独立開業やフリーランスに転職した保育士さんを悩ませる「開業届」。未提出だったけど後からさかのぼって提出できる?出さなかったら青色申告に影響する?出すタイミングはいつがいい?など、周りの人に聞けない疑問が山積しているという保育士さんも多いでしょう。今回は、そんな開業届の提出ルールについて解説します。
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■目次
開業届とは?基本を知ろう!
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
この書類を提出することで、開業を税務署に申告したことになります。開業届は、たとえ副業の場合でもその所得によって提出する義務があります。
開業届を提出する意味
個人事業主になった場合は、開業届を提出した事業での1年間の所得を確定申告し、所得税を納税する必要があります。
確定申告の際に、開業届を提出していることが大きなメリットとなるため、この所得額を開業届提出の基準にしている事業主が多いようです。
副業であれば、年間の所得が20万円を超える場合、個人事業の所得であれば年間48万円を超える場合には確定申告が必要になります。
ですが、基本的には所得額と開業の申告は関係ありませんので、たとえ所得が確定申告の必要額に満たない場合でも。開業届は提出しておくのが妥当であると言えます。
開業届を提出するメリット
開業届を提出する主なメリットは以下です。
- 最大65万円の税控除が受けられる(青色申告をした場合)
- 屋号(開業名)で銀行口座を開設できる
- 個人事業主の証明になる
- 小規模企業共済への加入が可能になる
「青色申告」は、開業届を提出していると使用できる確定申告の方法です。
所得が規定以内で開業届を提出していない事業では「白色申告」と呼ばれる申告方法になりますが、青色申告の方が節税効果が格段に高くなります。
この青色申告が利用できるのが、開業届提出の最大のメリットといえるでしょう。
開業届の提出の仕方
開業届の提出方法を見ていきましょう。
提出先はそれぞれの事業地の所轄の税務署になります。提出には以下の書類が必要です。
- 記入済みの開業届
- 本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
- マイナンバーがわかるもの
- 印鑑
開業届のフォーマットは、最寄りの税務署の窓口でもらい、そのまま記入して提出できますが、国税庁のサイトからもダウンロードすることも可能です。
また、ダウンロードした書類を郵送で提出したり、事前に利用者識別番号を取得していれば、e-Taxでの電子申請を利用したりすることもできますので、直接税務署に足を運ぶことが難しい場合も問題なく提出することが可能です。
青色申告は、開業日から2カ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。そのため、タイミングとしては開業届と同時に提出する方が多いようです。
開業届の提出期限はある?
開業届には基本的に提出期限があります。
原則としては「事業を開始した日から1カ月以内」が提出義務とされています。
ただし、1カ月以上経った後に提出しても、また未提出でも罰則などは特にありません 。
提出は所得税法で定められた義務ではあるのですが、出さないことによるペナルティは設けられていないのです。
なお、提出期限の日にちが土曜・日曜・祝日と重なってしまう場合は、その翌日(翌開所日)を期限としても問題ないようです。
開業届を出さなかったらどうなる?
基本的に未提出による罰則などはない開業届。
出し忘れていた場合は、過去にさかのぼって提出することも可能です。
原則としては開業日から1カ月が提出期限とされていますので、遅れずに手続きするのが理想的ですが、もし期限を超過したからといって受け付けてもらえない、受理に時間がかかるなどということはありません。
ただ、ここで気をつけたいのが「青色申告申請の提出期限」です。
青色申告を利用する場合には、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
これは開業届と違って厳密な提出期限があり「開業日から2カ月以内」とされています。 そして、開業日から2か月の提出期限を過ぎてしまうと、自動的に白色申告を利用することになります。
この青色申告承認申請の承認の前提とされているのが、「開業届を提出していること」になります。開業届を提出していなければ、青色申告の申請もできないということになるのです。
開業日の日付はどうやって決めればいい?
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では、ここまでによく出てくる「開業日から〇カ月以内」の開業日について見ていきましょう。
そもそも開業日とは?と疑問に思う方もいるでしょう。
開業日の設定の仕方にはこれといった決まりやルールはありません。開業する本人が好きに決めていい任意の日付になります。また、開業届の提出後に変更することも可能です。
人によっては、はじめて事業の収入が入った日、専用の口座を開設した日、事務所や店舗、サイトなどをオープンした日、近辺で縁起のいい日にちなど、さまざまな節目に設定しているようです。
ただ、開業届の提出にあたって気をつける必要があるのが「開業日より前に開業届の提出はできない」というルールです。
そのため、開業日は開業届の提出日より前に設定する必要があります。
この開業日から1カ月以内が、開業届の提出期限、2カ月以内が青色申告承認申請書の提出期限となります。
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青色申告とは?開業届との関係は
開業届をさかのぼってでも提出した方がいい理由の第一に挙げられることが多い「青色申告」ですが、この青色申告を利用するメリットは以下になります。
- 最大65万円の特別控除が受けられる
- 赤字となった場合、翌年に繰り越すことができる
- 家族(生計を同じくする者)への給与を経費に計上できる
- 貸倒引当金(掛け売りなど未回収分)を経費に計上できる
- 30万円未満の資産取得があった際に、その年に経費に計上できる
これらは白色申告にはない節税効果をもたらしてくれるメリットとなります。事業をはじめる場合は、青色申告を利用して賢く節税していくことが大事でしょう。
このためにも、開業届の提出は大切なことが分かりますね。
開業届はさかのぼって提出可能!青色申告をしたければ要注意
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開業届の提出には期限がありますが、もし出し忘れてしまってもさかのぼって提出できるということが分かりました。
青色申告のメリットをあわせて考えてみても、ルールを守ってしっかり開業届の提出をしておくことで、開業する保育士さんのこれからの働き方にもよい影響をおよぼしてくれるでしょう。
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