保育施設で行なう保育実習は、保育学生にとっては現場を経験しながらスキルを向上させる機会です。しかし、最初の目標設定でつまづいてしまう方は多いようです。今回は実習にあたって参考にできる、項目別・クラス別の実習目標の例文と目標設定のポイントを解説します。また保育学生を受け入れる現役保育士さんのために、実習目標の指導案も例文つきで紹介します。
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保育実習の目標はどう立てる?
保育施設で行なう保育実習は、これまで理論を学んできた保育学生にとって現場での経験を積むことができる重要な機会です。
保育実習の目的は、知識を実際の保育現場で活かして実践力をつけることにあります。それにあたり、事前に適切な目標を立てることはとても重要なポイントです。
まずは、保育実習の意義と実習目標を設定する目的について考えてみましょう。
保育実習の意義
保育学生は、保育について多くのことを学んできているはずですが、実際に保育士になったあとに相手にするのは生身の乳児や幼児です。机上や学内実習で学ぶ保育理論をもとに、現場で起きるさまざまなケースにその場で判断し、対応する必要があります。
このような、マニュアル通りにいかない保育の仕事を会得するためには、現場の子どもたちや現役で働く保育士さんのなかで実習を行ない、理論に裏打ちされた保育現場での対応スキルを身につける必要があります。
また、実習期間中に現場の流れを学び、保育士としての責任感やチームワークの大切さを理解することも目標のひとつと言えるでしょう。
実習目標を設定する目的
保育実習を成功させるためには、現場に入る前に具体的な目標を設定することがとても重要です。その目標が明確であれば、実習中に何を学ぶべきかが明らかになり、効率的にスキルを習得できることにもつながります。
たとえば、「子どもたちの信頼を得るために、毎日笑顔で接する」という目標を立てることで、実習中も日々の行動に一貫性が生まれます。
このように、明確かつ具体的な目標を持つことで、実習を通じて達成したいことが明確になり、漠然と実習期間をすごすことがなくなるため、より成長を実感しやすくなるでしょう。
実習目標は、できれば毎日設定できるとよいでしょう。実習後に日誌をつけることで一日を振り返りながら考えるのがよいかもしれません。
より高めたいスキル、足りていないと感じた部分、苦手分野の克服や得意分野を伸ばすなど、自分のなりたい保育士像をイメージしてみると目標が立てやすいかもしれません。
【全体と毎日】実習目標のポイントと例文
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保育実習では、日程に応じた具体的な目標を設定することが、実習を効率的にすすめていくためのカギとなります。ここでは、実習全体を通じての目標から、初日や最終日など各ステージごとの目標の例と、それぞれの日程について解説します。
全体の目標
実習全体を通した目標設定について見ていきましょう。以下は全体目標の例です。
- 保育士としての基本的な業務を理解し、子どもたちとの信頼関係を築く。
- 毎日の保育活動を通じて、子どもたちの発達段階に応じた対応を学ぶ。
- 保育士の指導のもとで、保育計画の作成から実施までを一連の流れとして理解する。
実習全体の目標は、実習を通じて得たい総合的な成果を念頭に置きましょう。実習全体を通じた広範囲にわたる学びと、最終的に保育士としての基本スキルや知識を総合的に身につけることを目指せるとよいでしょう。
また、全体の目標には、実習期間を通して継続的に取り組むべき課題や、自身の成長を感じられるような「最終的になりたい姿」をイメージして考えるのもよさそうです。
たとえば、「保育計画の作成能力を向上させる」「子どもたちの発達を理解し、それに応じた適切な保育を実施する」など、保育に必要な複数のスキル要素をバランスよく取り入れることで、実習の成果につなげていける目標が設定できるかもしれません。
初日の目標
続いて、実習初日の目標設定について見ていきましょう。以下は実習の初日に設定するのに適した目標の例です。
- 子どもたちの名前を覚え、積極的にコミュニケーションをとる。
- 保育士からの指示を正確に理解し、素早く行動に移す。
- 保育室や園庭の配置を把握し、子どもたちが安全に過ごせる環境を整える。
初日は実習環境に慣れることを最優先に考え、実習先のルールや日常業務を把握することが中心となるでしょう。新しい環境に不安を感じることが多いため、無理をせず、自分自身のペースで園の雰囲気や子どもたちの特徴を観察することを目標にすると、現場でも動きやすいかもしれません。
