国家資格がなくても保育士として特定の地域で働ける「地域限定保育士」という制度を知っていますか?「ピアノや造形の実技試験が苦手」「なかなか保育士試験に受からない」と悩んでいる方も、講習を受けることで実技試験が免除され、保育士を目指すことができます。本記事では、 2025年10月からの新制度で拡大された実施エリアと試験日程をすべて紹介。また、制度面で大きく変わった部分と注意点、通常の保育士との違い、地域限定保育士のメリットをわかりやすく解説します。
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地域限定保育士とは?2025年10月から「一般制度」へ
「地域限定保育士」は特定の地域に限って保育士として働ける資格制度です。
2025年10月からは国家戦略特区限定の特例措置から児童福祉法に基づく一般制度へと移行し、実施エリアの拡大が見込まれています。
これまで地域限定保育士は、国家戦略特別区域法にもとづき、特定の自治体(特区)のみで実施されていました。
しかし、保育士不足の解消や地域ごとの実情に合わせた人材確保を目的として、2025年10月より児童福祉法にもとづく一般制度に移行しました。
これにより、特区認定を受けていない自治体であっても、要件を満たせば地域限定保育士試験を実施できるようになりました。
制度の一般化にともない、全国資格への切り替え要件など一部のルールも変更されています。
通常の保育士との違いは「働く場所」と「実技」
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保育士(国家資格) |
地域限定保育士 |
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勤務可能範囲 |
全国どこでも勤務可能 |
登録後3年間は、合格した自治体(都道府県)内のみで勤務可能 3年経過後、新規条件を満たすことで全国で働けるようになる |
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試験 |
全国一斉に年2回(前期・後期)実施。 |
自治体によって異なる |
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試験内容 |
筆記試験 + 実技試験(音楽・造形・言語から2分野選択) 実技試験は一発勝負の実演形式 |
筆記試験 + 実技講習会 実技試験の代わりに、数日間の講習(座学や見学実習)を受講・修了すれば合格 |
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保育士証 |
通常の保育士証が交付される |
「地域限定保育士証」が交付され、有効な都道府県名が記載される。 3年経過後に全国資格へ切り替えると、通常の保育士証が交付される |
地域限定保育士は、実技試験が苦手な方も、講習を受けることで資格取得を目指すことができます。
取得後3年間は限定地域のみの勤務になりますが、業務内容は通常の保育士と変わりません。
試験合格から保育士として働くまでの流れ

地域限定保育士として働き始めるまでのプロセスは、主に上記の4つのステップで進みます。
まず第一段階として。都道府県や政令市が実施する地域限定保育士試験に合格する必要があります。
試験は筆記試験と実技講習会で構成され、筆記試験の全科目に合格した後、指定の実技講習を受講し修了することで最終合格となります。
合格後は「地域限定保育士」として、取得地域で登録手続きを行います。自治体によっては、実技講習終了後、1カ月~2カ月ほどで保育士証が手元に届く場合もあるようです。
登録手続きが完了すると「地域限定保育士証」が交付されます。これで、正式にその地域限定の有資格者として勤務することが可能になります。地域限定保育士の資格が
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【2025年に制度改正】全国で働ける要件と実施エリアが追加

2025年の制度改正により、地域限定保育士試験を実施する自治体が拡大します。
また、地域限定保育士から全国共通の保育士資格へ移行するための要件も変更され、実務経験が必須条件として追加されました。
【改正ポイント1】福岡・岡山など6府県で新規実施が決定。なくなる自治体も
これまで一部の国家戦略特区に限られていた実施エリアですが、制度の一般化にともない、2026年度に向けて新たな自治体も参入することが分かっています。
具体的には、新たに以下の6府県が実施認定され、試験の実施を予定しています。
- 三重県
- 滋賀県
- 大阪府
- 奈良県
- 岡山県
- 福岡県
今後も実施自治体が増えることで、より身近な資格になっていくことが予想されます。
その一方で、これまで地域限定保育士が実施されていた神奈川県・沖縄県は、2025年12月時点で次年度の実施告知が出ていないことから、2026年度は実施されない可能性が高いようです。
【改正ポイント2】全国で働くには「登録後3年+1年以上の実務経験」が必須に
これまでは「登録後3年経過」のみで全国で働ける資格へ切り替えることができましたが、2026年度からの新制度(一般制度化以降)では、以下の条件が必要です。
- 地域限定保育士として登録後、3年以上経過していること
- その地域で1年以上かつ1,440時間以上の実務経験があること
つまり、これまでのように「地域限定保育士の資格だけ取って働かずに3年待つ」という方法では、全国で働くことができなくなりました。
将来的に全国で働きたいと考えている場合は、まずは合格した地域で約1年以上の実務経験を積むことが求められます。働ける職場を紹介してもらう
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実技が免除!地域限定保育士試験のメリット
地域限定保育士試験の最大のメリットは、多くの受験者が苦戦する実技試験が免除される点です。
講習形式で学べるため、実技に不安がある方でも、安心して資格取得を目指せます。
実技試験(ピアノ・造形・言語)が不安な人に最適!
