日常生活でも使う機会が多い、洗濯バサミ。実は、保育現場の遊びや工作に使っても面白いおもちゃなのをご存知ですか?今回のコラムでは、洗濯バサミを使った遊びや工作の作り方を紹介します。また、具体的に紹介する前に、洗濯バサミを遊びに使うことのねらいや、気をつけたい点について解説しているので、それを踏まえて遊び方を参考にしてみてくださいね。
洗濯バサミを利用した遊び・工作のねらい
保育の遊びに洗濯バサミを利用することのねらいをまとめました。
指の力を使う練習に
洗濯バサミは、子どもが指の力を使う練習にぴったりな道具です。個人差はありますが、おおよそ2歳半ごろから、親指・中指・人差し指の3本指を器用に使えるようになり、指先に力を入れることができるようになります。洗濯バサミで「はさむ・つまむ」動作を通して、指の力を使う練習をすることができます。
日常生活のさまざまな動作に役に立つ
指の力を訓練することは、のちに使用頻度が増えるおはしやハサミを使うための一歩前の練習になります。やがては鉛筆で字を書くなどの様々な日常生活の動作の際に必要になる力なので、しっかりと慣れておきたいですね。教える時は、ゆっくり、そして動作を分解しながら見本を見せてあげると、子どもたちにも理解しやすくなるでしょう。
洗濯バサミを使う際に気をつけたいこと
洗濯バサミを園で使う際に、気をつけたいことはどんなことでしょうか。
子どもがつまみやすい洗濯バサミを選ぶ
洗濯バサミひとつをとっても、種類によってつまむのに必要な力や、つまむところの面積が異なるなどの違いがあります。大きな差ではありませんが、うまくつまめない子には、できるだけつまむ部分が大きめのものを使ってあげるとよいでしょう。
子どもの力でもつまめるように、固すぎない洗濯ばさみを保育士が実際に試して選ぶとよいですね。指の力が入りにくく、洗濯バサミはまだ固いと感じる子には、木製のクロスピンであれば弱い力でも挟みやすくなりますよ。
指をはさんだり、弾けた洗濯バサミでケガをしないように
洗濯バサミで遊んでいるときは、指や体を挟まないように、また洗濯バサミが取れる時に弾けて当たらないように、気をつけながら遊びましょう。興味本位で指に挟む子もいるので、ケガにつながらないように注意してくださいね。
洗濯バサミを利用した遊び《導入編》
洗濯バサミを使った遊びです。導入として、初めて洗濯バサミにふれる2歳半ぐらいの園児に遊ばせてみましょう。
定番の動物づくり
洗濯バサミを使って動物のどこか足りない体の一部を補い、完成させる遊びです。ライオンであればたてがみを、うさぎなら耳を、カニなら足を洗濯バサミではさんで完成させることで遊びます。
そのため保育士さんは、たてがみのないライオンの絵などを用意しておきましょう。洗濯バサミを使って指の力を使うことに加えて、子どもたちは絵を見て何が足りないのかを考え、補うことで達成感を味わうことができますね。
他にも、クラゲの足、ハリネズミのハリ、あおむしの足、馬のたてがみなどを題材に遊んでみてもいいですね。ちなみに、絵はたくさんさわったり洗濯バサミではさんだりするので、厚紙を台紙にしたり、ラミネートをすることで強度が増し、繰り返し使えるようになるでしょう。
洗濯バサミをつなげて作るへび
洗濯バサミをつなげて、長いヘビを作って遊んでみましょう。先頭になる洗濯バサミには、画用紙で顔を作って貼ってあげるとよいでしょう。ヘビが移動するときのように、左右にくねくねさせてみるのも楽しいですね。
最初は個人でチャレンジし、できるようになってきたらグループ全体で、そしてクラス全体に発展させて洗濯バサミをつなげて、巨大なヘビ作りに挑戦してみましょう。
色でグループ分け
2歳半ぐらいになると、同じ色のものを集めてグループ化ができるようになるなど、見立てる感覚の面でも成長がみられるようになります。それを活かし、洗濯バサミを色分けして遊んでみましょう。
まず、4~5色ぐらいの洗濯バサミを数個ずつと、それに対応する色の箱を用意します。洗濯バサミは一つのかごに入れ、全色バラバラにして混ぜます。その中からひとつずつピックアップし、同じ色の箱に洗濯バサミをくっつけてグループ分けをしていく、という遊びです。遊びながら洗濯バサミを使う練習ができますね。
洗濯バサミを利用した工作と遊び《基礎・発展編》
洗濯バサミを使った工作のアイディアを6つ紹介します。年少~年長さんにおすすめです。
セミの鳴き声
紙コップに洗濯バサミをつけてブンブン回すと、ミンミン、ギィギィとセミが鳴くおもちゃです。紙コップと割りばしをタコ糸で連結して製作します。紙コップにセミの絵を貼りつけて振り回せば、鳴き声も聞こえて本当にセミが飛んでいるようですね。洗濯バサミの使い方としておもしろい切り口です。
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サンタクロース
紙コップを使って、サンタさんの顔がゆらゆらする人形を作ることができます。洗濯バサミを重りとして使うことで、サンタさんの顔部分が揺れる仕組みになっています。スノーマンや、オリジナルのサンタさんにアレンジしたりすることもできるので、表現の幅が広がりますね。
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的当てゲーム
ピンポン玉を牛乳パックで作った的に当てる、的当てゲームを楽しむアイディアです。洗濯バサミは発射台として、バネの反発力を利用してピンポン玉を飛ばします。勢い良く飛ばすことができるので、子どもたちの楽しめる遊びとなるでしょう。
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洗濯バサミのガーランド
製作した折り紙や描いた絵を切り取って、毛糸にガーランドとして飾りましょう。作品と毛糸の接続に使うのはもちろん、洗濯バサミです。みんなで自分の作品と毛糸とを洗濯バサミで固定し、保育室に飾りましょう。
洗濯バサミでくだもの収穫
洗濯バサミをはずして、くだもの収穫を楽しみましょう。まず、模造紙や画用紙で作った木に、果物を洗濯バサミで固定します。くだものはりんごやぶどうなど、何でもOKです。楽しくフルーツ狩りをしながら、洗濯バサミをつまむ動作と、指の力を入れる練習になりますね。収穫用のかごをいっしょに持っておくと、フルーツ狩りがもっと楽しくなりそうです。
洗濯バサミでモモンガ
保育室内を横切るひもを伝って、モモンガがひゅーっと移動する仕掛けの遊びです。保育室内の黒板や棚などを利用して高低差のある場所を見つけて、そこにひもを固定します。そうしたら、画用紙にモモンガを描いて切り抜き、紙コップに貼り付けます。
その紙コップに洗濯バサミをはさみ、ひもの高い方にへ持って行って洗濯バサミの穴部分にひもを通します。あとはそこから手を離せば、モモンガがひゅーっと下っていきますよ。紙コップの中にペンなどを入れて、高いところから低いところへものを届けてみるのもいいですね。
まとめ 洗濯バサミで楽しく遊びながら、指先を育てよう
洗濯バサミで遊ぶねらいと、その遊び方・工作の作り方について紹介しました。洗濯バサミを使うことには、親指・人差し指・中指を使う動作、はさんだりつまんだりする動作、指の力を育てる役目があります。鉛筆を持って字を書いたり、ハサミを使ったりなど、その後に必要な動作の前段階的な練習になるので、遊びの中でしっかり慣れていきたいですね。