また、初日には、保育士やほかのスタッフとの良好なコミュニケーションを築くための基本姿勢を身につけることが大切です。具体的には、笑顔で挨拶をする、指示を的確に受け取る、質問や疑問をためらわずに尋ねるなどが挙げられそうです。
実習に対して積極的な姿勢を心がけることで、スムーズに実習をスタートできるとよいですね。
前半の目標
実習を大きく二分割して考え、前半と後半で異なる目標を立てるのも効果がありそうです。以下は実習前半を想定した目標の例です。
- 子どもたちの一日の流れを理解し、適切なタイミングでサポートを行なう。
- 子どもたちの発達段階に応じた遊びや活動を考え、提案する。
- 保育士のサポートのもと、少人数のグループ活動を担当し、リーダーシップを発揮する。
実習前半では、保育の基本をしっかりと身につけることが大きなポイントとなるでしょう。保育園の日常業務や子どもたちの生活リズムを理解し、保育士としての役割を果たせるようになることが求められます。
特に、子どもたちそれぞれの発達段階に合わせたサポートや、集団の中での適切な指導方法を学ぶことが大切です。また少しずつ日常的な保育業務に慣れることで、保育士としてのさまざまな業務や心構えを体系的に学んでいけるとよいでしょう。
子どもたちの動きに目を配りながら、安全に活動を進めることや、保育士の指示を受けながらも自主的に行動する姿勢を培う、子どもたちの個性を尊重した声かけや活動のサポートを心がけるなど、より余裕をもって実習にのぞむことを意識してみるとよいかもしれません。
後半の目標
実習後半の目標設定について見ていきましょう。以下は実習後半を想定した目標の例です。
- 自主的に保育計画を作成し、保育士にフィードバックをもらいながら改善する。
- 子どもたち一人ひとりの個性に合わせた対応を学び、実践する。
- ほかの保育士と協力してイベントや特別活動を企画し、責任実習を成功させる。
実習の後半では、前半で学んだスキルや知識を活かし、より積極的に保育活動に参加することが求められるでしょう。この時期に一日を通して担当する「責任実習」が行なわれることも多いため、それを前提とした目標設定が必要になる場合もあります。
保育士としての自立性を意識しながら主体的に保育計画を作成・実施することで、現場で活かせる実践力を養うことを自身に課してみるのもよいかもしれません。
また、子どもたち一人ひとりに対して、より深い理解と関わりを持ち、それぞれのニーズに応じた対応を行なうことが求められます。
ほかの保育士や保護者とのコミュニケーションを通じて、チームとしての保育の重要性を実感しながら、自身の成長につなげることまで意識できるとなおよいでしょう。
最終日の目標
実習最終日は、総括的目標と、最終日にふさわしい終わり方を意識した目標を立てましょう。以下は、実習最終日を想定した目標の例です。
- 実習期間中に得た経験を振り返り、自分の成長点と課題を整理する。
- 子どもたちや保育士、保護者に感謝の気持ちを伝え、実習を終了する。
- 実習で得た知識やスキルを、今後の学びや就職活動にどう活かすかを考える。
最終日は、これまでの実習で学んだことを振り返り、今後に活かすための総まとめとして位置づけます。実習期間中に達成したことや、まだ課題として残る部分を整理し、自身の成長を確認する機会にしたいですね。
また、実習先の保育士さんや子どもたち、保護者への感謝の気持ちを伝えることで、実習をしっかりと締めくくることも大切です。最終日には、実習で得たスキルや知識を今後どのように活かしていくか、次のステップに向けた目標を設定することも忘れないようにしましょう。
実習のまとめとして、今後、自分が保育士としての道を歩むイメージが明確になるような目標設定ができ、全体の目標に結びつくようなものになるとよいかもしれません。
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【0歳児~2歳児】実習目標のポイントと例文
保育実習では、担当する子どもたちの年齢やクラスに応じて保育目標が大きく変わることを意識しましょう。ここでは、0歳児から2歳児までの乳児クラスを担当する場合を想定して、各年齢ごとに目標を立てる際のポイントと例文を紹介します。
0歳児クラス
0歳児を担当する場合の実習目標の例文と、ポイントを見ていきましょう。
- 子どもたち一人ひとりの生活リズムを理解し、それに合わせた対応を心がける。
- 抱っこやおむつ替えなどの身体ケアを通じて、子どもたちと信頼関係を築く。
- 子どもたちが安心して過ごせるように、笑顔と穏やかな声かけを意識する。
0歳児は、日々の生活リズムを安定させることが大切です。安全で安心できる環境を提供し、基本的な生活習慣をサポートすることが目標の中心となります。
1歳児クラス