通常の保育士試験では、筆記試験合格後に「音楽」「造形」「言語」の中から2分野を選択し、実技試験を受ける必要があります。
一方、地域限定保育士試験には、指定された「保育実技講習会」を修了することで、実技試験が免除されるという制度があります。
この講習会は、規定により「27時間以上」と定められており、通常5日間程度の日程で組まれます。
そのため、緊張をともなう一発勝負の実技試験とは異なり、講習を最後まで受講し、しっかりと課題をこなすことで合格できる仕組みになっています。
講習期間中に会場へ通う必要はありますが、精神的なプレッシャーを回避できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、この講習による実技試験の免除は、全ての実施自治体で毎回必ず採用されるとは限らない部分が注意点です。
あくまで、国が「条件を満たしていれば免除してもよい」と設定しているだけなので、実際の試験や講習の有無は、各実施自治体に確認しましょう。
筆記の合格科目は通常試験へ引き継げる
地域限定保育士試験と通常の保育士試験は、筆記試験の科目が共通しています。
そのため、地域限定保育士試験で合格した科目は、翌年の通常試験でも免除科目として引き継ぐことができます。
また、通常の保育士試験で合格済みの科目がある場合は、地域限定保育士試験でも免除されます。
つまり、春と秋の通常試験に加え、地域限定保育士試験を受験することで、実質的に受験のチャンスを増やすことができます。
合格へのルートが複数あることで、より戦略的に資格取得を目指すことが可能です。
こんな人は地域限定保育士を目指そう!向いている人のタイプ
- 実技試験(ピアノや造形など)に強い苦手意識がある人
- 今の地域で3年以上働く予定がある人
- 1日も早く資格が欲しい人(受験チャンスを2倍にしたい人)
地域限定保育士試験は、とくに実技試験に対して強い苦手意識を持っている人や、現在住んでいる地域など特定の地域で長く働く予定がある人にとって最適な制度です。
さらに、1日も早く資格を取得したい人にも向いています。通常の試験と併願することで受験機会が増え、合格までの期間を短縮できる可能性があります。
まずは地域限定で資格を取り、働きながら実務経験を積んで全国資格へステップアップするキャリアプランを、すでに叶えている方も多いでしょう。地域限定保育士になる前に
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地域限定保育士試験の実施自治体と試験日程(2025年・2026年)

2025年10月以降の制度移行にともない、2026年度からの地域限定保育士制度のスタートに向けて、大阪府や福岡県など新規参入する自治体での試験や講習が予定されています。
大阪府のように以前から実施していた地域に加え、2026年度に向けて新たに認定された6府県でも、地域限定保育士の誕生と活躍が期待されています。
現時点で判明している試験を実施予定の自治体は以下の通りです。
|
都道府県 |
ステータス |
2026年度の試験予定 |
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大阪府 |
継続 |
秋予定 |
|
福岡県 |
新規 |
2026年4月18日(土)・19日(日) |
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奈良県 |
新規 |
秋予定 |
|
滋賀県 |
新規 |
2026年4月18日(土)・19日(日) |
|
三重県 |
新規 |
未定 |
|
岡山県 |
新規 |
未定 |
沖縄県は、直近の2025年10月に地域限定試験を実施しましたが、こども家庭庁が公表している2026年の実施自治体としてリストアップされていないようです(2025年12月現在)。
今後、追加で発表される可能性もありますが、2025年12月時点では上記の6府県のみが決定しています。
筆記試験は、例年は全国一斉に行われる通常の保育士試験(春・秋)と同じ日程で実施されているケースがほとんどのようです。
筆記試験合格者を対象とした実技講習会は、その1カ月~2カ月後に行われることが多いですが、自治体によってスケジュールは異なります。
受験を希望する場合は、各府県の担当部署の公式発表を必ず確認し、願書の提出期間などを逃さないようにしましょう。地域限定保育士で働ける職場を相談
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地域限定保育士にまつわるQ&A
地域限定保育士について気になる疑問について回答します。
Q1. 指定されている地域に住んでいないのですが、受験することはできる?
