保育園で異年齢保育を取り入れることがあるかもしれません。年齢の異なる子ども同士が同じクラスで過ごせば協調性が身につくなどさまざまな成長につながることが期待できそうです。今回は、保育園の異年齢保育の解説と合わせて、メリットやデメリットについてまとめました。また、導入する際のポイントも解説します。
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異年齢保育とは
保育園において、年齢の異なる子どもが同じ空間で活動する保育形態が異年齢保育です。
異年齢保育は、混合保育や縦割り保育とも呼ばれています。
導入が増えている背景
近年の少子化に伴い、一人っ子家庭で育ったり地域において違う年齢の子どもと触れ合える環境が少なくなったりしたことを受け、保育園において異年齢同士で関われる環境作りを重視するようになったようです。
期待できる効果
同年齢の子どもが同じクラスで過ごす年齢別保育に対し、異年齢保育では年少児から年長児まで異なる成長段階の子ども同士で関わり合うことができます。
また、年上の子どもが年下の子どもといっしょに遊んだり面倒をみたりすることで、相手を思いやる心が養われるかもしれません。
年下の子どもはそのような年上の子どもの姿に憧れて、遊び方や生活習慣を真似することにより、あらゆる成長につながることが期待できそうです。
保育園で異年齢保育を取り入れることによってさまざまなメリットがありますが、あらかじめデメリットや注意点などもおさえて日々の保育に役立てましょう。
異年齢保育を導入するメリット
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まずは、保育園で異年齢保育を行なうことのメリットを紹介します。
コミュニケーション能力が高まる
異年齢保育では、自分と異なる年齢の子ども同士で多様な価値観を受け入れながら関わる必要があるでしょう。
年齢差を乗り越えていっしょに過ごすなかで、コミュニケーション能力の向上が期待できそうです。
友だちの輪が広がる
一人ひとりが互いの成長の違いを感じながら活動することで、豊かな人間関係を形成する力が身につくことでしょう。
異年齢の友だちと関わりながら、年齢に関係なく友だちを作るスキルが身につくかもしれません。
協調性や社会性が育まれる
異年齢同士でいっしょに過ごすなかで年上の子どもがリーダーシップを発揮し、年下の子どもは刺激を受けて新たな言葉を覚えたり遊び方などのルールを学んだりするでしょう。
そのような環境のなかで、協調性や社会性が育まれることが期待できそうです。
相手を思いやる心が育まれる
年上の子どもは、年下の子どもと価値観や行動範囲などが違っても、成長の違いを受け入れながら思いやりの気持ちを持って接する必要があるでしょう。
年下の子どもは年上の子どもと関わる経験を通じて、相手の気持ちに寄り添って行動する大切さなどを学ぶことができそうです。
自己肯定感が高まる
同年齢の子どもとだけいっしょに過ごしていると、友だちと自分を比較してできないことに対し劣等感を感じてしまう子どももいるでしょう。
異年齢の子どもといっしょに活動する環境下では、年上の子どもの姿を見ながら、年下の子どもは成長したらいろいろなことができるようになると希望が持てるかもしれません。
前向きに取り組める活動が増えれば、自己肯定感の向上が期待できそうですね。
さまざまな活動に興味をもつ
異年齢保育では、年上の子どもが楽しんでいる様子を見て下の子どもが真似をする場面もあるでしょう。
年上の子どもが少し難しい活動に取り組んでいる姿を見て自分も挑戦したくなるなど、年下の子どもが自発的に興味を持つきっかけにつながるかもしれません。
年上の子どもにとっても、これまで得意ではなかった活動でも年下の子どもに教えながらいっしょに取り組むことで、改めて関心を持てることがあるかもしれませんね。
異年齢保育を導入するデメリット
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あらかじめ、保育園に異年齢保育を導入するデメリットや注意点をおさえておきましょう。
安全面に配慮する必要がある
異年齢保育では、保育士さんは年齢の異なる子どもを同じ空間で同時に見守らなければいけません。
どの年齢の子どもも安全に遊べるように、年齢別に起こりうるさまざまな危険要因を前もって予測する必要があります。
たとえば、年長児が安全に遊べる内容でも、年少児には危険が伴うことがあるかもしれません。
活動で使う玩具や遊具などは十分に配慮して選定することが大切であり、幅広い視野を持って安全面に配慮する必要があるでしょう。
ストレスを感じやすい
異年齢保育では子どもの年齢別に成長段階や理解力などに差があるため、保育士として子どもの年齢に合わせた言葉掛けをしたり、一人ひとりへの関わり方を工夫しながら対応したりする必要があるでしょう。
年齢別保育と比較すると配慮することが多いため、保育士さんにとってストレスを感じやすいかもしれません。
指導の難しさを感じる
異年齢保育を導入すると、子どもの年齢や成長の差を考慮して対応したり活動内容を考えたりする必要があるでしょう。
保育をするにあたって、どの年齢でも楽しめる遊びを準備することや、トラブルが発生しない環境作りなどで悩むことがあるかもしれません。
異年齢保育を導入するポイント
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保育園で異年齢保育を導入する際には、メリットを活かせるようにいくつかのポイントをおさえておきましょう。
年上の子どものフォローをする
異年齢保育では、年上の子どもが年下の子どもと自然に触れ合えるよう、保育士さんが言葉掛けをするなどフォローをするとよいでしょう。
年下の子どもといっしょに生活するなかで、どのように対応すればよいのかと戸惑っている子どもがいるかもしれません。
面倒をみなければいけない…といった負担を子どもたちに感じさせないように、年上の子どもに対して世話役を義務化しないことが大切です。
子ども同士の関わり方を見守る
異年齢保育では、年下の子どもに対して威圧的に振る舞ったり、自分よりも体格の大きい存在に怯えたりする子どもがいるかもしれません。
年上の子どもが命令口調になっていないか、年下の子どもが言いなりになっていないか、保育士さんは子ども同士がどのように関わり合っているかに留意しながら見守りましょう。
言葉の掛け方を工夫する
子どもの年齢により理解力に違いがあるため、保育士さんは言葉掛けの工夫をする必要があります。
例えば、年長児と1対1で会話するときは、年下の子どもに合わせて話す必要はないでしょう。
けれども全体に対して何かを伝える場面などでは、どの年齢の子どもでも理解できる言葉を使うようにしましょう。
年齢別に楽しめる活動も取り入れる
異年齢保育を導入すると、年少児に合わせた活動を準備しがちかもしれません。
時には年上の子どもも夢中になれるような、年齢別に楽しめる遊びも取り入れましょう。
その際、どの年齢の子どもも安全に遊べるよう、環境作りなどに細心の注意を払う必要があります。
子どもの成長につながる異年齢保育を取り入れてみよう
保育園で異年齢保育を導入することにより、どの年齢の子どもでも安全に遊べるような環境を作る必要があるなど、保育士としていくつか配慮する点があります。
けれども、社会性が育まれるなど子どもの成長につながるさまざまなメリットが期待できるので、異年齢保育を積極的に取り入れてみてくださいね。
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