1歳児を担当する場合の実習目標の例文とポイントを見ていきましょう。
- 子どもたちが安心して探索できる環境を整える。
- 言葉の発達を促すために、日常の活動で積極的に話しかける。
- 子どもたちの個性に合わせた遊びを考え、安全に配慮しながら実践する。
1歳児は、歩き始めや言葉の発達が進む時期です。好奇心旺盛なこの時期には、安全に配慮しながら、子どもたちの成長をサポートすることが求められます。
2歳児クラス
2歳児を担当する場合の実習目標の例文とポイントを見ていきましょう。
- 自己表現ができるように、子どもたちの意見や気持ちに耳を傾ける。
- ほかの子どもたちといっしょに遊ぶ際のルールを教え、社会性を身につけるサポートをする。
- 子どもが感情をコントロールできるように、気持ちを言葉で表現する練習をする。
2歳児は、自己主張が強くなり、社会性が育ち始める時期です。自己肯定感を育む活動や、ほかの子どもたちとの関わり方を学ぶ機会を作ることが目標となります。
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【3歳児~5歳児】実習目標のポイントと例文
幼児クラスと呼ばれることもある3歳児から5歳児までの年少・年中・年長クラスを担当する場合を想定して、各年齢ごとに目標を立てる際のポイントと例文を紹介します。
3歳児クラス
3歳児を担当する場合の実習目標の例文とポイントを見ていきましょう。
- 子どもたちにルールの大切さを教え、集団遊びで協力する姿勢を促す。
- 新しいことに挑戦する意欲を引き出し、自信を持って取り組めるようにサポートする。
- 友だちとのトラブルが起きた際に、自分と相手の気持ちを考えて解決できるよう指導する。
3歳児は、乳児に比べさらに社会性が発達し、集団での活動が増える時期です。ルールを理解して仲間と協力する力を育むことが重要でしょう。また、好奇心が旺盛で新しいことに挑戦する意欲が高まる時期でもあります。
4歳児クラス
4歳児を担当する場合の実習目標の例文とポイントを見ていきましょう。
- 友だちと協力する場面を増やし、コミュニケーションの楽しさを知ってもらう。
- 意欲的に新しい遊びや学びに挑戦できるように、励ましながらサポートする。
- 子どもたちが意見交換をしながら解決策を見つけられるように促す。
4歳児は、自己主張がはっきりし、論理的な思考や言語能力が急速に発達します。友だちとの関係を深めるために、コミュニケーションを身につけていくことも必要です。また、制作や運動、園外活動など、より複雑な活動に取り組む機会も増えるでしょう。
5歳児クラス
5歳児を担当する場合の実習目標の例文とポイントを見ていきましょう。
- 就学に向けて基本的な生活習慣を確立し、自立心を養うための活動をする。
- 子どもが集団活動のなかで自分の役割を責任を持って果たせるよう導く。
- 困難な課題に粘り強く取り組み、解決策を見つける力を引き出せる声かけをする。
5歳児は、就学前の準備が本格化する時期です。自立心や責任感を育て、集団での活動に主体的に取り組む力を育むことが大切です。また、就学後の生活を見据えて、より高度な社会性や認知能力を伸ばす目標を設定できるとよいでしょう。
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実習生を受け入れることは、現役保育士さんにとっても貴重な機会と言えるでしょう。実習生が充実した学びを得られるようにサポートすることで、保育士自身も指導力を高めることができそうです。
ここでは、実習生を受け入れる際の心構えや、保育目標のアドバイス方法について解説します。
実習生を受け入れるための心構え
実習生を受け入れる際には、彼らが学びやすい環境を整えることが大切です。最初に、実習生にとっての「安心できる場所」を提供することを意識しましょう。オープンなコミュニケーションを心がけ、なんでも相談できる関係を築くことが、実習生の成長につながります。
また、実習生の立場や視点に立って考え、初めての現場で戸惑うことがないように、優しく丁寧な指導ができるよう心がけたいですね。
受け入れる保育士さんが具体的にできること、気をつけることを以下で見ていきましょう。
- 初日のオリエンテーションで、園のルールや日常の流れを丁寧に説明する。
- 実習生が安心して質問できるように、積極的な声かけを行なう。
- 実習をよく観察し、実習生の強みや課題を把握する。
- 実習生が保育に対して前向きになれるように、成功体験を積ませる。
- 定期的に実習生と振り返りの時間を持ち、成長を確認しあう。
実習指導を担当する場合は、上記のような項目を意識しながら実習生を見守り、指導できるとよいでしょう。