地域限定保育士の受験資格は、原則として通常の保育士試験と同じであるため、どの実施自治体の試験でも受けることができます。
ただし、試験や実技講習はその自治体の会場まで行く必要があります。
また、合格後に働けるのはその地域限定ですので、実際に「通えるか」「引っ越しできるか」を事前に考えておく必要があります。
Q2. 実技講習は本当に落ちない?ピアノが弾けなくても大丈夫?
通常の実技試験が一発勝負のテスト形式であるのに対し、地域限定保育士の実技講習は「学ぶこと」が目的の研修形式です。
多くの自治体で採用されている形式では、約5日間(27時間程度)の講習をしっかり受講すれば資格が得られるため、あがり症の方やピアノ未経験の方にとっては非常に心強い制度です。
Q3. 地域限定保育士の実技講習ってどんな内容?
過去の実施自治体の資料によれば、「保育の表現技術」として実技試験の科目にもなっている音楽・造形・言語の演習があるようです。
また、それに加えて「保育実践見学実習」なども行われます。自治体によっては実際の保育園などで見学・実習を行い、事後のまとめなどを行うケースもあります。
全27時間、約5日間の講習に参加して修了することで、実技試験合格と同等とみなされます。
Q4. 地域限定保育士は就職活動で不利になったり、給料が安くなったりする?
実施地域では、国が定めた人員配置基準(園児数に対して保育士の人数が定められている)において、地域限定保育士は通常の保育士と同じ有資格者としてカウントされます。
そのため、資格の種類を理由に給与を下げたり、採用を断ったりすることは基本的にないと考えられるでしょう。
ただし、全国展開している運営会社などで「将来的に県外への転勤が可能か」を問われるケースは考えられるかもしれません。
地域限定保育士でも無理なく働ける地域の就職先を探すなら、保育士バンク!に相談してみましょう。不利にならない転職先
を探してもらう!出典:地域限定保育士制度/こども家庭庁出典:地域限定保育士試験における保育実技講習会について/厚生労働省出典:福岡県地域限定保育士試験について/福岡県出典:地域限定保育士試験実施にかかる認定地方公共団体の認定および今後の予定スケジュールについて/滋賀県出典:令和7年神奈川県独自地域限定保育士試験の概要/神奈川県
実技に不安があるなら地域限定保育士は最短ルート!
地域限定保育士制度は、実技試験への不安を解消し、保育士資格取得へのハードルを大きく下げる有効な手段です。
2025年からは制度が一般化され、実施エリアも拡大するため、より多くの人にとってチャンスが広がります。
また、取得地域で1年以上実務経験を積んで3年経過すれば、全国で通用する資格へと切り替えが可能です。
ピアノや造形が苦手で二の足を踏んでいる方、実施されている自治体で保育士として働きたいという方は、ぜひ地域限定保育士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
試験のことや資格取得後の働き方についてなど、不安や疑問があるかたは、まず保育士バンク!にご相談ください。
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