変更するとよいでしょう。人数が多い場合はあらかじめゲームの時間を決めたり、チーム戦にしたりと工夫すると盛り上がりそうですね。
約束事
氷鬼をするうえで、子どもと確認しておく約束事は以下の通りです。
- 子ども同士でタッチする際は、叩かずに優しく触れるようね。
- 鬼は同じ子ばかりタッチしないように気をつけましょう。
- 氷になった子はルールを守って動かないようにしようね。
- 決まった範囲の中で氷鬼を行います。範囲から出ないように気をつけましょう。
子どもたちに遊び方や約束事を話す際は、園児が落ち着いた状態で伝えるようにしましょう。特に子ども同士でタッチする際は、力が入りすぎてケガをしてしまう可能性もあります。楽しくゲームができるように、安全面に配慮した約束事を子どもたちに伝えられるとよいですね。
氷鬼の指導案の例文
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指導案は「ねらい」「環境構成」「予想される子どもの姿」「保育士の援助方法」の4つの項目に分けて書くことが多いでしょう。
それぞれの項目に沿って氷鬼の指導案の例文を紹介します。
ねらい
氷鬼の活動を通して子どもにどのような能力を育みたいか、どんな体験になるのかを意識して、ねらいを記載していきましょう。
- 身体を動かす楽しさやよろこびを知る。
- ひとつの遊びを通して友だちとのかかわりを楽しむ。
- ルールに基づいて遊ぶ楽しさを知る。
- 遊びのなかで社会性や協調性を養う。
氷鬼は集団遊びのひとつのため、友だちとのかかわりを意識したねらいを設定するとよいかもしれません。
環境構成
子どもたちが安全に遊べるように、環境構成の注意点を記載していきましょう。
- ゴミや危険物が落ちていないか確かめて環境を整備する。
- 遊びやすいように鬼ごっこの範囲を示す。
鬼ごっこは子どもたちの行動範囲をあらかじめ決めておく必要があるでしょう。床にテープを貼ったり、PEテープで範囲を囲ったりとわかりやすいように工夫するとよさそうですね。
予想される子どもの姿
氷鬼で予想される子どもの姿を記入しましょう。
- じゃんけんで鬼になれずに悔しがる子どももいれば、逃げる方になってよろこぶ子もいる。
- 「鬼」も「逃げる子」も元気に走り回っている。
- 仲間を助けようと、氷った子にタッチしようとする姿が見られる。
- 鬼の中には同じ子に何度もタッチする子がいる。
- 鬼にタッチされて泣き出してしまう子がいる。
ゲーム中の子どもたちの様子をイメージして、どのような展開になるのか考えながら記載できるとよいですね。
保育士の援助方法
氷鬼で必要な保育士さんの援助方法を記載しましょう。
- 子どもたちがわかりやすように氷鬼の遊び方や約束事、時間を伝える。
- 鬼が同じ子に何度もタッチした場合は他の子にもタッチするように声をかける。
- 泣き出してしまう子がいれば、いっしょに手をつないだり、「休もうか?」と声をかけたり、励ませるように努める。
- タッチするときに強くなったり、ぶつかったりしないように間隔を空けて何度か声かけする。
- 鬼ごっこの範囲を適切に守っているか確認する。
鬼ごっこは身体使う遊びなので夢中になり、友だちとぶつかってしまうこともあるかもしれません。子どもたちの様子を想像しながら、安全性に配慮して声かけのタイミングなどを考えて記入するとよさそうです。
【年齢別】氷鬼の指導案のポイント
ここでは、年齢別の氷鬼の指導案の書き方のポイントを紹介します。
3歳児
3歳児クラスのなかには、まだ氷鬼のルールがわからない子どももいるでしょう。指導案では遊び方を説明する際に、保育士同士でお手本を見せるなど工夫する点を記載するとよさそうです。
鬼になった子は保育士さんと手をつないでいっしょに逃げる子を追いかけて、何度か繰り返しているうちにルールを理解できそうですね。
保育士さんの援助方法には「タッチしたから氷になって動けなくなったよ。」「氷が溶けたから動けるね!」など細かく声をかけることを記入しておくと、子どもが次の行動に移りやすいでしょう。
4歳児
4歳児クラスは、何度か氷鬼を行ったことがある子も多いのではないでしょうか。ゲーム中に子ども同士で気持ちを伝え合う場面も増え、意見がぶつかり合うこともあるかもしれません。
クイズ形式にして遊び方やルールを確認し合うなど、子ども同士でルールを守る大切さを感じられるよう、指導案に記入するとよさそうです。
5歳児
5歳児クラスは氷鬼を始める前に「どんな風に逃げれば鬼につからまないかな?」など作戦会議を立てるなど、子どもたち一人ひとりの自主性を育む機会を設けるとよいかもしれません。
指導案を書く際は、子どもたちが自らルールを守る大切さや仲間とひとつの遊びを楽しむよろこびを感じられるように、「見守ること」を意識したうえで援助方法を記載していきましょう。
指導案を書く際に活用できる氷鬼のアレンジアイデア
最後に、氷鬼のアレンジ方法を紹介します。一味違った遊び方を知り、指導案を計画する際に役立ててみてくださいね。
好きなポーズで氷に変身しよう
「逃げる子」が「鬼」にタッチされた際に好きなポーズに変身し、固まることを伝えてみましょう。
そのときはまず、保育士さんがお手本を見せて面白いポーズをしてみると、子どもたちが笑顔になって盛り上がりそうですね。
足を上げてみたり、手を広げてみたりと子どもの個性が表れて、表現力を高めることにもつながるでしょう。
氷を溶かす条件を工夫しよう
4歳児クラスや5歳児クラス向けに、氷を溶かす条件を難しくしてみるとよいかもしれません。氷を溶かす際にただタッチするのではなく、以下のような条件をつけ加えると楽しめそうです。
- 氷った子の股をくぐる。
- 氷った子の周りを1周する。
- 氷った子のポーズを真似る。
遊び方をアレンジすることで、一層盛り上がるのではないでしょうか。子どもたちのアイデアを募集すると、発想力や自主性を育てることにもつながりそうです。
子どもたちが楽しめる氷鬼の指導案を作成しよう
氷鬼は子どもたち同士で触れ合いを楽しめる遊びと言えます。
指導案を作成する際は安全面に配慮したうえで、年齢に合わせた援助を考えて記載することが大切なポイントになるでしょう。
何度も繰り返して遊ぶうちにルールを守れなかったり、子ども同士で意見がぶつかったりすることもあるかもしれません。
普段の子どもの様子をしっかり確認したうえで、ねらいや援助方法を工夫して、指導案を作成していきましょう。