実習生が自信を持って保育に取り組めるよう、失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気を作り、適切なフィードバックを与えながら、実習生の成長をともに喜べる姿勢でのぞむことが理想です。
実習生の保育目標に対するアドバイス例
実習生が立てた保育目標は、その実習期間中に何を達成しようとしているのかを示す重要な指針です。保育士として、実習生の目標が現実的で、達成可能かつ学びが深まるものかを確認することが求められます。
実習生が保育目標を立てる際には、その目標に対して以下のような言葉かけや声かけを活用してみましょう。
声かけのポイント
目標を具体化する手助けをして実現可能なステップをいっしょに考えます。
実習生が立てた目標に対して、具体的なアドバイスやフィードバックができるように心がけましょう。実習生が自身が立てた目標に対してどのように取り組んでいるかを観察し、努力を認める姿勢が大切です。
声かけのポイント
抽象的な目標を、実践の場で活かせる形に落とし込むように促します。
目標に到達するための具体的なステップや、困難に直面した場合の対処方法についても助言することで、実習生が次のステップに進めるようサポートできるとよいでしょう。
声かけのポイント
目標が現実的で、達成可能なものであるかを確認し、具体的な計画を立てるように導きます。
こまやかに目標を確認しながらその実現に結びつくような指導ができれば、学生が達成感を持って実習を終えるように導くことができそうです。
声かけのポイント
目標達成のイメージを共有し、モチベーションを高める声かけをします。また、目標達成が難しいときの対応策を一緒に考え、実習生の不安を軽減します。
実習生の自己評価を促し、達成状況を定期的に振り返ることで、目標達成に向けた努力を支えることも重要です。
実習目標が定まらない学生に対するアドバイス例
実習目標をうまく設定できていない保育学生に対する声かけの例について見ていきましょう。以下では、実習生の保育日誌に指導文を作成する際の具体的なアドバイスやフィードバックの例文を紹介します。
(例1)最初の実習目標が決まらない保育学生に
「最初のうちは大きな目標を考えるのではなく、まずは身近なことに焦点を当ててみましょう。たとえば、子どもたちの名前を早く覚えて、名前で呼びかけることから始めてみるのはどうでしょうか?」
実習目標が漠然としている場合、具体的かつ実行可能な目標に焦点をあてるように促すのがよいでしょう。小さな目標をクリアすることで自信をつけ、徐々に目標を高めていくためのスモールステップを提案します。
(例2)実習目標が達成できないと落ち込んでいる保育学生に
「実習中にすべての目標を完璧に達成するのは難しいこともありますよね。大切なのは、その過程でどんなことを学んだかです。できたことに目を向けて、自分の成長を確認してみましょう!」
目標が達成できないことで実習生が落ち込んでいる場合、結果よりプロセスを重視し、達成できた小さな成功や学びを振り返るように励ましましょう。保育学生の自己評価を高めて、前向きに次の目標に取り組めるためのサポートになります。
(例3)目標はあるが実際の保育がともなわない保育学生に
「とてもよい目標ですね!今度は、その目標に向けて実習時間内に無理なくできることを考えてみましょう。たとえば、もっと子どもたちとの時間を増やして、観察する時間をとることから始めるのはどうでしょうか?」
実習目標は明確でも、実践がともなわない場合は、目標達成に向けた具体的な行動プランを考えるよう促し、できればいっしょに考えるサポートまでができるとよいでしょう。小さな行動から始めて、徐々に最終的な全体目標に近づける方法を提案することで、実習生が自信を持って保育に取り組めるように支援します。
保育の実習目標をしっかり立てて保育実習を成功させよう
保育実習は、保育学生が理論と実践を結びつけ、保育士としての基盤を築くための保育の学びの総仕上げであり、現場で働く保育士や子どもたちとふれあいながら過ごすことができる、とても有意義な体験学習です。
実習にのぞむ保育学生にとって、実習中にはさまざまな目標を設定し、それに向けて努力することで、その意義はますます高まるでしょう。
また、実習生を受け入れる保育士さんにとっても、実習生の成長をサポートすることは後進の育成はもちろん、保育士さん自身の指導力を高めるチャンスにもなります。保育士としてのキャリアアップにもつながるでしょう。
保育士バンク!では、日々の保育に役立つさまざまな情報や保育士さんのお悩みに寄り添う記事や動画の発信、また保育業界専門の転職サポートも行なっています。
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